性に対する日本と韓国の認識の違い

 

 

1.            はじめに

 韓国と日本はとても近い国であり、顔も似ているが、文化的には両者の間にかなりの違いが存在する。特に

性に関して、韓国は昔から儒教の影響で非常に保守的な社会と認識されているのに対し日本は昔から性に関して非常に開放的な国であると認識されている。

 そこで私たちは日韓の若者たちの―20代を中心とした―性意識の差について調べてみることにした。

 そのため私たちが用意した討論の論点は次のようである。

 

一.          性教育を受けたことがありますか。いつ、誰からですか。

二.          婚前交渉についてどう思いますか。

三.          どんな避妊法が最も安全な方法だと思いますか。

四.          結婚前の同棲についてどう思いますか。

 

 私たちはこの質問に対して日韓の若者たちの答えがかなり違うということを前提し、最後に

 

五.          なぜ韓国と日本との間でこの様な認識の違いが見られると思いますか。

 

という質問をしてみた。

またクラスの中で日本人あるいは日本育ちの人(在日の人)を日本人と考え、他の韓国人の学生との意識の差を調べるという形で討論を進めるようにした。

 

2.性教育

 性教育については日韓ともほとんどの人が受けたことがあると答えた。(受けたことがないと答えた人は

韓国人の3人だけだった)性教育を受けた時期は小学校5年から高校二年までとさまざまであったが、その内容面では次のような違いを見ることができた。

 

<日本>

先生、親から直接セックスについて教えてもらったことがある。たとえば、「セックスのいい点と悪い点」、「ちゃんと責任を持ってやらなきゃいけないこと」、「人間の自然な活動の一つ」という内容のものであった。

 

<韓国>

 直接セックスについては触れていない。妊娠についてのビデオ、男女の生殖器とその機能などの生物学的な内容。「お父さんとお母さんが愛し合ったら子供ができる」といった抽象的な説明。

 

 「それではセックスや避妊に対する具体的な知識はとこから得たのですか?」という質問を韓国人の学生にしてみたところ、「本や雑誌、ビデオ、友達から」と答えた人が多かった。また一人の日本人女性が高校のとき、コンドームの業者の人が学校に来てコンドームの使い方を説明してくれたと答え、韓国人の学生を驚かせたのに対し、韓国人の中では親や先生から避妊方法を教えてもらったことはないと答えた人がほとんどであった。

 

3.婚前交渉、結婚前の同棲

 まず私たちがインターネットで調べた資料を学生たちに見せ、各自婚前交渉、結婚前の同棲についてどう思っているか聞いてみた。

 

<資料1

結婚前にセックスをしても良い。

韓国70% 日本96%

結婚前に同棲をしても良い

 韓国54% 日本85%

 

<資料2>

同棲に対する意識の違い

日本人:好きな人同士が単に一緒に住むことだ。

韓国人:結婚を前提とした同居

 

さまざまな答えが出たが、全体的に「OK」だという意見が多く、私たちが予想していたよりも韓国の若者たちの性に対する意識がかなり変わってきているということが分かった。これについて簡単にまとめると次のようになる。

 

<日本>

・ずっと一緒に居られるのなら別に結婚という形にとらわれなくてもいいと思う。

・二人の将来がまだはっきり分からなくても、今一緒に居たいという気持ちが大事だから、セックスあるいは同棲をしてもいいと思う。

・セックスは一種のコミュニケーションであり、二人で作っていくものだから、する・しないも含めて相手と一緒に決めていけばいいと思う。

・同棲しながらお互いを知り結婚に至ることもある。結婚してからセックスが合わないため離婚する場合も多い。結婚してから離婚するよりは周りを傷つけずに済む。

 

 <韓国>

・好きな人と同棲してみて、その人と合うか合わないかを判断することができる。

・お互い責任をとることができるなら、セックスをしてもいいと思う。

・愛し合ってるのであれば、してもいいと思う。

・相手とある程度暮らしてみた後で結婚するかの善し悪しを判断することが離婚率を低くする方法だ。

 

 しかし、韓国人の中には否定的な意見を述べた人ともいて(4人)、その理由としては「社会的、法的に福祉恵沢を受けられないので同棲は不利だ」、「婚前交渉による妊娠、流産問題などを起こす危険性がある」、「結婚前のセックスはよくないと教えられてきた」、「周りから白い目で見られるかもしれない」などがあげられた。

 また「してもいいと思う」と答えた人の中にも「私が親になったら反対するかもしれない」、「自分は良くても親は悲しむと思う」、「社会的に結婚前にはセックスをしてはいけないという信念がある」という意見を述べた人もいた。

 

 日本の人がセックスをコミュニケーションの一部と考え、あまりにも普通に自分の意見を述べているのに対し、韓国の若者たちは(個人的にはセックスをしてもいいと思っても、社会的には望ましくないと思われるかもしれないと答え)社会的な認識をかなり気にしており、また影響されているということが分かった。

 

4.終わりに

 最後の「日本と韓国の間で、なぜこういう認識の違いが見られると思いますか」という質問に対しては、「長期間にわたる文化の影響」という答えが一番多く、その他には「島国と大陸の違い」、「外国の文化の受け取り方の違い」などの意見があった。

 つまり、日本に比べて儒教の影響が強かった韓国では「性は表に出してはいけないもの」という考え方が人々の意識はもちろん生活にまで深く入り込んでいるということである。それに対して日本の若者たちには「セックス」というのは人間の自然な行為であって別に恥ずかしい物ではないという考え方が見られる。

 しかし、これはどちらがよくてどちらが悪いと言える問題ではない。お互い「日本人はやりすぎだ。みだれている。」、「裏でやってるくせに、それを隠す韓国人は理解できない。」と非難するよりは、一つの文化としてそれを理解しようとする努力が必要なのかもしれない。

 

 人間にとって「セックス」というのが必需不可欠なものであるということは確かである。人々がどんな性意識を持っているにせよ、ちゃんと責任意識を持ってそれに臨むという姿勢が大事であろう。