
学生短歌大会2001 シンポジウム〜学生短歌の現在〜紹介作品
応募総数 36 通
応募作品数 130 首
注@都合2名4首省略
注A1首目柳谷あゆみさんの作品を例外として、作品中の()内はすべてルビ
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たんねんにプリンを匙で削り取る(先に倒したほうが言うこと)
草の名を教えてほしい?一瞬を引き出す小さな取っ手のように
柳谷あゆみ 慶應義塾大学
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きみの顔きみの匂いにきみの声やっと覚えた4回目の日
水無月の土曜に出会い月蝕の黒に隠れてひとつに溶ける
「【涙行き】波が来ます」と発車ベル由比ガ浜発砂にまみれて
夏の恋水玉模様の便箋にしたためたのはたったひとこと
ひびわれた心を金で繕ってまだ残ってる爪のあいだに
羽澄祐 慶応義塾大学
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死に果てし人より遠しうつそみに生きつつ二度と会えぬお前は
沈黙に耐えるは辛し よく笑う我しかたぶんお前は知らず
若草の恋しき人の去りてのちいかなる女人(ひと)も心奪わず
西村一人 東北大学
☆
今日だけは赤きタワーの一部となりて東京湾の黒きにダイブ
洋上にイエロウの点うれしくてB29のやう君を撃ちたひ
君が指す月より東京タワーより我は246の暗闇を恋う
十三夜つぶれた満月吾とあなたどこまでいってもまるにはならぬ
この道をあなたと二人で歩くこと夢で見た。ほら彼岸花ひとつ
大坪千絵 早稲田大学
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連鎖する動き それのみ意をそそぐ ただ獰猛な君のバタフライ
街角で匂いしていた菓子の名を 明日あなたに訊こうとおもう
齋藤岳深 早稲田大学
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艶々と果物の種テーブルにおまえが吐き出したこの夏の
錆びそうなコートの肩にぱたぱたと当たる葉見上げもしないで君は
海のあることがあなたを展(ひら)きゆく缶コーヒーに寄る波の音
澤村斉美 京都大学
どうしよう。 受話器としばしにらめっこ。 さんざん迷ってまた 先のばし。
夜闇にうかぶ鏡の前に立ち 指でなぞるは 君の噛み痕
あの夜に 一度つかんだ君の手を 強く握って離さなければ
アメなんかいらない 私が欲しいのは 甘いクチヅケ 強いホウヨウ
猿渡亜由未 北海道大学
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[1/20秒 f値4.5] ヒフの裏まで見つめてあげる
おまへは火 牌(パイ)を打(ぶ)つとき欣然と輝きを増すわれの煙草火
はなびらが宙宇をわたり恋人の言葉をなべて許す手筈が
ともしきをさは な笑(ゑ)まひそみづとりもあはむとみづになづさひゆける
桜へと列なる夢に汝を見き 愛の比喩なるその一人(いちにん)
間崎和明 早稲田大学
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喧嘩した朝の静かな意志表示逆立ちてるてる坊主を三つ
心臓を食べられる夢あの人の唇にならそれもまたよし
捨ててしまいたいものに順位をつけるなら生ゴミ、空きカン、キミのおもいで
国防論を語る熱さで我のこと愛せと思う八月五日
傷つけてはじめてわかる存在の大きさアイツと足の親指
中谷仁美 京都教育大学
☆
でも雨に濡れてしまうから引き寄せた
「お節介め。」と紫陽花は笑う
内田晴久 早稲田大学
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ゆっくりと眉墨えんぴつちびてゆく夏休みあなたの文字にも慣れし
「呼吸が深いね」と言われた花の咲く木々の名前は知ってるけれど
のどの奥く、としめつけてその声を遠くのきみに置くようにせり
指先の人の涙は行かせ場に困る 頬にすじ引いてみる
もう戻れないんだってさ封筒の表にするすると描く金色(きん)の蛇
水野ふみ 京都大学
あのひとはどんな色した絵を描いていたのだろうか 赤色(カーマイン)満ちる
大学の果樹園の梨ただひとつ農学学ぶ君の冷蔵庫(フリーザ)
コンドーム開いてみればいっときの南国の花
「夏が終わるね。」
何度でもしたかったでもしなかったブリキの犬の目をしてたから
ねぇダーリンセブンスターの空き箱をトランシーバーにしてあそぼう
天道なお 早稲田大学
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接続のうまくいかない月曜に会へぬメールはまだ暗き海
田中あろう 京都大学
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僕の背が後10センチ高ければ黒いコートに君を隠せる
図書館をもっと昇ろう僕達を邪魔する人のいない場所まで
「嘘臭い」の反対言葉「本当にいい匂い」だねあなたの髪は
告白にOKならばすぐ僕と8番線まで走ってください
秋元裕一 早稲田大学
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まろやかに夜は更けてゆく君の手に拾はれし貝の形も聞けずに
五分後の予感に抗う一言を探せぬ二人に波の音近し
軽やかに微分積分解く君はペンシルの先端(さき)を包むように書く
白水(しろうず)麻衣 西南学院大学
☆
深海で二つのコイルほどけあい雨は生まれた音は生まれた
町中の白い灯りを脱け出して工場で逢う蜜蜂の夜
階段の上と下から来た二人踊り場で会う重力を超え
田中創 早稲田大学
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葉桜の季節に坂をのぼりきり硝子を砕く「ごめんな」の朝。
さうやつて君は笑つてくれるのになにか許せぬ蟻どもを潰す。
真心をいだく君の背なにゆゑに木霊のやうな拒絶が浮かぶ。
薄暗き鏡の向かう住むわれは恋に裂かれし蛇の眼を持つ。
橋姫氷魚見 大阪大学
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海を蹴る指やはらかに光りをり恋愛に生くる男は嫌ひ
君出でて恋歌うたふ明けの夢ぞなむやかこそ心乱るれ
〈独りでも好きになれるかやつてご覧〉真白き地図を渡されてゐる
石川美南 東京外国語大学
☆
文法が思い出せない 「好きです」が過去形になる理由(わけ)を教えて
好きですと言うためだけに電話してバイバイとだけ伝えて切った
夜更けまで君の悪口考えて出てきた言葉が結局「バーカ」
中野一輝 京都教育大学
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雨宿り菖蒲の国の誤りにあやめも知らぬ恋をするかな
あたしでも羽化できるなら平中のように「見たよ」とcopy&paste!
コンスタンチェ、クサンティッペ、君、コジマ、恋人、彼女、今日もcruel
止められぬもどかしさなるこの時は逢坂転がる唐の鏡と
恋しけば形見にせむと我が箱に今ふみつきしからの鏡よ
中島裕介 京都大学
☆
信じない信じられない信じたい投げつけられたトマトのように
知りたくてざっくり二つに割るキャベツ君は何を考えているの
愛のなき抱擁を受け入れるたび脆くなりゆくわたしのからだ
三原由起子 共立女子大学
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棄てきれぬ愛と夢とを天秤にかけて重みのないことを識る
「忘レタイ」神経中枢侵されて貴方を呪う日が来る前に
甘たるい恋人という名の二文字が翼を奪う枷になりゆく
ひたひたと迫り来るソレ下心気づいてないフリしてあげるけど
貴方の傍で私は殺されて其れがあなたの唯一の望み?
阿部真以美 名古屋大学
☆
彼の人とは同じ目線で手も触れずツツジの蜜を飲んだ関係
まだ雨は降っていないという君のメールに「まだ」とつぶやける朝
山川藍天 椙山女学園大学
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手枕の熱を感じる首もとでヒトのオトコの優しさごっこ
夜の雨は香ばかり立ちて、君のことばかりで君のことばかり、君。
潔く目に立つ紅葉迷いなど捨てて思いなさい真紅まで
始まってしまえば震えがくるほどの終わりを思う助手席の恋
エアコンの風がくるたび君の香が我の髪から立って図書館
福永昭子 京都教育大学
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そういえばあの人のいた暗闇も赤い電話が立っていました
ひきがえるを踏みつぶしましたまたあしたあたしの靴を君が舐めます
破局とも呼べない終はりまひまひの角つついてたあの日も遠い
初恋は誰だつたろふ風に舞ふ桜はなびらもういいのです
彼女だと紹介されるときふいに菜の花いろの釦のかけら
松島綾子 京都大学
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工場のありかはきっとわからない二人で座るテトラポットの
人のいない海が見えるよ恋人のピアスの穴を覗いてみれば
真剣に泣く人がいてそのひとの一部の白く美しい耳
振り向けない 後ろのほうで気の狂れたひとがきれいな声を出すから
五島諭 早稲田大学
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「愛してる」 軽い言葉と 嘘の体 いつもあなたは デルタの匂い
「ねえ、今日も?」拒まれた僕 うつむいて体で言葉を減らそうとした
また病気? 君の面影 揺れている 大切だから 触れないでいた・・・
夕暮れに 染まる海辺の 約束は グラスの氷に 溶けては消えた・・・
恋してる この胸焦がす あの瞳 届かなくても 君、恋しTEL
永井崇教 早稲田大学
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汝(なれ)の言ふ夕べ見しとふ花の色おもへば紅きのみに浮かびく
仰向きて美しき人をおもふ宵 われの部屋にも天窓が欲し
かいま見し人にし告げむ うしろでに全(また)けき言葉ひとつ持てるを
吾よりも長き生命線持てる君この朝もよく笑ひをり
松澤俊二 國學院大學
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透明な女(ヒト)への思いを紡ぐ文字祖母に残してあの人は逝く
北京っ娘の悲しさ螺旋に渦巻きて肩甲骨に胡蝶蘭を植う
青映るその静脈に包まれて耳澄まし聞く赤の鼓動を
宍戸隼 早稲田大学
空ばかり見ている君を見てばかりいる私を見ていた恋人
お風呂場で歌った声に酔うようにあなたを愛した期間があった
あの人に名前をつけた私しか呼ばない名前で独占してた
目を閉じて耳をふさいでなにひとつ変わらずにいて19の君
あの恋の月命日を忘れたと中央線の中で泣く君
井上真樹 東京工科大学
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汝が唇(くち)に小梅あたへし指(および)にてひちりひちりと紅をひきたり
氷魚をのむかほそきのみど氷魚のゆくくらきからだをねぶるscene1
紡がれぬ言葉まちたるまに真綿ちぎりては投げちぎりては投げ
橋元優歩 早稲田大学
☆
気づかれていいやと決めて陽を返す柿の若葉の表情で会う
ためらわず「土浦なんて」君の吐く「なんて」真鯉のはためく響き
直球を出すよたとえば打たれてもバットに痕を残す気迫で
薄赤いびいどろ吹けば唐突に告げてしまった言葉が戻る
クローバー渡したっけね何の手も借りずひとりで幸せになる
木村瑞穂 早稲田大学
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午後9時の今日のニュースの冒頭で二人の別れ報じてほしい
歯切れよいアナウンサーの「次です。」を君も聞いてるはずの週末
「二十歳だしニュース見ろよ。」と言ったのは君だったこといつか忘れる
山根かなえ 早稲田大学
2001 09 16 gakusei-tanka-taikai (C)