和紙

おでん(御田)
蛇足
■語源
★歴史
田楽
(でんがく)という田植えのときに踊る芸能があります。
豆腐に串を刺した料理が、田楽を踊る人の姿に似ていることから「
豆腐田楽」と呼ばれました。昔のおでんは豆腐を串に刺し味噌を塗って焼いたものです。
田楽の登場は室町後期だとされます。

醒酔笑(江戸初期の笑話本1623年)には「田楽法師が白袴を下にはき、上に色のついた物を着て、鷺足(1本足の竹馬)に乗って踊る姿が、白い豆腐に味噌を塗りたてた格好によく似ているからだろう」と載っています。
やがて江戸時代になると
味噌煮込みおでんになり、さらに江戸末期には醤油を使うようになって現在のおでんの形になっていったようです。

おでん」と言う言葉は、もともとは「煮込み田楽」と言ったようですが、略して更に丁寧語をつけて、「おでん」(女房言葉)となりました。

 田楽は むかしは目で見 今は食い 柳多留拾遺

明治以降は人気が衰えていたようですが、関西に伝わって「
関東炊き」と呼ばれていました。関東での人気回復は、関東大震災の炊き出しによるといいます。

■関西と関東の違い
関東と関西ではずいぶんと違います。
☆関東のおでんは、醤油だしで、味も色も濃いようです。
材料はこんにゃく、だいこん、コンブ、玉子、餅入り巾着、はんぺん 、さつま揚げ、じゃがいも、つみれ、ちくわぶ などです。

☆関西のおでんは、澄ましだしで薄味です。
材料は関東のものの他に、たこや、牛スジなどがあります。中でも牛スジは人気ナンバーワンだと言われていますが、なぜか関東にはありません。不思議です。

江戸の末期に盛んになった煮込み田楽ですが、当時の種は豆腐、こんにゃく、芋くらいだったそうです。
しかし、江戸時代の有名な豆腐料理の本「
豆腐百珍」(1782)には木の芽田楽など11種類、「続豆腐百珍」みたらし田楽など14種類も載っています。

■おでんの具の符牒
あまりこれと言ったセンスのある表現はありませんね。^^;
・御所車  玉子(君が)中にある
・役者   大根
・座布団  薩摩揚げ
・爆弾   ゆで卵を芯に入れた薩摩揚です。
・親不孝  巾着類(お袋を食べる)
・ペン   はんぺん
・砂おろし コンニャク

ちなみに、練り物は英語でfish cake と言うんだそうです。

■雑
★田楽狭間の戦い

永禄3年(1560)、
今川義元が四万の軍を率い上洛を試みます。
これを
織田信長が三千の兵で奇襲により破ったのが田楽狭間です。
しかし、歴史的には隣の
桶狭間の名前で残っています。

★二本差しが怖くて豆腐が食えるか!  
落語「首提灯」や「たが屋」の中で
「二本差しているのが、わからんかと申すのだ」
「知ってらい、たった二本じゃねえか。焼き豆腐だって二本差しているじゃねえか。気の利いたウナギは、四本も五本も差してらぁ。そんなウナギを、うぬらぁ食ったこたぁあるめえ・・・。おれも久しく食わねえけども・・・。」
しまらない啖呵ですが、豆腐田楽は江戸時代、串を2本打っていました。「2本差しが怖くて豆腐が食えるか」なんて啖呵が落語などに良く出てきます。

蛇足ですが、ウナギ屋の蒲焼は172文〜200文くらいで、結構高かったのです。最も、辻焼きのウナギと言うのがあって(屋台のようなもの)これだと、一串12文〜16文だったようです。(一口タイプの小さなものです。)
なお、お金が4の倍数になっているのは、4文銭が一般に普及していたので、そのためです。蕎麦が16文ですから、1文は10〜20円見当です。

赤塚不二夫の漫画「おそ松くん」のチビ太が持っているおでんは?
こんにゃく、がんもどき、なると巻です。

★田楽返し
歌舞伎の大道具の一つです。舞台の背景の板や襖(ふすま)などの中央に、棒を固定して、それを中心に回転させ、裏に描いた絵が現れる仕掛けです。幽霊などが出てくる場合等に使われます。

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