【能についてのブックガイド】(読み物編)



▼新入生や、能について知りたい人のためのブックガイドを考えてみました。
写真のきれいな本もいろいろ出ているのですが、この稿では読み物を中心とした、ライ
ンアップです。誰か【ヴィジュアル編】ブックガイドも書いてみませんか。
あと、いい新刊がたくさん出てガイドが古くなったら削除、お願いします。
(2001/04/14稿)


@能の全体像がつかめる本

*『別冊太陽 能』平凡社

 ・・・・・・この1冊を読めば能について大概のことはわかる本。 別冊太陽では他にも薪能
    や道成寺特集もある。平凡社はカラー新書も写真がきれい。


*『能って、何?』松岡心平編、新書館

 ・・・・・・入門書でありながら、能をはじめて何年にもなる人にも楽しめる。
    友枝昭世・梅若六郎・浅見真州・野村萬斎へのインタヴューも興味深い。


*『能がわかる100のキーワード』津村禮次郎、小学館

 ・・・・・・能楽師の、キーワードによる能案内。能の世界を知ったばかりの人には、『林
    望が能を読む』林望、集英社文庫、などもいい。


A能を観に行く前に・・・・

▼あらすじを知る

*『能楽手帳』権藤芳一、駸々堂

 ・・・・・・130曲のあらすじと見どころが載っている。これでほとんどは間に合うが、
    これにも載っていない曲のあらすじは『新訂増補 能・狂言事典』平凡社を調
    べるといい。


▼詞章を読んでから観るには

*『謡曲集』が入っている文学全集には

 岩波日本古典文学大系(横道萬里雄・表章校注)
 新潮日本古典文学集成(伊藤正義校注)
 小学館新編日本古典文学全集(小山弘志・佐藤健一郎校注)


 などがある。新潮社のものは3巻、後は2巻になっている。読みやすさでは小学館の
ものが全訳つきでオススメだが、新潮集成は曲の背景について調べる上で有益な記述が
多く、岩波大系(新編もあり)は珍しい曲も載せているなど、それぞれ特色あり。
ちなみに能楽論を読むには、『世阿弥・禅竹』岩波日本思想体系。



B能を味わう本

*『観世寿夫著作集』観世寿夫、平凡社

 ・・・・・・観世寿夫は早逝した名人で、能を演じる能楽師として世阿弥などの能楽論を
    しっかり読み直した。その読みや、身体体験から出てくる記述はやはり刺激
    的。自分で趣味として能を舞う上でも参考になる。


*『日本の名随筆87 能』観世栄夫編 作品社

 ・・・・・・ふくよかで、とてもおいしいアンソロジー。立原正秋、馬場あき子、夢野久
    作、三島由紀夫、和辻哲郎、喜多六平太などを収める。


*『お能・老木の花』白洲正子、講談社文芸文庫

 ・・・・・・『梅若実聞書』と友枝喜久夫への賛が収められていて必読。能についてたくさ
    ん書いているが、文庫に入っている入手しやすいものから。
    文芸文庫では『謡曲平家物語』などもいい。


*『能〜中世からの響き』松岡心平、角川叢書

 ・・・・・・「橋の会」という、能の創造的な企画・運営の現場でも活躍されている松岡先
    生の明晰かつ面白い読み。興味を持った人は、『宴の身体〜バサラから世阿弥
    へ』岩波書店もどうぞ。


*『能ー現在の芸術のために』土屋恵一郎、岩波現代文庫

 ・・・・・・文庫に入って入手しやすくなったので紹介。構造の捕らえかたや、身体論にユ
    ニークな視点を感じさせる。


*『世阿弥は天才である』三宅晶子、草思社

 ・・・・・・個々の作品論が秀逸。



C参考/能の本は大体読んだ人向け
▼能を手がかりに中世の深い森へ

*『逸脱の中世』細川涼一、ちくま学芸文庫

 ・・・・・・?能という芸能を素材として中世における性的倒錯(稚児愛、白拍子の男装、
     両性具有など)や物狂いに焦点を当てた異色の中世精神史。


*『湯屋の皇后』阿部泰郎、名古屋大学出版会

 ・・・・・・サブタイトル「中世の性と聖なるもの」。取り上げてる対象は説話・縁起・伝
    承・図像など広範に渡る。菊慈童・当麻・江口・海士・祇王・百万・山姥・道
    成寺・多度津佐衛門などの深層へ。