必要のない文書で学部がつぶされる
2月27日衆議院文部科学委員会・質疑記録

最終更新日:2004年3月5日

 さる2月27日に衆議院文部科学委員会が行われ、都立の大学の問題が取り上げられました。

 委員会では主に、

についての、質疑がおこなわれました。
 意思確認書については、河村文部科学大臣が「そういうものを文科省が求めたということはない。」と答弁しました。しかし、協議体制については「教学準備委員会を設けて、外部の有識者を含め、それに都立大学の各学部長や都立3大学の学長を委員として検討を進めていると聞く」と答弁しました。
 しかし、教学準備委員会は「私人」としての参加を強要されているのであって、「都立大学の学部長」も「3大学の学長」も参加しているとは言い難いのではないでしょうか。
 また、この意思確認書の提出が少ないことを理由として、大学管理本部長名で「当該コース及び大学院の関連する専攻の設置取り止めなど、判断を近々にせざるを得ない状況になる可能性があります」という文章が出されたことが明らかにされました。必要のない文書で専攻が設置されないということがあっていいのでしょうか?

●石井郁子(日本共産党)
 都立4大学統合・改組の問題で質問をします。
 東京都が都立大学などの大学の意思・意向を無視して、一方的に新大学構想をおしつけようとしている。その大学の自治を無視したやり方というのは、あまりにも異常なので、本委員会でとりあげざるを得ない。
 都の大学管理本部は、都立4大学教員全員に対して、新大学の就任承諾にあたっての意思確認書の提出を求めている。回答は2月23日までで、518人中297人しか就任の意思を示していなかったと。これは各新聞報道などでも大きくとりあげられているので、ご存知の通り。教員の反発が非常に大きいということを示している。この意思確認書にはこう書かれている。
 「文部科学省から、設置認可の申請にあたっては、専任予定者から早期に確実な意思確認をとり、法科大学院のような事態を二度と招くようなことのないよう対応されたいとの強い意見がありました。そこで、本申請に必要な就任承諾書提出に先立って、今回、首都大学東京への就任の意思確認を緊急に行わざるを得なくなりました。」と。
 だから、文部科学省の意見により意思確認を緊急に行わざるを得ないと書いてある。そこでうかがいます。文部科学省は、そのような意見を言ったのか。

○河村文部科学大臣
 今の指摘の点だが、東京都が4大学を統合して新大学を作ろうということで、2月10日付けで東京都大学管理本部長の名前で、4大学の現職教員に対して、首都大学東京就任承諾に関わる意思確認書を求めたということは聞いている。しかし、この求めた文書の中で、文部科学省から強い意見があって意思確認書を緊急に行わなければならなくなったという記載があったようだが、文部科学省からこのような意思確認書を要請した事実はない。そこで、文部科学省としても、2月10日に都に対して訂正を申し入れた。これを受けて東京都は12日付けで改めて正確な説明を行った。これが事実関係。

●石井郁子(日本共産党)  東京都として意思確認書の送付についての、HPに訂正文を出したと聞くが、この文章を読んでも訂正したというようにはなっていない。訂正にならない訂正だと言わざるを得ないし、教員に配られている意思確認書の性質についてということでは、内容的になんらの訂正もないと。
 そこで、文科省としては言ってないことを書かれたと、確認書提出の口実にもされていると、これは大変遺憾なことだという表明があってしかるべきだと思うがどうか。

○河村文部科学大臣
 これは、こちらがやったことでないことをそのようにされたならば遺憾だが、大学設置申請については、既存の組織をもとにして新たに大学申請すると、そういう大きな変化のない場合には教員審査を省略することができることになっている。この場合に、教員審査を省略することができるかどうか、事前に大学設置学校審議会に相談することができる仕組みになっている。この場合に、学部学科名、教員数等を記した書類を出してもらう。
 東京都によると、この事前相談をするに当たって、教員数を把握するために、各教員に意思確認を求めたものであると聞く。従って、このような事前相談にあたって教員の意思確認書を文部科学省に出していただく必要があるということはない。文部科学省はそれを求める必要はないし、出していただく必要もない。ただ必要なのは、設置認可を出していただく時に、教員の就任承諾書を出してもらうことになっている。そういう意味で、就任承諾書は必要だが、今の時点で意思確認書を求める必要はなかった。都が求めた意思確認書とというのは、就任承諾書ではないから、それと間違えられたということなのか、これは確認できていないが、訂正を求めたというのは、まさにそういうことである。

●石井郁子(日本共産党)
 確認するが、設置認可を文科省にちゃんとしなくてはならないと、その事前の相談で、こういう意思確認書は必要はないと、大臣は今、そのように答弁したのか。

○河村文部科学大臣
 確認書は必要ない。教員数を確認するために、どういう方法をとったのか知らないが、そういうものを文科省が求めたということはない。

●石井郁子(日本共産党)
 そうすると、極めて、東京都が進めているのは、異常なことを大学側に押しつけていると言わなければならない。
 もう一点確認すると、大学等の設置申請書類の作成手引きというものがあるが、それを見ると、大臣の答弁のように、専任教員は何人、新規が何人と書けば良い。これは見込み数であるということで、4月末までに出しても、また7月末までさらに追加書類として出すという形にもなると言うことだと思うが、その点も確認したい。

○河村文部科学大臣
 大学の設置認可申請の手続きの時に、教員の就任承諾書を出してもらうが、これは一緒でなくても、設置認可申請後、7月末までに追加書類として出してもらえばいい。設置認可の手続き上、今の時点で意思確認書を出してもらう必要はない。

●石井郁子(日本共産党)
 大臣に明確に答弁いただいたのでそれで良いのだが、事態は大変で、訂正を求めたと言われているが訂正になっていない。都の大学管理本部が、2月18日には、本部長名で意思確認書の提出率の教学準備委員に対して文書が出されている。読み上げると、
 「本日現在、貴委員の担当する一部のコースに配置予定の教員からの提出率が極めて低い状況にあります。このまま全体の改革を遅らせることは断じてできないため、当該コースの提出率が依然としてはかばかしくない場合は、学長予定者と相談しながら、当局として非常勤教員の確保、公募の開始、あるいは当該コース及び大学院の関連する専攻の設置取り止めなど、判断を近々にせざるを得ない状況になる可能性があります。」と。
 これだと、文科省の訂正は訂正となっていない。しかも、脅しともいえるような文書が出されて、意思確認書を早く提出せよと言っている。必要がないものをこうした形で強要している。
 あらためて文科省として、意思確認書は事前相談には必要ないと。こういう異常な事態が起こっていることについて、大臣の所見をうかがいたい。

○河村文部科学大臣
 これは、そういうものは求めていないと向こうに言っている。東京都もそれを確認したのだから、それでも問題になっている、プレッシャーがかかっていると言われれば、そういうことは考えられないこともないかもしれない。
 しかし、東京都としては新しい大学を作って教員を確保するというのは大事なことなので、なんらかの形で、教員体制を求めていく必要は、あらかじめどの位の数の人が希望するのか、そういうことなら辞めると言う人もいるかもしれないので、そうした意思の確認を、東京都のやり方でやったことについて、こちらからどうこう言える立場ではない。
 ただ、文科省からはそういうものを出す必要はないと、最終的な就任承諾書で良いですよということ。それを文科省が言ってきたと言われれば問題なので、そうではないということを正式にやったということ。

●石井郁子(日本共産党)
 やはり最初の段階で、文科省からの強い意見だという形で言ったように、文科省に都に名前だけ使われたのならば、文科省としては、きちんと東京都に対して物を言うべき。訂正を求めたとのことだが、そんな形で進んでいる状態があることをきちんと認識していただきたいというのが1点。
 それと、新大学構想を進めるに当たって、東京都の大学管理本部の独走ぶりはあまりにも目に余る、というか非道いと言わざるを得ない。つまり、大学の当事者の意向が無視されている。大学内の合意とか、意向とか、当事者の意見が無視されて進められている。こういうことが、大学の改革の進め方として良いのかという問題が出されている。
 今年の1月27日に、都立大学評議会が新大学計画に関する問題点というものを出している。
「都大学管理本部が現在進めている準備手続においては、〜、新大学は実質的には現大学のいわゆる改組・転換であるにもかかわらず、教育課程の編成等の作業が、現大学の意思決定機関である評議会・教授会の議を経ずに進められている。さらに教員組織がその教育責任を全うする上で障害となる様々な制度が、相変わらず現大学の意見も求められないまま具体化されようとしている。」
 大学をどうするかという問題で、大学にいる人たちの意見が求められることもなく進んでいるということがあると言われている。これは大学の自治を無視する深刻な事態と言わざるを得ない。大学改革の当時者が、教員であり大学関係者であるということからすると、そういう方々の意向がこのように全く反映されることなく進むということは、一体認めることができるのか。こういう大学改革で良いのかという点で、大臣の所見を聞きたい。

○河村文部科学大臣
 都立大学の再編統合の問題は、これは設置者である東京都が責任をもって進めていただくことになっている。東京都の進め方は、新大学設立本部を設けて、その下に教学準備委員会を設けて、外部の有識者を含め、それに都立大学の各学部長や都立3大学の学長を委員として検討を進めていると聞く。この中で、教員の参加を得て、具体的な教学内容などを決定していると聞いているので、その方向に則ってやっていることなので、我々としてはきちんとしたものが出てくるのを見守っているという状況にある。

●石井郁子(日本共産党)
 都の方からの情報としてはそういうことかもしれないが、私はまさに大学の当事者、都立大学の評議会・教授会からこのように問題点が述べられていると。大学の当事者の意見が聞かれていないと。しかも事柄は、教育課程、教育の研究や内容に関わる問題なので、本来、中の人の意向を無視してできない話。教育課程を決める、編成する、そういう問題についても意見が聞かれない。これは異常ではないのかということ。大臣の感想はどうか。

○河村文部科学大臣
 一方的に大学関係者も入らずにということではないと聞いている。教学準備委員会の中で作業を行い、その中には都立4大学の教員の参加を得てやっているという報告である。それについて、私の方から、とやかく言う立場にない。そういう形で進めていただき、きちんとした体制を整えて、設置をしていただくことは望ましいと思う。

●石井郁子(日本共産党)
 今の大臣の答弁だと、当然大学の関係者が入って、当事者が入って進められるものだと、進められているだろうと理解されているのだろう。これは新大学と言うが、平成22年度まで現大学は存続する。当然、存続するには、現大学の教員はその中で働くのだから、現在の大学の自治をきちんと守っていくことも当然だし、それがこれから大学改革を進める上でも前提にならなくてはいけない。お分かりのように、非常に、意見が聞いてもらえないという関係になっている。是非これは、大学関係者と都の大学管理本部ときちんと話合いがもたれると、十分な意志疎通が行われることが、改革を進める上で必要だと思うが、そういう点でも、大臣の見解を重ねて聞きたい。

○河村文部科学大臣
 先ほどもちょっと言ったように、公立大学の再編統合については、基本的に、設置者である各地方公共団体の主体性を尊重して行かなくてはならない。むしろ、それについて文部科学省がこの合併・統合は良いとか悪いとか言う方が、大変なことになると思っている。そういう意味での、文部科学省が指導を行う考えはない。
 もちろん、いろんな面で照らし合わせて、本来の在り方とものすごく逸脱するようなことがあれば、やはり、まさに教育の現場を担うということなので、意見を言わなければならないこともあるかと思うが、今の時点で、設置者である東京都がいろんな形をとって進めていることについて、私の方で、とやかくいう立場にないということを申し上げておく。

●石井郁子(日本共産党)
 それで終わると大変困る。もちろん、設置者の責任で進める部分はある。しかし問題は、前国会でも議論になったように、独立行政法人化するに当たって、やはり大学の自主性・主体性を尊重するとか、学問の自由・大学の自治を守るということは、当然前提にならなければならないということを議論した。
 だから、設置者の主体云々言う前に、文科省としてはそこの所はきちんとふまえていただかないと困る。そういう姿勢を文科省は持っていると、そういう目で見ているということを言っていただかないと困る。設置者の考えで、それはどうでも良いということにはならないはず。本来の逸脱は困ると言うが、ある面ではもう本来の逸脱が始まっているかもしれない。そういう時にどうするのか。だから、大学改革の在り方として、大学当事者の意向を尊重するとか、話し合いを大事にするとか、そのことは文科省に言っていただかなければ困る。大臣は何を恐れているのか分からないが、文科省の姿勢を聞いている。

○河村文部科学大臣
 文科省の姿勢は、公立大学の統合・改廃の問題については、設置者である東京都の意思を尊重したい。しかし、我々の受けている報告では、設置本部を作って、そこに教学準備委員会を作って、関係者、外部からも内部からも入れて進めていると聞く。
 これも一部新聞等で私も承知しているが、もともと統合にも反対だという立場から意見を言われては、統合ができないということもある。統合についての意思決定を、文科省から言う立場ではないので、この取り組みについて見守っていく。それについて、話し合えとか話し合うなとか、そういう立場にないことを理解していただきたい。立派な大学ができることを期待している。そのことは、当然いろいろ相談があれば申し上げるが、こちらから、こういう大学を作りなさいとかいう立場にないことはお分かりいただけると思う。

●石井郁子(日本共産党)
 大学改革の在り方、進め方として、異常な事態が進んでいるということを今日申し上げた。もう時間がないので、終わりたいと思うが、文科大臣は、ちゃんと大学関係者、あるいは当事者も入って、十分な話し合いが行われて事が進んでいると認識されていると考えて、私もこの推移を見ていきたいと考えている。

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