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「第二章:人物小誌」

張jian

  張jian、字は季直、号は嗇庵、1853年(咸豊三年)、江蘇南通に生まれる。民初の資料にはしばしば「張季老」として登場する。字に「老」の字を加えるのは珍しくなく、必ずしも老人と言うことではない。ある種尊敬の意である。また自ら号するのであるから、自他ともに認める吝嗇家であったのかもしれない。そしてその生年は太平天国が江寧(南京)を陥落させ、「天京」に改名したその年である。
  1876年(光緒二年)から淮軍系の統領呉長慶の幕僚となる。呉長慶の幕僚と言えば、もう一人著名人がいる。袁世凱その人だ。袁世凱が「武」の幕僚筆頭として成長していくのに対し、彼は主に「文」の方面でその才能を生かすことになる。
  1882年、呉長慶とともに朝鮮に渡る。もちろん袁世凱も同伴している。袁世凱がその軍事・権謀に関する才を朝鮮滞在中に開花させていくのと同様、彼もまた、中央に提出するために呉長慶に代わって作成した陳情書などによって、中央政界の人々に注目されていくことになる。
  1885年、挙人となり、江蘇各地の書院で教職に就く。1894年には状元として進士となり、翰林院修撰を授かる。これは超エリートコースの第一歩である。ただし、平時であるならば。
  状元になった年、7月には甲午中日戦争が勃発、彼は一貫して李鴻章の対日弱腰姿勢を批判し続ける。
  翌年、つまり1895年、両江総督張之洞の委託を受けて、江蘇通洲にて、紡績工場を創業する。洋務運動も甲午中日戦争でその限界を露呈するも、清朝の富国強兵策は継続されている。殊に張之洞、当時にあっては李鴻章に次ぐ実力の持ち主であり、さらに李鴻章と相並ぶ洋務派リーダーである。張之洞が有望な状元に委託する気持ちも分からないではないが、これは実は大変なことである。
  状元といえどももとは書生。書生は例外なく四書五経によって「洗脳」されている。孔子哲学の重要な思想的側面の一つとして「重農軽商」というものがある。張jianが選んだのは、こうした考えと真っ向から対立する実業界への道である。おそらくは日に日に退廃する社会・国家を鑑み、経学では救国の望み無しと判断した上でのことであろう。そしてこれが彼の生涯を決定した、と言っても過言ではない。
  しばらくして張之洞は両広総督に復帰し、両江総督には劉坤一が戻ってくるが、張jianは劉坤一からも続けて援助を受け、1899年には「大生」という官民合弁の紡績工場を開業させる。この「大生紗場」、その後、多少の紆余曲折は経たものの、総じて比較的順調な発展を遂げ、解放後まで続くことになる。
  1900年頃から、彼は続けざまに通海墾牧公司・上海大達外江輪歩公司・天生港輪歩公司・資生鉄冶場などの企業を創建していく。また1902年頃からは通洲師範及びその女士師範学校・南通学院・盲唖学校・俳優養成学校・南通図書館と博物苑など文教事業にも着手する。南京高等師範学校や上海の復旦大学の創立にも多くの援助をした。
  また早くから「立憲」の必要性を主張。1901年には『変法平議』を著し、1904年には清朝の立憲活動に参与するかたわら、日本の明治憲法なども翻訳した。1906年には予備立憲公会の組織に参与し、江蘇諮議局局長に任じられるなど、清末の立憲活動におけるリーダー的存在になる。
  辛亥革命後、清朝を見限り、「共和」に賛同、その実績から南京臨時政府は彼を実業部総長に任命する。陸軍総長兼参謀総長の黄興とはごく短い間ではあったが同僚であったわけだ。
  中華民国が北遷した袁世凱時代においても、主にその個人的なつながりから、政界にとどまり活動を続ける。農林部や工商部の総長、全国水利局総裁などをつとめた。
  袁世凱が帝制をはじめると、職を辞して南下、江蘇に戻る。帝位に就いた後、袁世凱は彼を徐世昌らとともに「嵩山四友」に封じる。
  その後、南通を中心として、実業方面における活動を展開、また教育文化事業にも精力的に取り組む。白話文運動に反対し、新文化運動にも抵抗する。
  南通に戻った後でも、政界を離れたとはいえ、その影響力は依然として大きく、上海などに訪れた政財界人は好んで彼を訪れたという。時には政治の舞台に顔を出すこともあった。
  国民革命軍が北伐を開始してまもなく、1926年8月24日に逝去、享年73歳である。



「人物小誌」

中国近代重要人物20選

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