和紙

蛇足
■油
炙(あぶ)る」が変化したとのではないかと言われます。
油を表す漢字は三つあります。
:液体のもの、:固体のもの、:肉のあぶら
ですから、油脂と言った場合は液体・固体両方の油をさします。

☆oilの語源
ギリシャ語のオリーブの木を意味する elaia が oil の語源とされます。
oil という言葉は当初オリーブオイルだけを意味していましたが、次第に広い意味に使われるようになったようです。

☆石油(petroleum)
petra は岩や石の意味で oleum はオイルのことです。
「Vol.177 石」の蛇足にも書きましたが、イエス・キリストの最初の弟子ペテロは、この「岩」という意味です。

■歴史
人類が最初に使った油は動物性の脂でした。クロマニヨン人の遺跡などで照明用として用いられた痕跡が残っています。

日本では古くから
エゴマから絞る荏油(えのあぶら)が使われていたようです。
他に、魚油、木実油(イヌガヤの実)、ごまなども使われたようです。
離宮八幡宮(京都府)は荏胡麻油発祥の地として「油の神様」として親しまれ、油メーカーが油を奉納し油祭り「放生会」が催されています。
菜の花は平安時代に中国から伝わり、良質の油が取れたことから「アブラナ」と呼ばれました。

江戸時代、欧米では鯨の油が照明用として重宝されたようです。
彼らは油のみを利用し、他は捨てたといいます。日本では、それこそ捨てるところ無く利用してきました。
その捕鯨がやがて、日本に開国を迫る一因にもなってきます。

■テンプラ
★語源

天ぷらが江戸の名物になるのは幕末の頃です。
tempuraは英語にもなっている言葉なのですが、語源となると諸説あります。
1.戯作者(げさくしゃ)の山東京伝がその名付け親という説
彼の弟京山が随筆「蜘蛛の糸巻き」に次のように書いています。
京伝が大阪から魚のつけ揚げを売りに来た男に「天麩羅」と看板を書いてやったのが始まりという説です。その理由として、「宿無しの天竺(てんじく)浪人がふらりと江戸に来て売るから天ふら、そして麩は小麦粉、羅は薄い衣である」としています。
しかし、この説あやしい。^^; なぜなら「てんぷら」と言う言葉は室町時代からあったといいます。ただ天麩羅の字をあてたのは彼でしょう。
2.ボルトガル語の調理すると言う意味のtemperoを語源とする説でこれは有名ですね。
3.宣教師が伝えたtempora(天上の日)と言う祭に食べる魚の揚げ物から来たとする説。
4.中国料理の塔不刺(とうふら)を語源とする説

そういえば、
徳川家康は天ぷらがあたって死んだと言う説があります。
「慶長日記」には、元和2年(1616年)に家康の所望で、茶屋四郎次郎が、当時上方ではやっていた鯛の天ぷらを献上したところ、腹痛をおこしてそのまま75歳の生涯をとじたと載っています。
ただ、家康は以前から胃ガンを病んでおり、それが死因とする説もあります。

■言葉
★油を売る

江戸時代、
髪油を売り歩く者が婦女を相手に話し込みながら商ったところから、仕事を怠けてむだ話をすると言う意味に使われます。
油は長く尾を引き、切れるまでに時間がかかったため、傍からはサボっているように見えたようです。
また、油を
行灯(あんどん)用の油としている辞書も多いようです。

そう言えば、
斎藤道三は山崎の油問屋奈良屋の入り婿になり、やがて美濃国(岐阜県)の主となったのでしたね。

★油断
1.
涅槃経(ねはんぎょう)に出てくる話に語源を求める説。
昔、インドに暴君がいて、家臣に油を満たした鉢を持たせ、油を一滴でもこぼしたら殺すと脅し、背後に抜刀した家臣をおいて監視させたと言います。
うっかり油をこぼすと命を絶たれることから、注意を怠ることを単に油断というようになったといいます。
2.「ゆだん」は「ゆったりする」という意味から転じたとする説です。
古語の「ゆたに」というゆったりすると言う意味を表す言葉の撥音便とする説で、「ゆったりする」の意味が転じて注意を怠る意味になったと言います。

★油が切れる
本来は、脂の乗っている魚の、脂肪分が抜けることを言ったようです。
そこから、精力が続かないとか、元気がなくなるという意味に使われます。

★聖油を注がれた者
キリスト
はヘブライ語で「聖油をそそがれた者」という意味で、姓ではありません。
当時、王や預言者や司祭長は、頭に聖油を注がれてその職に任じられていたといいます。
ついでに、
XmasのXはギリシャ語でキリストの頭文字、masは祭の意味で、「’」はいりません。

★ブリ
「V0l.121 魚その1」の蛇足に語源説を載せましたが、一部追加です。^^;
寒ブリの油の乗りのいいところから、「あぶら」が「ブリ」になったと言う説を紹介しましたが、この説はあの養生訓を書いた
貝原益軒(1630-1714)の説です。
あぶら多き魚なり、あぶらの上を略す。あぶら→ぶら→ぶり と変化するとしています。

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