
図書館を使った論文作成法(4)
論文の作成に役立つ資料の紹介
このテキストでは,ここまで3章にわたり論文作成のために図書館をどう使うということについて説明してきました。本章は最終章ということで,まとめを兼ねてこれまでに説明してきた文献の探し方や図書館の利用法を含めて論文執筆の時に役に立つ資料のリストを一挙紹介いたします(ただし,完全なリストではありませんのでご注意下さい。)。ここで紹介する本などはすべて中央館に揃っていますので,読んでみて気に入ったものがあれば自分の手元に置いて,必要な時に参照できるようにした方がよいでしょう。以下,内容別に紹介します(書名の後のカッコは,著者名,出版社,出版年,配架場所です。)。
1.図書館の使い方
論文作成のための資料集めを効果的に行うには,図書館をうまく使う必要があります。最初に,図書館を上手に使いこなすための資料を紹介しましょう。
金沢大学の図書館を使うには金沢大学附属図書館利用案内(カウンターで入手可。もちろんタダです。)を熟読して下さい。知らなかったサービスに出会うことができるかもしれません。留学生の方のためには英文版の利用案内A User's guide to the Kanazawa University Central Libraryがあります。
金沢大学の図書館だけでなく,一般的な図書館活用法については,学生・社会人のための図書館活用術(藤田節子,日外アンシエーツ,1993,開架015:F961),大学生と図書館.第2版(日本図書館研究会編,日本図書館研究会,1989,開架010:D132),大学生のための入門書:図書館における調査と研究.全訂版(小林矩子,蒼文社,1982,開架015:K75)が詳しく書いてあり役に立ちます。ビデオで図書館の使い方を知りたい方には図書館の達人1〜6(マルチメディア・コーナー015.2)という図書館紹介ビデオがお勧めです。出演者の演技がややわざとらしいですが,各巻30分弱で貸し出しも可能ですので一度ご覧になって下さい。同じくビデオで国立国会図書館別館利用案内(マルチメディア・コーナー016.1)というものもあります。国立国会図書館の利用方法が7分にまとめられていますので同図書館に出向いて資料を探す方は一見して行かれることをお勧めします。
2.文献探索
図書館の使い方がわかった後は,具体的な文献探索です。ここでは必要な文献を探すにはどうすれば良いかを説明している資料を紹介しましょう。
まず,ある情報が欲しい時にどういった参考図書(目録,書誌,辞書など)を調べると良いかを知るには情報と文献の探索(長澤雅男,丸善,1994,開架015.2:N147)や情報源としてのレファレンス・ブックス(長澤雅男,日本図書館協会,1989,閑架015.2:N147)が有効です。それぞれ,参考図書が解説付きで紹介されています。
その他,参考図書に限らず本の探索法が記されている本には次のようなものがあります。
現代人のための情報・文献調査マニュアル(情報アクセス研究会,青弓社,1990,開架002.7:G325)
現代人のための情報収集術(情報アクセス研究会,青弓社,1995,開架002.7:G325)
文科系学生のための文献調査ガイド(池田祥子,青弓社,1995,開架015.2:I26)
文献探索法の基礎:レポート・論文作成・調査の必携マニュアル(毛利和弘,1994,開架015.2:M854)
チャート式情報・文献アクセスガイド(大串夏身,青弓社,1992,開架015.2:035)
いずれも全てに目を通す必要はなく,目次などを見て必要なところだけを流し読みする程度でも構いません。今から文献検索に取りかかろうという方はもう時間がないと焦っているかもしれませんが,急がば回れ,ということでこれらの本どれか1冊でも目を通して取りかかってみてはいかがでしょう。きっとお役に立つと思います。
3.学問・知の方法論
東大教養部のテキスト知の技法(東大出版会,1994,開架002:C539),知の論理(東大出版会,1995,開架002:C539)などに代表されるように,学問について抽象的に述べるのではなく具体的に方法を説明するような本が近年非常にたくさん出版されています。これらの本を読んで研究のための動機づけをすることも意味があります。
そういった本の中で古典といわれているものが知的生産の技術(梅棹忠夫,岩波新書,1969,開架S002:U49)です。思わず京大式情報カードを買ってきて,勉強をしたくなってしまうような本です。ワープロやパソコンの発達した現在からみると内容は古くなりましたが,やる気を起こさせてくれるという点で,その精神は生きています。
この本を乗り越えようとしてベストセラーになったのが「超」整理法(野口悠紀雄,中公新書,1993,開架Ch007.5:N778)です。ややビジネス・ライクですが,こちらも「封筒を準備して整理してみるか」とやる気を起こさせてくれます。その他に次のような本があります。
「知」のソフトウェア:情報のインプット&アウトプット(立花隆,講談社現代新書,1984,開架002.7:T117)
知の探偵術:情報はいかに作られるか(武田徹,PARCO,1994,開架002.7:T136)
大学生の学習テクニック(森靖雄,大月書店,1994,開架337.9:M854)
4.論文,レポートの書き方,文章作法
この分野の本には,論文の構想から執筆までを述べたものと文章作法について述べたものの2種類があります。これらもたくさんあり過ぎてどの本がよいのかよくわからないほどですが定番といわれているのが理科系の作法技術(木下是雄,中公新書,1981,開架Ch407:K55)です。これは理科系〜という冠称がついていますが文科系,理科系を問わず学術的な論文を書こうとする人すべてに役立ちます。
近年,ワープロを使って論文を執筆する人も増えていますが,そういう方に役立つのがワープロ作文技術(木村泉,岩波新書,1993,開架S816:K49)です。この本の中で,筆者は,「文章を書き上げた瞬間は自分で名文だと思うが,後から読み返すと必ずいやでいやでたまらない段階が来る」というようなことを書いていますが,このことは文章作成の際の結構大切なポイントだと思います。
図書館を使った論文作成法を手軽に理解するには前述の図書舘の達人シリーズの中のレポート・論文のまとめ方(マルチメディア・コーナー015.2)というビデオがあります。テレビ・ゲーム同様,着実なステップ・クリアが結局は早道ということで,このビデオでは論文作成を次の10のステップに分けて,学生と図書館員の登場するドラマの形で紹介しています。
■レポート・論文をまとめるための10のステップ
ステップ 1:テーマの選択
ステップ 2:事前調査
ステップ 3:仮アウトラインの作成
ステップ 4:関連文献の調査
ステップ 5:利用文献の入手
ステップ 6:情報カードの作成
ステップ 7:最終アウトラインの作成
ステップ 8:執筆と校正
ステップ 9:出典の表示
ステップ 10:仕上げ
その他には,次のような本があります。
【論文作成全般】
アメリカ式論文の書き方(フライ,東京図書,1994,開架801.6:F947)
論文の書き方(清水幾太郎,岩波新書,1959,開架S801.6:S556)
レポートの組み立て方(木下是雄,ちくまライブラリー36,1990,開架816.5:K55)
研究レポートのすすめ:卒論・ゼミ論のまとめ方(杉原四郎ほか,有斐閣新書,1979,閑架816.5:K33)
学術情報の上手な仕上げ方(扇元敬司ほか,川島書店,1994,開架816.5:034)
論文の書き方(沢田昭夫,講談社学術文庫,1977,開架816.5:S271)
論文のレトリック(沢田昭夫,講談社学術文庫,講談社,1993,開架816.5:S271)
卒論・ゼミ論の書き方(早稲田大学出版部,1984,開架816.5:S718)
レポート・小論文・卒論の書き方(保板弘司,講談社学術文庫,1978,開架816.5:H825)
英語論文とレポートの書き方(鳥居次好ほか,英潮社,1967,書庫830.7:T683)
【文章作法】
日本語の作文技術(本多勝一,朝日新聞社,1976,開架816:H771)
実戦・日本語の作文技術(本多勝一,朝日文庫,1994,開架816:H771)
新訂文章の実習(大隅秀夫,日本エディタースクール出版部,1984,書庫816:O41)
論文・レポートの文章作法(古郡廷治,有斐閣新書,1992,書庫816.5:F992)
論文執筆ルールブック(中村健一,日本エディタースクール出版部,1988,開架816.5:N163)
増補学術論文の技法(斉藤孝,日本エディタースクール出版部,1988,開架816.5:S158)
知的生活を楽しむ小論文作法:高校生からの小論文(鷲田小彌太,三一新書,1992,開架816.5:W316)
5.学問分野別の論文作成に役立つ本
各学問分野の論文作成に役立つ本には次のようなものがあります。こういった本については,指導教官や先輩に教えてもらった方がよいでしょう。また,各研究室などにも揃っていると思います。
日本史論文の書きかた:レポートから卒業論文まで(中尾 尭ほか,吉川弘文館,1992,開架210.07:N719)
地理学講座6.実践と応用(高橋伸夫ほか編,古今書院,1989,閑架290.1:C541)
卒論作成マニュアル:よりよい地理学論文作成のために(正井春夫ほか,古今書院,1994,開架290.7:S718)
社会学の作法・初級編:社会学リテラシー構築のためのレッスン(野村一夫,文化書房博文社,1995,開架361:N811)
科学論文をどう書くか:口頭発表の仕方まで(末武国弘,ブルーバックス,講談社,1981,開架407:S944)
医学論文の書きかた(田中潔,医学書院,1991,開架490.7:T161)
古典文学論文:レポート制作マニュアル(市古貞次ほか著,国文学:解釈と教材の研究第33巻9号,1988,書庫雑誌)
レポート・論文必携:明治大正昭和文学を研究する人のために(岩城之徳ほか編,別冊国文学20,1983,書庫雑誌)
英文学卒業論文ガイド(内多毅,英潮社,1978,開架930.7:U17)
英文科学生必携ハンドブック(研究社出版,1981,開架930.7:E34)
卒業論文のテーマと書き方(野町二,研究社,1964,開架930.7:N799)
理工学文献の特色と利用法(上田修一ほか著,図書館・情報学シリーズ8,勁草書房,1987,現在受入中)
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ワープロによる卒論の執筆,マルチメディアに対応したパソコンの普及,インターネットによる情報検索や情報交換など学術研究の方法は従来とは全然違うものになりつつあります。それに応じて論文の書き方も変化しています。そういう時代の流れとともに,論文作成をバックアップする図書館のサービスも今後大きく変化していく可能性があります。その頃は,このテキストで紹介した方法とは全然違った図書館の使い方がされ,この続編が(恐らく電子メディア上に)書かれていることでしょう。それは,意外に近い将来なのかもしれません。
(橋 洋平,林 裕紀子)