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不思議の国のアリス
【不思議の国のアリス(Alice's Adventures in Wonderland)】
ルイス・キャロル(1832-1898)が1865年に出版した児童文学です。
一説には聖書に次いで世界中で読まれている本と言われます。

★映画化
幾度となく映像化されていますが、1951年のディズニーによるアリスのアニメーション映画「不思議の国のアリス」や、2010年のティム・バートン監督の「アリス・イン・ワンダーランド」が有名ですね。

続編の『鏡の国のアリス』(Through the Looking-Glass, and What Alice Found There 1871年)ですが、上に書いた1951年のディズニーのアニメにもこの中の内容が多く取り入れられています。
花が歌うシーンや、セイウチと大工の話、非誕生日の話など。

★ルイス・キャロル
作家のルイス・キャロルはペンネームで本名はチャールズ・ラトウィッジ・ドジソンという数学者です。
このペンネームは "Charles Lutwidge" をラテン語に直し、再び英語に戻して順序を入れ替えたものと言われます。言葉遊びです。

彼は、オックスフォード大学のクライスト・チャーチを最優秀の成績で卒業した後、同校の数学講師となりました。
数学パズルの世界では彼はとても有名な存在で、彼の残したパズルも数多くあります。

★言葉遊び
不思議の国のアリスの英文はそれほど難しくは無いのですが、掛詞や駄洒落がふんだんに取り入れられていて、読むのはなかなか大変です。

鏡の国のアリスの中に出てくる「かばん語」は複数の単語の一部を組み合わせて作られた造語で、、ハンプティ・ダンプティのセリフ「さよう、『しならか (slithy)』とは、『しなやか(lithe)』で、『ぬらぬら(slimy)』する様子じゃ。この言葉は旅行カバンのように二つの意味を一つの言葉に詰め込んだものじゃ」から来ています。
この旅行鞄を表す英語はportmanteauですが、現在では旅行鞄が廃れたので、本来の意味でつかわれることは少なく、かばん語の意味でつかわれています。

☆例
ドイツの雑誌『シュピーゲル』は米独の関係を“フレネミーズ(frenemies)”と表現しました。それは友人のフレンド(friend)と敵のエニミー(enemy)を合成した言葉です。ディズニーオリジナル映画「フレネミーズ(frenemies)」というのもありました。
"Frenemy" (alternately spelled "frienemy") is a portmanteau of "friend" and "enemy" that can refer to either an enemy disguised as a friend or someone who's both a friend and a rival.[1] The term is used to describe personal, geopolitical, and commercial relationships both among individuals and groups or institutions. The word has appeared in print as early as 1953.(wiki)

★登場する人物(動物)
・チェシャー猫 (The Cheshire Cat):英語の慣用句“grin like a Cheshire cat”(チェシャーの猫のようににやにや笑う)を擬人化したものです。
チェシャーというのはチーズが作られているイングランド北西部の州の名前です。

・三月うさぎ (The March Hare):英語の慣用句“mad as a march hare”(三月のうさぎのように気が狂っている)を擬人化したものです。
2月末から9月にかけての長い繁殖期の始まりに野うさぎが見せるという行動に対する言い伝えがもとのようです。

・帽子屋 (The Hatter):英語の慣用句“mad as a hatter”(帽子屋のように気が狂っている)を擬人化したものです。
当時の帽子屋はフェルトの加工に水銀を使用していたので、その影響によって狂気になるものがいたことが由来のようです。

・ヤマネ(The Dormouse):英語でヤマネは冬眠が長いため眠るねずみの意味があります。

・ジャバーウォック(jabberwocky)
ティム・バートン監督の「アリス・イン・ワンダーランド」に出てきましたが、鏡の国のアリスの中の詩「ジャバーウォック」がもとで、挿絵にもあのドラゴンのような姿が描かれています。

・バンダースナッチ(Bandersnatch)
これも、ティム・バートン監督の作品にでてきましたが、『ジャバウォックの詩』と『スナーク狩り』に出てくる架空の生物で、姿かたちは言及されていません。
なお、『スナーク狩り』は伝説の生物スナークを捕まえようとする探索者達の一行を描いた、ルイス・キャロルによるナンセンス詩で、アリスの話とは別の作品です。
そういえば、宮部みゆきの作品に『スナーク狩り』というのがありましたね。

★不思議の国のアリス症候群(Alice in Wonderland syndrome)
外界のものの大きさや自分の体の大きさが通常とは異なって感じられるのが主な症状で、様々な主観的なイメージの変容を引き起こす症候群です。
この症候群の名前は、『不思議の国のアリス』で薬を飲んだアリスが大きくなったり小さくなったりするエピソードに因んで、1955年にイギリスの精神科医ジョン・トッド(John Todd)により名付けらました。

★赤の女王仮説(Red Queen's Hypothesis)
進化に関する仮説の一つで、敵対的な関係にある種間での進化的軍拡競走と、生殖における有性生殖の利点という2つの異なる現象に関する説明で、リー・ヴァン・ヴェーレンによって1973年に提唱されました。

「赤の女王」は『鏡の国のアリス』に登場する人物で、彼女の「その場にとどまるためには、全力で走り続けなければならない(It takes all the running you can do, to keep in the same place.)」という台詞から、種・個体・遺伝子が生き残るためには進化し続けなければならないことの比喩として用いられます。

(参考までに)
・ルイス・キャロルの数学やパズルに関する話の本(こんがらがった話や枕頭問答集などが入ってます)
「ルイス・キャロル読解-不思議の国の数学はなし-」(2004年 日本評論社 \2730)

・不思議の国のアリス・鏡の国のアリスを原文を読みたい方は
・http://www.gutenberg.org/wiki/Main_Page
で、原文および朗読が無料でダウンロードできます。
・本としては紙質は悪いのですが
「Alice's Adventures in Wonderland & Through the Looking-Glass (Bantam Classics)」がアマゾンで税・送料込みで\284で手に入ります。

・日本語版は「青空文庫」でミュージカル版が無料でダウンロードできます。
また、丸山英観訳の「愛ちゃんの夢物語」(当初、日本に入ってきた時の「不思議の国のアリス」の邦題です)が作業中とのことです。


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