台湾の医療事情

澎湖島には大きな病院も小さな医院もたくさんあります:
 離島の医療というと十分な医療が受けられないのではないかと思ったりしますが、澎湖島の医療状況は非常に恵まれています。むしろ台湾本土よりも割合にして医者や医療施設が多いのではないかと思えるほどです。病院街といえるような病院ばかりの通りさえあります。歯医者も目医者もいますし、精神病院と思われる大きな病院があり、総合病院も3つもあります。澎湖島では月々600元の保険料の外には医療費は原則として無料です。検査をしても薬の投与があっても、一円もかかりません。このように離島対策として、医者と患者を優遇している事が、こうした恵まれた医療状況を実現できたのではないかと思います。総合病院の一つは日本統治時代に開かれた国立の澎湖病院で、もう一つ国立では、以前に軍隊の病院であった三軍病院があり、ここは建て直されて最新設備の整った病院になりました。さらに、カトリック協会系の病院があり、地元の人は風邪を引いたくらいでも気軽に医者に行きます。ただだからと言う考えがあると思います。
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三軍病院
外国で無保険で医者に掛かるとどのくらい取られるのか?:
 心配すればキリはないのですが、外国で病気になったらどうしようと思ったことはありませんか?医療費が全額個人負担になると、それは大変な金額になることが予想されるからです。しかし、保険証を持たない日本人が台湾で病気(本当の病気)に罹っても医療費は驚く程安いのです。保険なしで治療を受けたりするとどれ程請求されるのかそればかりが気になりますが、台湾は日本の所得の半分くらいと言うこともあって、そんなに掛かりません。むしろ、3割負担の日本の方が高いのです。こちらに来る留学生の皆さんは、海外旅行保険に入ってきたり、クレジットカードについている保険などを利用すると、後ほど全額補填されたりするようですが、全くそうした恩恵に預からなくても、大したことはないと言えそうです。つまり、日本で健康保険に加入していて病気になったり、怪我をしたり、手術をしたりした時に掛かる費用よりも安いと言うことです。それだけ日本の医療費は高いと言うことなんでしょうね。ちなみに澎湖島は外島であると言うことで、台湾政府の加護の元にあり、住民の医療費は健康保健代だけです。治療を受けても、薬を貰ってもただです。薬も一ヶ月分出してくれますし、翌月は診療を受けなくても、直接薬局に行って一ヶ月分の薬を受け取ることが出来ます。検査しても注射を打って貰ってもただです。日本では考えられない程医療面での国民の負担がありません。どうしてかなと考えると、お医者さんがよく働いているのが分かります。朝8時から12時まで、そして3時間の休憩。それから3時から5時まで診療。そして2時間休んで、7時から9時まで診療。休みも日曜休診だけです。日本のお医者さんの倍くらい働いているのが分かります。多分これは大きいと思います。そして病院は完全看護ではありません。事故を起こしたり、手術で入院したりすると家族や知人が交代で付き添います。つまり完全看護ではないのです。これが医療費の高騰を抑えているのかなと素人ながら思いつきました。下の写真をご覧下さい。私が掛かっている医者ですが、月曜から金曜まで1日9時間働きます。土曜は休みですが、日曜も働いていました。医者がこんなに働いているので、或いはこんなに働かないとダメなほど医療費が安いのかも知れません。
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働く医者
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当校の学生が医者に掛かった時の治療費: 幾人かの実例を挙げておきます。
交通事故(自損事故)で簡単な手術2009年5月26日、交通事故で夜の12時に救急センターで簡単な手術。
捻挫の場合2009年9月20日に仲間とバスケットをした女性が、捻挫してしまいました。
これらの費用は幾らでしたか? 台湾で日本人が無保険で治療を受けると幾ら掛かるの?をご覧下さい。
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老人の医療費負担が少ないのも関係しているかも知れません:
 台湾は中国4000年の伝統である漢方薬に凝っている人が多く、西洋医学に頼るよりも、医食同源という考え方で、食事に注意を払っています。そして、家族でお年寄りを世話しています。養老院というものはあっても僅かです。勿論家族が働いているとお年よりの世話が出来ませんが、そうした場合はインドネシアとか南ベトナムからの看護のための人を雇います。日本円で(今、円高ですが)一ヶ月4万5千円で24時間働いてくれるお手伝いさんを雇うことが出来るのです。これは養老園ででの世話よりも遙かに優れたお年よりの介護です。台湾で日本人が働くのは厳しく制限されていますが、こうしたお手伝いさんや介護要員が働くことは難しくありません。台湾にとって必要な部分を補っているからです。世界の賃金格差があると言うことに、痛みや後ろめたさを覚えますが、所得の低い國からの働き人に仕事を与えて、お互いに益を受けていることは確かです。日本の老人介護や医療の対極にある方法です。なぜ台湾の医療費が日本と比べて安いのかは、考えてみるべき問題です。
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台湾に残るべきか、やはり日本に帰るべきか:
 すでに台湾に暮らして10年以上になってしまいました。こちらに住むのが日常になっているのですが、未だに日本を強く意識してしまいます。これからどうすべきなのか考えるのですが、医療の方面を考えると、台湾の方が優れています。これは医療技術のことを言っているのではありません。そのような学術方面においては日本は台湾を遙かに超えているに違いありませんし、その差は今後も已然として存在すると思いますが、医学水準というものはそんなに差がつくものではありません。こちらの病院にも最先端の医療器具が導入されているからです。それでこちらで病気になっても余程の難病でもない限り、日本で手術をしなければならないという状況にはありません。むしろ医療費が遙かに安いという点で優れていると思っています。私はこちらで労働許可を得て仕事しているので、健康保険にも加入できています。保険料は今のところ毎月二人分で3000元(約14000円)くらいですが(ふつうの人は600元です。夫婦で1200元ですが、私の場合外国人なので高いのかも知れません)、それ以外に何もかからないのです。薬をもらっても検査をしても、ただなのです。実際3ヶ月に一度血液検査をしてもらっています。この三ヶ月に一度というのは自主的に制限しているもので、もしかしたら2ヶ月に一度お願いしても、そうした検査に応じてくれるかもしれません。25項目からなる検査ですが、無料なのです。薬も一ヶ月分をくれます。そして次の一ヶ月分は、病院に行かなくて、直接薬局に行くと同じ薬を一ヶ月分出してくれます。それで、一回の診療で二ヶ月分の薬を得ることができます。現在血圧とコレステロールを押さえる薬をもらっているのですが、無料です。澎湖島は離島なので、医療面での特別な措置が執られているのかもしれませんが、驚かずにはいられません。日本では何倍もの保険料を払った上で、病院に行くと、かなりとられる上に薬も高いですよね。検査は保険がきかないのでものすごく高いので受けるのをやめようかと思うくらいですが、こちらではただなので気が引けて、あまり頻繁に受けるのをやめようと自主規制しているのです。台湾でも手術をして、入院すると1割負担になるようですが、日本と比べたら月とすっぽんくらいの差が出ています。それを考えると台湾の医療費は我々日本人にとっては安く感じます。病気になっても、安心して医療を受けられる感じがあります。また、老後のことを考えるとやはりこちらが有利です。それは24時間そばにいて世話をしてくれるお手伝いさんを雇うことができるからで、養老院よりも遙かに人間味のある老後を送ることができ、費用もかなり安いからです。これは私が日本人で、日本のお金をこちらで使っているから感じるお金の価値の違いも関係していることは確かでしょう。日本円は外国で使うと最もその価値を高めます。とりわけ、円高の今は円が強いということを実感します。もちろん日本人ですから、日本に帰りたいのですが、こちらにいるという選択をしてしまいそうな状況です。まさに「故郷は遠くにありて思うもの、そして悲しく歌うもの」と言った心境です。
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ある退職者ロングステイで台湾に来た年配者の選択:
 こうした医療事情を反映して、とあるロングステイを楽しまれているご夫婦は、ロングライフステイをやめるという決定を下しました。台湾のロングステイは、台湾政府が日本の年金をもらっている人に対して、台湾で6ヶ月の長期滞在を認めるという制度ですが、その条件として医療費が全て保険でまかなえる医療保険に入ってくることが求められるようです。つまり日本の健康保険に加入し、さらに新たに海外旅行保険をかけなければならないようです。それでその二つの保健代はかなりの額に上るようです。その方はそれも仕方ないと思っていました。ところがその方は、こちらに住み、台湾の医療事情を理解するにつれて、こちらで全額負担になったとしても医療費がそれほどかからないという事に気がつきました。それで、面倒な手続きが必要なロングライフステイではなく、フリーの観光客としてこちらに来て、3ヶ月が満了する前に日本とかほかの外国に出国して、再入国して、また三ヶ月滞在するという方法に切り替えました。その方が医療面で安くつくとともに、面倒な手続きから解放されるからです。年配のご夫婦が血迷ったわけでも何でもなく、冷静に比較考慮して、この決定を下しました。その根拠となったのは、全額負担でも台湾の医療費の方がやすいということなのです。病気になっても気軽に医者に行くことができ、日本でもらっていたのと同じ薬を手に入れることができ、しかも安いというのです。病気にかかったら現金で支払う事にしたのですが、そのようにしても驚くほど安いのです。健康保険なしで病院に行くことなど考えられなかったのですが、ここでは現実で、また賢明な選択なのです。これらを考えますと、日本のお金を外国で使うからだということを別にしても、日本の医療が高コストになっていることは確かなようです。
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日本が完全看護を見直す事はないと思いますが、もしそうするならかなりの負担が減ります:
 こんな事は私が考えたところでどうなるという物でもないので、提案するつもりもありませんが、台湾の医療費がどうして安いのかという説明にはなります。日本のように、病院が24時間の看護を保証するというのは、病院にとって大変な負担になります。ナースや看護師をたくさん配置しなければなりません。なんと言っても人件費が一番費用の掛かるので、この制度をやめるならば負担が減ります。台湾では、必ず家族の付き添いが付いています。日本も家族がいるわけですから、同じように出来ないはずがありません。実際台湾の家族関係の濃密さは日本の比ではありません。台湾にはほとんど浮浪者がいません。家族の絆が強いからです。台湾の離婚率は50%を超えています。家族の絆が強く、娘や息子の結婚にも遠慮なく干渉し、家族が別れさせてしまうからです。家族が強いですから、病気やけがなどの時には当然のように助け合って行きますし、またそれが家族の絆を強めています。もちろん、家族のいない人も含めた弱者にはそのための救済処置を考えなければなりませんが、少なくとも台湾には家族が病気なら家族がその世話をするという考え方があります。家族は患者に付き添って脇の小さなベッドで寝るのです。友人や家族が交代でそのつとめを果たします。給食も必要ならば注文するという形です。日本ではまずいなどと言いながら、いわば強制的に給食を食べざるを得ませんが、台湾では病院内の食堂で注文があればお届けするというような感じです。まだまだあるのですが、日本全体が管理されていて、自由がなく、そのために余分なお金が使われているような気がします。台湾側から見るならば、日本の方があるべき姿に映っているのかも知れませんが、医療費がこうまで高くなってしまっている現実を考えますと、むしろ贅肉をそぎ落とす方が正解のように思えてなりません。
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完全看護でないので、台湾で病院に入院するようなことがあるとちょっと大変です:
 まさか日本から家族を呼ぶわけにも行かないからです。この点で阿甘語言の特徴と言えるのは、学校内に宿舎がある事です。生身の体ですから病気になることがあります。異国の地で不安に駆られながら病気に対処するのは容易ではありませんが、宿舎の仲間が喜んで窮地にある同胞に手を差し伸べることが出来るからです。今までにもこうしたことがありましたが、管理人はまさにこのためにいるようなものですから、すぐにお互いに助け合いましょうと言うことで学校の方で希望者を募り、どの時間に援助が必要とされているかを記した表を作成して記入して貰います。そして、出来上がったものを各人に渡して、確実に援助が受けられるように取り決めを作ります。この様にして交代で看病しますのでこうした面での費用は掛かりません。外国の地であるのに、同じ屋根の下に仲間がいることがどれ程心強いことかすぐに理解出来ると思います。嬉しいことにこの病院の幾人かの看護婦さんも、麻酔科の先生も管理人の日本語の生徒でしたので、何かと便宜を図ってくれますから本当に必要な助けを頂いています。
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近代化するまでの台湾は風土病の地でした:
  以前の台湾は,コレラ、赤痢、チフス、ジフテリアなど風土病の島だったそうですが、今ではそうした病気は殆ど台湾から駆逐されています。しかし、亜熱帯に属する気候のために蚊の媒介するテング熱との戦いは継続しています。テング熱の患者が発生すると、地区を上げて一切に消毒がなされ、空き缶やタイヤの水たまりをなくそうとの運動が繰り広げられますので、大規模な発生を見ることはありませんが、台湾というとテング熱との関連づけられてしまうのは残念なことです。
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台湾に於けるテング熱について:
  テング熱とは蚊によってテング熱のウイルスが運ばれて感染する伝染病で、戦前に流行したものの戦後には克服されたものと見られていたようです。しかし最近また流行し出しており、蚊の駆除の必要性が叫ばれています。症状は、発熱、頭痛、のどの痛み、だるい、骨髄及び筋肉痛、じんましん、淋巴腫大、血小板低下等で、時には死に至る場合があるようです。血液を採取して抗体を調べることにより、この病気の診断を行うことが出来ます。高雄では発生が時々報告されるので、ウイルスをもった蚊が、フェリーに乗ってやってくると言うことは考えることが出来るので、注意が必要ですが、澎湖島では発生の報告はありません。
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台湾に於けるマラリヤについて:
  台湾政府の発表によると2003/09/08に38年ぶりのマラリヤの発生があったようです。それから6年たちますが、マラリヤ患者発生のニュースは聞いていませんから、台湾ではまずこの病気を心配する必要はないようです。
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台湾に於ける狂犬病:
  台湾は流浪狗等と呼ばれる野良犬が多く、また、飼い犬でも散歩が面倒なのか放し飼いにされていたりするので、狂犬病が心配ですが、ウィキペディアによると、世界中で日本以外に狂犬病が発生していない国・地域は、イギリス・アイルランド・アイスランド・ノルウェー・スウェーデン・台湾・ハワイ・グァム・フィジー・オーストラリア・ニュージーランド・モルディブ・プーケットと非常に少ない・・・とありました。台湾ではまずこの病気を心配する必要はないようです。しかし、外国でハムスターにかまれた人が狂犬病を発症したことから、意外にこんな事から入ってくる可能性もあるかも知れません。
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台湾に於けるSARS鳥インフルエンザについて:
  2003年、アジア一帯に猛威をふるった新型肺炎(SARS)は台湾もその被害を免れることはできず、346人の感染者と73人の死者を出したのですが、台湾がWHOからの情報を受け取れなかったことが、感染を拡大してしまったと感じている人は少なくありません。しかし現在、台湾と中国の関係は極めて良好なので、もし同様の事態が発生しても、台湾が蚊帳の外に置かれる事はないと思います。澎湖島からも死亡者がでたりして大変でしたが、台湾は医学や衛生が非常に高水準にあるので日本並みの対応が出来ます。私は当時、台中にいましたが、至る所で耳に検温器を当てられ、全ての人がSARS対応のマスクをしてこの脅威に対処したのを思い出します。感染者と接触をしたものは皆隔離されて、学校の先生が隔離されて授業が出来なかった事もありました。このことから医療関係者のみならず多くの人がこの病気に対して教訓を得たものと思われます。
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台湾には花粉症がありません:
  台湾でもとりわけ澎湖島には花粉症がありません。こうした過敏症と大気汚染との間には強い相関関係があるようですが、澎湖島は周りが海ですし、人口も7〜8万人ですから汚染の心配がないからです。加えて離島であるが故に植物相が貧困で、花粉症のもとになるような杉やブタクサなどがないからです。澎湖島に花粉症がないことについての考察はこのHPをご覧下さい。
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台湾で新型インフルエンザの流行について
  現在流行中の病気については流行の病気に関する情報の所で詳述する事にしました。
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リンク:このリンクは当阿甘語言中文科が管理し用いているHPです。
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真ん中の●を@に換えてからお送り下さい。お手数ですが、宜しくお願いします。
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