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京都カフェ >> 4.京都大学エリア
茂庵〜MOAN 京都のカフェ
茂庵の店内
京都市左京区吉田神楽岡町8吉田山山頂
tel. 075-761-2100
open 11:30〜18:00 月休
市バス「北白川」下車徒歩20分
▼茂庵のHP

「くれない萌ゆる岡の花
 さみどり匂う岸の色
 都の花にうそぶけば
 月こそかかれ吉田山」

これは京都大学に伝わる「旧制第三高等学校寮歌〜逍遥歌」。かつて彼らは大学界隈を飲み歩く時にでも、月光に酔い、破れマントを翻して歌ったのでしょうか? 

茂庵は歌われた通り京大のすぐとなり、吉田山の山頂に大正時代に造られた広い茶苑の一角にあります。古くは神楽岡と呼ばれ、神が宿る地として信仰を集めてきたという吉田山。山中には吉田神社、大元宮(重文)などが点在し、全てを見ようとすると、10月とはいえ汗をかきながらかなりの時間を山歩きに費やすことになります。
何の因果か、私はこれらの神聖な場所をほとんど見て回ることになりました。なぜならばタクシーが迷子になってしまい、とんでもない場所で降ろしてくれたから! 茂庵のホームページに【タクシーの場合は「神楽岡通り、今出川下がる、茂庵看板前(インザムード前)」とお伝え下さい】と書かれていた通りに伝えたのですが、運転手さんが「ああ、あそこね!」と早合点したのが運のつきでした。

いったん山をおり、茂庵が推奨する神楽岡通からのルートを登りなおすと、小さな看板に導かれて美しい路地をたどることになりました。山頂でのお茶の効果をいっそう高めてくれるアプローチです。大正時代の家並の閑雅な風情、ゆるい石畳の階段。道は途中から林に入って山道へと変わりますが、そこはすでに別世界、茂庵の庭。山道に沿って小さな茶室が残っています。

やっとたどりついた山頂に佇む二階建ては、かつては茶苑の食堂棟。オレンジ色の暖簾をくぐり、靴を脱いでよく磨かれた木の階段をのぼっていくと、ひんやりした静かな空間が待ち受けていました。観光客で混雑することを覚悟していたのに、平日の早いお昼どきだからでしょうか、先客は年配の女性4人組だけ。ひっそりした白い野花の飾られたテーブルにつき、汗をぬぐってランチを注文。この日は鶏の南蛮漬けをメインに野菜をたっぷり添えたプレートでした。

美しい木の枠組みの窓に目をやると、微風に葉が揺れる樹々の向こうに京都の市街が拡がっていました。輝く戸外と、高い天井に仄暗い影が満ちた室内の対比の中で、汗がひき、心がしんと鎮まってきます。

「市中の山居」とは、町中に居ながらにして山中の風情を楽しむこと……すなわち日常の中に非日常の空間を取り込み、その空間と時間を楽しむと言うことを表した茶の湯の用語です。
(茂庵ホームページより)


ここは確かに空気の色が下界と異なる場所。粉引きの椀に注がれた食後のコーヒーを飲みながら、茂庵の生みの親、数奇者・谷川茂次郎がここで催した茶会の光景を想像しました。客人たちはそれぞれにあの山道を歩きながら、一歩ずつ幽玄な世界へとシフトしていったのでしょう。
(2003年10月)
MO-ANの店内茂庵のあかり
茂庵のランチ
茂庵の店内
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