狂牛病の治療法の研究

 
最近、細胞培養とハツカネズミを使った実験で狂牛病(牛海綿状脳症)と変異型ヤコブ病(vCJD)のようなプリオン病を治療することに成功する報告がなされてきた。。現在、悪性のプリオンタンパク質に感染している牛肉を食べることによって、人々が変異型ヤコブ病で死ぬ危機に直面している。 ヨーロッパでは感染している牛肉を食べたことから、およそ百人の人々がすでに死んでいる。従って当然、変異型ヤコブ病に対する治療薬ができることが望まれる。
 カリフォルニア大学サンフランシスコ校の研究者達は、細胞培養を使った実験で血液から脳に入り込むことができる広範囲の薬を検査した結果、抗マラリア剤キナクリン(quinacrine)と抗精神病薬クロルプロマジン(chloropromazine)が抗プリオンの特性を持っていることを発見した。
 また、プリオン疾患を治療する異なった方法として、悪性のプリオンタンパク質の増殖を妨げてそれらを分解するために悪性のプリオンタンパク質に付着する免疫抗体を使う方法が考えられる。そして、プリオン免疫抗体を悪性のプリオンタンパク質に感染しているマウスの神経芽細胞腫細胞にさらしてみたところ、悪性プリオンタンパク質の増殖が妨げたられたばかりでなく、悪性プリオンタンパク質が消滅したという報告もなされた。
 しかしながら、これらの研究例は培養細胞系の実験で明らかにされた段階であり、今後の動物実験から、ヒトへの介入試験まで検討されなければならない。
 だが、抗プリオン抗体を体内で生産するトランスジェニックのマウスに悪性プリオンタンパク質を注射したところ、マウスはプリオン病に感染しなかったという報告がなされた。
 このように、プリオン病の治療法の研究が進められている。しかし、その治療法の開発に頼るのではなく、絶対に安全なものを供給できる体制を築き上げることのほうが重要である。プリオンの特効薬ができたとしても、それ以上に恐ろしい病原体を生み出してはならないのである。食べ物は絶対に安全を守られなければならない。


References; Masato Enari et al., Scrapie prion protein accumulation by
scrapie-infected
neuroblastoma cells abrogated by exposure to a prion protein antibody, PNAS,
July 31
2001, Vol. 98, pp9295-9.

Carsten Korth et al., Acrodine and phenothiazine derivatives as
pharmacotherapeutics
for prion disease, PNAS, August 14 2001, Vol. 98, pp9836-41.

Peretz D. et al., Antibodies inhibit prion propagation and clear cell
cultures of prion i
nfectivity, Nature, August 16 2001, Vol. 412, pp739-43.

Heppner FL. et al., Prevention of Scrapie Pathogenesis by Transgenic
Expression of
Anti-Prion Protein Antibodies, Science, published online September 6th 2001.


バイオ科学ニュースより参照
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