浅野健一氏著作紹介

 『犯罪報道の犯罪』

1987年 講談社文庫
 本書は犯罪報道において、警察発表をうのみにし、被疑者を実名で報道するマスコミを批判している。被疑者にたいし裁判前において悪人のレッテルを貼り付け、あたかも有罪が確定したかのように報道する。この報道により、被疑者のみならずその家族までが社会から排除され、時には自殺するまでに追い込まれてしまう・・・。
 著者は、被疑者の匿名報道が定着しているスウェーデンを紹介し、日本においても被疑者の匿名での報道を主張する。報道「される側」の視点から犯罪報道を捉えた一冊。

 『英雄から爆弾犯にされて』
1998年 三一書房
 この著書では、浅野健一さん、河野義行さん、ジュエルさん(アトランタ五輪爆弾事件の被疑者)、その弁護士ブライアントさん、山田悦子さん(甲山事件の被疑者)と渡部保夫さん(元裁判官)の6者の間で開かれたシンポジウムで論点となった日米間の相違点(報道の仕方・個人の持つ権利・損害賠償額など)を載せている。
そして、その相違点を踏まえてマスコミの考えなければならない、且つ普遍的テーマである「人権と報道」について指摘している。また、その具体例としてダイアナ妃報道に関しても論じている。

 『マスコミ報道の犯罪』
1996年 講談社文庫
 本書は93年に筑摩書房から出版された『客観報道 隠されるニュースソース』が改題され、加筆訂正が加えられたものである。著者は、前著と差し替えた本書のプロローグにおいて「サリン・オウム報道」について取り上げ、マスコミが警察や政府の発表を垂れ流すことを批判している。『…日本のメディアが当局から独立していないことを、内外にはっきり示したと言える』『…「大本営ジャーナリズム」より悪質で稚拙な報道であった』と記している。加えて、本書で著者は権力を監視・批判し市民の立場に立った『真の「客観報道」』をマスコミに対して求めている。

 『天皇の記者たち〜大新聞のアジア侵略』
1997年スリーエーネットワーク
 侵略戦争時に、日本の新聞社が従軍記者を派遣して、「大本営発表」どおりの記事を書き続けたことは良く知られているのだが、アジア各地で大新聞社が新聞を発行していたことはあまり知られていない。
 この本は、そうした三大新聞(朝日・毎日・読売)と同盟通信(現共同通信)、主要地方紙によるアジア各地での「文化工作」の実態を、内外の記者の証言を元に検証している。
 証言からは、儲かるとの判断から、政府・軍部と密着し、「大東亜共栄圏」の建設に主体的に邁進する当時のマスコミの姿が伺える。
 本書において浅野氏が告発していることは、決して過去の問題ではなく、現在にも通じる問題である。マスコミの戦争責任について考えさせられる一冊だ。

 
浅野さんの他の著作には、
『日本は世界の敵になる』三一書房
『「犯罪報道」の再犯』第三書館
『過激報道の犯罪』三一新書
『メディアリンチ』潮文庫
『新・犯罪報道の犯罪』講談社文庫
『犯罪報道と警察』三一新書
『スパイ防止法がやってきた』社会評論社 編著  
『天皇とマスコミ報道』三一新書 編著
『カンボジア派兵』労働大学 編著
『ここにも差別が』解放出版 共著
『死刑囚からあなたへ』インパクト出版会 共著
『派兵読本』社会評論社 共著
『メディア学の現在』世界思想社 共著
などがある。