和紙

蛇足
■語源・字源
★鼻

「はな」は、胎児の体の中で非常に早く形成されるそうです。そこから「ハヤクナル」の略だとか、「ハジメナル」(初成)の意味だとか、ハナ(端、初)の意味などの諸説があります。

漢字の方は、「自」の部分が元々鼻を表す象形文字でした。しかし、自が自分などを表す別の用途に用いられたため、下の部分を付けて鼻の意味にしたと言います。
ところで、鼻の字の一番下の部分「廾」は上に突き抜けないのが本字です。(現在の中国でも突き抜けません)。日本の常用漢字は俗字を採用しているのです。

★鼻の下のくぼみの部分の名前は?
人中(じんちゅう)」と言います。鍼灸では「つぼ」の一つです。また、武道では急所に数えられます。

■鼻の役割
呼吸以外に、鼻の役割と言うと、すぐ
匂いを嗅ぐことを思い出しますね。
実は、それ以上に大事な役割があります。
ラジエターの役割です。
0.1秒で空気温度を10度以上上昇させ、同時に50%以上も空気湿度を上昇させるんだそうです。

他に、
空気清浄機の役割もあります。ゴミや雑菌の進入を防ぎます。
一日に出る鼻水の量は1リットルにもなるんだそうです。
現代人に多い口呼吸は風邪等を引きやすいと言います。それは雑菌などが直接喉についてしまうことに原因があります。

他に鼻をつまんで食べると味がわかりにくくなります。風邪で鼻が詰まったときもそうですね。
確かに味は舌で感じるのですが、他に、目で見る、鼻で匂いを感じると言う、総合的な感覚で私たちは食事を楽しんでいるのです。

★鼻の穴はなぜ二つ?
本当の理由はよくわからないのだとか。
ただ、私たちは呼吸の際、同時に両方の鼻で呼吸するのではなく、片鼻ずつ1時間〜2時間おきに交代して呼吸しているのだそうです。これは「
鼻のサイクル現象」と言われます。

★馬の鼻息
走った後など馬の鼻息は荒いですね。
馬は、鼻は息をするため、口は食べるためと役割が分担されています。
つまり、口で息をしないために鼻息が荒くなるのです。
馬は北米の寒い地方で進化したとされ、鼻から気管までの距離を長くすることによって空気を暖め、肺を守るような身体の構造になったと言われています。

★鼻鏡(びきょう)
犬や猫の鼻の先端部分の毛の生えていない部分を鼻鏡といいます。
(鼻腔内の検査のときに用いる鏡のついた医療器具もこう呼びます)
通常は湿っぽく濡れていますね、濡れている理由は、犬や猫は鼻鏡で空気の流れを知り、匂いで仲間や獲物を感知しているらしいと言うことです。
私たちが、風向きを知るのに指を濡らして立ててみるのと同じですね。
乾いていると病気のことなどが多いようですが、眠っているときに乾いているのは異常ではないんだそうです。活動を始めると自然に濡れてきます。

■言葉
★鼻息をうかがう

出典は「
後漢書」の出てくる「鼻息(びそく)を仰ぐ」だということです。
後漢の末、
袁紹(えんしょう)は専横をきわめた宦官(かんがん)を全員殺し政治的腐敗を取り除きましたが、その後、董卓(とうたく)との政争に敗れ、冀州(きしゅう)
に身を寄せていた時のことです。

袁紹は冀州を乗っ取り、再起を図ろうと冀州長官韓馥(かんふく)に地位譲渡をせまりました。
その時、韓馥の部下は「冀州は辺鄙なところですが、軍勢は百万、十年を支える食糧もあります。袁紹は孤立した亡命者にすぎず、その軍は貧弱で、わが鼻息を仰ぐ有様……」と地位譲渡をしないよう韓馥を諌めました。しかし、韓馥はこの諌言を聞き入れませんでした。こうして袁紹は冀州を手に入れ、董卓を攻めることができました。

日本でも、「鼻息を仰ぐ」「鼻息をうかがう」両方の形で使われてきましたが、現在では、主に「鼻息をうかがう」の形で使われます。

★鼻っ柱
鼻っ柱ってなんでしょう?
鼻っ柱は、左右の鼻の穴を分けている壁のことを言います。そこから、鼻を盛りあがらせている骨のことも言うようになりました。
顔の中央にある鼻の柱が頑丈であれば、堂々としている感じで、自信家とか自己主張が強い人を連想したようです。

★鼻持ちならない
「持ち」は、長くその状態が維持されるという意味です。この花は持ちがいいなどの持ちと同じです。
そこから、「鼻持ちならない」とは、もともとは、臭気が耐えられないほどひどくて我慢できないという意味なのですが、これが、いやらしくて我慢できないと変化したものです。

★木で鼻をくくる
正しくは、「木で鼻をこくる」だったようです。「こくる」とは、こするという意味です。「くくる」はこの「こくる」の誤用が慣用化したものとされます。
つまり、木で鼻をこすりつけるような不適切な態度のことを言うのだとか。

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