4大学教員声明呼びかけ人会声明

最終更新日:2004年2月7日

平成16年4月13日

声明

東京都立大学人文学部助教授 川合康
東京都立大学工学研究科教授 渡辺恒雄
東京都立大学理学研究科教授 小柴共一

 私たちは、2004年1月21日に、都立4大学の教員432名(1月21日現在、2月 3日の2次集約で451名)の賛同署名を添えて、東京都に対して「都立新大学設立 のための開かれた協議体制の速やかな確立」を要求した。しかし大学管理本部は何ら 協議を行わないままに、2月には4大学の教員に対し新大学への就任意思を問う「意 思確認書」の提出を強要し、協議を行おうとする大学側の必死の働きかけにもかかわらず、事態は何ら進展を見せなかった。

 それどころか、3月8日にようやく実現した茂木俊彦東京都立大学総長と山口一久大 学管理本部長との会談の際、山口大学管理本部長が茂木総長に通告した内容は、「新 大学の構想について、現大学との対話、協議はありえない」と明言する驚くべき内容 であった。さらに翌3月9日には、西澤潤一新大学学長予定者・山口一久大学管理本 部長の連名で、あらためてその内容が文書として都立大学に示され、都立大学評議会 は即日「3月8日の総長と大学管理本部長の会見に係る評議会見解」を公表し、抗議 の意思を表明したが、同文書はいまだに撤回されていない。

 その後、3月23日に都立4大学の総長・学長と山口大学管理本部長・高橋新大学理 事長予定者との会談が開催され、それを受けた3月29日の第7回教学準備委員会で は、新大学の設立準備にあたって、今後は現大学の代表者と十分な協議を行いつつ進 めることが確認されたと伝えられている(茂木総長3月29日付文書「全学の教員の 皆さんへ2004年3月29日拡大教学準備委員会とその評価について」、茂木総長 4月2日西澤潤一学長予定者・山口一久大学管理本部長宛て意見書「第7回教学準備 委員会(2004年3月29日)の審議等に関連した意見と要望」)。

 このことが事実だとすれば、私たちが求めてきた協議体制が構築される第一歩とし て、これを評価するに吝かではない。しかし、正常な開かれた協議体制が現実に機能 するかどうかは、実はすべてこれからの問題であるし、3月29日以降の動きも含 め、この間の大学管理本部の主張と姿勢を客観的に見るならば、私たちはなお多くの 危惧を抱かざるをえない。私たちは、協議体制の確立によって、新大学の設計が現大 学構成員の多くの知恵とエネルギーを結集して進められることを切に願う立場から、 大学管理本部に対して以下の点を強く要求する。

1 3月9日付け文書の撤回について

 すでに述べたように、3月9日に都立大学に送られた西澤潤一新大学学長予定者 ・山口一久大学管理本部長の連名の文書は、「現大学との対話、協議はありえない」 ことを明言した重大な文書であり、ただちに撤回されなければならない。

現在進行中の新大学法人の設立が、都立の4大学の50年に及ぶ教育と研究資産をも とに、現職教員の移行措置によって準備されている事実がある。それにもかかわら ず、この文書は、憲法、教育基本法、さらには法人化の根拠法である地方独立行政法 人法の趣旨にも反する形で、新大学法人の設立を行うことを公言するに等しい。

特に、西澤潤一氏自身は、公立大学協会の会長として2003年10月2日に、「公 立大学法人化に関する公立大学協会見解」を発表しているが、その見解において、設 置自治体が法人化を選択する場合、「公立大学と十分な協議を行い新たな協力関係を 築いていくことを要請し」、また「教育研究の特性及びこの特性の最も重要な要素で ある自主性に常に配慮しつつ大学側と十分に協議しながら」進めることが必要との方 針を明らかにしている。西澤氏は、会長としてこの方針を堅持する立場にあるにもか かわらず、これを放棄する態度を文書で表明したことは、公立大学協会の会長として の責任放棄の言動として許されないばかりか、新大学の学長としての不適格さを自ら 示すものであり、社会から批判を受けざるをえない。さらに新しい大学の初代学長予 定者として、在籍学生をはじめ受験生やその保護者に対して、信頼を損ねる言動であ り、同時に、新大学の名誉と、そこで教育と研究に取り組む教職員の尊厳を傷つける ものである。

またこの文書では、正常な協議体制を求めて公に発言を行ってきた多くの教員に対し て、「何らかの担保がないかぎり新大学に参加すべきではない」とし、あろうことか 都立大学総長をはじめ大学執行部に対して、「混乱を招いた社会的、道義的責任を自 覚すべき」とまで述べている。私たちは、こうした4大学教員の努力と誠意を踏みに じる恫喝的な対応に対して断固抗議するとともに、このような都にとっても歴史に汚 点を残す文書がいまも撤回されないままに放置されていることに、強い警戒心をもた ざるをえない。現大学と協議体制を構築しようとするのであれば、真っ先にこの文書 の撤回がなされるべきである。

2 開かれた協議体制の実現に向けて

 3月29日の第7回教学準備委員会において、大学管理本部より教学準備委員会は 第7回をもって区切りをつけ、今後は新たな教学関係の委員会を作ることが示され、 その委員は、当日いきなり西澤座長より公表された新大学の4人の学部長予定者と、 座長とが相談して決めるという。

この教学準備委員会では、一方では現大学の代表たる総長・学長、大学管理本部長、 学長予定者、理事長予定者の十分な協議のなかで、新大学の設立準備が進められてい くことが確認されたと伝えられているが、このような新しい委員会の作り方、新学部 長の突然の公表の仕方を見ても、私たちは強い不信感をもたざるをえない。4人の学 部長予定者は、現大学の教員との公式の協議もなく、どこでどのような経緯や評価基 準によって決められたのか、大学管理本部は4大学の構成員に明らかにするべきであ る。

今後新たに作られる教学関係の委員会においては、開かれた協議体制を実現するため に、現大学の総長・学長を委員とし、各学部・研究科を代表する委員を加えることは あまりにも当然のことである。委員構成も開かれたものにすることによって、はじめ て現大学の意見が反映される協議体制が実現されるのである。

4月8日、山口一久大学管理本部長が4大学の教職員に対して配布した「各大学教職 員の皆様へ」では、「今後の進め方」について「現大学の意見は、総長・学長を通じ て必要に応じて反映する」と記している。ここに、「必要に応じて」のみ現大学の意 見を反映させようとする大学管理本部の姿勢が明確に示されており、こうした立場を とる限り開かれた協議体制は実現しない。私たちは、現段階に至ってなお、このよう な意見表明を行う大学管理本部の姿勢を厳しく批判するとともに、同文書において 「新大学への参加意思を示した人たちは、新大学の基本的な枠組みを了解したうえで 建設的に新大学の実現に取り組むことを表明したのであり、文部科学省への申請段階 で反対運動を展開するということは許されない」と記載した点についても、根本的な 理念・設計に関する批判を受け付けない強権的な姿勢を示すものとして、断じて受け 入れることはできない。

3月29日の教学準備委員会では、「都市教養学部」の名称について意見交換がなさ れ、「総合教養学部」を是とする意見が多数だったにもかかわらず、西澤座長一任と なったうえで、少数意見であった「都市教養学部」が採用された。この経緯につい て、茂木総長の意見書「第7回教学準備委員会(2004年3月29日の審議等に関 連した意見と要望」は「強い違和感」を覚えると述べているが、これは4大学構成員 全員に共通する思いであろう。大学管理本部は、「都市教養学部」を結果的に採用し た合理的説明を4大学に対して行うと同時に、3月29日の教学準備委員会の議事録 を作成して大学構成員に対して公開するべきである。

なお4月7日、経済学部の経済政策専攻(COEグループ)が意思確認書を提出して いないという理由で、新大学に「経済学コース」が設置されないこととなった。これ は文部科学省から「21世紀COEプログラム」に採択されながら、それを新大学が 引き継ぐ意思がないと宣言したと考えざるをえない。世界的水準にある都立大学のC OEグループの教員が、このような選択をしたのは、大学管理本部が「開かれた協議 体制」をこれまで作ろうとしなかったこと、都立4大学が50年の歴史のなかで積み 上げてきた教育・研究水準を軽視したこと、3月9日の西澤新大学学長予定者と山口 大学管理本部長の連名の恫喝文書を撤回しなかったこと等にあり、まさに大学管理本 部側の責任である。

大学管理本部は、今後の協議体制実現のなかで、COEグループをはじめ現状で新大 学への不参加を表明する教員が新大学に参加できるような環境・条件を整えるべきで ある。石原慎太郎都知事は、2月20日の記者会見で、新大学設立後も旧大学への残 留教員が新大学への移籍を希望する場合には、柔軟に対処すると述べている。今後の 開かれた協議のなかで、魅力的な新大学・新大学院が設計し直され、知事の発言が現 実のものとなるよう強く求める。都立4大学で世界水準の教育・研究を育ててきたの は他ならぬ都民であり、大学管理本部は都民に対して責任を取るべきである。

私たち4大学教員声明呼びかけ人会は、かかる現状分析のうえに立って、開かれた協 議体制の実現をあらためて要求し、新大学の設計が、在学する学生・大学院生、都民 ・国民に支持されて進められることを強く望むものである。

4大学教員声明呼びかけ人会
東京都立大学人文学部:飯田勇、*川合康、西川直子、初見基
東京都立大学法学部:米津孝司
東京都立大学経済学部:戸田裕之、浅野皙
東京都立大学理学研究科:甲斐荘正恒、神木正史、*小柴共一、三宅克哉、浜津良輔
東京都立大学工学研究科:*渡辺恒雄
東京都立科学技術大学:山田雅弘、湯浅三郎
東京都立短期大学:前田庸介

このページの先頭に戻る

このホームページへのお便りは、以下にお寄せください。

ganbare_toritudai@yahoo.co.jp

トップページへ戻る

このページの管理運営は、
都立の大学を考える都民の会
が行っています。