和紙

豚・猪
蛇足
■豚の語源、字源 
豕が口を突き出した太った猪の象形文字です。
偏は肉をあらわし、両方でお祭りにささげる肉に用いる猪、つまりブタを表しています。

ブタ」は東南アジアで「腿(もも)」の意味だそうで、中国から輸入されたブタの腿の燻製から、日本では「ぶた」と言う動物名になったそうです。

ブタは分類上哺乳類、偶蹄目、イノシシ科に属し、約9千年前に、人間によって改良されて作られたといいます。

★猪
「いのしし」の語源の定説は無いようです。
一説には、鹿、カモシカ、猪などすべて「シシ」と呼んでいましたが、これらの動物を区別するため、いの一番と言うことで「イノシシ」となったと言います。
ついでに、
唐獅子は「中国から来たシシ」の意味です。

なお、現代の中国語では、「猪」はブタを意味します。料理に「猪」の字があったら豚肉料理です。ちなみに、日本で言う猪は野猪(イェツ)と言います、

★英語の豚
マザーグース
に次のようなのがあります。
「A LONG-TAILED PIG, OR A SHORT-TAILED PIG」
A long-tailed pig or a short-tailed pig,
Or a pig without any tail.
A sow pig or a boar pig,
Or a pig with a curly tail.

「ながい尾のぶたに」
 ながい尾のぶたに、
 みじかい尾のぶたに、
 尾のないぶたに、
 めぶたにおぶた、
 まきじっぽのこぶた。   (北原白秋 訳)

pig は豚、米国では子豚の意味。hogは食用豚で、主に米国で使われるようです。
sow は雌豚、boar は雄豚、swine は文語的で(集合的)豚。

いろいろな表現があるのは、それだけ身近な動物だと言うことですね。

■雑な話
★ラグビーボール

ラグビーは不思議な形をしていますね。
よく言われるのは「昔、豚の膀胱を使っていて、その膨らませた形が楕円だったから」という説ですが、1823年に、サッカーから分かれて出来たラグビーは、当初は真ん丸で、豚の膀胱などを使っていなかったと言います。
日本ラグビーフットボール協会によると、「あるボール屋が面白半分に楕円にしたら、たまたま、持って走るのに便利だった。それが真相のようです」とのこと。

では、豚の膀胱説はどこから?
紀元前のローマで、サッカーに似たスポーツに、豚の膀胱が使われていたと言います。出処はこのあたりでしょうか?

★蚊遣り豚(かやりぶた)
ブタの形をした蚊取り線香、なぜ豚なのでしょう?
諸説あってはっきりしませんが、あれは豚では無く、猪だと言う説があります。
猪は、
火之迦具土神(ほのかぐつちのかみ)を祭神とする火伏せのご利益がある愛宕神社のお使いなので、防火の意味をこめて猪にしたと言うものです。

■言葉
★のた打ち回る

「のたうちまわる」は元は「ぬたうちまわる」と言われたのが訛ったようです。
「ぬた」は沼田のことです。(別に湿地を表すアイヌ語と言う説もあるようです)
沼で、猪が体に寄生するダニなどを取り除くためや、体を冷やすために泥浴びをする習性があり、その行為が、のた打ち回っているように見えたのではないかとのことです。

★スチュワーデス(stewardess)
スチュワーデスの語源は「
豚小屋の番人」です。stig が豚小屋、weard が見張り番で、複合してできた言葉が変化したのが steward で、その女性形が stewardess です。
家畜の世話をする者が、やがて主人の食卓を準備する者の意味になり、更に家事を管理する執事の意味へと変化してきたのだそうです。

最近はキャビン・アテンダントの方を使うのでしょうか?
やっと乗客も豚を卒業? ^^;

★豚に真珠(Cast not pearls swine.)
新約聖書」マタイによる福音書から来ています。
「神なるものを犬に与えるな。また、真珠を豚に投げるな。おそらく彼らはそれを足で踏みつけて、向き直ってあなたがたに噛みついてくるであろう。」

★紅の豚
宮崎駿
のアニメです。特に「飛ばねえ豚はただの豚だ」と言う台詞が好きです。^^;
ところで、英語の表現に
Pigs might fly. と言うのがあります。そんな事が起こるのなら豚だって空を飛ぶ、つまり、そんなことあるはず無い、の意味です。
鏡の国のアリスに「豚に翼があるのか?」と出てくるのはこれを踏まえての表現です。

★太った豚より痩せたソクラテスになれ
経済学者
スチュアート・ミル(John Stuart Mill 1806〜1873)の言葉です。

わが国でこの言葉が有名になったのは1964年東京大学の卒業式で
大河内一男総長が述べた言葉として新聞に載ったことによります。
ところが、新聞社に配られた予定原稿には載っていたのですが、実際の挨拶では言われなかったのだそうです。

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