声明

開かれた大学改革を求める会 

代表 西川直子

2004年2月20日



 昨2月19日、東京都議会文教委員会において、私たち「開かれた大学改革を求める会」が関与した請願・陳情計3件が審議され、次のような結果をみました。

1.請願 15第87号 11月26日提出 落合守和他9名 紹介議員 長橋桂一
願意
これまでに培われた都立4大学の教育研究上の蓄積は、都民の共有財産であるので、都は、これらをいかした大学づくりをしてください。
結果 保留

2.陳情 15第88号 12月12日提出 荻野綱男他13名
願意
 次のことを実現していただきたい。
1 都立新大学の構想について、現在都立4大学とその大学院に在籍、在職する学生・大学院生及び教職員に対し、大学管理本部が各大学において直接説明する場を設けること。
2 東京都の新大学構想の中身を検討する教学準備委員会等の議事録を作成し、関係者に公表すること。
結果 不採択
 採択に賛成:曽根はじめ(日本共産党)、福士敬子(自治市民'93)、山口文江(生活者ネットワーク)
 採択に賛成しない:石川芳昭(公明党)、臼井孝(自由民主党)、遠藤衛(自由民主党)、大塚隆朗(民主党)、野上じゅん子(公明党)、松原忠義(自由民主党)、村上英子(自由民主党)、山下太郎(民主党)、山本賢太郎(自由民主党)、樺山たかし(自由民主党)

3.陳情 15第89号 12月12日提出 開かれた大学改革を求める会(代表:西川直子)
     賛同署名として、第1回集計21,278筆、第2回集計8,387筆、計29,665筆を添付
願意
 次のことを実現していただきたい。
1 新大学に関して、大学管理本部が平成15年8月1日以降に発表した構想を見直し、その非民主的な準備態勢を改めた上で、都立4大学のすべての構成員と開かれた協議を行うこと。
2 新大学への移行に先立ち、新大学設立以前に都立4大学に在籍する全学生の学習権を十全に保障することを確約し、その具体的な方策を提示すること。
結果 不採択
 採択に賛成:曽根はじめ(日本共産党)、福士敬子(自治市民'93)、山口文江(生活者ネットワーク)
 採択に賛成しない:石川芳昭(公明党)、臼井孝(自由民主党)、遠藤衛(自由民主党)、大塚隆朗(民主党)、野上じゅん子(公明党)、松原忠義(自由民主党)、村上英子(自由民主党)、山下太郎(民主党)、山本賢太郎(自由民主党)、樺山たかし(自由民主党)



 上記結果について、「開かれた大学改革を求める会」より意見を申し上げます。

【1】多くの方にご賛同いただける当然の内容と考えて提出した請願・陳情がこのように意外にも採択保留及び不採択となった結果はきわめて遺憾です。採択を選ばれなかった議員の方々には、行政をチェックするという議員としての基本的な任務を自覚していただき、大学管理本部からの情報を鵜呑みにするのではなく多くの声に耳を傾け、都民の代表としての見識を示していただきたかったと存じます。

【2】私たちの願意を改めて簡潔にまとめ、これに同意されないことの意味を問わせていただきたいと存じます。
1) 新しい大学を作るにあたり、これまでの4大学の教育・研究上の蓄積を無にしないでいただきたい。
☆ 4大学のうち一番古い都立大学でも半世紀の歴史ではありますが、教育・研究の双方にわたって高い評価を得てきました。都民のみならず国民の共有財産としてのこのような伝統を軽んじては本当に新しいものなど生まれないという点は、議員の皆様もご承知かと存じます。今回は採択保留となりましたが、引き続きよくご検討ください。

2) 学生・院生、教職員に大学管理本部は直接説明をするべきである。
☆ これまで、学生・院生、あるいは教員、学外の方々等から多くの質問書が大学管理本部に送られていますが、それに対して管理本部はまともに答えていません。
 ほんの一例を挙げるなら、都立大学人文学部5文学専攻教員は8月1日に発表された新大学案について、これが現在在籍する学生にどのような影響があるのか説明できないため、後期授業が本格的に開始する前の2003年9月24日、10月1日、10月7日の3度にわたり5項目の質問を送付していますが、管理本部はこれをいっさい無視しました。その一方で文教委員会では、学生の間に不安がわき起こっている原因は都立大教員が説明をしていないからだ、というような答弁によって責任転嫁を謀っています。いまだに教員ですら情報を得られず理解していない今後の推移について学生に向けて説明せよとは、納得できません。
 大学管理本部は、改革案の基本を学生・大学院生・教職員に直接説明し、多くの疑問に答え、また教育現場にいる学生たちの意見に謙虚に耳を傾けるべきと考えます。

3) 教学準備委員会は議事録を作成し、必要な場合にはそれを公開するべきである。
☆ 教学準備委員会における議論が都民にとって本当に実りあるものとなるため、そして未来に向けて責任ある検討が行なわれるために、議事録が作成されて、それが必要に応じて公開されるべきと考えます。

4) 大学管理本部は民主的な手続きを踏んで、新大学においても教育・研究を担ってゆくはずの多くの現構成員との協議のうえに計画を進めていただきたい。
☆ 大学側との協議を拒否しまともに審議を行なわず強引に新大学設立に向かう大学管理本部の手続きは適切である、あるいはまた、新大学設立のために都立4大学の現構成員の意見を採り入れる必要はない、そのようにお考えであるなら、その認識は都民の代表にふさわしくないと考えます。

5) 現在都立4大学に在籍している学生・大学院生の教育権は十全に保障されてしかるべきである。
☆ 私たちにとってもっとも重要な案件です。大学管理本部はこの間、現在在籍している学生に対する教育保障を謳い、現都立大に関しては2010年度までの存続案を提示しています。しかし、他方で新大学では教育・研究組織が大幅に変わることになっており、存続する旧大学において現在の教育水準を保ちうる具体的な方策を示さないかぎり、なんの保障にもなりません。現に学生の間ではいまやすでに実害が出ている、との認識が広まっており、都立大学の学生諸団体よりなる「学生・院生連絡会議」は2004年2月9日付で2,137名の署名を集めて次のようなアピールで不安を表わしています。
《わたしたち東京都立大学に在籍する学生・大学院生は、入学時に約束された学習・研究環境を大きく損ねつつある東京都による「大学改革」の進め方に対して抗議します。
 そして東京都に対して、現在の進め方を改めるとともに、わたしたちの学習・研究環境の保障について直接説明を行い、またわたしたちの意見が十分に反映された改革を行うことを求めます。》
 このように切実な訴えを無視する訳にはゆかないと考えます。そこまで現在在学する学生・大学院生に敵対してみせる都会議員の資質を疑います。

 以上の諸点について私たちは、採択に賛同されなかった、石川芳昭(公明党)、臼井孝(自由民主党)、遠藤衛(自由民主党)、大塚隆朗(民主党)、野上じゅん子(公明党)、松原忠義(自由民主党)、村上英子(自由民主党)、山下太郎(民主党)、山本賢太郎(自由民主党)、樺山たかし(自由民主党)の各議員にご意見を伺いたいと思います。

【3】私たちが進めてまいりました運動に対しては、ご署名をいただいた約3万名に達する方々をはじめとして、これまで多くのご支援・お励ましの声をいただいております。ここに改めてお礼申し上げます。
 文教委員会でのこのたびの請願・陳情の扱いは断じて得心できないものです。しかし陳情不採択という事実をもって大学管理本部による「大学破壊」が認められたとは考えません。また、本年1月21日付「都立4大学教員声明」、1月27日付東京都立大学評議会見解「新大学の教育課程編成等に係る責任と権限について」をはじめとして、大学管理本部の横暴な遣り口に対して大学内から抗議の声が顕在化しつつあることに、私たち「開かれた大学改革を求める会」の活動も一助をなしえたのではないかと密かに自負しております。
 私たちは今後とも、都民、都庁、都議会、文科省等への働きかけを続けてゆきます。どうかご支援をよろしくお願い申し上げます。