4.A.ジャポニカ種・A.アンギラ種の相違

 ジャポニカ種は昔から日本近郊で食べられていた種類で、国内や台湾で養殖されているものがそうである。それに対し、アンギラ種は大西洋でとれるうなぎで、最近、中国がその養殖法を確立したため、ヨーロパ産のシラスウナギを中国で養殖し、日本へ輸入されている。ジャポニカのシラスに対しアンギラのシラスは単価が安いため、アンギラ種のうなぎは、低コストで生産できる。現在、スーパーなどで売られているうなぎの多くはアンギラ種でジャポニカ種はうなぎ専門店であつかっていることが多い。

 ジャポニカ種は、マリアナ諸島西方海域で産卵し、日本・韓国・中国など、東アジア一帯に分布している。ジャポニカ種の適水温は、27,28℃ぐらいで、比較的に汚い水でも成育するため日本では、ハウスを使った養殖方法も使われている。成長も早く、半年から1年で出荷でき、出荷時期は12月から3月にかけてで、1月が最盛期となる。台湾ではハウスはあまり使われず、露地ものといわれる野外での養殖法がとられている。露地ものはハウスと違い温度を一定に温かく維持することができないため、台湾産のうなぎは、1年後の夏の土用の頃に出荷される。

 ジャポニカ種はかば焼きにすると繊維がきめ細かく、霜降りである。うなぎそのものの外見的な特徴も身が長くスマートである。脂肪含有量もアンギラに比べ19〜20%くらいと少なめでどちらかといえば、油っぽいものを好まないお年寄りに人気がある。

それに対して、アンギラ種は大西洋、カスピ海で産卵し、一部はアメリカ大陸へ、多くはヨーロッパ大陸へやってくる。

 アンギラ種は養殖時の適水温が22,23℃であり、ジャポニカ種よりも約5℃低い、なおかつ、きれいな水でなければ育たない。そのため中国では、山間部のれき水を利用して養殖している。シラスウナギの状態から出荷するに至るまで2年から3年をようし、病気になりやすいという特徴もある。

『月刊食堂別冊 うなぎ』148ページより

 アンギラ種はかば焼きにすると外見で繊維が荒く見えるため、見る人が見ればそれがアンギラ種であると見分けがつく。さばく前のうなぎそのものも身が短く太いという特徴をもっている。そして成分的にもアンギラ種は脂肪含有量が25%くらいと多いことがわかる。その中でも特にデンマークで養殖されたものは脂肪含有量が27%と高い数値になっている。そのため脂肪の多いアンギラ種はジャポニカ種と比べると、若い世代の人々に好まれる。その他の栄養素の含有量がほぼ同じであることからみると、脂肪含有量は、大きく違うことがわかる。さらに2〜3年と長く飼育することから皮が微妙に硬いという特徴をもっている。

 ジャポニカ種とアンギラ種は蒲焼だとジャポニカ種の方が1割ぐらい高くなる。これはジャポニカ種が2,000円だとするとアンギラ種は1,800円ぐらいである。鰻の蒲焼の値段は必ずしも一律ではない。このことは年によって鰻にも流行があるためである。またサイズによっても人気・値段が異なる。極端に太いものや細いものは安い。これはスーパー側が売り場のスペースを考えておかないということもあるし、消費者側からしてみると骨が気になるという問題や皮が硬いという問題がある。だからその真ん中ぐらいのちょうど良い大きさのものが人気があり、高い。単位的には10kg(1カートン)60〜80規格ぐらいに人気がある。 ※規格=匹

 アンギラ種とジャポニカ種の相違についてジャポニカ種とアンギラ種を相違している人や、文献は少なく、さらに鰻の生態についてはまだまだ謎が多く、これ以上、論文に付け加えるのは難しい。だが、魚類学的にみたり、DNAを比べることもできたかもしれない。このように鰻は奥が深く、まだまだ未知の生物である。

 

ジャポニカ種

アンギラ種

産卵地

マリアナ諸島西方海域

大西洋・カスピ海

敵水温

27・28℃

22 〜 23℃

水質

汚い水でもいい

きれいな水

養殖期間

半年 〜 1年

2 〜 3年

外見

身が長くスマート

身が太く短い

蒲焼きの特徴

脂が霜降り

皮に油 繊維が荒い

脂肪含有率

19 〜 20%

25%ぐらい

 

 

 

 

 

 

 

シラスうなぎ

 

『日本の水産 鰻』41ページより

うなぎ昔話

1)埼玉県小川町で遊郭の女が仕事が性にあわず、あるうなぎ屋に逃げた、そしてそのお礼にその女の家に代々伝わる秘伝のたれを伝授した。そのたれの評判がよく遊郭で働いていた女のことを女郎と呼ぶため、小川町では女郎うなぎが有名になった。

 

2)静岡県の三島にはうなぎを扱う店が多いが、それは、三島→小田原→江戸と続く東海道五十三次で箱根超えをする前の宿場町だったので精力をつけるために食べられた。現在、その三島ではうなぎそばというにしんそばに似た食べ方がある。

 

3)千葉県の印旛沼では現在も多少とれるが、昔、多量の天然うなぎがとれた。そうした中で、印旛沼をわたる商人たちが湖畔の食べ物屋でたのんでも食べられず船が出発してしまうことが多かったため、スムーズに簡単に食事をすますという工夫から、うな丼というものが考えられた。

 

4)鹿児島県山川町に鰻池という湖があり、そのほとりに部落がある。全部落民の姓が「鰻」。もっとも、「鰻」という姓はおかしいと昭和25〜26年に改姓届けをしたが、祖先から頂いた姓を簡単に変えられないという家も2〜3軒ある。

 部落の長老の話では、「わたしたちの祖先は平家の落人ではないかと思う。源氏に追われてここに辿り着き、湖の鰻を食糧にしたのではないだろうか。鰻という姓は湖に鰻が沢山棲息していたことから、本来の姓を隠すために鰻にしたと思う。」と話している。

 

A.ジャポニカ種・A.アンギラ種の相違 コラム2担当/寺門剣太郎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

福州・西禅寺