第77回関東学生陸上競技対校選手権大会


まずは関カレ連覇だ  大槻 夢は世界進出
中林 円盤投2位
渡邊もV 400m
坪田 箱根への布石
松尾 走り幅跳・三段跳4位
その他の成績

大槻 夢は世界進出

  「今季も(タイトルを)3つ全てとってこそ実力を証明できる。勝たないとウソになる」-昨シーズン、彗星のように現れ、学生3大タイトル(関東インカレ・学生選手権・全日本インカレ)を総ナメ。日本陸上界に一躍その名をとどろかせた大槻康勝(経四)。昨年までの挑戦者の立場ではなく、学生チャンピオンとしての『勝利』が義務付けられた今季の関東インカレ。昨季の王者を激しくマークするライバル達をよそに「勝って当然。勝たなきゃいけないんだ」大槻は自らにそういい聞かせた。
訪れた転機
 陸上と出会ったのは神奈川・野川中一年の時。父親がシニアリーグのコーチをやっていたこともあり、野球漬けの日々を送っていた大槻。 練習がある土日以外の放課後、足腰を鍛えるために何かできないかと考えていたちょうどその頃、たまたま学校で行われたスポーツテストの50m走で6秒4を記録。これが陸上部監督の目に止まった。「普通の中学一年生がそんな記録を出すとは大変なことだ」その資質に直ちに陸上部からの誘いの声が舞い込んだ。「(野球の)ボール拾いにも飽きてきていたし、やってみてもいいかなと」(大槻)。中学の部活動をやっていなかった大槻にとって走ることは足腰の鍛錬にもってこいだった。そして初めて 迎えた川崎市の大会。100mでいきなりの優勝を飾る。それを契機に野球をやめ陸上一本に絞り込んだ。ストレッチ、厳しい練習メニューをこなしていくうちに記録は伸びの一途を辿る。「とんとん拍子にうまくいってた」(大槻)中学2・3年次には全日中大会を連覇。もはや中学に敵は存在しなかった。
初めての挫折
 順風満帆だった中学時代。法政二高に進学後「全中では敵なし」だった大槻は初めての挫折を味わう。インターハイも準決勝止まり。中学時代の記録にさえ届かない。法大入学後も苦しい日々が続いた。「結果としてついてこないだけ。俺だって選手である前に一人の人間。勝つだけが陸上じゃないんだ」かつての名声を捨て、謙虚な気持ちで黙々と練習を続けた大槻。法大に入学して3年、自分自身を見つめ直し、精神的に成長を遂げたひとりの男は3大タイトルを制し、かつての記憶を甦らせた。
大接戦
 大会初日の予選3組を余裕の一位通過。「リレーのために体力温存してたんですよ」−発する言葉からも自信がうかがえた。そして迎えた決勝当日。予選で大槻の記録を上回った200mの覇者・渡辺(中大)、同僚の寺本(経四)らが虎視眈々と優勝を狙う中、運命の号砲が放たれた。得意の弾丸スタートから先行逃げ切りの態勢に持ち込むが、渡辺も必死に追いすがる。そのまま二人が横一線になってゴールへ飛び込んだ。大接戦の結果、写真判定となったが10秒372と1000分の3秒差で大槻に軍配があがった。 「当然の結果ですね。展開は良くなかったけど価値ある勝利です」大槻は試合結果についてサバサバと振り返った。今回の勝利で学生界にもはや敵はいなくなった。次なる目標は「世界進出」である。「まずは年末のアジア大会に出場すること。最低でも10秒2は出さなきゃ勝負にならない。自信?もちろんあります。シドニー(五輪)ですか?もちろん狙ってますよ」大槻が世界の大舞台で活躍する日も近い。

中林 円盤投2位

 がっしりとした体格から放たれる一枚の円盤。その飛距離の伸びはとどまるところを知らない。中林将浩(経四)。昨季に続き円盤投で関カレ2位に輝いた。春先に足首を捻挫。思うような練習ができずに大会に臨む。調整不十分での2位入賞。しかし「優勝を目指した」(中林)−事前練習で優勝記録を上回る記録を出していたこと、ライバル視する畑山(日体大)に敗れたことなど今回の結果は満足できるものとはいえない。今秋単身ドイツ留学し、自らのレベル向上を目指す。更に実力を上げた中林が帰国したとき、かねてからの目標であった「妥当畑山」が果たされるはずだ。
★中林将浩 なかばやし・まさひろ 経四 埼玉・熊谷高出 本年度陸上部主将を務める。高校時代は100m、幅跳が専門。法大入学後、投擲(てき)競技に転向したという異色の経歴を持つ。

渡邊もV400m

  「やっと自分の走りができました。でも、まさかあそこまで記録が伸びるとは……」試合後、渡邊(経三)は悲願の関カレ400m優勝について淡々と語った。日も暮れかけた横浜国際総合競技場のスタンドが沸いた、あの長かった一日のことを。
一年生の時から全日本インカレで好成績を収めるなど、各大会に出場経験はあったものの入賞止まり。実力は備えていながらも無冠のままだった渡邊。「今度こそ…」と臨んだ今大会だったが、練習の疲れが抜け切らないのか膝の調子が思わしくない。
不安を抱えたままで予選を迎える。コンディションは相変わらずすぐれない。その中での2位通過。「結果はどうであれ自分のレースをしよう」決勝を目前に控え自分にそう言い聞かせた渡邊。運命の号砲は放たれようとしていた。
実力者が名を連ねた決勝。スタートと共に飛び出したのは昨季大型新人と騒がれた為末(経二)。第三コーナーからインコーナーにかけて激走する為末・山村(日大)。しかし、1レーンから意外な伏兵が飛び出した。絶不調のはずだった渡邊その人である。ホームストレートに立つとさらに加速。そのまま2人を抜き去ってゴールへ。タイムは46秒55の自己新。無冠の実力者がついに勝利の栄冠を手にした。「嬉しいです。次の目標はアジア大会かな」−この勝利を糧に、渡邊はさらに大きな世界へと飛び出す。
☆渡邊孝光 わたなべ・たかみつ 経三 富士宮北高出

坪田 箱根への布石

2年ぶりの箱根駅伝出場に向け、法大陸上部に旋風が走った。一万mで坪田(社三)が堂々の3位。五千mでも7位入賞を果たした。「他校の主力選手が怪我で出ていなかったからたまたま順位としてついてきただけ。偶然ですよ」レース結果について控え目に語る坪田だが、得意の終始レースを引っ張る展開に持ち込み、自己ベスト(29分12秒40)も記録。「(坪田は)」今日は調子がいい。いけますよ」借りや副部長が試合前に語っていた通り、ワチーラ(山学大)、小嶋(中大)ら箱根常連校の花形選手と見事に渡り合った。「距離が長くなればなるほど(短距離とは)感激も違うもの。箱根復活に向けいい刺激になったね」渡部監督も絶賛するその走りが冬の箱根路・花の2区で披露される日も近い。
★坪田智雄 つぼた・ともお 社三 神戸甲北高出

松尾 走幅跳・三段跳4位

 100m,400mを制した短距離に続いて、大学跳躍界にも法大旋風が吹き荒れた。走幅跳・三段跳に出場した松尾(社四)雅量種目とも4位入賞を果たす健闘。大会2日目に行なわれた走幅跳では7m55の好記録をマーク。直前に行なわれた東京選手権の記録をさらに伸ばした。続いて3日目に行なわれた本職の三段跳では「ベストに遠く及ばない」(松尾)結果(15m19)に終わり、跳躍の盟主・中大に水を空けられた格好となった。
 「悔しい結果に終わった。全日本(インカレ)では今日以上の成績で優勝を狙う」。貪欲な気持ちで更に高い目標を掲げる松尾の自分自身との戦いに終わりはない。
☆松尾大介 まつお・だいすけ 社四 奈良・添上(そえかみ)高出 関西の陸上名門校から法大に進学した理由は「チームの雰囲気に魅かれて」

その他の成績

 これまでに取り上げた選手以外にも100m予選において山梨・都留高時代に国体優勝経験を持つ寺本(経四)が10秒37の好タイムを記録、自己ベスト(10秒41)を五年ぶりに更新した。
 800mには昨年IH優勝の実績を持つ足立原(経一)が登場。決勝進出は果たせなかったものの、大学入学後初のレースで1分51秒73の好記録。前途有望な新人が揃う今季の陸上部の中でも将来を嘱望される逸材だけに渡部監督の期待も相当なものだ。
 また、1500mでは期待のルーキー徳本(社一)が序盤リードする展開を見せながらも、前半の疲れのためか後半失速。7位に終わった。
 予選をダントツの一位で通過し、今年も優勝が確実視されていた、大会のフィナーレを飾る4×400mリレー。今年も序盤から法大が終始リードする展開。得意の先行逃げきりを狙ったが、三走の邑木(経一)が差を詰められ、四走の猪原(経三)がゴール前で日大と白熱のデットヒート。しかし、昨年に続きゴール直前でかわされ2年連続の2位に終わった。しかし、3分05秒72と学生記録(3分05秒24=93年 法大)に迫る好記録。秋の全日本インカレに向けて明るい見通しが立った。

記事は全て西川 勝博

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