和紙

鶏(ニワトリ)
蛇足
■語源
万葉集に「
庭つ鳥」と出てきます。「つ」は「の」の意味です。
つまり、庭の鳥の意味です。
雉(きじ)が「野つ鳥」と言われ、それに対する「庭つ鳥」です。

古くは、鳴き声から「
かけ」と呼ばれていたと言います。その枕詞が「庭つ鳥」だったと。
「庭津鳥 可鶏乃垂尾乃 乱尾乃 長心毛 不所念鴨」  万葉集 巻7-1413
  (庭つ鳥 かけの垂尾(たりお)のみだれ尾の 長き心も思ほえぬかも) 

また、「
くたかけ」とも言われました。朽鶏(くたかけ)の意味で、鶏をののしって言う言葉です。昔の人も朝起きるのは辛かったのですね。

鶏はキジ科の鳥で、原種は東南アジアにいる
セキショクヤケイと言われ、紀元前
4、5千年頃から飼われていたようです。
わが国では、古事記にも出てくるように古くから、時を告げる生き物として飼われていたようですが、卵や肉が一般に食べられるようになったのは江戸時代になってからと言われます。

ひよこ」は、ひよこの古い鳴き声表現「ひよひよ」に「こ」が付いた形のだとか。

■雑
★ヒアルロン酸

化粧品成分を見るとヒアルロン酸と言うのがありますね。私たちの体の中にもある成分なのですが、その優れた保湿作用が注目されて、10年ほど前から化粧品に使われるようになっています。
他に、しわやたるみの解消に皮下注射をするというのも最近よく耳にしますね。こちらは、効果は半年ほどとか。
関節液の主成分もヒアルロン酸です。老人でヒアルロン酸が減って関節が炎症を起すことがあるのですが、その治療にも使われます。

ところで、このヒアルロン酸、
鶏の鶏冠(とさか)から作られるのだそうですよ。

鶏冠くらいで驚いてはいけませんよ。化粧品成分に
ヒト成分と言うのを見たことがある人もいるのでは? このヒト成分、出産の後の胎盤から作られる胎盤エキスなんです。これを知っても使えます?^^; 

★コックピット(cockpit) 
憧れの職業パイロット、その仕事場がコックピットですね。
語源は
闘鶏場からきているんだそうです。一説には闘鶏を入れておく籠とも。
パイロットは鶏並み、そういえばスチュワーデス(stewardess)は豚小屋の番人でしたね。^^;  (「Vol.227 豚・猪」参照)

闘鶏に使われる
シャモ(軍鶏)ですが、ニワトリの品種の一つです。
江戸初期に
シャム(タイ)から輸入され、日本で改良されたものです。
古くはシャムロ(暹羅)と言ったようで、シャムという国名から来ています。

★鶏が先か卵が先か(chicken-and-egg)
私はこれははっきりしていると思うんですが。なぜって、鶏→卵は別個体ですが、卵→鶏は同一個体ですよね。
鶏が進化の過程で、鶏と呼べないものから鶏に進化したとすると、その境目は、別個体間にあると思うんですが。^^;

ところで、この言葉は意外と古くて1世紀後半〜2世紀前半にかけてのギリシャの哲学者
プルタルコス著の「食卓歓談集」(岩波文庫1987年)に出てきます。

★シャトルコック(shuttle cock)
バドミントンの羽根のことですね。
元の形は丸いコルクに、雄鶏の羽根を付けた物だったのでこの名前があると言います。

■難読
★結構、難しいのがありますね。 答えは下の枠内をドラッグしてください。
軍鶏 .鶏冠 笹身 水鶏 黄鶏 矮鶏
シャモ とさか ささみ クイナ かしわ チャボ

★黄鶏

羽毛が茶褐色の鶏で羽の毛が柏の葉の色に似ているから、こう呼ばれるといいます。そして、その雌鶏の肉が美味しいとされ、天保年間(1830-1844)以降は鶏肉一般をこう呼ぶようになったと言います。

■言葉
★鶏鳴狗盗

「史記、孟嘗君伝」の故事です。
孟嘗君は三千人と言われる食客を抱えていました。そして、一芸に秀でていれば泥棒でも人殺しでも受け入れたといいます。
秦の昭襄王(B.C.306〜B.C.251在位)に宰相として招かれますが、讒言(さんげん)にあい幽閉されてしまいます。
そこで、彼は昭襄王の寵妃にとりなしをたのみますが、彼女は孟嘗君が昭襄王に贈ったような白狐の衣を要求します。でも、すぐには準備できません。
その時、食客の狗盗(くとう:こそどろの事)が、昭襄王に贈った衣を盗み出し、妃に渡すことが出来ました。
幽閉を解かれ帰国を許されると先を急ぎます。しかし、国境の函谷関(かんこくかん)に着いた時は夜明け前でまだ門が閉まっています。そこで、鶏の鳴き声のうまい食客が、鶏のまねをして門を開けさせます。
こうして、心変わりした昭襄王の追っ手が、函谷関につく前に逃げ出すことが出来たのです。

「夜をこめて鶏(とり)の空音(そらね)ははかるとも世に逢坂の関はゆるさじ」はこの故事を踏まえた
清少納言の歌で、百人一首に採用されています。

☆孟嘗君(生没年不詳 B.C.4〜B.C.3)
斉の国の宰相で、姓名は田文で、号が孟嘗君です。
楚の春申君、趙の平原君、魏の信陵君とともに戦国末期の四君の一人に数えられます。


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