一橋大学語学研究室
東京都による「新」都立大学設置に関する要望書

最終更新日:2004年2月7日

 

東京都による「新」都立大学設置に関する要望書

東京都知事 石原慎太郎 殿
東京都大学管理本部 殿

 私たち、一橋大学で学生・院生に語学および人文科学の教育を 行っている教員の研究組織である一橋大学語学研究室は、以下のよ うな理由から、現在、東京都が都立四大学に提示している一方的な 改革計画に対し、深い憂慮を表明しその撤回を求めます。

(1) 2003年8月1日に東京都が発表した「新」大学案は、 それまでの都と都立四大学の話し合いをまったく無視した上意下達 的な決定であり、学校教育法59条ならびに東京都立大学条例第九 条第四項の明白な侵犯であることは明白です。私たちは民主主義と 大学の理念に反するこのような強権の発動を認めることはできませ ん。

(2) 東京都の「新」大学案の骨子をなす「都市教養学部」「都 市環境学部」などの新設計画は、「都市教養学部」のカリキュラム の受験産業への外注や、「単位バンク制」など、およそ高等教育の 場としての大学の理念に反する内容を含み、現行の大学設置基準を 満たすものとは考えられません。私たちはこのような質の教育を大 学教育として認めることはできません。

(3) 東京都の「新」大学案には大学院体制に関する構想が完全 に欠落しており、将来の大学構想ばかりでなく、現在大学院に在籍 する院生たちに「新」大学への安定した移行条件を示しうる内容の ものではありません。私たちはこのような改革案を大学としての社 会的責任を担いうるものと認めることはできません。

(4) 私たちがとりわけ憂慮していることは、東京都の「新」大 学案に、東京都立大学人文学部に属する語学・文学系の学科・専攻 が含まれていないことです。哲学・史学・教育学についても大幅な 縮小が計画されています。私たちは人文科学研究の一拠点として内 外から高い評価を受けてきた人文学部が、これまで挙げてきた学問 的成果、その独自の伝統がこのような形で無視され破壊されていく ことを認めることはできません。

(5) 東京都の「新」大学案は、従来の教育・研究の質を保証し てきた現行制度を否定し、在任中の全教員に対し、任期制・年俸制 を受け入れるか、今後の昇進・昇給を断念するかの二者択一を迫っ ています。私たちは教員から安定した教育・研究環境を奪う雇用・ 労働条件のこのような劣悪化を認めることはできません。

 以上の理由から、私たちは、東京都が、
・現在の「新」大学案を白紙撤回し
・在籍中の学生・院生の学ぶ権利を完全に保証し
・東京都立大学人文学部の縮小・廃止計画を見直し
・経営的視点のみにもとづく改革構想を改めて普遍的な大学の理念
に立ち帰ることを要望いたします。

2004年2月7日
一橋大学語学研究室
(室長・鵜飼哲)

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