FiLM


日本でもおなじみ巨匠ユルマズ・ギュネイ監督や、
ケマル・スナルのコメディーも好きですが
まだまだ良い作品が沢山あります!
そんなに数多く見たわけじゃないけど、
中でも気に入った作品をチョイスしました。
今後にご期待・・・・!


OTOBUS    「バス」        監督:Tunc Okan  1974年  90分

数多いトルコ映画の中でもMy Best!
この映画に出会って以来、Tunc Okan監督の熱烈なファンになってしまいました。
社会的なアイロニーと辛辣なブラックユーモアが潜む彼の映画は、ヨーロッパへ労働者として移民する
東部出身のトルコ人を題材にしたものが主です。
ヨーロッパに職を求めて、斡旋業者に身を委ねる東部の出身の9人の男達。
その疑うことを知らない純心さと、右も左も分からない無知さは、無情な斡旋業者の格好の餌食と
なってしまう。運転手を兼ねていた詐欺師は、バスで彼らをスウェーデンまで連れて来るやいなや、
パスポートと持ち合わせの現金すべてを預かったまま、とんずらしてしまった。
それでも騙されたことに気がつかない村人達は、待ちくたびれ、空腹に耐え兼ね、おそるおそるバスから 異国の街へ足を踏みおろす。村では空想すらしたことのない現代的なヨーロッパの街は、彼らにとって別世界 だった。きらびやかなネオン、ショーウインドウのマネキン、西側の女達・・・。
彼らの目に映る、異次元空間への純粋な驚きと、幻想的な光景が、そのままカメラに映し出される。
そして最後一人一人に待ちうける残酷な試練と悲劇。
70年代のオスロの街の美しさと、異文化の中で途方にくれる哀れな村人達が対象的で苦々しい。
彼独特のブラックユーモアの中に、やり場のない空虚感が満ちた傑作。
                                                                  



SARI MERSEDES   「黄色いベンツ」    監督:Tunc Okan  1987年 

同じくTunc Okan監督の、ヨーロッパでも数々の賞を受賞した作品。本題は「Filkirimin Ince Gulu」
(ひらめきの儚い薔薇)だが、一般に「黄色いベンツ」(邦題はいとしのハニーちゃんとかだったと思う)
でおなじみだ。産業のないトルコの村から、数多くの出稼ぎ労働者がドイツに渡った50‐60年代。
当時は、ドイツでお金を儲けたトルコ人が「ベンツ」にのって帰国してくることが、成功のステイタスを意味していた。
貧困の中で何の希望もなく生活する、単純なまでに純粋なBayram。馬鹿だ、うすのろだと周囲から
馬鹿にされていたBayramも、なんとか法をごまかして、ドイツで働く機会を得る。
懸命に働いて、貯めた金をはたき、黄色いベンツを買ったBayramは、さっそうとベンツに乗り込みトルコへ 向かう。彼は、ベンツを所有することによって、自分を社会に位置付けられたと頭から信じきっており、 その陶酔感に理性すら失っているようだ。彼自身を飾りたてる目的であるベンツは、もはや彼の命よりも尊い ものとなってしまった。そんなBayramの帰郷珍道中が、彼の貧困に苦しむ少年時代の回想と共に、面白可笑しく 展開してゆく。
しかし、最終目的地である彼の出身村は廃墟となっており、彼がドイツに行ったことにより、 彼の父は自殺、家族は崩壊していた。黄色いベンツと引き換えに、失ったものの大きさに、めまいがするほどの 絶望感に襲われるBayram.最後には、生々しい痛みを感じる映画です。
ESKIYA    「山賊」       監督:Yavuz Turgul   1996年   123分

警察の摘発にあい、35年間刑務所にぶち込まれていた山賊Baran.
晴れて出獄し、村に出向くが、そこで昔の仲間から、彼が捕らえられた原因(お幼馴染が彼の身を警察に密告したこと、 その男が愛する恋人を手篭めにし、イスタンブールに逃げたという事実)を教わり愕然とする。
背信者の幼馴染を見つけだし、35年前の恋人を奪いとるため、Baranは未知の街イスタンブールへと向かう。
道中ひょんなことから知り合った若者Cumaliは、イスタンブールの袋小路で麻薬の運び屋などをしながら放蕩生活を 送っている。悪さをしながらもお人よしなCumaliは路頭にさまようBaranをほうっておけなくなってしまい、色々世話を焼き はじめ、二人の間には父親と息子のような深い絆ができてくる。
あてもなく35年前の恋人を探すBaranと、愛する女の兄を刑務所から救い出すために、金を工面しようと危険なビジネスに乗り出すCumali。二人の夢は実現するが、そこには沢山の裏切りの罠で溢れていた・・・!
イスタンブールの裏世界、路地裏のふきだまりで生活する、マフィア、売春婦、麻薬の売人、売れない役者など 日の目を見ることのない人々に視点を合わせ、絶望の中にも、はかなく存在する人間愛を描いた大作!
この温かさとハードボイルドの混合は、トルコの北野たけし的作品といえるでしょう。

MASUMIYET  「イノセント」  監督:ZEKI DEMIRKUBUZ  1997年  110分     

姉の不倫相手を殺した罪により、10年を刑務所で過ごした心の優しい内向的なYusuf. 入獄中、家族も家も地震で失い、刑期を終えても行き場がないため、出獄したくないので刑期を延ばしてくれと警察側に要請するほど、消極的な男である。
前代未聞な申し出はあっさりと断られ、彼はしぶしぶ姉の住むIZMIRへ向かう。彼を決して許そうとはしない姉のもとでは暮らせない状態で、Yusufは場末の安宿を定宿とする。そこで出会うのは、キャバレーの歌姫で退廃的なUgurと、その愛人Bekir,そしてUgurの私生児であり聾唖障害を持つCilem。人の良いYusufは、母親のかわりにCilemの面倒を見、他の男と夜を共にするUgurに嫉妬心を燃やすBekirの良い相談相手となり、身持ちの悪いUgurに密かな恋心を抱きつつも、
すべての尻拭いをするはめになる。ある夜、BekirはUgurとの討論の末、希望を失い自殺してしまう。YusufはBekirに変わってUgurのボディーガードをしはじめるが、ある日、Ugurは忽然と姿を消す。Cilemの手を引きUgurを探しながら行き先のない
旅に出るYusuf. あまりにも尊い純心さ、そして果てしない孤独を、うまく描いた近年の傑作。
出演者の自然な演技に脱帽です!
   

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