所長おすすめの本


『昴』 

曽田正人/小学館

消防士マンガ『め組の大吾』の作者が描く、バレエマンガ。

生死のぎりぎりのところを描くのがとても上手いと思う。
とても迫力がある。

時間が無いので、本当に紹介だけになるが、お勧めだ!
ということだけ書いておこう。

後日また更新する予定。

さて、昴は何のために踊るのか。
人のためではなく自分のため、である。必死に踊って、自分の存在を認めさせるためである。
病気で記憶がなくなっていく双子のかずまの前で踊っていたのも、自分を認識させるためだった。
刑務所の慰問公演で「私は幸せなの!!」と、自分の幸せを踊りで表現し、観客を楽しませるより自分の世界を楽しんだ。
それでも、昴の踊りは人を惹きつける。才能が有るのだ。

コンクールで優勝し、バレエ学校へ行くチャンスに恵まれながら、その話を蹴って、アメリカのバレエ団に入った。そのアメリカも不法滞在で追われてしまう。

今後の展開が気になる。


『化生の海』 

内田康夫/西日本新聞連載中

そうそう。今年(2003年)に入ってから西日本新聞紙上で内田氏の連載が始まっている。

浅見さんは出てこないのかなーと思ってたら、出てきた!!(笑)

相変わらず変人扱いな彼である。しかしそのうち女は浅見さんに惹かれていくのだろう・・・。


『歌枕殺人事件』 

内田康夫/ハルキ文庫

えぇ〜っと・・・自分は何事にも「ハマる」のが遅い方で、この「浅見光彦」に出会ったのも確かニ、三年前のことだったと思う。しかもドラマで。
この本を手に取ったのは「歌枕」が題材であったから。(百人一首・和歌は好きなのだ。『百人一首の魔方陣』のような本も読むくらい。)

歌枕と言うのは、作中にも解説してあるように(←とても親切だ)、単純に「沢山歌に詠まれている場所」というわけではなく、その場所から連想されるもの、ことを一種の決まりごとのように使われている場合を「歌枕」と言う。だから歌枕として名前は残っているものの、実際の場所がわからない、ということがあるし、この『歌枕殺人事件』のように「歌枕候補地」が四ヶ所もあるということも起こるのだ。

それはさておき、事件である。三年前の事件と十二年前の事件。
どこにも関係がなさそうだったが、光彦ぼっちゃまの「勘」で事件の繋がりが見えてくる。
実地調査、訊きこみ調査、そして第六感、事件解決の基本である。

浅見の第六感はすごい。第六感、勘は、経験に比例するものだと思うので、経験も豊かなのだろう。
女性関係には疎いようだが。(疎い、というより不器用か。)

この作品は、多賀城市の少女(当時小学五年生)からの手紙がきっかけで生まれたのだそうだ。ファン層の広さに驚くとともに、採用された人を羨ましく思った。

浅見さん、いつまでも独身でいてほしい(笑)


『新編 銀河鉄道の夜』 番外編・ジョバンニとカムパネルラの双子性について。

宮沢賢治/新潮文庫

「カムパネルラ」と「ジョバンニ」、この二つの名前にある共通項があったら、「幼馴染み」以上の関係性が二人にはあるとして賢治は書いたのではないか、と考えられるだろう。

『銀河鉄道の夜』を読んでいて、ふ、と「カムパネルラ」と「ジョバンニ」のどちらがどんな少年なのか迷うことがある。(読みが浅いと言われればそれまでだが。)
新潮文庫版の注解で天沢退二郎氏は、「事実、草稿を見ると賢治は何度か「カムパネルラ」と「ジョバンニ」を混同ないし混同しかけている。」(ジョバンニの注解より)と述べている。
賢治自身間違えそうになっているということは、読者にとっても「カムパネルラ」と「ジョバンニ」に何か関係があるように感じられるのではないか。

「カムパネルラ」と「ジョバンニ」の注解を挙げてみよう。

カムパネルラ・・・ユートピア物語『太陽の都』(1602)で知られるイタリアの哲学者、トマーゾ・カンパネルラTommasoCampanella(1568−1639)の名からとったものと想像されている。また、このトマーゾの幼名がジョヴァンニ・ドメニコGiovanniDomenicoであったことも見逃しえない。

ジョバンニ・・・Giovanniはイタリアのありふれた洗礼名の一つで、英語のJohn、フランス語のJean、スペイン語のJuanなどと同じくラテン語のJoannesが変形したもので、聖書の「ヨハネ」を源としている。『キリスト教人名辞典』を繙くと、ジョヴァンニ・カピストラーノGiovanniCapistrano(1386−1456)をはじめ、この名をもった聖人や宗教芸術家が並んでおり、また「ひのきとひなげし」に「セントジョバンニ様」ともあって、この作品が゛ある聖人(または宗教芸術家)の少年時代の物語゛という隠れた意味をもつことを暗示するごとくである。また、前項で記したように、トマーゾ・カンパネルラの幼名がジョヴァンニであることをもし賢治が知っていたとすれば、カムパネルラ=ジョバンニのいわば隠れた双子性も注目されよう。

「ジョバンニ」と「カムパネルラ」の名前について、賢治がどこまで知っていて名付けたのかわからないが、この二人の関係について考えながら読み返してみると、思考が宇宙の果てまで飛んでいきそうになるくらいハマる(かもしれない)。

ちなみに所長説は、「実は、カンパネルラはジョバンニの未来の姿で、死ぬ前にジョバンニの時代に少年の姿で戻り、河で溺れる運命だったジョバンニの身代わりになった」というもの。・・・辻褄が合わないか・・・。


『20』

窪塚洋介/光進社

「あ〜趣味に走ったな・・・」という声が聞こえてきそうだが、その通りである。今回は窪塚洋介の本を紹介する。
今年上映された映画だけでも「ピンポン」「凶気の桜」の二本があり、邦画に於いてもドラマに於いても、注目されている俳優の一人である。

詩と写真。
詩は、普段の生活や、思い出を言葉に表したものが多いが、総じて「幸せに生きること」をテーマにしている。

特に好きなのは、「ミスプリント」という詩だ。
「教科書に/生きるために必要なのは/水 空気 太陽と書いてあった/一番大切なのが抜けている/そこに僕がいないのなら/水も空気も太陽も意味がない」

実は、写真目当てで図書館から借りてきたのだが、詩も気に入った。


『新編 銀河鉄道の夜』

宮沢賢治/新潮文庫

『銀河鉄道の夜』というタイトルは、読書感想文ではお馴染みだ。
題名や作者名は知っている、という人も多いだろう。

宮沢賢治を知ったのは、(確か)小学校の国語の教科書に載っていた「やまなし」で、「クラムボン」という造語や「かぷかぷわらったよ」という表現が気に入った、という覚えがある。

『銀河鉄道の夜』は、ジョバンニとカムパネルラの旅である。
それは、「生」と「死」の旅であり、「ほんとうのさいわい」とは何かを見つける旅でもある。
「生」と「死」については、賢治自身の宗教観や妹の死を通しての思いが書かれているのだと思う。
他の作品においても「生」と「死」は関係している。

宮沢賢治を研究している人、詳しい人も多いと思うので、襤褸が出ないうちに終わることにする(笑)
今回紹介した新潮文庫には注解があり、「ジョバンニとカムパネルラの双子性」についても書かれていて面白かった。


『レベルE』

冨樫義博/集英社


月一連載と言う「週刊」雑誌にしては変則的な連載ではあったが、作者のこだわりが見えて面白い漫画である。

宇宙人のわがまま(暇つぶし!?)に地球人が巻き込まれる。
面白いけれど、そこに「生きるため」とか「種族を残すため」というテーマが加わり、深い内容になっている。
「勧善懲悪」の世界ではなく、「話し合い」や「和解」も成立する。
前作『幽遊白書』から次作『HUNTER×HUNTER』へと、このスタイルは引き継がれている。
全てが「善」と「悪」に分けることは出来ない。

カラーレンジャーの話では、5人の少年が「王子」にだまされて、RPGの世界に入ってしまう。そこには「ゲームのルール」があるのだが、これは『HUNTER×HUNTER』の「グリードアイランド」というゲームと似ている。
作者は「ルール」を決めて、その中で主人公たちがどのように成長していくかを描くのが好きなんじゃないかと思う。
「ルール」を生かした話の展開になっているのが面白いのだ。
『レベルE』、マニアックだとは思うが、面白いので読んでみてほしい。


『誕生日事典』

ゲイリー・ゴールドシュナイダー  ユースト・エルファーズ  牧人舎=訳/角川書店

[驚くほどよく当たる、誕生日がおしえてくれる本当のアナタ!]
たしかテレビか何かでこの本の存在を知り、本屋で取り寄せまでしてもらって購入した(笑)事典の割に約3000円とお買い得。←「私は出せない」との意見も。

誕生日、つまり366日分の性格診断・・・・・・すごい。
心理学、歴史学、占星術、タロット、数秘術を駆使し、古今東西の14,000人以上の実在の人物をデータ分析・・・しているらしい。
誕生日別以外にも、四季、黄道12宮(いわゆる12星座)、48期(1年を48期に区切ったもの)、4元素(地・風・火・水)、3特質(活動・不動・柔軟)、10惑星というのがあって、全部で7つの分類から性格判断ができる。
誕生日一日一日に、その人を表す言葉があるのだが、私は[勇敢な戦士]だった。なんだかかっこいいのでお気に入り。
【ナンバーと惑星】【タロット】【健康】【アドバイス】【瞑想のことば】という項目がある。【瞑想のことば】というのは名言・格言のようなもので、中には『方丈記』の一文もあった。
同じ誕生日の有名人を見てみるのも面白い。(但し、歴史的・世界的な人物が掲載されているので、自分が知らない人のほうが多い)

姉妹編に『相性事典』(角川書店)がある。これは立ち読みしただけなので記憶が曖昧だが、48期での相性判断だったと思う。(例えば1月1日から1月7日までの人と、1月8日から1月14日の人との相性、という具合)
興味を持たれた方は、ぜひ購入して、私に見せてください!(笑)


『悪魔くん(全)』

水木しげる/筑摩書房

小学校の頃にアニメになってた「悪魔くん」です。「エロイムエッサイム」という呪文が流行った。実は話の内容よりもそういうことだけしか覚えてなかったが、最近文庫になっているのを発見して、漫画で読んだ。漫画は『悪魔くん千年王国』『悪魔くん(全)』というのがあるが、他にも多くの出版社から発行されている。『悪魔くん復活千年王国』とか。

貸本の頃の悪魔くんは、「語り」の部分が多かった(ような気がする)。アニメで見ていたよりも「不気味で奇妙な人間の子」という感じが強く、別作品のように読んだ。
『悪魔くん(全)』では絵も多少変わり、「子供だけど不思議な力を持っている」というアニメのイメージと近いので、読みやすかった。

悪魔くんが面白いのは、「正義の味方っぽいのに悪魔」だからだと思う。悪魔くんは「悪魔を召喚するための研究を行う」天才少年なのだ、「正義」と「悪魔」は相容れない。だけど妖怪と戦うときに、読者としては主人公のほうが強くて正しくて、自分のためだけにではなく皆のために戦ってくれることを期待するものだ。その期待通りに話は進んでいく。いくら「悪魔」といっても悪気はない。悪魔くんは根が優しい。

いまいち紹介しきれていないが、著者・水木しげる氏は「ゲゲゲの鬼太郎」の作者でもあることを、付け加えておく。


『赤ちゃんと僕』

羅川真里茂/白泉社

前前回の『動物のお医者さん』と同様、「男性でも読みやすい少女漫画」の一つ。母親が亡くなって以来、弟・実の面倒をみることになった拓也の子育て漫画です。拓也は小学生なので、家庭と学校の話が主になっています。(某ゼミ生は、拓也の同級生・藤井君がいい、と言っていたが、藤井家はほんとにすごい/笑)

一番印象に残っているのが、春美パパがお見合いをする話。
春美ちゃんは、拓也と実には母親が必要なのではと悩み、お見合い話を引き受けるが、その場に拓也と実が乱入し、結局は破談してしまう。
拓也の「お母さんがいなくても実のことは自分がやるから!もっと頑張るから!」という言葉に、春美ちゃんも安心(?)したのでは。(※台詞は多少違います)

小さい実は可愛いけれど、もどかしく感じることがある。拓也とパパは「自分では手に負えない」と母親の存在の大きさを痛感する。だけど実はその二人の姿を見てたくさんのことを覚えていくのだ。

最終回、泣きました。拓也につられて。(漫画で貰い泣きする所長・・・)


『波間のこぶた』

銀色夏生/角川文庫/昭和63年8月25日

こぶたのたっくんとキヌちゃんの馴れ初めが、手書きの文字とイラストで描かれている、とってもかわいい本。この手書きの文字に慣れるまでが、少々読みにくいかもしれないけど・・・。確か小学高学年の頃に初めて読んで、その時「川」と書いてあるのが「ノリ」に見えて、「どういう意味だ?」と考え込んでしまった。

意地悪な気持ちになったり、やさしい気持ちになったり、心って不思議。
自分以外に自分のことを好きな人がいるってしあわせなことだな。

・・・読後、ほわほわ温かい気持ちになれた。

銀色夏生さんの本は、角川文庫からたくさん出ています。『つれづれノート』(エッセイ)、『春の野原満天の星の下』(写真&詩集)、『岩場のこぶた』(『波間〜』の続編、というかこぶたシリーズ?)、他に旅行記などジャンルも様々です。
最近、『いやいやプリン』を購入し、友人からは『四コママンガ』をもらって、ますます銀色夏生世界にはまっている。


『動物のお医者さん』

佐々木倫子/白泉社

動物が出てくる漫画といえば『動物のお医者さん』が真っ先に思い浮かぶ。

簡単に紹介すると、H大獣医学部の学生ハムテルとその飼い犬チョビを中心としたほのぼの(?)話。(←簡単すぎ。)

チョビが可愛い。出てくる動物たちが可愛らしい。思わず触ってなでなでしたくなるリアルな絵と、動物たちの台詞がとても良い。動物の声は、普通は聞こえないものだけど、本当は動物もこんなこと考えてるんだ、というのが目に見えて楽しい。ただ動物に台詞を与えて擬人化しているのではないところが面白いと思う。

動物も見所だが、周りの人間たちも相当面白い。菱沼さんや漆原教授の印象が強くて、ハムテルのことをつい忘れがちになるが、犬の口のアノ部分を「ゴムパッキン」と言ったりするお茶目な(死語)主人公なのだ。

この漫画を読んで獣医(学部)を目指した、シベリアンハスキーを飼いはじめた、という意見を色んな本やホームページで見かけた。漫画の影響力ってすごい。