ブルの恐怖体験
(ビジネスホテル編)

今から16年前の話です。

当時は茨城県つくば市にある会社の寮に住んでおりました。
独身で寮住まいは、長期出張が暗黙の了解となっており、事あるごとにブルに そのご使命がまわって来ました。

この時は、経営の悪化している店舗の立て直しとして、日立市にある店舗に
1週間、泊まりがけでの出張を言い渡されました。
なんと、営業部長の我儘な発言により、翌日から現地で指揮をとれとの事で
すぐに身支度を済ませて、翌日の朝からバスを乗り継ぎ、急行列車で現地に
向かい、午前中に到着しました。

まず、宿泊先の確保をしようと電話帳でビジネス・ホテルを探して公衆電話で
片っ端から電話をかけてみたものの、どこも満室だと断られました。

だが、一番最初に電話したホテルで掃除が片づいてない部屋があるので、
もしも、他に泊まる所がなければ、もう一度お電話下さいと言われていたので
最後のチャンスとばかり電話でお願いすると、ツインの部屋なら用意出来ると
言ってくれて、しかも1人で泊まるから料金はシングルで構わないとの事。

泊まる部屋がなかったらどうしょうと不安な気持ちが、いっぺんに吹き飛んだ
頼めば、なんとかなるものだな‥そしてブルは安堵してホテルへと向かった。

だが、これが恐怖の始まりだとは‥ブルは想像もしていなかった

駅から少し離れた場所に、そのホテルは存在した。
ホテルとしては規模が小さく地元企業の簡易宿泊施設と言ったところで、正面に
ガレージの入り口があり、「フロントは2F」とプレートが表示されていた。
その下には関連企業名が幾つも書かれ、そのすべての指定宿泊所であると、
銀のプレートが重く鈍い光を放っている

建物横の階段を登り、薄暗い通路を抜けると、蛍光灯で照らされたフロントに
辿り着いた
呼び鈴を鳴らすと奥から初老の老婆が現れ、一通りチェックインを済ませると
「こちらです」‥とエレベーターで部屋へと案内された
401‥403‥405‥406. ここで足を止めてキーを渡された
「何か不都合がありましたら、フロントにおりますので‥」そう言って老婆は
エレベーターに乗り込んでしまった
「愛想の悪い婆さんだな‥」そう、つぶやいてドアにカギを差し込んで戸を開け
ようとしたが、何かコツがあるらしくドアを押しながらカギを回さないとカギが
開かないようだ‥
少し、戸惑いながらもドアを開ける事が出来た。 

ドアを開けた瞬間に、淀んだ空気が鼻につく‥
「なんだこりゃ‥廃屋みてーな匂いだな。。」
そして、意を決して部屋へ入ろうとした瞬間、足が動かなくなってしまった
動かないと言うより、体が拒否反応をしめしているような‥
部屋の中からは異様な雰囲気が漂っている
「なんか嫌だなぁ‥でも、ここを逃したら泊まる所が無いし‥」
仕方なく嫌々ながらではあるが、部屋に入りカバンの中の荷物を整理して
締め切ってあったカーテンと窓を開けて、新鮮な空気を入れ替えた
とりあえず、このままにして、店へ顔を出してみるかな‥
そして、その日はそのまま勤務に入り、閉店の10時まで仕事をして緊張と
慣れない立ち仕事に足を棒にさせてホテルの部屋へと帰ってきた

 
フロントでキーを受け取りに行くと、そこには中年の男性が媚びるように低姿勢で
作り笑いを浮かべながらキーを渡してくれた
「お仕事遅くまで、お疲れ様です‥フロント業務は12時で終了ですので‥」
「ご用の際は、呼び鈴を鳴らして下さい」
 

元々、ホテルとか苦手なんだよなぁ‥それに、あの部屋‥なんか嫌だな。

重い足取りで部屋へと入っていった
薄々嫌な予感を感じていたのだけれど、とにかくシャワーを浴びて、ベットに
潜り込みたい一心だった

 

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