化石論講座
−特別実習:化石レプリカの作り方−

 
 さて、皆さん、お集まりでしょうか。

 今回の化石論講座は特別実習ということで、化石のレプリカを、皆さんと一緒に作っていこうと思います。

 レプリカというのは、本物そっくりに作った複製品のことです。化石標本は、貴重で数の少ないものであることがしばしばですから、本物を使って観察や展示をしていると、うっかり壊してしまったり、紛失して取り返しのつかないことになることもあります。そこで、化石のレプリカを作って観察したり、展示したりする必要が出てくるわけです。
 今回のこの講座で作るのは、そのような学術的な目的で作るレプリカではなく、飾り物にする目的で作るレプリカですが、どちらも作り方の基本は同じです。飾り物ですから、リアルで精巧に作ることにはあまりこだわらなくてもいいでしょう。カラフルに色づけしてみたり、二つ以上の化石を組み合わせてみたり、自分の名前を彫り込んでみたりするのも面白いかもしれません。
 

 それでは、早速、材料など準備するものを見ていきましょう。

  


<準備するもの>

1.油粘土
 型取りには、油粘土を使います。この油粘土は、幼稚園や小学校の工作の時間に使うようなものではなく、模型店や画材屋さんで売っている造形用のものがよいようです。私は、やや硬めの、サルファ・タイプというのを使っています。(画材屋さんでは、造形用油土(ゆど)といって売っています。)

2.石膏
 これも画材屋さんなどで買います。パッケージには、「焼石膏」などと書いてあります。私は、吉野石膏という会社のものを使っています。

3.スプレー塗料
 私の場合、色はスプレー塗料で塗っています。もちろん、絵の具やポスターカラーを筆で塗ってもよいでしょう。どのような色を塗るかは、その人のセンス次第ですが、私の場合は、
 ・アサヒペン:コーヒー・ブラウン つや消し(裏面・表面下塗り用)
 ・アサヒペン:つや消しラッカー(裏面塗り用)
 ・タミヤ:ジャーマン・グレー つや消し(表面塗り用)
 ・タミヤ:メタリックブラック(表面塗り用)
 の4種類を用意しています。(塗り方は、後述。)

4.ボウル状の容器
 お椀がよいようです。石膏をかき混ぜるのに使います。

5.わりばし
 石膏をかき混ぜるのに使います。

6.新聞紙
 作業は、汚れないように、すべて新聞紙を敷いたテーブルの上で行います。汚れやすい作業ですから、トイレット・ペーパーや雑巾なども準備しましょう。

7.紙やすり
 石膏で型取りした後、余計な部分を取り除くのに使います。目の粗さは80番から120番くらい。

8.化石標本
 レプリカのもとになる化石です。アンモナイトや三葉虫など、分かりやすいものがよいでしょう。また、柔らかく脆い化石は、作業中に壊れてしまいますから、硬いものを選びましょう。
 

<身じたく>

 汚れやすい作業ですから、エプロンやゴム手袋などを着用しましょう。
 


 では、具体的な作り方を説明します。
 
T.型取り

 本物の化石を、油粘土に押し付けて型を取ります。化石だけの型を取るのもよいですが、まず平らな石を押し付けて石の型を取り、そこに化石を押し付けると、化石が石の中に埋まっている状態に見えて面白くなります。


U.石膏の流し込み・固化

 石膏を水で溶き、Tで取った型に流し込みます。10分ほどすると、石膏が熱を発し、固まります。ある程度固まったところで取りだし、そのまま5日間くらい乾燥させ、水分を抜きます。

(塗装前のレプリカ)
 
 


V.塗装

 石膏の型ができたら、いよいよ色を塗ります。

 色を塗る作業では、服が汚れてしまうことがあるので、エプロンや白衣などを着て作業するようにしましょう。また、揮発性の塗料、特にスプレーの塗料を使う場合には、出来るだけ屋外で作業するようにしましょう。屋外で作業できない場合は、極力換気を良くし、周囲を汚さないように注意しましょう。

 さて、それでは色付けの作業に入りますが、レプリカの色は、その人の好み次第でどのように塗ってもよいでしょう。ここで紹介するのは、あくまで私流の塗り方です。皆さんは好きなように塗ってもかまいません。(少しアドバイスしておくと、塗料は「つや消し」のものを用い、ラッカーやニスの類は、表面の塗装には使わない方がいいでしょう。ツヤがあると、化石としてのリアルさがなくななってしまいます。もちろん、リアルでなくてもツヤがあったほうがカッコイイと思うのであれば、それもよいでしょう。
 
(1)裏面の塗装

@ まず、裏面全体にまんべんなく下塗りの色(コーヒー・ブラウンつや消し)を塗り、15分ほど乾かします。
A その上にラッカーを塗って、15分ほど乾かします。
B @、Aを2回から3回繰り返します。そうすると塗装面に光沢が出ます。
Cその後、裏面を上にしたまま、丸1日以上乾かします。

注意! 十分に乾かないうちに塗装面を下にしておくと、塗料がはげてしまいます。乾燥には十分に時間をかけましょう。

(2)表面の塗装
@表面を上にして置き、下塗りの色(コーヒー・ブラウンつや消し)を塗ります。石膏の白い部分が見えないようにしますが、あまり厚塗りすると、不自然なツヤが出てしまいます。塗り終わったら、15分ほど乾かします。
Aその上に、ジャーマン・グレーつや消しを重ねます。下塗りの色が見えるくらいの薄塗りが良いでしょう。また、15分ほど乾かします。
B仕上げにメタリック・ブラックを重ねます。最初はごく薄く塗り、このみの色調になるまで重ねていくと良いでしょう。(乾燥すると、若干光沢がなくなるようです。)

注意! ●塗料の乾燥には、十分時間をかけましょう。乾燥の時間は、季節によって異なります。
    ●塗料(特に有機溶剤系)を直接吸い込まないよう、十分気をつけましょう。
     換気が悪い場所や、過敏な人はマスクなどを着用しましょう。
(塗装後のレプリカ「アンモナイト」)

(化石のレプリカ 恐竜の鉤爪・左 三葉虫・右)


 さて、皆さん。上手に塗れましたでしょうか。

 最初はなかなかコツがつかめないでしょうから、いくつか作ってみて、いろいろと試してみるとよいでしょう。表面の塗装が終わったら、そのまま1日くらいは陰干ししておきましょう。生乾きの状態では、塗料がはげやすいので気をつけてください。
 

 それでは、レプリカが完成したところで、今回の化石論講座・特別実習を終わります。
 


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