さいけんでは、4月から行われる憲法の例会を経た後、刑法と民法の例会を毎年交互に行っています。そして今年度はちょうど刑法を扱う年にあたるため、『模擬裁判』も刑事裁判ということになります。例会を通じて得た知識を具体的な事件に即して実際に生かす場がまさに『模擬裁判』であると言えます。
 結末のないシナリオ---これは、さいけんにおける『模擬裁判』の最大の特徴であると同時に魅力的な点です。『模擬裁判』と言えば、訴訟の提起から判決に至るまでの道筋が示された上で、いわば完成されたシナリオを再現すべく演じるというのが一般的です。これに対し、さいけんにおける『模擬裁判』とは、プロデューサーが独自に訴訟を提起する原因となる事件(昨年度の民事裁判の例をとれば、塾内で、ある少年からいじめ行為を受けた少年が自殺したという事件)を設定するというもので、当事者がいかにして争い、裁判官がいかなる判決を下すかについてのシナリオはありません。当事者の争い方次第で、判決が180度転換し得るという可能性が秘められているからこそ、法廷での当事者双方の争いは白熱したものとなり、実際の裁判さながらの緊張した雰囲気の中で展開されます。結末のないシナリオに基づいているからこそ味わうことのできる『模擬裁判』の醍醐味はここにあるといえるでしょう。

ではここで昨年度の民事裁判を通じて『模擬裁判』の大まかな流れについて概観することにしましょう。4ヶ月間にわたる『模擬裁判』は、個々人の希望に基づいたグループ分けから始まり、それぞれが「原告」、「被告」、「裁判官」のいずれかに属することになります。当事者双方は、グループごとのガイダンスや準備書面・答弁書の作成を行いつつ口頭弁論に向け着々と準備をすすめる一方、「裁判官」は訴訟法や事件に関わる法律の条文について学んだりします。その後、3月初旬に行われる3泊4日の合宿の中で、口頭弁論を経て判決に至るまでの一連の手続きを済ませることになります。(上の写真は口頭弁論中の裁判官の様子、下の写真は証人尋問の様子)
 以上のような流れを踏む『模擬裁判』ですが、期間中はグループごとでの少人数の活動になるため、個々人の発言の機会が増えると思います。自発的に参加し、活発に意見を交換することで、普段の例会とは一味違った充実感を味わうことができると言うメリットがあります。
 また、『模擬裁判』を初めて経験した一年生としての感想ですが、法律を学び始めたばかりの一年生でも気後れすることなく、雰囲気を楽しみながら参加することができると思います。「原告」、「被告」のグループに属した場合には、証人・弁護人の役割を担い、「裁判官」のグループに属した場合には事実認定を行うなど、一年生の活躍の場は多分にあります。
 ここで記したのは、「裁判官」の視点で切り取ったごく断片にすぎません。どのグループに属するかにより、事件を見つめる視点も様々です。終了後に当事者双方から明かされる事件の裏事情に驚く、といったことも『模擬裁判』ならではのおもしろさであるかもしれません。
 さいけんの『模擬裁判』では、誰もがシナリオの結末を描く役割を担う脚本家になり得るはずです。あなたも知的好奇心をそそられる『模擬裁判』の結末を描いてみては…?