1章        問題提起

 

一、はじめに

1999年10月、債権回収のために債務者に「臓器売れ臓器!」と恫喝した商工ファンド日栄社員が逮捕された。「カード破産」、「多重債務」、「サラ金問題」はそれ以前から問題になっていたが、こうした個人レベルの破綻が社会問題としていわば「ブーム」になったのはこの時期だろう。

 そして今、1999年よりさらに不況は深刻化している。しかし、もはや「ブーム」は去り、マスコミはリストラによる自己破産の問題は放送しても、消費者金融問題はあまり追及しなくなっている。では、もう消費者金融問題は解決されたのだろうか。今、不況のせいで消費者金融への需要が増加している。これは同時に、消費者金融問題が再燃(いや、そもそも解決されなかったというべきかもしれない)の恐れがあることを意味し、しかも不況が進んだために中小企業はそれへ反発するまもなく破綻するという現象が起きている。そう考えると、問題はまだ十分解決されたとはいえないと思う。

そこで今、改めて消費者金融を、原点に返って問い直したい。消費者金融はこのような悪事を働いた、とむやみに騒ぎ立てるのではなく、そのような問題を生じさせた社会体制、システムを包括的に捉えて生きたい。

 

二、問題の区分

(1)消費者金融の定義

本来、消費者金融とはノンバンクのうちで、消費者を対象とした金融商品に特化した業者のみをいうべきであろう。すなわち、中小企業を対象とした商工ローンは排除されるといえる。しかし現在、現実問題として、商工ローンは弱小企業にまで進出し、保証人問題などから一般消費者にも問題が拡大している。また一方で、いわゆる消費者金融も中小企業の運用資金としての商品も開発していることから、この区分はもはや無意味といえるだろう。よってこの議論においては、消費者金融をたいていのノンバンクを指すものとしたい。

(2)問題の明確化

 消費者金融の問題というと、たいてい一括して「消費者金融問題」と捉えられる。しかし、消費者金融問題の中でもいくつかの区分が必要と考えられる。

@利息などの消費者金融システム上の問題

A恐喝などの取立てでの問題

このように区分する理由は、前提となる解決方法の差である。一時期話題になったのはAであるが、暴力的な取立ては必然的に事後的に発生し、解決の必要のある問題である。これに対し、@は経済政策の一環として、問題が起こる前に解決されねばならない問題である。よって、こきではこの2点を区分して述べる。

(2)問題の対象

消費者金融問題の被害者にも2通りある。

@債務者本人への問題…強硬な取立て、多重債務問題など

A周辺の人間(保証人、家族、親族)への問題…債務保証、生活の乱れ、人間環境崩壊など

 

 

 

 

 

2章 システム上の問題の所在

1 多重債務問題

一、多重債務問題とは

 多重債務問題が消費者金融問題の典型例である。これは、消費者がサラ金から金を借り、返済しきれなくなったとき、別のサラ金から金を借りて返済に充てる…といういわゆる自転車操業を始めると発生する問題である。その結果として、最初は少額の借金が多数の金融業者に発生する、すなわち、債務を多重に背負った多重債務状態に陥る。すると各社とも自社の債権回収に全力を尽くすため、さらに追い詰められる。

 そのような追い詰められた状態が、「紹介屋」などの2次的な犯罪に巻き込ませる。

 

二、多重債務問題の原因の所在

(1)過剰広告

消費者金融が台頭してきた原因のひとつに、マスコミの利用が挙げられる。

社団法人日本民間放送連盟の規定で、テレビでの金融業の広告は「利用者の利益を損なうものは行わない」との規定があり、また、自主規定として深夜以外の放送は控えるとしていた。しかし、その経済力があがるにつれ、テレビ業界への進出もすすみ、ゴールデンタイムのスポンサーにまでなるようになると、テレビ業界も不況にあえいでいたことから態度を変え、一日中広告を流すようになった。

今、弁護士はこのような過剰広告が消費者金融へ人々を走らせ、多重債務者への道を歩ませているとして警告している。

また、消費者金融の進出は社会への意外な弊害をもたらした。テレビ局としては、消費者金融業者が重要なスポンサーとなることで、消費者金融を告発するような番組を放送しにくくなったのだ。そのため、消費者へなかなか消費者金融の危険性が伝わらなかったという問題を生じた。

(2)高利

 次のページの表を見てほしい。現在の銀行の預金利率が0.5%を大きく下回っている現在、あまりに高利である。これは各社とも、出資法に違反するぎりぎりの、金利に関するグレーゾーンの最高値あたりの金利を設定している(グレーゾーンに対しては第3章で説明)。

 このように高利では、借りた金を返せるはずもない。よって別の消費者金融で借りてくることになる。そしてまた返済が滞る…いわゆる自転車操業に陥る。すると、金融各社から債務を負うことになり、「多重債務」状態に陥る。すると各社とも自社の債権回収に全力を尽くすため、さらに追い詰められる。

 そのような追い詰められた状態が、「紹介屋」などの2次的な犯罪に巻き込ませる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(参考)各社金利比較

 

社名

フリーローン

不動産担保ローン

女性向けローン

目的ローン

プロミス

25.5%

13.5%〜16.5%

16.50%

13.5%〜19.5%

アコム

13.14%〜27.375%

.00%〜18.00%

 

13.14%〜18.25%

ほのぼのレイク

18.00%〜29.2%

15.000

29.2%

13.50%〜13.80%

三洋信販

18.00%〜29.00%

 

 

 

アイフル

21.50%〜28.835%

9.20%〜18.25%

 

 

シンキ株式

16.425%〜28.835% 

 

 

 

スマイル

25.50%〜29.20%

 

 

 

アルファOMC

28.8%

 

 

 

株式会社オークス

25.5%〜29.20%

 

 

 

ウェブキャッシングニッシン

27.01%以下

年率24.09%以下(実質年利率)29.20%以下

 

 

日本ファンド

24.00%〜28.8%

13.52%〜29.20%

 

 

プライムファイナンス

21.80%〜29.20%

18.00%〜29.20%

 

 

ぷらっと

29.2%プロミスと違う独自審査でニーズ優先

 

 

 

アスコット

15.0%〜27.375%(アコムが融資) アコム会員の申し込みは不可

富士クレジット

25.55%〜29.20%

 

 

 

クレディア

21.000%〜28.50%

11.%〜18.%

21.000%〜28.50%

 

AIGプレミアファイナンス

24.82

 

 

 

アイク

23.98%〜29.20%

.50%〜22.88%

29.2%

 

日東リース

29.2%%

 

 

 

ディックファイナンス

〜29.2%

 

 

 

アルコシステム

18.25%〜29.2%

18.25〜21.90%

 

18.25%

ユアーズ

28.95%*2

15.7〜28.95%

28.95

 

 

 

 

(3)、付随する問題

@返済拒否

信じられないことに、返済する資金を持っていくと「今回は利息のみで結構です」と丁寧に返済を拒否されることがある。これは利息増やし、消費者金融業者のノルマをこなそうという意図である。

 ちなみに、法律上、特約がない限り、金融業者は返済期限が来ていない債務の返済を拒否、または返済期限までの金利を請求できる。しかし、期限が来た債務の受け取り拒否は認められていない。

A紹介屋

多重債務者に対し、さらに金を貸せる業者を紹介する名目で、紹介料を巻き上げる。その実、たいていの人は借り入れのないサラ金からある程度借り入れることは可能であり、紹介屋は何もしていないことが多い。

しかし、なぜ多重債務者にたいしサラ金が貸付を行うのか。実は、サラ金で返済を滞った客は消費者信用調査機関を通じてブラックリストに登録され、サラ金は金を貸さなくなる。しかし、自転車操業で多重債務に陥ったものは、外見上は返済を滞ったことがないために、サラ金業者は客を「優良物件」とみなしてしまうのである。しかし無知な利用者は自分に債務が多いのでもうサラ金から借りられないと思い込み、紹介屋の罠にかかる。

B買取屋

「ナニワ金融道」で一躍有名になった詐欺。利用者にクレジットで金券を買わせ、それを下取りすることで、多重債務者は当面の現金を得ることができる商売。しかし、当然商品の請求はいつか来るわけで、多重債務者の債務を無駄に膨らませるだけである。

C整理屋

 債務を整理することで、その整理料を取る。主に債務の一本化など。しかし、弁護司法で禁止されており、違法である。

 

2 保証人問題

 

A、「利息は債権者から、元本は保証人から」

 上の文句はサラ金業者の常套句だという。これはどのようなことを意味しているのだろうか。それは、「サラ金業者のところに飛び込んでくる段階ですでに全額返済は不可能である。どうせ利子くらいしか取れない。それなら取れる限り、利子を受け取り続け、相手が破綻し次第、保証人から残金を回収したほうがいい」という考えに基づいている。

 それほどまでに、サラ金業者は保証人を重視している。そもそも、サラ金問題はシステム的な問題では、保証人へのえげつない回収であることが多い。しかし、保証人からの回収は、保証人には自分には関係のない借金で自分の財産をとられるという痛手をおっても、たいていは即自殺などには至らないのでさほど問題とされていないともいえよう。

 では、保証人とはどのようなものであろうか。それをここで説明する

 

B、保証

 

一、保証

保証とは何か。通常、金銭の貸借を行った場合、当然債務者は債権者への債務(貸し金返済義務)を負う。しかし、借りたほうが破綻してしまい、返済能力がなくなったり、そもそも逃亡してしまった場合など、金を貸した側はそのままとりはぐれる恐れが強い。そこでつけるのが保証である。

ここでXAに金を貸したとする。Aは必ず返すとは限らない。そこで、XAに金を貸すとき同時に、XY「もしもAが貸した金を返さなかったら、YXに金を返します」という契約を結ぶ。ここでの注意は、保証契約は決してAYの契約ではないこと。漫画などで金を借りる側が「すまんがワイの保証人になってくれ!!」などといっているシーンがあるので誤解しやすい。

    X →保証契約→ Y

    ↓貸金返還請求権(主債務)

    A

保証はYXへの債権を保証するものである。よって、Yが債務を履行した場合、自然に消滅するYへの一切の連絡は不要)。また、債務が否定されれば原則、保証も否定される。

 

 

二、根保証

@根保証の目的

商売人はよく金の貸し借りをする。そのとき、いちいち金を借りるたびに保証人を頼むのは面倒くさいし効率的ではない。そこで考え出されたのが根保証である。厳密な定義は複雑なので割愛するが、要するに「XAの間の金の貸し借りは、ともかく○○円までは保証するから、その範囲で自由にやり取りしておいてよ」ということである。

 

A根保証の性質

上記のような性質なので、XA間の金のやり取りをYに伝える必要がない。

また、その性質上、たとえ、今XA間に債務がないとしても、その後のやり取りを予想して、Yの保証契約は残存する。すなわち、A550万借りるときに、YXと根保証契約を結んだとして、保証だったらA550万返したときに保証契約は消滅するのに、根保証の場合は、その後も残存する。

 

C、消費者金融の手段

 以上で、漠然と保証人システムを把握したと思う。では、消費者金融業者の常套手段を述べたい。具体的な事例を示す。

 

一、当事者関係

X…サラ金業者

A…主債務者

Y保証人

二、事例

@AXから金を借り、その返済用に最大1000万円の手形をきった。

これは一定期間ごとに期限の来る手形をきることにより、債務を返済しようとするものである。

AAは金を借りる際、手形で不渡りを出したら直ちに返済しなければならないという特約を結んだ(=「期限の利益を失う」)

Bまた、Aが金を借りるにあたり、Yを保証人につけた。(XYの、AX間の債務保証契約)

CAは結局不渡りを出した。よってXは直ちに全債務を回収しようとしたが、Aは弁済能力がなかった。そこでXはBの連帯根保障契約に基づき、Yから回収しようとした。

【上記Bについて】

該当保障契約を結ぶに当たり

BAYに500万円の保証人になるよう、懇願。

C契約当日、金額が550万円に変更になったがこれを了承。

D契約段階になって、契約書の金額が1000万であったことにYは疑問を持った。これに対しxは「550万円分の保証契約である」と偽った。これが1000万円の根保証契約であった。

EYは根保証と保証の違いを理解していなかった。

FYはその契約書に署名押印した。

E 結局、Aは、当初Yに言った550万円の手形は支払えたが、それ以外の手形で不渡りを出した。

F     Yは、すでにAが550万円を支払済みだったため、もう自分に責任はないと考えていた。

この事例のように、主債務者から「迷惑をかけないから」といわれ、消費者金融の営業マンから「形式的なものですから」といわれて、何気に判子をついたら実は莫大な債務を負っていたというケースが問題となっている。

このケースでは、偶然にも保証人が契約のとき、営業マンに根保証の意味をといただし、誤魔化されるということがあったために、詐欺取り消しが可能であるとの判決が出たが、そのような事情がない場合、保証人は騙されたという主張を立証しづらいのが現実である。

(2)   追い貸し

上の例で、1000万円を極度額の根保証を結んでいるとき、A300万円支払えず破綻したとしよう。当然、Y300万円の保証をせねばならないし、Xは直ちにYに請求するべきである。しかし、消費者金融のXはここでAにさらに300万貸し付ける。すると、当面はAは破綻せずにすむ。しかし借金は600万円になる。またAが破綻する、さらに貸し付ける・・・と繰り返し、1000万円まで強引に貸し付けるのだ。そうして最終的にはAは極度額の借金を背負って破綻し、Yは最高額を請求されるわけである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3章 法的対策

2章で述べた諸問題に対し、国はどのような対策を行ってきたのか、またその評価を述べたい。

1、法整備の過程

消費者金融に対する法規制の過程を簡単に述べる。

割賦販売法

1961

割賦形式の多様化や市場の拡大に伴い、定期的に改正が行われ消費者保護の色合いが強くなった。クーリングオフ制度や抗弁権の接続、過剰与信の防止などを規定。

貸金業規制法

1983

制定時は主に消費者金融業の規制を主目的としたが、それ以外の貸金業務全般にも関わる法律。資金需要者保護の観点から営業、回収行為の全般にわたる規制が設けられている。金融規制緩和環境への変化に法律が追いついていない実態が残っている。

利息制限法

1954

民事法として貸出金額別金利の上限と遅延損害金の上限を設定。その制限を越える金利については「任意の支払い」であれば有効とされている。

出資法

1954

不特定多数からの預かり金の禁止、刑事罰としての金利上限規制を規定している。日本の金利体系は民事規定としての利息制限法と、刑事規定としての出資法により法的枠組みが作られている。

ノンバンク社債法

1999

同法に基づき特定金融会社登録を行ったノンバンクは、貸金のための資金調達として社債・CPを発行することができる。資本金制限、開示義務などが条件となる。

サービサー法

2000

一定の条件に基づき設立されたサービサー(債権回収会社)は、一定の条件に基づいた金銭債権の回収を行うことができる。2001年対象債権拡大の法改正が行われた。

消費者契約法

2001

消費者契約全般にわたる法律。契約において消費者が一方的に不利な契約を防止するため、情報開示義務や契約項目の無効などが規定されている。

破産法

 

日本の破産法は個人破産を想定していなかったが、運用解釈の拡大により1983年から個人による自己破産が増加した。このため、個人のための破産制度のあり方について見直しが検討され、個人版民事再生手続きなどが施行されている。

民事再生手続き

2000

民事再生手続きは事業者の再建手続きとして施行されたが、改正により2001年4月から個人債務の再生手続きが追加された。支払い能力を考慮し一定の債務を弁済することで残りの債務の免責を受けることができる。

債権の流動化に関わる各法律

リース・クレジット債権流動化法、資産流動化法、債権譲渡特例法により、債権を流動化する法的枠組みの整備がされた。資金調達手段の多様化につながっている。

(日本金融信用社HP:http://www.financenews.co.jp/c/siryou.htmlより引用)

 

2、現行の利息制限について

A 

利息制限について

一、利息制限に関する現状

制限金利について「まだまだ規制が甘い。ガンガン引き下げるべきだ」という意見がある。このことには我々も賛成だ。まだ現在の日本の規制金利は甘すぎるとはいえ、もう少し引き下げるべきといえよう。そのことをふまえた上で、「では、何故金利を簡単に引き下げないのか?」という問題を考えてみたい。さらに言えば、国会で利息制限をする際、何が考慮されるべきか」という点もだ。国会議員を責めるばかりでなく、少し客観的に考えてみたいと思います。

 

二、利息制限の必要性

日本では法体系上、「私的自治の原則」を取っている。このことから、民法の大原則「契約自由の原則」が導き出される。つまり、価格などについては市場における自由取引で価格が決定されるべきで、物価統制令などの戦時中の非常事態などの例外を除いて国家が介入すべきではないとする方針である。一方で、現在、日本では利息制限法、出資法などで、金融業者の貸付金利が制限されている。

利息も私人間の契約によって決められるべきである。どうして利息のみ、国家が法律によって介入するのか?これは、一般の私的自治にしておくと、金は一般に借りるほうが困窮しているから、一方に不当に不利益な不平等な契約を結ぶことになるのは容易に予測できる。そのため、一般の私的自治に任せておくことは不適当であるからであると説明される。

 

三、利息制限の問題点

消費者金融問題の争点の一つは、消費者金融の利息の高さだった。そのため、「制限利息をさげろ」という主張が見られる。しかし、金利を統制することにより真っ先に資金繰りが苦しくなるのは最も資金を必要としている社会の最下層者である。一般の消費者金融業者が困窮する彼らを見捨てたとき、彼らは闇金に走らざるを得なくなる。そうなった時、現在以上に国家による統制が難しくなるのは明らかだろう。
 この点については、警察が管理を厳しくすればいいという意見がある。しかし、戦前の国家総動員体制下での経済統制はヤミ市で裏切られた。軍事態勢下でさえこうなのだ。いわんや現在、権力による強力な経済統制ができるわけがない。
 そのように考えると、問題になるのは上限金利である。むやみに高くすれば先に述べた社会の混乱を招き、かといって低すぎれば立法の意味はない。適当なイン利にする必要がある。

ここで生じる問題は相場の変動である。金利は経済状況によって大きく変わりうるものである。イタリアなどは1年のうちに20倍も変動したこともあった。わが国がそれほどひどい経済変動にまみれることはないとは思うが、あくまでも経済は水物だということは覚えておかねばならない。

 

B 利息制限の現状(利息に関するグレーゾーン)

一、金利規制の現状

日本の金融利息を複雑にしているのが「利息のグレーゾーン」である。

利息制限法

(利息の最高限)
第一条  金銭を目的とする消費貸借上の利息の契約は、その利息が左の利率により計算した金額をこえるときは、その超過部分につき無効とする。
   元本が十万円未満の場合          年二割
元本が十万円以上百万円未満の場合     年一割八分
元本が百万円以上の場合          年一割五分
 2  債務者は、前項の超過部分を任意に支払つたときは、同項の規定にかかわらず、その返還を請求することができない。

(利息の天引)
第二条  利息を天引した場合において、天引額が債務者の受領額を元本として前条第一項に規定する利率により計算した金額をこえるときは、その超過部分は、元本の支払に充てたものとみなす

出資法

(高金利の処罰)
第五条  金銭の貸付けを行う者が、年百九・五パーセント(二月二十九日を含む一年については年百九・八パーセントとし、一日当たりについては〇・三パーセントとする。)を超える割合による利息(債務の不履行について予定される賠償額を含む。以下同じ。)の契約をし、又はこれを超える割合による利息を受領したときは、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
 2  前項の規定にかかわらず、金銭の貸付けを行う者が業として金銭の貸付けを行う場合において、年二十九・二パーセント(二月二十九日を含む一年については年二十九・二八パーセントとし、一日当たりについては〇・〇八パーセントとする。)を超える割合による利息の契約をし、又はこれを超える割合による利息を受領したときは、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
 3  前二項の規定の適用については、貸付けの期間が十五日未満であるときは、これを十五日として利息を計算するものとする。
 4  第一項及び第二項の規定の適用については、利息を天引する方法による金銭の貸付けにあつては、その交付額を元本額として利息を計算するものとする。
 5  一年分に満たない利息を元本に組み入れる契約がある場合においては、元利金のうち当初の元本を超える金額を利息とみなして第一項及び第二項の規定を適用する。
 6  金銭の貸付けを行う者がその貸付けに関し受ける金銭は、礼金、割引料、手数料、調査料その他何らの名義をもつてするを問わず、利息とみなして第一項及び第二項の規定を適用する。

 

上記参考条文をみてわかるように、日本の金融業者に利息制限をかける法律は2つある。

1.民事的に消費貸借契約を無効にする…利息制限法

2.刑事的に刑罰をもって抑止する  …出資法

出資法と利息制限法の規定する禁止金利が異なっているため、一方の法律には引っかかるがもう一方の法律には引っかからないゾーンが存在する。それがグレーゾーンである。

例:元本が10万円の場合                     

金利(年)

利息制限法

出資法

 

 

違法

29.20%

違法

 

グレーゾーン

利息無効

適法

20%

 

 

 

適法

 

上の表を見てほしい。金利が20%〜29.2%の間では、債務者は利息制限法に基づき契約の超過利息分を無効にすることはできるが、金融業者は出資法の刑事処罰の対象とはならないため、警察に訴えることはできない。これがグレーゾーンである。

 

二、グレーゾーンの意義

 グレーゾーンが存在するのは無駄に金利制限をわかりにくくしているという論がある。しかしそのような論は早計である。

(1)   出資法の制限利息

 そもそも出資法の利息制限の目的は何か。それは不当に高利な貸付によって暴利をむさぼることを刑事的に抑制するということだ。しかしこの法律は、「一定以上の金利をとったら刑事罰を受けうる」という、きわめて萎縮効果の強いものである。仮にこの制限利息が極めて低いものだったとしよう。当然、禁輸業者は利息制限ギリギリの金利で貸付をしようとするが、金利計算に手数料なども含めるため、債務者が返済遅延などしようものならすぐ制限利息をオーバーしかねない。かといって、「返済が遅れると遅延損害金免除」というのもおかしなものだ。よって金融業者は危ない橋を渡らないよう、本当に困窮した中小企業に貸さないようになる。それでは金融の意味がないのだ。以上のような考えから、出資法の制限利息は不合理と考えられる利息から相応のゆとりをもった利息が設定されている。

(2)   利息制限法の制限利息

 では、利息制限法の利息制限の目的はなにか。これは、不合理な利息に苦しむ債務者の救済にある。そのため、不合理な貸付を受けたものに対し、その利息を合理的な金利にまで引き下げるという効果をもつ。この効果は、金融業者に対しては損失が少ないため、萎縮効果はきわめて小さい。よって、この規制は不合理と考えられるぎりぎりの線までさげることができる。

 

(3)   グレーゾーンの意義

 以上のような考えから、グレーゾーンの存在が正当化される。すなわち、利息制限法の金利をさらに下げろという議論は成立するが、深慮なくむやみに「金利を下げろ」というのは危険であることも意味する。

 

三、結局、金利問題はどうあるべきか

最初にも述べたように、我々も制限利息は引き下げるべきだと考える。しかし、制限金利を法律で定めるには、その適正な値を見極めなければならず、その適正値は物価によって変動するため、若干ゆとりを持たせないと変動への対応が難しい。よって、我々の出した結論は、制限金利を行政に一任することだ。つまり、行政側で毎年の制限金利を示すことで、柔軟な対応を可能にし、厳しい制限を加えることができる。また、法律と違って容易に帰られるため、試験的に厳しい制限をかけることも可能だ。

実は出資法、利息制限法を改正したときにもこの案はあった。しかし、厳密な理由はないようだが、おそらく本音としては、当時消費者金融問題がピークで、国会として明確な姿勢を国民に示したいという理由で却下されたようだ。しかし、実際にはこの姿勢が一番現実的かつ効果的ではないだろうか。

 

 

C 現状と問題

消費者金融各社の金利表をみてみると、たいていがグレーゾーンの最大値付近を設定している(参考資料)。このことは、利息制限法にあたり明らかな違法行為といえる。また当然に債務者はその利息制限以上の金利を拒否できる。にもかかわらず、それをするものはほとんどなく、破綻してから弁護士にそのことを聞く人がほとんどだろう。利用者が無知であるがために、無駄な弁済をしてしまうことが多いことに問題がある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4章          問題の解決と対策

1.過剰広告問題

 過剰広告の問題について、「サラ金業者の広告を一切取りやめるべきだ」との主張がある。確かに、広告で「安易に借りられる」と打ち出すがために多重債務者が増加しているという現状がある。

しかし、広告活動を全面禁止するのは少しやりすぎではないか。消費者金融自身にも営業活動の自由は認められるべきだし、また、広告をだして業界間で競争することによってサービスの向上が図られる。現に、アコムがはじめた携帯電話での情報提供サービスはそのひとつだろう。また、消費者金融がテレビ業界のスポンサーになりすぎて消費者金融問題が報道されるのが遅れたことについては、確かに問題ではあるが、その責任の所在はマスコミのモラル、報道精神に求められるべきだし、消費者金融がテレビ局への介入を規制されるべきなら問題を起こしうるすべての業界がテレビ局のスポンサーになることを拒否されるべきだろう。たとえば雪印や西友のような。

とはいえ、広告を無制限に許容することは、社会通念上好ましくない。加えて、多重債務への引き金になっていることも事実である。よって、この問題への対応は、広告内容への制限とするべきであろう。後でも述べるが、多重債務者が救済されなかったり、保証人問題が発生する原因のひとつは消費者自身の無知、さらに言えば情報不足である。よって具体的には、広告のうち一定時間は一定以上の大きさで金利を示さねばならない、何本かに1つは多重債務への警告でなければならない、とするのが妥当ではないだろうか。

 

2、多重債務問題

「多重債務問題」は、サラ金問題の中心ともいうべきものだが、その解決方法は多岐にわたる。

一、弁護士に相談。弁護士を介しての債務整理(任意整理)

債務者自ら、債務を果たせるように返済プランを練り直す方法である。手段としては「債権者と相談して、債務の一本化(金利を下げられる)」「利息制限法に基づく利息の再計算」などがある。また、貸し金業規正法に関する金融庁の事務ガイドラインに基づき、弁護士から債務者に債務整理を始めた通知が行くと、以降、債務者本人への債務履行請求ができなくなるので、生活の平穏がたもたれるという副次的な効果もある。いずれにせよ、本来これらは弁護士を介入させなくてもできるはずなのだが、現実問題として弁護士が直接サラ金に通知を出さない限り、債務者本人が請求しても取り合ってもらえないだろう。

二、簡易裁判所の調停

簡易裁判所が仲介役となって債務者と債権者の合意を取り付ける。債権者自身、または債務者が裁判所に訴えることで始まる。一応調停は、債権者の合意が得られないと和解できないが、債務者としてもとりはぐれたくはないので効果的といえるかもしれない。

しかし、現実問題として、債務者自身が弁護士の説明もなく、簡易裁判所に訴えを起こすことができるかどうか、疑問が残る。

三、個人再生手続き

負債総額が、住宅ローン、担保付債権の見込み回収額、罰金などを除いて3000万以下で、かつ、将来にわたり一定の収入を得られる見込みのある個人に対し、債権者に債権の一部放棄を命じる制度。裁判所に対し、債務者が債務のうちの一定額の返済プランを裁判所に提出し、裁判所が認可し、かつ、債権者がそのプランを完全に実行すれば、もとの債務すべてをなくす制度である。

 この制度の特色は、自己破産と違い自分の財産をすべて失わなくてすむことである。つまり、今の家に住み続けることができるという点でメリットがある。また、っ返済プランであるという点で、破綻を意味する破産と違うので、保証人に債務保証義務が生じないというメリットもある。

 ただし、この法律も「一定の収入見込みのある」債務者というのがネックになっているだろう。

四、自己破産

裁判所に申し立て、破産を認定してもらう。その上で債務の免責決定をしてもらうと生活用品を除き、自分の財産はすべて債務者に配分される。その上で一切の債務は免除になる。一度破産するとその先10年はもう一度破産できなくなるし、個人信用協会に10年くらい記録が残り、ローンが組めなくなる。また、郵便物などが管財人に管理される。公的なデメリットはそれくらいであるし、企業は破産したからといってその人を解雇してはいけないことになっている。とまぁ、公的には十分な保護がされている。

 

A ・ 低利一本化

 

        容

 高金利で何社からも借りている多重多額債務を、低金利の一社に借り替える方法。

プ ラ ス 面

●低金利になるため毎月の返済額と完済期間がそれなりに軽減、短縮する。
●毎月の返済先が一社で済むため精神的にも楽になる。

マイナス面

担保が必要不可欠。
●審査期間が長い

備考・注意

 「 無担保による低利一本化 」などという甘い話に実体はなく、現実には100%有りえない。悪質業者の餌食にならぬよう呉々も注意を

 

B ・ 任意整理

 

        容

 利息を全てカットし残元本だけを2〜4年間で分割返済し完済とする方法。その上、利息制限法(年利・元本10〜100万円未満=18%、100万円以上=15%)より多く払い過ぎてきた利息過払分は元本返済とみなし残元本から差し引くことも可能。ちなみに、利息制限法には違反しても罰則規定がないため、 サラ金業者などは全て制限をかなりオーバーし貸し付けているのが現状である。

プ ラ ス 面

●利息をカットする上、利息の過払分を残元本より差し引くことから、毎月の返済額と完済期間が以前より大幅に軽減、短縮する。
●債権者からの請求は即座に止まるし、何社にも及んだ毎月の支払業務を他に依頼することも出来るので、以前とは精神的に天国と地獄の差がある。

マイナス面

●いわゆる、ブラック扱いとなり3〜4年間位(当会データによる)は借入や信販カードでの買物はできなくなる。

備考・注意

●保証人、家族、会社などに迷惑をかけたり、知られることはない。
●低金利の借入先には従来通り払い続け、高金利の借入先だけを任意整理するという虫のいい話は通用しない。

 

C ・ 自己破産

 

        容

 現在ある全ての借金の返済が免除される法的措置。

プ ラ ス 面

●借金地獄から完全に脱出でき、本当の意味での経済的更生が計れる。
●自己破産は、自殺や夜逃げを回避できる特効薬。その結果、以後の人生においては、一国民として経済社会に健全なる貢献をもたらす制度、と言っても過言ではない。

マイナス面

●任意整理と同様、ブラックとなる。
●借用証に保証人である本人が署名、捺印している場合のみ、債権者から保証人へ請求がいく。
●例えば弁護士、会社役員など「就けない職業」が若干ある。ただ、一生就けないということではなく、破産には「免責」なる制度があり、破産宣告をした時点から半年〜1年位の短期間に過ぎない。

備考・注意

●破産制度は破産者に烙印を押すものではなく、再出発のチャンスを与える救済制度である。したがって、破産によって、生活に支障を来すのでは意味がなく、不利益になることは殆どない。
●戸籍謄本や住民票に載る、選挙権がなくなる、パスポートが取れない、保証人以外の人に情報が漏れる、等々という事はない。
●破産すると財産がある場合には差押えられる。しかし、生活や仕事に欠くことの出来ない物は差押えを禁止しているし、破産宣告をした以降にできた財産も同様である。だから、破産宣告をした直後に、仮に宝くじで1億円が当たったとしても、一円たりとも差押えや没収をされることはない。
●給料に限っては、その25%が差押えの対象となる場合がある。しかし、差押えが可能な期間は、前期の「就けない職業」と同様、半年〜1年位の短期間に過ぎない。しかも、差押え対象の金額をさらに債権者の全社で分け合うことになるため、1社あたりの回収金額は本当に微々たるものである。その反面、債権者側は予納金を支払わなくてはならない上、手続きも大変である。だから、債権者は裁判所に「差押えの申立て」をしないのが現状のようである。その結果、裁判所からは会社に何の通知も行くことなく、破産した事実は会社にも分からないケースが殆どである(当会データによる)。
●仮に会社に破産の事実が分かってしまったとしても、会社は破産を理由に解雇することは出来ない。

借金苦悩者の自殺をなくすネットワークHPhttp://www.toratac.gr.jp/sarai/q-a.htm)より

 

これらの手段により、債務者は救われることができる。また、弁護士もそれを勧めている。しかし、これらの制度が利用されにくいのはなぜか。1つには情報不足である。つまり、債務者自身が自分がどうすればいいのかわからないのだ。弁護士はそのことを踏まえて、「多重債務者はまず弁護士に相談を」と訴える。しかしここで弁護士が見落として(もしくは故意に気づかぬ不利をしているのか)いることがある。それは弁護士費用が高いことである。債務者にしてみれば「弁護士のところに言って『債務はどうもならんよ』とかいわれて、おまけにえらい金取られたんじゃ、返せる借金も返せねぇや」という思いがあるのだ。

次の資料を見てほしい。悪徳弁護士の例もあるので確かなことはいえない。しかし、700万円の債務があり破産しようとしている人間にさらに「着手金」として30万を「正当に」請求するのは明らかに酷だと思うが、いかがだろうか。

 

資料:いずれも「弁護士の事件処理事例集」による(http://www.asahi-net.or.jp/~zi3h-kwrz/law2.html

 

質問
私は4月にある弁護士を介して自己破産を申し立てました。審尋も無事に済み、後は官報に掲載されるのを待っています。
債権者は18社、負債総額はおおよそ700万円です。着手金30万で、報酬は負債総額の17%程度と言われ、計算してもらったところ、着手金と報酬で110万円前後とのことでした。
現在、毎月6万円を依頼した月から13ヶ月欠かさず振り込んできました。最初に2万円も入れています。従って現在までに80万円を入れていることになります。
問題は、依頼した弁護士が本年初めに亡くなり、途中から現在の弁護士に引き継がれたことです。この法律事務所からは、「これまでの実行金はそのまま生かすので心配ない」、と言われました。今回報酬基準を初めて知り、私の弁護士費用は高すぎるのではないか?との疑問を抱きました。

回答
自己破産
の申立て手続きを依頼した場合の弁護士費用について、現在、下記の2つの基準があります。

*弁護士会の報酬規定(ほぼ全国共通)
弁護士会の報酬規定27条によると、着手金は20万円以上(1項)と決められていますから、30万円の着手金は妥当です。報酬は得た利益を基に通常通り計算します(2項)ので、免責決定で700万円の免除利益を得れば標準報酬は88万円です。着手金と報酬の合計は118万円前後になります。

*東京の弁護士会のクレジット・サラ金の法律センターの基準
東京の弁護士会が共同して開いているクレジット・サラ金の法律センターの基準では、着手金は30万円(債務総額1000万円以内、債権者数16社以上)、報酬は同額ですから、合計は約60万円です。


上記東京のクレジット・サラ金相談の基準は、主に地方の弁護士会から「安すぎる」との反対があり、日本全体の基準とはなっていません。 2つの基準は、約2倍の開きがありますが、料金格差が2倍である場合、高い方が不当か否かは、議論が別れるところでしょう。
わが国ではデパートの商品が高いことは周知の事実です。法律事務所が家賃の高い立派なビルに入っているとか、弁護士の能力が料金に影響するでしょう。
従って、あなたの依頼している弁護士の請求額は、弁護士会の現在の報酬規定からは高過ぎるとは言えません。しかし、我々は、クレジット・サラ金センターの基準に慣れていますので、「高過ぎる」との印象を受けました。

 

債務額1000万円以内

債権者10社以内

20万円

債権者15社以内

25万円

債権者16社以上

30万円

 

 

 

債務額1000万円を超え3000万円以内

40万円

債務額3000万円超

50万円


原則として分割払いの相談に応じることになっています。
東京弁護士会、第一東京弁護士会、第二東京弁護士会では、クレジット・サラ金法律相談センターの基準として、上記報酬基準(安いことは確かです)を認めていますが、日本弁護士連合会では未だ認めていません。地方の弁護士会が「この報酬基準は安過ぎる」と主張しているからです。面白い現象です。

 

3、保証人問題

 もちろん、サラ金業者が騙すから悪いのだが、保証人問題の根底には「消費者の無知」がある。高額の金銭が関わる場合には自分が結ぶ契約の中身くらいはしっかりと確認するべきである。

 また、保証人の性質もよく理解するべきだ。例えば「保証人には求償権がある」「連帯保証人には催告・検索の抗弁権は認められない」というあたりは理解されていないようだ。

 ここで言う「求償権」とは、保証人(2章の3におけるY、以下同じ)が主たる債務者(A)に対して、弁済額全部について請求できる権利のことである。

 また、「催告の抗弁権」とは「まずは主たる債務者に請求せよ」と抗弁する権利であり、「検索の抗弁権」とは「まず主たる債務者の財産を執行せよ」と抗弁する権利である。これらの抗弁権を失うということは、債権者(X)が主たる債務者(A)より保証人(Y)に先に請求しても、保証人(Y)は主たる債務者(A)に請求せよとの文句が言えなくなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5章          結論

 消費者金融問題が発生した当時、その被害者は社会から「自分が馬鹿だから被害を受けた」と冷たい扱いを受けた。社会は一切救済しなかった。しかし弁護士らの努力や社会運動の高まりによって、彼らは被害者であるとの認識の元に、法改正、救済団体の発足など、消費者自身を救済する組織ができた。これらはまだまだ未熟な点もあるだろうが、その機能などの点から一応の評価はできると思う。

 そこをふまえて、今後すべきことは何か?今すべきことは、もう一度「消費者自身の責任」を問い直すことではないだろうか?とはいえ被害者を責めよと言うのではない。今までの消費者金融問題対策は主に「被害者をどう救済するか?」であった。そろそろ「被害者を出さないにはどうするか」にも重きを置いていいのではないかと主張したい。その主たるものは教育である。以下、順に述べていこう。

1、  立法府に求められること

今、国家に求められるのは何か。確かに、弁護士が求めるような制限金利の低下も必要だろう。しかし、今これ以上もとめるべきは次のことではないだろうか。

@     制限金利の柔軟化…金利制限を具体的に法律で定めている以上、大幅な金利の引き下げには相応の代価が必要になると考えられるし、経済政策に支障をきたす。よって、制限金利を行政権限に移すべきではないか。

A     取立て規制の強化…今、立法が不足しているのはこれだと思う。現在、取立ての制限には漠然とした文言しかない。これが、不法な取立てに対する警察の介入を妨げている。暴力的な取立てへの対策には警察権力が必要である。それをたすける立法が求められる。

2、  行政にもとめられること

以前、金融業は届出性だった。それが法改正によって登録制になった。そこまで世話をするようになった以上、行政が主体となった消費者金融問題解決の仲介を担ってもいいのではないか。司法分野を介入させると、必然的に厳密な手続きが必要になるし、時間、費用もかかる。それよりは、行政が仲介して債権者の訴えを債務者に伝え、こじれた場合に限り事件を司法府に送るという制度を作ってもいいのではないか、そう考える。

 加えて、残念ながら、消費者金融問題の大きな原因は消費者自身の無知にある。その広報も拡充させてほしい。具体的には、役所へパンフレットを置くだけではなく、各戸へのパンフレットの配布など、積極的な広報に乗り出してほしいものだ。

3、消費者自身に求められること

 あえて厳しい言い方をするなら、弁護士や被害者協会とも消費者金融問題への一応のフォローを用意している。しかし、消費者がその存在自体をしらないがために生かしきれていないというのが現実ではないだろうか。消費者自身には自分の行動への責任がある。自分の行動の結果を予測できるよう、社会問題の把握に努力するべきだといえよう。