★佐藤和彦編『中世の民衆』教養の日本史(東京堂出版 1994年)
【検索キー】歴史・日本中世史・民衆 【内容メモ】これまでの研究成果をふまえながら、生業・生活・運動などといったさまざまな「場」において、中世を生きた民衆の姿を具体的に、平易な内容・文章で描くことを目指し、研究史から、山の民、海の民、境の民、信仰の民、隷属の民、一揆する民、祭と民衆、語り継ぐ民、一味神水・起請する民衆…を扱う。
【コメント】各所で「民衆」がどのように生き、活動していたか。そのイメージを得るのに役立つと思う。例えば、信仰の民では村堂を自ら運営していく村の様子が描かれ、領主との葛藤も含めて、その様子は面白かった。隷属する民でも、質物として身を落とす下人の様子。重代の下人との違いや、下人としての隷属と保護についても興味深かった。
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★大石 学『吉宗と享保の改革』(東京堂出版 1995年)
【検索キー】歴史・日本近世史江戸時代
【内容メモ】8代将軍吉宗の享保の改革を、強力な国家・中央政府による国民生活の維持・安定を目指したものと評価し、その前提となる低成長時代の様相から、知的ブレーン、都市政策、公共政策、財政再建、増税の強行と挫折…と説きおこす。最後に、享保の改革の歴史的性格として、強い民衆からの批判と、寛政・天保の改革の手本となり、その政治は近代化の中で達成されたと述べる。
【コメント】享保の改革の持つ、様々な公共的な政策について述べられていて、その様子を知ることが出来た。その意味で、確かに享保の改革は確かに幕府内部の改革にとどまるものではないと思う。それは特に薬草政策のところで感じた。ただ、そうした面を持つとは言え、私としては「国民」という語にはちょっと抵抗を感じる。また、文中で用いられる○×の整備という言葉は、必ずしも社会としての整備でない、より幕府サイドの評価であると感じるところがいくつかあったがいかがだろう?
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★阿部 猛『鎌倉武士の世界』(東京堂出版 1994年)
【検索キー】歴史・日本中世史・鎌倉時代
【内容メモ】鎌倉幕府成立〜滅亡の時期を中心に武士の様子を分かりやすく具体的に記す。初期武士団の構成、御家人・地頭、武家の習い、武家の心得、合戦の作法…等々。
【コメント】武士の心得、合戦の作法を特に楽しく読んだ。他人の評判を気遣い、立ち振る舞いにかなりの部分を割く北条重時の家訓。人の使い方において留意すべき点を説く北条実時の消息。詞戦いに始まり、弓馬の用い、組み合って戦う合戦の作法。どれも面白い。しかし、全体として多くの話題に及び、叙述としてはそれぞれの話題毎という形なのに、幕府成立から滅亡に至る歴史展開に、大まかに、しかし確実に位置づけられて感じられるのはさすがだと思った(^^;
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★暉峻淑子『豊かさとは何か』岩波新書(新赤版)85(岩波書店 1989年)
【検索キー】公民・社会・豊かさ・ジェンダー・環境
【内容メモ】労働環境や社会共有資本・福祉制度の貧しさから、西ドイツと比較して日本がお金やものはあるのに、なぜ豊かでないのか、安心して過ごせないのかを鋭く指摘。住宅問題・老人問題・福祉問題など多くの社会問題が経済効率をあまりに重視し、それにとらわれたことによることを説く。
【コメント】私にとっては衝撃的な本だった。もう発行されて10年。なのに、未だに思い当たることがいくつもある。特に、現在の日本には経済的な理由は言い訳にならないという指摘はまさにハッとさせられた。むろん、西ドイツが理想的な社会とは思わない。彼の国にもネオナチなど多くの問題がある。けれど、だからこそ、政治や制度をよく考えないといけないし、自分たちの生活スタイル自体も見直す必要があるのだと思わされた。
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★上田紀行『覚醒のネットワーク』(カタツムリ社 1989年)
【検索キー】公民・社会・構造的暴力・市民運動
【内容メモ】自らの覚醒と、ネットワークの覚醒。覚醒させ、覚醒させられるネットワークについて説く。比較する自分の「殻」を破ることと、社会の「構造的暴力」を克服することの繋がり、世界と自分が繋がっているということを強調している。
【コメント】私はまだ、その精神性のいくつかには何か抵抗がある。けれど、自分のアイデンティティが、人と比べた結果ではなく自分の内面にあるような在り方。そういう在り方によってできる社会的な共生と、他者と比較する考えが生んでいる現在の構造的暴力の問題。「考える」だけではなく「感じる」ことの重要性など、大きく納得させられた。競争原理だけに支えられる社会の貧しさは『豊かさとは何か』でも考えさせられたこと。ここでは内面的な在り方がその根本であることを考えさせられた。
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★『人体・環境異変』Newton4月号臨時増刊(ニュートンプレス 1999年)
【検索キー】公民・環境
【内容メモ】大変動する地球、人体汚染の真実、この技術が地球を救う、完全データの4部構成で、副題「破局か 再生か 最新エコ・プロジェクトの挑戦」となっているように、環境問題に関する問題と解決についてこの1冊で全てまとめてある。深刻な自然破壊、人体汚染の事実と共に、リサイクルやダイオキシン分解技術、エコ・カー、水素エネルギーなど最新技術についても解説。
【コメント】最新技術についても相当に解説してある点、さすがニュートンだと思った。ある意味、環境に関する科学的問題については、少なくとも現時点の決定版ともいうべき文献だと思う。非常に参考になった。例えば、私の酸性雨に対する認識が甘かったことがハッキリと分かった。日本の酸性度は既に欧米並とは、、、グラフ等のデータや図・写真も豊富で授業等でも役立つと思う。ただ、もちろん科学書なので社会的問題については必ずしも触れられていない。そういう面についても多く知りたいと思った。
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★鷲見一夫『ODA 援助の現実』岩波新書97(岩波書店 1989年)
【検索キー】公民
【内容メモ】日本の行うODA(政府開発援助)の実態を解説。不透明な決定および少ない情報公開、日本企業の利益および国益中心の様相、相手国での自然環境や先住民への被害などについて指摘している。
【コメント】この本に記されている内容には驚いた。私がODAについてあまりに知らないこと、そして、確かに日本の行うODAは一般的常識としての「援助」と大きく懸け離れたものが多いということだ。また、制度的に問題があるのも明らかなところだと思う。出版から十年を経て、現在、このような制度および状況が克服されていることを期待したいが、少なくとも私は聞いていない。確かに大きな問題であると思った。ところで筆者の文章は鋭く、事例と論理的な思考に富む。比較的難しい部類の内容であるはずなのだが、どんどん読み進んでしまったのはその文章の素晴らしさにあるように思う。
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★永山久夫『たべもの古代史』(河出書房新社 1984年)
【検索キー】歴史・日本古代史・文化
【内容メモ】日本の原始・古代(平安時代まで)の食生活について書く。肉食や米食の他、各種発酵食品や醤(肉醤・草醤)、薬草、鮨や調味料などについても解説。
【コメント】塩・酢・酒・醤を基本調味料として、素材の味そのままに食べていた日本古代の食生活の様子が伝わってくる。各種肉食や、奈良時代の中国風の食生活についても面白く読めた。ただ、歴史の展開や意味付けには強引な部分も散見される他、そういった状況や理解の証拠が不明な記述の仕方も気になるところで、そういう点には気を付けて読んでいく必要があると思う。
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