学生短歌大会2001 概要

1.大会の趣旨(大会実行委員長 西之原一貴)

@短歌という視点からの、若者の表現志向についての議論を目指して

古今東西を問わず、若者の表現への欲求は普遍的なものであります。若者文化という言葉でくくられることもしばしばなのですが、しかし、そうした表現・文化はその時代や場所に固有のものであるといえるでしょう。現代の日本における若者表現といえば、路上でギターを持って歌を歌ったり、同じく路上で自作の詩や絵や写真を売っている若者などの姿が思い浮かんできます。

こうした若者に比べると目立たない形ではあるのですが、自分の心情やイメージを短歌という形を借りて表現しているのがわれわれ学生歌人です。自分の心を圧倒してくる心情やイメージを表現しようとする意味では、学生歌人も路上の若者たちと全く同じです。われわれが表現を通して他の人と交流する場は、歌会や、同人誌の誌面やネット上です。こうした「短歌」の場は「路上」とはどのように異なるのでしょうか。

たとえば「歌会」という「場」のあり方は「路上」と比べてどのように違うかというと、それぞれの人が作者でかつ読者であり、また互いに知っている者同士という場であるので、各人の表現を通しての交流がより相互的である。すなわち密な議論ができるということがいえます。「誌面」や「ネット」という場のあり方は、作者→読者という方向性や、不特定の読者という意味では「路上」に近いかもしれません。しかし、作者に意見・批評を提供する読者の存在は「路上」の場合よりも大きいはずです。

今まで述べてきたような短歌の場の在り方(特に歌会)の、作者と読者の関係が密であるという点は同時に閉鎖的であるということでもあります。ですが、そのことに対してわれわれは違和感を持っています。なぜならば、われわれの短歌は、「短歌」のための「短歌」という場に縛られた表現を目指しているのではなく、自分の心を圧倒してくる心情やイメージのための「日常言語」から解放された表現を目指しているのであって、そのことはほかのジャンルの表現者たちと何ら変わりはないからです。

ですから、この大会は短歌というジャンルのなかではあるのですが、既存の短歌観に固執することなく、表現への欲求をもつありとあらゆる人たちとともに作り上げていきたいと思います。そして、短歌というジャンルだからこそできる密な議論を通して、現代における若者の表現志向についても考えていきたいと思います。学生短歌という若者文化の自己批判と若者文化としての主張。これこそがこの大会を開く最大の目的です。

A従来の批評方法にとらわれない短歌観の模索

現在、大学などの各種学校に通いながら、短歌を作っている人たちが全国には大勢います。彼らの多くは、学生短歌会あるいは各同人誌に歌を作っています。しかし、そういう仲間に恵まれず、ひとりで短歌を作り続けている者も少なくありません。そうした若い世代の歌人たちが一堂に出会い、同世代の人たちのあいだでお互いの歌を読み合う機会を作りたいと思い、学生歌人の企画・運営による大会を開くことを考えました。

最近1・2年のあいだ、早稲田短歌会と京大短歌会の合同合宿が行われてきたのですが、今夏京都で開かれる予定だった合同合宿を拡大して、このような大会を行うことにしました。

こうした若い世代の集まりにおける、同世代の人間の短歌作品や短歌観の交流によって、従来の批評方法にとらわれない短歌への視座をわれわれは獲得したいと考えています。また、この大会をきっかけにして、既存の歌壇のありかたに揺さぶりをかけられるような歌人ネットワークを築いていきたいと思います。大会終了後には、早速大会誌の制作に着手します。この大会誌には、大会記録のほかに、学生歌人による評論や、学生歌人の編集による学生短歌のアンソロジーを掲載する予定です。

「学生短歌大会」というイベントが開かれるのは、‘90年の京都の大会以来ですが、そのときの中心メンバーとなっていた吉川宏志、梅内美華子といった歌人は、現在の歌壇を引っ張る存在となっています。この大会からも、次世代の歌壇を形成していく歌人たちを多く輩出していけるような、実りのある大会にしたいと思います。


2.大会の当日のスケジュール(以下の日程で滞りなく終了いたしました)

 ■日時 2001年 8月19日(日)〜21日(火)
 ■場所 聖護院御殿荘(京都)
 ■プログラム

   第1日(8月19日)  公開イベント
  
   @公開歌会:パネルディスカッション形式での、参加者から募集した詠草の批評会
    澤村斉美(司会 京大短歌会)
    永井祐・五島諭(早稲田短歌会)
    ゲスト*文屋亮さん(東北大短歌会 ラエティティアなどで活躍中)
    石川美南(ラエティティア・元短歌パンチマン)
    ゲスト*天野慶さん(短歌人や桝野浩一氏著『かんたん短歌の作り方』などで活躍中)

   Aシンポジウム:学生短歌の現在(メールでの応募作品からディスカッション)
    西村一人(司会 東北大短歌会)
    天道なお(早稲田短歌会)
    松澤俊二(元短歌パンチマン)
    西之原一貴(京大短歌会)

      ゲスト*正岡豊さん(かばんなどで活躍 著書「四月の魚」など)
    ゲスト*小林久美子さん(未来などで活躍 著書「ピラルク」など)

   B懇親会
 
 第2日(8月20日)
 

  
@自由題歌会:参加者からの詠草をもとにして、それぞれの作品について議論する。
  A吟行:京都市内を散策しながら、短歌を作る。
     Aグループ:古都探索(錦町・寺町など)
     Bグループ:山崎ほろ酔い紀行(サントリー山崎工場見学など)

第3日(8月21日)

 吟行歌会:前日の「吟行」で作られた作品について議論する。
 午後の食事会後解散


3.大会までの流れ

5月:実行委員会発足。各学生短歌会への案内(日時・場所・内容の概要)
6月:ゲストへの参加依頼。歌壇関連各誌広告掲載。

7月:案内
発送。参加申し込み・シンポジウム公募詠草インターネット上にて募集開始
8月:公開歌会詠草・シンポジウム資料を各パネリストに発送。

4.大会後の大会誌の作成(予定500部)

8月:企画。報告記原稿依頼
9月:(作業中)
    全原稿締め切り(締め切り日未定)

10月:印刷所持込み。(予定)
11月中旬:冊子完成。配布・発送。(予定)
  ※ 今後の予定は変更されることがあります。




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