はじめに
立命館探検部は、1999年夏、かねて計画中の日中共同(中国側:中国岩溶地質研究所)の中国洞窟調査を実行した。調査は竪穴洞窟   「大石囲」での活動を主とし、一本のロープを頼りにより深く巨大な洞窟を目指した。(調査期間は1999年8月から9月にかけての約3週間) 

日本の国土の4倍という広西壮族自治区を中心とした広大なカルスト地帯(地下深度400〜500mを有する1000〜2000mの高原地帯)には、地中に無数のカルスト空間が存在し、その多くは未だに調査されることもなく大地の下に眠っている。

中国では横穴洞窟の調査は進んでいるようだが、竪穴洞窟に関しては、ほとんど手がつけられていない状態である。 近年、改革・開放が進む中、多くの外国人の入域が可能となった。 それに伴って、現在フランス、イギリス等からの調査団により洞窟調査がなされている。

今回の調査を通じて、私たちも他団体同様、中国に地理学的な貢献が出来たと信じている。ここに紹介するのは、’99年10月7日号産経新聞に掲載された探検隊の記事と私たちが撮影した写真である。

写真集の大石囲の鍾乳石、石筍の映像ははじめて世界に紹介される貴重なものである。

隊長: 山田 亮二  撮影:久保田  創


調査地域について

広西壮族自治区(百色市)

中国南部華南地区の西部に位置する.人口約4500万人。西はベトナムと国境を接し、南はトンキン湾に面する。周囲を山脈に囲まれた盆地型の地形で、山や河が多く平原は少ない。中央部は桂中平原など面積の小さい平原や玉林盆地などの山間盆地が広がる.チワン族の主な住居地で、それ以外にミヤオ族、トン族等の少数民族が住んでいる。区都は南寧市で主な都市は桂林、百色等8都市である。
河川が多く、水力資源が豊富。最大河川は珠江の本流で上流では紅水江と名を変える。石灰岩層が広く分布し、総面積の半分近くを占める。中でも桂林、用朔一帯の石灰岩台地は世界的に有名なカルスト地形で奇岩、奇峰が林立する。珠江流域のカルスト地形や桂林の山水画を髣髴させる山々は有名である.


大石囲

今回の調査対象となった竪穴洞窟。紅水江の南岸に位置する。百色市街から車で1時間10分、西北西方向に12kmの所にある。  標高1250m。切り立った山々に囲まれた巨大な洞口は300mX500m、木々に覆われ霧がかかっており、深さ400m以上と推定される。
                                                                          


産経新聞記事

立命大探検部など共同調査

中国で巨大洞窟発見

中国南部広西壮族自治区にある洞窟群の中に、入口部分だけで甲子園球場約5個分の大きさで世界有数の規模を持つ洞窟があることが7日までに、中国と立命館大学(都市北区)探検部の共同調査で確認された。
      入口地面積甲子園球場の5個分
      
ロート型世界で7番目の規模

縦に伸びる「ロート型洞窟」としては、世界7番目の容積規模と見られるが、現段階の計算では横穴などの規模を含んでおらず、さらに大きくなる可能性もある。 前人未到だった洞窟群の地下水脈構造もはじめて判明し、今後は水力発電や産業へ活用が期待される。

調査は8月下旬から9月中旬まで、世界有数のカルスト地帯で行われた。 立命館大学探検部から6人、中国岩溶地質研究所から4人計10人が参加。洞窟測量と地下水脈調査を中心に進められた。
確認された大規模な洞窟は、現地では「大石囲」と呼ばれ、入口から地中に立坑が伸びる「ロート型」と呼ばれる形状。入口部分の空間の直径は最大約500mあり、広さは約19万屬嚢短勹犁緇譟3万9600屐北5個分。 
立坑は地中約400mの深さまで達していた。

中国側の概算では、「ロート型」の洞窟としては、中国・長江流域にある6番目の洞窟(容積14立方km)次ぐ世界で7番目にあたる規模と言う。これまで洞窟の底部まで下りた人はなく、測量は実施されていなかった。

中国側から洞窟調査の経験と技術を認められて参加した立命館大学探検部は、測量を担当。洞窟の中は、開口部から入った様々な野鳥達がとびまわり、植物が石灰岩の岸壁を覆うように繁茂していた。
現場は電気がない上、雨季と重なって調査は難航したが、内部に4本の横穴があることも初めて確認し計測した。また、低部を流れている大規模な地下水脈が約13km西側にある紅水河に合流する支流であることを確認した。
          大規模な地下水脈
      産業用に活用期待

この地域にある集落には、現在電気・ガスは通っておらず、合流地点には水力発電用のダムの建設が進められている。今回の調査によって、地下水脈の流れの方向や推量がほぼ算定できたことで、水力発電の発電能力が特定できた上、水田、工業用水への可能性もうまれたという。(産経新聞 1999年10月7日号)

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