
もしも、タイムマシンがあったら……昔の自分の所に行って、道を踏み外す前に こう言ってやりたい……そんな想いが叶うならば…… 天野美汐の場合―― ああーーちょっと、ちょっと待ってください。そこの赤いショートカットの女の子。 ぜぇぜぇ……やっと追いつきました。 えっ私は誰ですかって? 私は未来のあなたですよ。 大体4年後位です。 その表情は全く信じていませんね……さすが私、じゃあ証拠。 押入の奥深くにしまって隠してある≪きんぎょ注意報≫の単行本、表紙をめくると≪男塾≫。 そぉーうなんですよっ! 驚いたでしょうけど、私は未来のあなたなんです。 はあ、いつに無くテンション高いですね、私…… で、なんで未来の私が遠路はるばる、あなたを訪ねてきたかと言うとですね…… その、鞄の中身。隠さなくてもいいです、中身は解ってますから。 隣の席のちょっと気になる男の子の、住井君から借りた、≪スーパーロボット大戦≫ えっどうしてわかるんですか? って、さっき言いましたよね。 私は未来のあなたなんです あなたが取った行動は全部お見通し――というか、私の過去なんですから…… 話戻りますけど、そのゲーム。そうそう≪スーパーロボット大戦≫ですね。 絶対にPlayしちゃ駄目です。 何故って? まあ、そう想いますよね…… えっとね、単純に言いますよ。はまっちゃうんです。 えっ? じゃなくてですね。はまっちゃうんですよ。 借りてPlayしたその夜にですね。 マジーーーンゴーーとか大声で叫んじゃう程はまっちゃいます。 ええ、お母さんとか驚きますよ。美汐ーーどうしたのーって部屋に駆け込んで来ます。 ええ、なんとかなだめて誤魔化しましたよ。 私って、今までこういう物に耐性が無いじゃないですか。 せいぜい、ちょっと立ち読みして面白いと想った、≪男塾≫をその場で全巻買っちゃう位ですよ。 言うならば、予防接種してない伝染病に感染したような物です。 で、さしたる趣味って言う物もないから、お小遣いとか貯まってますよね。使い道ないから。 だから、資金も豊富。 堕ちていくのも早かったです。 はまって2ヶ月で、今まで出てる全シリーズクリア。 3ヶ月で、サントラCDと影山ヒロノブCDコンプリート 6ヶ月で、水木の兄貴のコンサートに最前列でなだれ込み 1年で同人描きですよ。 で、で、最初はスーパーロボットとか、モビルスーツとか、まあ下手なりに描いてたんですけど。 ええ、しょうがないです。 まだ駆け出しの同人描きでしたから。 けど、けど、だんだんうまくなってきて。 ええ、愛ですよ、愛のオーラ力でどんどんうまくなってきて。 中堅くらいで、スパロボファンのなかでは知られたサークルになってきたんです。 そろそろ、この位で、違う作風に変えてみようかなぁとか、想ったのが運の尽き。 あっというまに、二日目西館。しかも外周。 えっ、≪二日目西館 外周≫の意味が解らないですか? いいなぁ、私昔はこんなに純粋だったんだ…… ちょっと耳貸してください。ごにょごにょ。 ええ、そうです。そーゆージャンルの漫画ですよ。 そう言う漫画を描きまくる様になっちゃいます。 あげく、今や、こみっくパー○ィのストーリーに、あれこれツッコミが入れられるほどの 女の子になっちゃいましたよ。 ああ、こみっく○ーティっていうのは……気にしないでください。 そして、運命の日が来たんですよ。 たまたま、そう言うジャンルで申し込んでないときにですね。 即売会で逢っちゃうんですよ。学校でちょっと気になる相沢さんっていう先輩にっ! で、私の売り物、ジャンルが違うのにも関わらずにヤヲイ物…… ええ、止まりましたよ、時間が。ザ・ワールドですよ。 お互いにお互いを指さして、凍り付きました。 で、時が動き出した後、私は真っ赤に成りましたよ。 あれほど恥ずかしい想いをしたことは今まで一度も在りませんでした。 まさか、まさか、相沢さんに知られるとは……真琴にだって教えてないのに…… まあ、とにかくですね、得た物も多いんですけど、こういう青春で。 失った物はもっと多いんで、ええ、そうです多いです。 だから、そのゲームやらないでください えぇーこれだけ私が説明しても、やるっていうんですか? わざわざ過去にきて、一生懸命説得してるのに? ごすっ(鳩尾に拳がめり込む音) 寝てなさい……実力行使です。 よし、このCDを川に投げ捨てて、任務完了です。 |