TS学入門

  お題「TSとはなんぞや!!」
文/aoba

 先週TS-week宛に1通のメールが届いた。


「TS−WEEK」はその名の通り、TSファンのためのページだと思いますが、このページには「TS」とは何か、ということが一言も書いていないことに気づきました。「TSの本質とは?」とか、何もそういう話ではなくて、「男が女になるフィクション」とか、そういった一言があった方がいいのではと思います。でないと、はじめて来た人には分からないと思いますし、情報を提供する際も分かりづらくなってしますからです。(僕の調べた所だと、情報提供掲示板の「penalty」は入れ替わりものだけど入れ替わった赤ちゃんは女の子なのかは描写がなかったようですし、ボーイソプラノはどうやら女装物のようですし)

 情報担当H氏は次のような内容のメールを送った。

 この度は貴重な御意見まことにありがとうございました。御指摘の件、まことにごもっともです。TSの定義については私見ですが「何らかの手段で男性が女性になるフィクション」と考えております。ただ、これの周辺についても各ファンの嗜好は様々で、女装に興味がある方ない方、入れ替わりであればOKな方、年令退行ものが好きな方など幅広いとの認識でおります。(中略)
 私見ですが、女装を含めると情報量が膨大になりすぎるため、女装は含めない方が、と考えております。ただ、数名のスタッフ(実際に収集活動をしているのは2〜3人程度)で「これは」という怪しい情報の確認を取るのは、なかなか限界があります。(中略) また、TS定義の件はこれからスタッフに提議していきたいと思います。

 そして、この1通のメールから我々TS-week編集部では嵐のような議論が行われた。

 F氏「TSの定義についての明記なんですが一体TSの定義って・・・・?例の決まりあるあの一言でいいのかな?「このサイトは男性が女性、あるいは女性が男性に変化するようなことを主題として扱っているサイトです〜」

 M氏「確かに初めて見た人はどんな趣旨なのかわからないかも。現状では「自分とは違う他人になる」という感じかも」

 H氏「まず、「女装は基本的に扱わない」はいいですね?
そして、
1. 「男性が女性の姿になる(入れ替わり、変身、憑依などの手段で)」
2. 「自分とは違う他人になる(男や女同士もあり」
3. 「もっと幅広く、生まれ変わりなども扱う」
のうち、どれを選択すれば良いのでしょうね。
私個人の考え方(というか趣味)は、本当は1.なんでしょうが、できれば2.にして頂ければ、というのが本音です。そして、3.は基本的に取り扱わないが、少し取り上げる程度なら参考くらいにはなるかも、という感じでしょうか。私にとっては特に女同士の入れ替わりにも、TSと同等以上の評価の作品もたくさんあります」

 F氏「とりあえず何でもアリ!がTS-WEEKのいいところでもある?」

 M氏「ボクは反対票を投じます。きわどいもの、もしくは結果的にはずしてしまうもの・・・は別として、信念は貫くべき・・・かと」

 K'氏「私も反対に1票ですね。このページは、この範囲でという線引きは必要だと思うし、それは即ポリシーになってくると思います。TSの本来の意味って、多分女装のイメージのが強いと思うので、「そうじゃないんだよ」という意思表示は必要かと・・・
もし、そっち系(女装)を含むのでしたら「そうなんですよ」という意思表示はやはり必要だろうし。あくまで中立の立場をとりつつダークとライトの橋渡しになれるという意味でWEEKは非常に有益であるとは思っています。そうした部分での「何でもあり」はイイと思いますが、きわどいものに関しては除外していく必要を感じますね。みなさんの中での提議はどうなんでしょうか?どこまでを許すつもりですか?微妙なズレも沢山あると、後で話が合わなくなると思うし、ここらで確認の意味を含めてWEEKで扱う範囲は明示した方がいいかも・・・」

 M氏「価値観は違うしそれを無理に合わせる必要はないけど、ひとつの誌面としてやっていくならある程度の線引きは必要かもしれませんね。
>1. 「男性が女性の姿になる(入れ替わり、変身、憑依などの手段で)」
>2. 「自分とは違う他人になる(男や女同士もあり」
>3. 「もっと幅広く、生まれ変わりなども扱う」
>のうち、どれを選択すれば良いのでしょうね。

個人的には2番な物語が一番好きだけど、異性でないならこれはTSではないでしょう。つまり1も2も3すべて選択しちゃっていいけど、異性でないなら「TS」というタイトルにハテナがついてしまうと思います。(個人的には)載せたい・・・けど載せられない。最近は言葉遣いや服装、さらには立場的なものの男女差が区分しにくいですが、これはTSではないでしょう。言うなら「少年っぽい少女」とか「女っぽい男」だし、性別が変わらない限りはTSにはならないでしょう。(ちなみに「っぽい」は人それぞれの価値観で決まるかと・・・)そこまで追求すべきかは、TS−WEEKなりの「TS」論でいいと思いますが、読者が戸惑わないように、それなりの位置付けを示すことは大事だと思います」

H氏「ところで、ちなみに女装系を入れた方がいいと思う方ってスタッフにいますか?yays氏のところでは結構あるようですが、女装興味なしの方が大勢を占めていると思うのですが。情報量的にも女装を入れると際限なくなりますよね」

W氏「私個人の、好みの問題はさておいた、TS観(FSC観)としては、生物学的に(または科学的に)♂→♀(反射として♀→♂も含む)となる内容がTSなのではないかと思います。具体的には、少年少女文庫に投稿されるような作品です。ただ、TS−WEEKにおけるTSはより広く、社会的なTSも含むものだと思っておりました。現に私の予定している四コマには女装系のネタもあります。情報提供に関しては、投稿者様にしっかりと系統(入れ替わり、憑依、変身、女装、転生、異性か同性か)を明記していただくようにすればいいと思います。紙面と掲示板にその旨を明記した方がいいですね」

 H氏「いえいえ、もちろん(女装は)ダメではないと思います(個人的考えですが)。ただ、女装も含めて、この辺の個人の嗜好って本当に分かれるところであるというのは以前から誰もが気付いております。それゆえ、明確な線引きというのはもはや不可能だと思います。ですから、ある程度守備範囲を狭くするか、逆にかなり幅広くするか、というのは本当に難しいと思います。はっきり言って結論は出ないのでは?その辺を深く突き詰めて行けば、ある程度のあつれきが出るかもしれないんで、実際のところちょっとみんなこの辺をそれとなく避けて通っていたというのが実状ではないでしょうか?難しい問題です。ましてや新聞という中立の立場では、何をもって中立とするか、なおさら難しいですね」

 以上が編集部で戦われた議論の内容である。
 そして、ここからが私の考え。

 TSとはなんぞや!!ですが、この『TS』という言葉がキーワードだと思います。TSとはtranssexualの略であり、今までは自分の持つ性器に対し強い不快感や違和感を持つ人々に対し使われてきたのですが、最近では、単に性転換した人・したい人という意味で使われる場合が多いらしい。また、トランスセクシュアリズムは性転向症と訳される。その他に異性化形成など不可逆的な外科的手術(SRS)による身体変容の欲求が強い人たちに対する言葉であるとか。まあ、軽いやつから重いやつまでさまざまな要素を含んでいるのですが、基本的に肉体的な性転換を扱う言葉であることは分ると思います。

 ここで問題になっている女装の問題ですが、トランスヴェスタイト(transvestite・TV)またはクロスドレッサー(cross dresser・CD)という用語があります。こちらは
自分に「与えられた」性別とは別の性別に「変身」するために異性装(女装・男装)を行う人。または異性装者。とまあ、TSとは明確に区別されているわけです。

 TSは肉体の変化による性転換を扱うのに対して、TVは異性装を中心に扱う用語です。そういうわけで「TS-WEEK」というからには、女装は扱わないというのが一番明確だと思います。もし、女装を扱うなら「TV-WEEK」にするべきでしょう。(これじゃあ、テレビ雑誌だなあ)

 まあ、ここまでは建て前として。私個人として実際に肉体的に性転換したいとは思いません。男である自分が好きだからです。女性も異性として好きですし。ときどきなるぶんには良いのですが、一度性転換手術をするともう男には戻れませんので遠慮しておきます。たぶん、このページを御覧になっている読者のみなさんも同じではないかと思います。ファンタジーとしてのTSに興味を持っていても、いざ自分の体をいじってまで女になりたいと思っている人は少ないと思います。それに基本的に私は女装は嫌いです。(好きな人ごめんなさい)あくまで個人的な考えです。あるマンガ家が雑誌の対談で「美人なら女の方が良い」と言っていました。私もその通りだと思います。この言葉の裏には「器量の悪い女性ほど不幸なものはない」という意味が含まれているような気がします。そして、もし私が女装した姿を鏡で見たとしたら、そこには身も凍るほどの不細工な顔が写ることでしょう。(恐ろしい)これではファンタジーどころかホラーです。ときどき見かける海外の女装サイト。ブクブクに太った鬚つらのおじさんがミニスカートを穿いてにっこりとこちらに微笑みかけている姿。秒殺です。直ぐにパソコンの電源を切ります。この嫌悪感。私は個人の楽しみとしての女装には何も言いませんけれど、私には見せて欲しくないというのが実際のところです。

 では私がTSに求めているものは何か?それはファンタジーであり、ナルチシズムです。TSもののマンガで主人公が女性に変身したとき、自分の姿を鏡に映し、「これがわたし」とか「可愛い」とか言うシーンがあります。そのとき、そのマンガの主人公はある種のナルチシズムを感じていると思うのです。女性の美しさは男にとっては絶対的な力を持っています。その力に魅力を感じ、そしてそれと同一化してみたいと思うのです。彼女は何を感じ、何を見ているのか知りたいのです。男にもナルシストはいます。しかし、自分の経歴や能力などではない生の肉体として社会に認められることは男性にはありません。それがある種の女性にはあると思います。しかし、このナルチシズムは美人にしか得られないものです。既存のTS小説中に不細工なおばさんに変身するものもありますが、読みたいとも思いません。このナルチシズムを刺激する小説が私にとってのTS小説であり、女装小説とは一線を画します。女装小説は結局は自分の延長線上にすぎないからです。

 TSとは何か?そこで私はオナニズムという言葉を考えました。オナニズムとは自慰行為です。社会はオナニー化という一つのシステムに移りつつあると思うのです。もちろん、ここでいう意味は自分の性欲を慰めるあのオナニーだけではなく、社会全般の自慰的行為についてです。みなさんの生活の中にあるいろいろな物が徐々にオナニー化しているのにお気付きでしょうか。銀行のATM、自動販売機、コンビニエンスストアー、テレビ、パソコン、その他、例を挙げたらきりがありません。会話をせずにいろいろなものが手に入るこの世の中で女性をもっと簡単に味わうことはできないか。口説き落とす時間もかけず、お金もかけず、テレクラよりも面倒がかからない方法。そこに自己の体を女性に変換するTSという現象がうまれたのではないかと考えるのです。自分自身が女性になることで簡単に女性そのものを味わうことができるTSという考え方はたぶん社会の曖昧になりつつある性差を読みとく鍵になると思います。社会のオナニー化に合わせてうまれたのがTSではないのでしょうか。(ああ、分らなくなってきた)

 あとがき 
 結局私の結論は出ませんでした。後半はよく分らん内容になっています。
 みなさんの意見もTS-WEEK宛に送ってください。