
BILL NELSON
70年代において英国を代表する、モダーン・ポップ・ロックの第一人者であったビ・バップ・デラックスの中心人物ビル・ネルソン。彼のワークスをBe Bop Deluxeのアルバムも含めロック兄さんの独断でご紹介しましょう。ネルソン名義のソロ作は数が多すぎるので、ほんの一部の紹介となります。 nov.2000
Be Bop Deluxe/Live In the Air Age (1977)
70年代後半ビ・バップ・デラックスの初ライブ盤にしてグループの代表作の1つと言える。私がもっとも聴き込んだアルバムでもある。本当にリアル・タイムで聴いたアルバムなので愛着があるし、アナログ盤のジャケも黒を基調とした素晴らしいものである。(ドイツのSF映画の黎明期の大傑作”メトロポリス”を使用している。) 77年当時、CD等はまだ世の中には存在せずLP盤だったが、サービス盤としてEP盤が1枚付いて通常のLP盤の値段だったのがとてもファンを喜ばせた。ライブすべてをコンプリートに収録するとなると、最低でも2枚組として発売しなければならない。しかし、それは値段を上げざるを得なくなる、苦肉の策としてレーベル側にお願いをしたのであろう・・・。(現在は60分とか70分は1毎のCDで軽く収録できるが、当時は1枚のLP盤でせいぜい50分が限界だったのだから・・)兄さんは、アナログ盤で言う所のA面の4曲の流れが特にお気に入りである。 アルバム・タイトルに 引っかけている”Life In The Air Age”から”Fair Exchange”までの計算された曲の配置は、今聴いても見事としか言いようがない!「ウーン素晴らしい」と言いたい。77年に発表されたグループの最高傑作と言われている”MODERN MUSIC”からの曲が収録されていないので3枚目の”SUNBURST FINISH”発表後のライブである様だっ。
Getting the Holy Ghost Across (1986)
このアルバムを購入したのは何かの雑誌で紹介されていたからなのだが、それが何という雑誌か思い出せない。こんなに素晴らしい内容なのになぜか邦盤が発売されなかったし、日本においては幻の作品でもありブリティッシュ・ロックの中にあっても、末代まで残すべき重要な作品と思っている。(←そりはワシだけか?)一見するとクラッシックか何かのアルバムと錯覚してしまう様なアルバム・ジャケットはネルソンが当時傾倒していた中世の題材をモチーフにしていると推測される。すばらしいジャケット・アートは、30センチのLP盤ジャケでしか味わう事の出来ないものですねぇ・・。 Be Bop Deluxeやレッド・ノイズで表現していたSF趣味やエレクトロニック&メカニカルな感触から離れ、アコースティカルな雰囲気のユーロッパ的なものになっている。ロキシー・ミュージックの初期やデビッド・ボウイが70年代の半ばに取り扱った、退廃的な耽美主義とでも言えそうなムードが全体を覆っている。これがブリティッシュ・ロックの神髄と言えるかもしれない!(そう思っているのは私だけ?)全ての曲がネルソンの摩訶不思議なギターとシンセ・サウンドを中心に進み、聴く者を剣と騎士の世界に誘います。80年代の歌入りの彼の作品の中で一番お気に入りのアルバムであります。ヨーロッパ・ロマンティズムを見事に表現した80年代におけるネルソンの代表作と思いまするがなぁ・・・。是非我が日本においてCD化して欲しいアルバムであります。米国でも大手のレーベルから出たのでCDになっても良いと思うのだが・・・。(全曲ロック兄さんがオススメする、数少ない未CD化の隠れた名盤であります!家宝にすべき1枚と断言いたします!)
Bill Nelson's Orchestra Arcana/Optimism
(1988)
ネルソンのワークスは大きく分けて2つになり、サウンド・コラージュ的なインスト中心のものとバンド・アンサンブルを重視した歌ものである。このアルバムはその2つの要素の良質な部分を上手く調和させた数少ないものだっ。ジャケがまたすばらしい!この男はセンスがいいのか悪いのか判断に困るのだが、50,60年代の古き良き時代の生活風景をよく題材にとっている様である。当時の華やかな雰囲気がお好きなのか”Atom Shop ”でも使用している。マルチ・インスト奏者 であるネルソンはギターはもちろんの事リズム・ボックスの使い方が独特であり、彼のサウンド・メイキングを手本にしているアーティストは数多くいると思われる。ダテに70年代から第一線で活躍していないのである。このアルバムはポップ・フィーリングの中にもお得意のヒネクレ要素を巧みに取り入れ一気に聴かせる所はさすがであり、”Getting the Holy Ghost Across”がヨーロッパ的な作りなのに対してこちらは実にアメリカーンなのである。(しかし、単に軽い感触だけでは終わらない!)ヴォイスは依然にも増して、モゴモゴとくぐもった感触が顕著に現れておりBe Bop Deluxe時代の前面に打ち出す方向とは逆だっ。そうすることによってインスト部分がより鮮明に聴き手側に伝わってくる。ギターリストとしては英国屈指の腕前のネルソンだが、他のシンセ等のエレクトロニクス周辺もお得意なのでその辺がお好きに方にもオススメで有ります。エレクトロ・ポップ・ロックの隠れた名盤(迷盤)かもしれない!
Blue Moons and Laughing Guitars (1992)
同時進行的に数多くのアンビエントなインスト集を数多く発表していた時期に発表された作品。バンド・アンサンブルを重視した曲作りは80年代にこそ見られたが90年代は少ないので、逆にアクセントとなり目立つ作品でもある。毎回ファンを喜ばせてくれるジャケットもこのアルバムでは華やかであり、ネルソン自身も楽しんで作品を作り上げた様だっ。(アルバムのコンセプトはギターとお月さまであります!)もちろん全ての楽器はネルソン自身が演奏しているし、曲も全て彼の手によるもの。独特のくぐもったヴォーカル・スタイルは狂気を増しており、どこかデビッド・ボウイを思い起こさせる声質と、ポップな中にもどこかクラウディなヒネクレ度指数が高く、ブリティッシュ・ポップ・ロックの屈折した所がお好きな方にはとてもオススメであります。2分から4分位の曲が全16曲収録されており、どの曲もネルソン節が冴え渡るのだが、”SPINNIN' AROUND”,”NEW MOON RISING”,”ANGEL IN MY SYSTEM”等の曲が兄さんのお気に入りであります。一度聴き出しと麻薬中毒の様に、この魔術にはまって一気に最後まで聴いてしまうのは私だけかしら?とてもクセになってしまうネルソンのストレンジ・サウンドはファンには応えられないものなのです。ほわーん、フニャーンとしたギター・サウンドとシンセ等のクセのある音使いは定番と言えるものです。(くれぐれも取り扱い注意ですぜ、ダンナ!)このアルバムはオンライン・ショップ等でも購入できますので是非御賞味アレ!
Atom Shop (1998)
長い間日本の音楽ギョーカイから無視し続けられていた、ビル・ネルソンの新作が日本でも正規発売となった。キング・クリムゾン関連のアルバムを発表している「ディシプリン・グローバル・モービル」から、と言うのが私的にはニヤリと来たのだが・・・。そりは、デビッド・シルヴィアンのアルバムでロバート・フリップと共演したからなのか、元々の知り合いなのかは詳細不明だっ。なにはともあれ、日本においてビル・ネルソン名義のアルバムが発売されたと言う事が画期的なのであるからして・・・。バンザーイ!であるっ。相変わらずポップな中にも、何か雲か霞がかかった様な感触の楽曲の出来映えはどうだろう・・・ファンなら思わずウフフであろう。アルバムのコンセブトは、50,60年代のアメリカ産のノスタルジーを感じさせるもので、豊かな時代への回帰趣味か・・・?ポップ・カルチャーやビート・ジェネレーションをモロに子供の頃に影響を受けたネルソンの、今後訪れる近未来への期待が含まれている様に感じられる。元々のアイデアでは資金をキチットと調達して、最新のスタジオと機材を使い腕利きのミュージシャンにアルバム作りを手伝ってもらうはずたった、とネルソン自身コメントしているが、デモ・トラックの集まりの様なこの作風の方がビル・ネルソンのソロ・アルバムらしくてGOODであります。ファンとしては次なる作品を期待してしまうのだが、色々と仕事をもっている彼なだけに今作品の様な感触のアルバムが登場するまでは、長い月日を待たされるかもしれない。
大好きなビル・ネルソンのレヴューなので加筆・修正は頻繁に行われると予想されます。ご了承くだされっ、皆の衆よっ!
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