
腫脹ってなに?

鵞足炎の患者さんを診ていたK先生。
K先生「確かにむくみが見られる、って言ったけど、
私が答えられないため、その後話は延々と続きました。
下肢のアライメントに少し異常も見られ、膝蓋骨下部にむくみも見られるとのこと。
この「むくみ」という言葉をそのままデイリーノートに書いたことから話は始まった。
『むくみ』という言葉は医療用語じゃないよ。何て言おう?」
私「『腫脹』ですか?」
K先生「腫脹って何?」
私「・・・・えーと・・・関節内とかに液体がたまるんですよね・・・?」
K先生「あっはっは!!!『液体』ってーーー!!初めて聞いたわ!
じゃあなんで腫脹ができるの?」
私「炎症が起こっているせいですよね?」
K先生「炎症って何?」
私「えーと・・・。外傷なんかで何らかの菌が体内に入って、
その菌を殺すために起こってることですよね・・・」
K先生「(くっくっく・・・。)じゃあ筋の炎症って、何か菌が入ってきてるの?」
私「・・・・。」
K先生「そもそも、体内の水分って元々何?」
私「水じゃないんですか?(もうやっつけ仕事)」
K先生「・・・・・。」
ということで、炎症・腫脹・浮腫などについてK先生の話をふまえて調べてみました。
ちなみにヒトの体の水分は細胞内液と細胞外液に分けられます。
細胞外液はさらに管外細胞外液(間質液・組織液)と、管内細胞外液に分けられます。
ヒトの体は細胞からできてますよね。細胞は組織液の中にあって、組織液の中から栄養や酸素を取り込んでます。

Starlingの原理
毛細血管では動脈側と静脈側で水の移動が逆になります。
毛細血管圧(血圧)は血液の水分を間質側へ押し出す力としてはたらき、
血液の膠質浸透圧(毛細血管が血漿タンパク質を透過させないことによって血液と組織間液との間に生じる浸透圧)は
水分を間質側から血管内に引き込む力としてはたらきます。
うーむ・・・。膠質ってなんだ?
む。コロイドのことらしい。これはなんか高校の授業とかでも聞いたことあるなぁ。受験のときも化学でやったような・・・。

つまり、動脈では血管の内圧が高くなってるから血液中の成分(コロイド)が出て行き、静脈ではコロイドの浸透圧の方が高いので、
血管内に入ってくる、ということですね。
炎症
発赤・疼痛・発熱・腫脹に機能障害がプラスされた5つが炎症の主な症状です。
その一つ、「腫脹」ですが、傷害を受けると、その部位へ血管からの血漿成分の滲出が起こります。
この成分が血管内に戻れない、いわゆる循環障害が起こる。そしたらそこにそのまま血漿成分が溜まってしまう、とゆーわけですね。
その昔、膝を怪我したとき、主治医の先生に「なんで膝に水がたまるんですか?」と聞いたら、
先生は「風邪ひいたときの鼻水と同じようなもんや」とおっしゃってました。なるほど・・・。カラダが戦ってるんすよ。
腫脹
医学辞典によると「臓器が相似形的に体積を増している状態に対する病理解剖学的な形容」のこと。
要するに腫れて見た目に大きくなってたら「腫脹がみられる」ということが言えるわけです。
「浮腫による腫脹」なんて言い方もある。
ですが、ここでは内出血などによる「腫脹」ということで話をすすめていきます。
ズキズキという痛みは動脈の拍動によるものです。
炎症が起こると、血流量が増加します。その拍動が痛みの受容器を刺激するのです。
浮腫(水腫)
浮腫と水腫は同義語です。全身性の浮腫と局所性の浮腫がありますがここでは主に局所性の話をしますね。
「細胞外液量,とくに間質液(組織液)量の増加した状態」をいいます。
血管の内圧が上昇して、血管の再吸収が抑制されて血管内に水分が戻らなくなったり、
血管の透過性が亢進してどんどん血管外へ水分が出された結果、生じる。
つまり、静脈系で起こる障害です。
リンパに関しても同じことが言えます。リンパ液が戻れなくなって、その部分が腫脹するわけです。
むくみっていうのは浮腫です。水分や老廃物が戻らなくて、腫れぼったくなる。
だから血行促進してあげると、むくみ解消!ってことになるんですね。
「目が浮腫ってるーー」という使い方をするのも納得!ですね。(ほんとか?)「水がたまる」というのも浮腫です。
血液が血管外に出ていく結果腫れるのが「腫脹」→動脈系で起こります。
老廃物や水分が血管に戻らなくなった結果腫れるのが「浮腫」→静脈・リンパ系で起こります。
ただし、ですね。ここでいう「動脈」「静脈」というのは毛細血管に近い、もうかなり細くなってる部分です。
上で述べたStarlingの原理、っていうのは、毛細血管における話なんで。
注〜〜!!)
筋の炎症(筋肉痛)による痛みは、運動によって血液中に発生したキニン、ヒスタミン、プロスタグランジン、カリウムなどの「発痛物質」が
血管内に戻らなくなって起こるもの。
筋疲労によって、筋のポンプ作用が低下するために「発痛物質」が血管内に戻れなくなるんですね。
ここで、筋のポンプ作用を促進するべく、筋収縮を起こし、静脈の血行を改善すると筋肉痛を和らげる効果があります。
筋肉痛に「適度(あくまで適度。激しいとまた筋疲労起こすからね)」の運動が効果的、というのはこういうことなんですね。
だけど、浮腫による神経の圧迫なんかも言われてて、実際、筋肉痛のメカニズムについてはまだまだ未解明の部分が多いらしいです。
筋収縮のメカニズムにもまだわかってないことが多いしね。
だから、外傷による急性の炎症なんかは(筋肉痛含め)腫脹も浮腫もどっちも起こってる、っていえるのかもしれないですね。
ここまで書いといてなんですが、「そんなに詳しいメカニズムを知らなくても大丈夫」らしいです。
「腫脹」の原因は何か?(たとえばどこを傷害されて起こってるか、とか)とか
そういうことがわかればいい、のかな???
参考文献
・南山堂 「医学大辞典」
・南江堂 「シンプル病理学」
・医学書院 「標準理学療法学・作業療法学専門基礎分野 病理学」
・医学書院 「標準理学療法学・作業療法学専門基礎分野 生理学」
・医学書院 「標準理学療法学 専門分野 運動療法学 総論」
・医学書院 「標準病理学」
・医学書院 「標準生理学」
・文光堂 「生理学」

結局、この鵞足炎の患者さんは、鵞足部分の炎症による疼痛で、
内側ハムストリングスの筋収縮を充分起こせない状態だったので、
内側ハムストリングスを選択的に収縮させ、
筋ポンプ作用を促すことで痛みが和らいだそうです。
ちなみに鵞足は?と聞かれ
「半腱様筋、半膜様筋、あと一個は忘れました!」と答えたのは私です。
・・・一個しか合ってないじゃん。(正解は半腱様筋、薄筋、縫工筋です)
そして、学校の解剖学のO先生。
お忙しい中、時間をかけてくださり、ありがとうございました。

