実録!料理の鉄人 JAPAN CUP'02

'01.12.18収録/'02.1.2放送

 2001年も年の瀬、12月18日に東京ビッグサイトにて『完全なる料理の鉄人 JAPAN CUP'02』の収録が行われた。

 今回の『JAPAN CUP』は和・仏・中・伊4ジャンルの料理人がトーナメント式で料理対決し優勝者を決めるという趣向。
 事前に若手料理人を中心に予選会が行われた。中国料理には特別シードとして陳建一鉄人が入る。

 18日は朝からフレンチ・田辺シェフと日本料理・野永料理長の対決が収録された。尚、この勝負は放送では第二試合として放送された。
 午後からイタリアン・胡(えびす)シェフと陳鉄人の試合が行われた。他の鉄人達や主宰、ゲズトはこの時間に合わせての“入り”となる。
 一般観客はビッグサイトの西ホール前に集められ、名簿チェック後会場の準備が整うまで待機。今回この“待ち時間”が長いのが辛かった。チェック後は整理券を渡して「○○時に集合」としてもらえれば食事もできたのだが…。

 キッチンスタジアム左右にある特別観戦席に入るするためにアイアンロードから入場。
 旧フジテレビでのアイアンロードは赤のカーペットだったと記憶しているが、今回は合成樹脂製シートで滑りそう。
 観客は無作為に挑戦者側、鉄人側に振り分けられる。
 鉄骨の上に木で作られた段々。段の縁に赤いカーペットが敷かれている。これが“席”なのだ。長時間の観戦はお尻が痛くなる。

いきなり主宰交代

 スタジアム壇上には鹿賀主宰の大きな写真が飾られている。「まるで遺影だな」と思っていたら、なんと「今回、鹿賀主宰が亡くなられ、追悼式が行われます」とのこと。
 待ち時間の時に、赤い服を着た祭司のような人物がウロウロしていたのを見たが、本当にそうだった!
 正月番組でいきなり葬式しちゃっていいのか? アナウンサー、審査員も皆、黒の喪服で登場。
 追悼儀式が終了し、出演者は着替えて出直し。いよいよ『JAPAN CUP』のセレモニーが始まる。

 鹿賀主宰に代わって(という設定の)の新主宰が登場。一体誰が? という期待感。

 鉄人パネルが上がり、スモークの中から登場したのは本木雅弘新主宰
 初めての舞台とあって緊張してか本木新主宰は「私の願いがかなうならば…」に続くはじめのセリフを2回もNG出してしまう。

 放送席にイスが4脚。内1脚だけ造りが違う。ゲストが入場して納得、元横綱の曙親方であった。その巨漢を支えるためのイスだったのか!
 もう人方はスペシャルでのゲスト率が高い浅野ゆう子さん。

大胆! 巨大なカンペ

 『JAPAN CUP』出場をかけた予選会のVTRが観戦用モニターに映し出される。日本料理代表が「該当者なし」とされたところまででVTRは終了し、どのようないきさつで日本料理代表が選ばれたのか不明のまま進行する。
 日本料理代表とフレンチ代表は午前中に試合を行っているのだが…。

 予選・中華vsイタリアンのテーマ食材は「たらば蟹」。
 新主宰が挑戦者の名前を間違えないように、スタジアムと対面にある観戦用巨大モニターに挑戦者の名前が映し出される。
 観客は新主宰に注目しているのでモニターの文字には気づかない。なんと大胆なカンペであろうか。  気負う鉄人&挑戦者は「アレ・キュイジーヌ」の掛け声前に“軍手”をつけてしまい、プロデューサーから「全て開始後にお願いします」と注意が入る。

ぞろぞろと味調べ

 テーマ食材発表後「アレ・キュイジーヌ」と調理開始が告げられるまで時間が無く(TVではCMが入るが)、両陣営とも打ち合わせもせずそれぞれが仕事にとりかかる。事前にテーマを絞って仕事を把握しているのだろう。

 予選の調理時間は45分と短い。
 陳鉄人の前半はほとんど「たらば蟹」の解体に専念していた。固い甲羅ごと中華包丁でブッた斬る。脚をバンバンと斬りつけると弾け飛んで落ちる。凄い迫力だ。

 試合が終了すると観戦していた鉄人や関係スタッフがスタジアム内に入りだす。主なる目的は試食。ナベに残ったスープや食材を食べて味をチェックする。やはりいきなり敵陣から試食することはせず、鉄人は先ず陳鉄人側から物色。

 鉄人が待機する席には液晶モニターが設置されている。お冷やと烏龍茶も用意されている。

 審査する試食室は鉄人側観客席の後ろに位置しているために、会場内は静粛を言い渡される。
 審査の間、物音を立てず、淡々と調理場の後片付けをする番組スタッフ。

 キッチンスタジアム初登場の『ラ・ベットラ・ダ・落合』の落合 務シェフが胡シェフの応援に。

 別室で審査が始まると鉄人たちや店関係者、スタッフも一緒に移動。かなりの人数がいなくなったので、試食する審査員はカメラの後ろから数十人の視線にさらされていると推測される。そんな状態で味が分かるようになるためには“場慣れ”が必要だ。
 試食を見守る関係者は自分も食べてみたいので「残せ! 残せ!」と念を送っているのかもしれない。

 一般観客はモニターで様子を見ている。ただ、音声はスピーカーで流すとハウリングを起こしてしまうために極わずかに聞こえる程度。そのためにあまり会話が分からない。

 試食はオンエアでは僅かな時間だが、実際には1料理人に対し30分くらいかかっている。2人で約1時間。観客はその間、空腹に耐えて見守っているしかないのだ。

 とくかく会場が暑い。空気も乾いているのでのどが渇く。持参したペット飲料を取るのでじんわりと汗をかく。終了後、私は子供の頃以来の汗疹ができてしまった。

新主宰、審査員に指導される

 審査員は曙親方、細木数子女史、浅野ゆう子さん、加納典明氏

 試食に使われる箸は見栄えがするように“塗り”の箸なのだが、とても使いにくそう。湿らせて使いやすくした木の箸の方が良いかも

 陳鉄人の料理には自分で殻を外すものがあった。一見、手間がかかり食べにくそうなのだが、試食している方々の表情が子供の様にはしゃいでいるのだ。自分で殻を外すのはカニの醍醐味なのかもしれない。

 親方、箸をなめてしまう禁じ手を。日本国技の最高位に達した方なのだからもう少し気を使って頂きたい。

 試食では慣れない本木主宰を“指導”する加納氏。2人の会話が長く“時間が押して”しまっていた。

 今までの主宰は審査に加わらなかったが、新主宰は審査に加わって採点している。

 スタジアム内にはスモークがたかれ、ジャッジの時を待つ。

 「勝者、鉄人・陳建一!!」新主宰から勝者が言い渡される。

 午前中の和vs仏の試合には主宰が来ていなかった為、後撮りでジャッジ言い渡しシーンを撮影する。

 ここで観客は一旦退場。

 正月番組らしく着物を着た着物学院生たちが残って観客シーンを別撮り。


 ホールの外での長い待ち時間の後、先導されてホールに再入場。暑かったホール内に冷たい風が通る。アイアンロード延長上にある外部へのシャッターが開かれ、松明が焚かれている。
 決勝戦は外にある踊り場から両料理人が登場するのだろう。

 着座すると予選同様拍手の練習が始まる。決勝戦から観戦に来られている方もいるからだ。

 放送席を見ると、今度は5脚に増えたがイスは同じものだ。さてゲストは…。元横綱・花田勝氏。同じ系列だよォ〜。浅野ゆう子さんは引き続き。石原伸晃・行政改革担当大臣が加わる。
 石原大臣が「熊にも負けないようにがんばります」と挨拶。先日のタウンミーティングで「道路に車より熊が多く通る」と発言し自民党内でモメたいきさつがあるだけに、笑えた。この場で「熊」発言するとは肝が据わっている。

決勝戦:日本料理代表・野永 喜三夫 vs 中国料理代表・鉄人 陳 建一

 決勝進出両者の控え室映像がモニターに映る(オンエアでカットされていたのが残念)。
 野永氏にインタビューするも言葉少ない。「意気込みは?」と聞かれても「勝ちます」とは言わず、しばらく考えが後「陳さんの胸を借ります」と言うくらい。TV映えしないだろうが職人的な凄みを感じる。
 一方の陳鉄人側は息子の建太郎氏をミーティングに加え、父の仕事姿を見せている。そこには笑顔など無く、緊迫した空気が漂っていた。

 テーマ食材は「インギー鶏」。覆いを思いっきり遠くへ飛ばす本木主宰。この覆いは試合が終わるまで壇上に落ちていた。

 バタン! 物が落ちた音で目をやると、挑戦者が鉄人側キッチン外の袖からコイを持ってきていて、余りにも活きが良かったために暴れてザルから落ちたのだ。
 袖に用意されていたということは、挑戦者はコイを使いたくてスタッフに食材のリクエストをしていたのだろう(用意する食材のリクエストは有り)。

 キッチンの周囲には動向や仕様食材をメモるスタッフの姿が多い。

 両者共に圧力釜を使い、会場には圧力釜から漏れる蒸気の音がかなり大きく響く。天井が高いせいか香りはあまり漂わない。
 野永氏の“コイ”がどうなるのか。私自身コイ料理は食べた事が無く、小学生の頃、コイの解剖での悪印象と臭いイメージしかいので興味深々。

 クジャクの羽を持ってキッチンの内外をウロつき回る本木主宰。どこまでが台本の“演出”でどこまでが“地”なのだろうか?

 キッチン端にある巨大冷蔵庫は主に“料理の冷やし用”に使われるようで、あまり食材は入れられておらず空けてある。

 陳鉄人がインギー鶏の解体を終了する頃には、助手がオードブル料理にワイングラスに赤ピーマン(トマト)を敷き飾り終わっていた。
 鉄人側サラマンダー内にボールに米を入れ水を張ったものが置かれていたが、結局使用されずに終わった。

 盛り付けの器もスタジアム内にセッティングされているものだけでなく“袖”から持ってくるものもある。

ヤバイぞ!服部スコープ!!

 放送席に服部スコープなるモニター上で文字を映像にかぶせる新システムが導入された。
 野永氏が作る「菱花弁」の説明のために展開図を書く服部先生。だが、丸書いて菱書いて真ん中に一本棒が通る―といった少々ヤバイ絵になってしまった。私の前に座っていた若い料理人たちがニヤニヤと話し笑っている。
 しかし「花弁餅」とは本来“そういう意味”が含まれているものなのだからし方が無い。あまりにヤバイ絵だったためか放送ではカットされている。

 30分経過後から陳鉄人はさらに1羽の鶏をサバき始めた。今からさらに一品ふやそうというのか?

 残り時間が5分以上あるのにもかかわらず、野永氏は雑煮を仕上げてしまう。お出しが冷え、餅が崩れないのだろうか?

 『鉄人』レギュラー放送では品数が増える傾向にあったが、今回は品数は控えて一品一品に集中しているようだ。
 さらにはデザートになりにくい食材のためにデザートは作られなかった。

 ラスト3分になるとスタッフから観客に“スタンディング”の指示が出る。立ってバナー(応援ボード)を揺らして応援する。−が、鉄人側はロイヤルボックスばかりで私のいた客席はあまり映る事が無かった…。

 終了時間に合わせてピタリと作り上げる両者。

セット崩れる

 静かにしていなければならない審査試食中、セットの竹が音をたてて倒れるアクシデントが!(左写真)
 音が入ってしまったのか、倒れた辺りの審査シーンはカットに。静かに竹を直すスタッフ。

 本木主宰が各審査員にコメントを求める様子が不慣れでぎこちない。料理の冷え防止のための“取り分け”作業中に場つなぎをす本木主宰。

 野永氏の料理「新春初雪鍋」は試食会場でまるごと一羽の鶏を切り分ける。最終調整と取り分けにかなりの時間を費やす。
 普通ならここで「早くしなければ」と焦るものだが、野永氏は落ち着いてじっくりと作業する。良いものを食べて頂きたいという精神が良く分かる。

 審査員である花田氏はコメントを求められても「うまいっすねー」だけでただ食いまくっているだけ。オンエアではそれでも喋っているところを使用しているのだが…。

 本木主宰は「うまぁ〜い」とTVカメラに向かって顔を作る。まるで『ビストロSMAP』の慎吾ちゃんみたいだ。

 今回、陳鉄人の長男・建太郎氏が『スーチョワンレストラン陳』の厨房に入る−という事が度々伝えられ、番組の作りとしては陳親子の絆を示したいのかな?と思った。
 そうすると流れは陳鉄人側にあるが、料理を見る限りでは野永氏の作品は美しく美味しそうだった。ジャッジはいかに?
ジャッジを前に主宰NG連発

 いよいよジャッジの時。主宰と審査員が壇上に上がる。花田氏が優勝トロフィーを持っている。野永・陳両氏が緊張した面持ちで判定を待つ。
 全員が整列し主宰がセリフを言い始める―だが、またしても本木主宰がNGを! やはり主宰も緊張している。
 判定の時にNGを出してしまったら緊迫した空気が冷めてしまう。−そんな気持ちで見ていると勝者判定以外でもミョーに緊張が高まる。
 テイク2。「キッチンスタジアム」を噛んでしまうが強引に続けて持ってゆく主宰。ついに勝者決定の時。巨大モニターにはカンペが出ない。

 勝者・野永 喜三夫!!

 鉄人を破って野永氏が『JAPANCUP』を制した。意外な展開に会場がどよめき、割れんばかりの拍手が響く。

 表彰後、審査員にコメントを聞く(ここもオンエアではカット)。
 石原伸晃氏は野永氏に入れた「料理が冷たかったので陳さんに『これ温かい料理でしょ?』って聞いたら『そうなんですよ。冷えちゃって』と言われて。両者甲乙つけがたいものでしたが、あえて言うなら冷えてしまった料理の差です」
 本木雅弘新主宰も野永氏に入れた「両方とも素晴らしかった。点差を付けなくてはならないのが辛かった。正直20対19.5という感じです」

 こうして『完全なる料理の鉄人 JAPAN CUP'02』は興奮のうちに閉幕した。

 収録が終了しビッグサイトを後にしたのは午後11時過ぎだった。


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