狂牛病(Mad Cow Disease)  =  牛海綿状脳症(BES:Bovine Spongiform Encephalopathy)

神経細胞が破壊されて脳に空砲ができ、脳がスポンジ状になる病気。
  
症状
音に対する異常反応、動作不安、持続的な鼻なめ、けいれん
     発症後、2週間から6ヶ月で死に至る。


原因
 プリオンと呼ばれるタンパク質。伝染病は細菌やウイルスによるものであるが、狂牛病の原因はタンパク質である。このプリオン・タンパク質は人や動物が普通に持っているタンパクで、これが異常な形に変化すると、脳の細胞がおかされ、病気が発症する。人の狂牛病(プリオン病)として、最もよく知られるのがヤコブ病である。したがって、ヤコブ病も異常なプリオン・タンパク質が原因である。

 異常な形に変化すると極めて深刻な病気をもたらすプリオンを、人はなぜ普通に持っているのか?正常なプリオンの体内での役割はまだ、よくわかっていないようだ。動物実験では、プリオンはアポトーシス(細胞死)の抑制を脳の細胞で行なっているのではないかと示唆されている。狂牛病の原因である異常なプリオンは、体内の正常なプリオンを異常型に変える。そして、その繰り返しで、体内の大多数のプリオンが異常型になり、正常なプリオンが減少する。その結果、脳の細胞が減少し、病気が発症するのだ。

 プリオン・タンパクは熱にも強く、通常の消毒液も効かない。また、細菌やウイルスのように紫外線や放射線でDNAやRNAを壊すこともできない。また、タンパク質分解酵素にも抵抗性を持っているのだ。


肉骨紛
 家畜の内臓やくず肉、骨をミキサーにかけ、脂分を抜いた後、乾燥させて細かく砕いたもの。家畜への栄養面だけでなく、リサイクルの観点からも広く使われるようになった。自然界に生きる以上、その法則(食物連鎖)を無視した結果が、狂牛病の発生をもたらし、広めてしまったのだろう。今回の日本での問題も、肉骨紛が原因と考えられる。これまでにどれだけの肉骨分が輸入され、餌として与えられたのだろうか。狂牛病が報告されたのは、一頭だけであるが、それだけですむのかは知ることはできない。

感染牛
 現在までで、感染が報告されたのは、イギリス、アイルランド、ポルトガル、スイス、フランス、ベルギー、ドイツ、イタリアなどヨーロッパ諸国である。この場合の感染ルートは、イギリスで爆発的に狂牛病が発生し、そのイギリスから輸入した肉骨紛を与えたヨーロッパ諸国で感染したと考えられている。また、肉骨分の使用を禁止したこれらの国では、狂牛病が減少し、なくなろうとしている。したがって、肉骨紛を使用しなければ安全であると言える。


安全性
 結論として、結局牛肉は安全なのかどうかが重要である。牛の中でも、危険とされるのが、脳、脊髄、目、小腸の末端などである。これは国際的なガイドラインに示されており、それ以外は安全と言うことになる。スーパーで買うにしろ、焼肉屋で食べるにしろ、危険性のない部分とわかれば、食べても大丈夫である。当然、牛乳などの乳製品も安全であり、その安全性も確認されている。それでも心配なら、オーストラリアやアメリカ産の牛を食べればよい。しかし、牛製品でもお菓子などに使われているものが本当に安全なのかどうかは、提供する側の責任である。狂牛病かどうか、確かめる方法として、ウェスタンブロット法や、エライザ法と言われるものがある。しかし、これらの方法でも、検出限界があり、わずかなプリオンの量では検出できず、いずれ狂牛病を引き起こすことになる。今後、これらの検出方法の精度を高め、確実に検出できる体制を整えなければならない。確率から安全性を強調すれば、狂牛病の肉を食べた人で、ヤコブ病に罹る率は500万分の1であると言われるのだ。


考察
 ここでは、狂牛病についての正確な情報を簡単にまとめてみた。狂牛病をもたらした一番の原因は自然界の掟を破った、人間のやり方である。肉骨紛の使用は、牛だけでなく、鶏や豚にも使わないで欲しい。また、これからの食生活を考えると、遺伝子組み換えの食品も大きなキーワードとなる。今回のような狂牛病の問題で、安全かどうかが重要視されているが、その検査体制が整ってからの話でなければならない。牛では、安全かそうでないかが明確なところもあるが、検査体制だけはしっかりと持っておいて欲しい。遺伝子組み換え食品も同じである。安全かどうかは未知の世界であり、プリオンのように潜伏期間の長い病気をもたらされては、困ったものである。どんな時でも、危険はあるものであり、何か問題が起きた時に、迅速に対応できる体制を研究する必要もあるだろう。
        
        アポトーシス、検査方法のウェスタンプロット法、エライザ法についても説明を載せます。
                        プリオン(BSE)検査の流れ    
                        BSEの治療法について