和紙

環・輪
蛇足
■環(かん)と(へき)
(たまき)とは輪の形をした玉で、輪の幅が穴の直径と同じ大きさのものを言います。
(たま)とは環状の平たい大玉で、輪の幅が穴の直径の2倍のものを言います。
完璧や双璧と言う言葉に使われますね。壁(かべ)と字が似ているので間違わないように。^^;

☆完璧
「史記・廉頗藺相如(れんはりんそうじょ)伝」にあるお話が由来です。
中国の戦国時代の話。秦の昭王は趙の恵文王に、
和氏(かし)の璧(たま)と15の城を交換しようと強制します。そこで、使者にたてられたのが、趙の藺相如(りんそうじょ)です。彼は璧を昭王に渡しましたが、昭王はもともと15の城を渡す気などありません。そこで、彼は一計を案じます。「その璧には疵(きず)があるので、お教えしましょう」と、璧を受け取ると、「璧を柱にぶつけて壊し、私も死にます。」と脅します。昭王もしかたなく自分の非を詫び、彼を璧とともに無事に帰しました。

■環の付く言葉いろいろ
★ミッシングリンク
(missing link)
日本語では「失われた環(わ)」と訳されています。
化石や現生生物で、種と種の中間の生物がしばしば見当たらないことをミッシング・リンクと呼びます。
進化が連続的だとすると、少しずつ変化した生物の化石が出てきても良さそうなものですが、実際は、ある種が突然出現したようにしか化石が出てきません。
これがミッシング・リンクですが、単に中間の生物の化石が発見されて無いだけなのか、進化が急激に進み中間と言える生物が存在しないのか、未だに結論は出ていません。

★ランドルト環(かん)
視力検査のCの字のような記号です、皆さんおなじみですね。
フランスの眼科医
エドモンド・ランドルト(1846-1923)が作って、1909年国際眼科学会で世界基準として認定されました。
Cの高さ7.5mm、切れ目1.5mmを5m離れて認識できるのが視力1.0です。

★ベンゼン環(かん)
オーガスト・ケクレ博士(ドイツ)は、ベンゼン分子の6個の炭素原子の結びつきがわからず連日悩んでいました。ところがある日、3匹の蛇がお互いに噛みつき、6角形の輪になって回っているという夢を見て、ベンゼン環の構造を発見しました。

炭素原子の構造は、
フラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーンとますます複雑なものが見つかっていますし、その応用の広さも注目されています。

★楊玉環
誰のことかわかりますか? そう
楊貴妃(ようきひ:719-756)です。
中国唐の
玄宗皇帝の妃。玄宗の皇子、寿王瑁(まい)の妃であったが、玄宗にみいだされ女道士になり、ついで貴妃となりました。舞や音楽にすぐれいて、聡明でもあったので玄宗の寵愛を一身に集めたと言います。後に、安禄山の乱の際に殺されます。白楽天の「長恨歌」など、詩や小説に多く描かれていますね。

楊貴妃の墓は、西安から70kmほど離れた興平県の馬嵬坡(ばかいは)にあります。
ここまでなら、ちっとも面白くありませんが、実は日本にも楊貴妃の墓があります。
山口県油谷(ゆや)町です。
そう言えば、日本には
キリストの墓と言うのもありますね(青森県三戸郡新郷村戸来(へらい)。不思議の国、日本。^^;

■雑
★シクラメン
(cyclamen)
和名を「篝火(かがりび)花」とか「豚の饅頭(まんじゅう)」と言います。
篝火花はその花の形から来ています。一方、豚の饅頭の方ですが、地中海原産で豚が球根を掘って食べることから豚のパンと呼ばれていたのが、明治時代、日本に入ってきた時、パンではわかりにくいと言うので饅頭と言ったのだそうです。

英語の語源は、円や輪を意味するギリシャ語
kyklosに由来します。
花が咲き終わっって、後に残に残った茎が弦巻状になるので、こう呼ばれるようです。
同じ語源の言葉に、自転車(bicycle)、周期(cycle)、サイクロン(cyclone)などがあります。

■言葉
★倭文(しづ)の苧環(おだまき)
倭文
は古代の織物で、麻などで縦じまや格子模様を織り出したものです。
苧環は倭文を織るために麻などを玉に巻いたものを言います。糸を繰り出すからの連想で"繰り返し"の序や、"しず"を"賤(しず)"の意にとって"いやしい"の序として用います。

(序:和歌や雅文などで、ある語句を引き出すために、音やイメージ上の連想からその前に冠する修辞の言葉で、枕詞(まくらことば)と同じ働きをしますが、音数に制限がありません。)

静御前(しずかごぜん)が頼朝の前で舞った時に、義経を恋慕してうたった
「しづやしづ賤のをだまき繰り返し昔を今になすよしもがな」は有名ですね。(義経記)

ところで、ドラえもんに登場する"しずかちゃん"は、源しずか。静御前から来てるんでしょうね?^^;

★途轍(とてつ)もない
途轍とは車輪のわだちのとです。
これが転じて、筋道や道理の意味になり、そこから「とてつもない」は筋道が外れている、道理に合わないこと、途方もないことを表すようになりました。
江戸時代の人情本の中に出てきます。

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