==> 国立大学独立行政法人化の諸問題
科学新聞2000年10月13日

「日本の科学研究のあり方への提言−−国立大学の独立行政法人化を」より抜粋

黒川清氏(日本学術会議副会長・東海大学医学部長)
Date: Wed, 18 Oct 2000 07:03:47 +0900
Subject: [he-forum 1344] 日本学術会議黒川副会長の提言の紹介

reform-ML, he-forum 参加者のみなさま

科学新聞2000年10月13日号に日本学術会議副会長黒川清氏(東海大学
医学部長)の発言「日本の科学研究のあり方への提言−−国立大学の独立行政
法人化を」がありますので紹介します。

 <明治以来の大改革>をすると言うのであれば、多大な人的コストが費やさ
れ、教育や学問の一時的混乱も避けがたい以上、黒川氏の提案(それが日本社
会の土壌に適したものかどうかの懸念はありますが)くらいの抜本的なもので
なければ意味がないと思います。
 しかし、文部省の方針のように独立行政法人通則法のスキームを「活用」す
る限り、黒川氏提案の核心部分が抜け落ちることは自明なことです。この点、
独立行政法人化が大学でのinbreedingを加速し、日本の大学システムの根本的
改革を不可能にするという益田隆司氏の指摘
http://www-masuda.cs.uec.ac.jp/‾masuda/etc/article0.html
が核心を衝いていると思います。
 黒川氏は、独法制度をよく理解されていないのではないか、という印象を受
けました。

 日本学術会議についての最後の主張には全面的に賛成です。日本学術会議の
議員の方々には、戦後の設立時の原点に立ち戻り、選出された分野の得失を越
えて、高い視野から日本の学術体制全体の向上に腐心していただきたいと思い
ます。

辻下 徹

---引用開始---------------------------------------------------------

【大学改革への具体的提案】
システムとしては、国立大学を廃止。三年以内に、学部、学科、研究科、組織
編成、人事処遇、予算の自由化に向けた規制を撤廃し、大学の自由とする。四
年制カレッジシステムを導入し、教育への責任を持たせる。その後、大学院
GraduateSchoolへ進む。ただし、制度として必ず70-80%以上の学生を混ぜ、
「inbreeding」ができないシステムとする。大学に対して教育と研究それぞ
れを評価し、その結果を予算配分にも反映させる。

教「官」の給与は最大75%まで保証(米国の州立大学のシステム=休暇中は
授業がないため)し、残りは自分たちで努力、工夫する。例えぱ、研究費か
らの自分の給与の取得、企業との兼業、社会人護座などの方法がある。その
ため、競争力のある大学ほど最低保証給与額パーセントは低く、例えばハー
バード大学は最高で10%程度である。年俸制とし退職金制度は廃止、国内
外の年金制度を再構築する。これによって、学長、学部長等の権限を保証す
る。

研究費は国公私の差別なくメリットのみで審査すべき。大学へは研究費に対し
てindirectcostを支給。国公立は既に税金で支援しているため支給率20〜
30%と低く、私立は70〜100%と高くすべきである。このシステムこ
そが米国の強さの秘密であり、フェアで競合的なこのシステムのもとで日本
人も大いに活躍している。国から独立している上で、競争力に墓づいた国の
支援があるため、米国の一流大学はすべて私立である。

また、学生、大学院、ポスドク奨学金等を充実させ、自由にどこにでも移れる
システムを構築する。COEとなる国際的に開かれた競合的研究システムを構築
すべきで、そのとき日本人は50%以下とする。

【日本が国際杜会での信用を得る具体的方策】

日本学術会議を真に日本の学術振興を図るための中心的機構にすべきである。
sciencecouncilの予算は、米国190億円、イギリス40億円、対して日本
は14億円弱である。しかも事務官以外の人件費はゼロ。こういった位置付
けは「国の国際的信用」の問題である。現在、科学技術振興調整費で検討し
ている「科学技術政策提言」などは日本学術会議に積極的な役割をさせるべ
きである。また、日本学術会議自身も国の学術政策に積極的に貢献していく
努力が必要である。

--引用終----------------------------------------------------------