台湾の澎湖島にある潮の満ち引きを利用して魚を捕る石滬

キンギョ
石滬(シーフ)とは?:古代漁法の一つで、海の中に石を積んで魚を誘い込み、逃げられないようにした罠です。
かつて機械などが全くなかった時代がありましたが、石滬はそのような時代に、澎湖に住む人たちが潮の満ち引きを利用して、満潮の時に、石壁づたいに魚を誘導して、そのようにして入ってきた魚が逃げられないようにして、潮が引いてから捕まえる罠です。魚の習性を利用して、試行錯誤を重ねた結果、色々な形の罠が出来上がりました。今では、殆ど利用される事はなく、放置されるままに任されていましたが、最近のレジャーが多様化する中で、漁業体験という形で見直されるようになりました。台湾の他の場所にも幾つかあるようですが,とりわけ澎湖地区には多くの石滬が残されており、その数は澎湖島の周辺だけでも580を超えます。文化的な意義もさることながら、その造詣の美しさや、実用性などから注目されるようになりました。発達した現代の漁法と比べるなら、収穫は僅かであり、いわば廃れた漁法となっていた訳ですが、大勢の人が手軽に安全に漁業体験ができる事から、観光産業とのコラボレーションが出来るのではないかと注目を集めています。
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日本に於ける石滬:
日本にも殆ど同じような石滬漁があり、すけ漁とか垣漁とか石ひび(石干見)漁、又、沖縄では魚垣(ながき)漁とも言い、奄美ではマシャンキリと言う名で呼ばれています。それら古代漁法の原理は殆ど同じで、満潮の時にそれとは知らずに石垣の中に入ってきた魚が、引き潮の時に石垣に阻まれて逃げられなくなる様にして、魚を捕まえる方法です。日本では瀬戸内海まで見られるようですが、それより北ではあまり知られていません。引き潮で石垣に阻まれて、戻れなくなっている魚を網ですくうと言うのもありますが、興味深いのは引き潮の時に、沖へと戻る魚をその石垣に沿って集めて、出口に網を仕掛けるという方法で、これは澎湖島では見られないバージョンです。日本でもこの古代漁法を観光のバリエーションとして使おうという動きがあり、もしかすると澎湖島の取り組みを噂で聞いてまねをしたのかも知れません。尤も澎湖島もこの取り組みは最近始まったので、どちらが先か分からないところもあります。どちらでも良いですよね。楽しい漁業体験なので軌道に乗ってほしいものです。
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澎湖島の石滬:
澎湖諸島のメインとなる澎湖島にも多くの石滬があります。とりわけ菓葉にある石滬には沢山のカマスが入っていたのを目撃した事がありますので、その実用性をこの目で見たものとして紹介しない訳には参りません。噂には聞いていたけれど本当に捕れるんだーと言う感じです。菓葉は一番東にあるために日の出のスポットとして有名ですが、その日の出を見る事の出来るスポットの目の前にある石滬は、実用的な石滬ですから、干潮の時に覗いて見る事をお薦めします。
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白沙島に於ける石滬:
澎湖島と橋で繋がれているために、別の島という感じがしませんが、白沙島にも沢山の石滬がありま。そして、その殆どが荒れるに任されている現状があります。以前はこれを利用して、自分の食べる魚を捕っていたはずですが、漁業が発達して、売買の対象としての魚を捕るには効率が悪すぎて廃れてしまったのです。ところが、最近の漁業体験をレジャー化するという動きがあり、このシーフが脚光を浴びているのです。かつて白沙島には251の石滬があったようですが、今では114の存在が確認できるだけです。波にもまれて形もなくなってしまうのでしょうかね。
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車で行ける範囲で最も石滬を見る事が出来るのは西嶼で(嶼とは島のこと)、:
展望台などに車を止めて見て下さい。注意深く海岸線を見渡すと、沖に向かって半円の様な石滬が至る所に見られます。普通海の中に沈んでいたり、周りの風景の中にとけ込んでいるので、注意しないと分かりませんが、少し石滬についての知識をかじると沢山の石滬がある事に気がつきます。      
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石滬が最も多く残っているのは吉貝島です:
吉貝島は澎湖諸島でも橋で繋がっている訳ではないので、船を利用して渡らなければなりませんが、その価値は十分にあります。とりわけ有名なのは、舌の先を長く突き出したような砂嘴ですが、実はその反対側に多くの石滬が見られます。事実吉貝島にはその故に石滬博物館もあり、石滬についての情報を最も得る事が出来ます。沖の方に石滬の端が走っているのが見えますか? 満潮になるとその端も海の下になり、魚が石滬内には入ってきます。そして海岸の縁でえさを食べているといつの間にか水が引いていて、沖に帰れなくなっているのです。澎湖島の石滬は、この様にして閉じこめられた魚をタモで掬ったり、刺し網を仕掛けて取るという方法で魚を捕らえます。
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満潮になると海面下に沈み、魚が入ってきます:
この石滬の形は沖に向かって半円を被せたような形で、よく見られる単純な形のものです。干潮になってから、この石滬内に刺し網を仕掛けて、棒で海面を叩いて、魚が網に突き刺さるようにして収穫します。
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石滬の縁は丸くなっています:
珊瑚の塊や玄武岩を積み上げて小石などを詰め込んで、しっかりとしたものを作り上げます。この上を人が歩いてもびくともしない堅牢さです。ここ吉貝島の石滬は玄武岩が多く使われているようですが、貝殻などが張りついて、ちょっとこすれただけでも怪我をします。運動靴と軍手が必要な理由が分かると思います。吉貝島の石滬をもっと見たい方はここをクリックして下さい。
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有名な七美島の石滬:
このシーフを有名なものとした事に関して、七美島の石滬について書かない訳には行きません。シーフと言えば必ず七美島のシーフが出てくるからです。最初ここの写真を見たときに、この造形が何となく人工的なものに感じられたのですが、自然のふるうノミは想像を超える作品を造り出すものだなぁと思っていました。やがて、それは目的を持って人が造り出したものだという事を知り、是非そこに行ってみたいと思う様になりましたが、観光客の多くもそのように感じているのかも知れません。澎湖島から高速船で約1時間の距離ですが、観光スポットが凝縮されているのでお薦めです。又、観光バスによる遊覧も出来ますが、出来るならレンタバイクによる自由行動がベストです。
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石滬の意外な利用法:
これはあまり人々の気がついていないところですが、実は石滬は安全なプールのような効能があります。と言うのは引き潮の時にはその石滬は周りの壁となって、沖合に流されないように助けてくれます。満潮の時でさえの上に立つ事が出来るので安全です。また、澎湖では4月くらいから30度近くになる事がありますが、海の水は冷たくて、泳ぐには適していませんが、干潮の時の石滬の中は、丁度タイドプールのように太陽の熱をため込んで暖かくなっていますので、一足早く泳ぐ事が出来ます。石滬は珊瑚の塊や玄武岩をを積み上げて作っているというその構造上、ここで素足でいる事は非常に危険です。すぐに血だら真っ赤になってしまいます。それでこの中で活動する時、或いは泳ぐ時には靴を履いて、軍手をする事が重要です。出来れば上にもTシャツを着る方が良いでしょう。
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細木真理さんによるイラスト
リンク: 後ろ姿
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