★以下、転載
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☆NCC平和・核問題委員会陪席者、前NCCキリスト教アジア資料センター
主事の行本尚史さんが、米国同時多発テロ事件と、それに対する報復攻撃をめ
ぐる国外のキリスト教界の活動をまとめてくださいました。
長文ですが、貴重な資料だと思うので、ご一読ください。


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          米テロ事件をめぐる世界のキリスト教界の動き


 9月11日のテロ事件とそれに対する米英の攻撃をめぐって、世界のキリスト教界では、世界レベルから地域社会レベルにいたるまで、祈りとともに声明や集会、示威行動、出版や教育、そしてアフガニスタン難民を支援する動きなどが出ている。その担い手は、教会関係、キリスト教主義の団体や平和運動や人道支援組織だ。

世界レベル

教会関係

 世界教会協議会(WCC、本部=ジュネーブ)は9月11日に総幹事名で、アメリカ合衆国の教会と国民に「大きな衝撃と深い同情の念」を表明、祈りのメッセージを発表。同月20日、コンラート・ライザー総幹事は、米国にあるWCCの加盟教会あてに牧会書簡を送り、ニューヨークとワシントンDCに対する攻撃のあと、エキュメニカルな支援と同情を続けて表明するとともに、「時のしるし」に対する認識を強く求め、地域的・全国的・国際的な応答において信仰に忠実であるよう促した。同書簡はまた、「憐れみの『生きた書簡』として、世界中の教会指導者たちからなる代表団を米国に送り、このような大きな必要が生じている時にどうやって共通の証しをつくることができるのか、あなた方とともに深く考えたい」というWCC常議員会の勧告を伝えている。

 10月1日、同総幹事は、「テロリズムに対する答えは、同害報復であってはならない。なぜなら、それは暴力と恐怖の増大につながるだけだからだ」という内容の書簡を国連のアナン事務総長に送付した。

 10月8日 WCCはゲオルゲス・レモポウロ総幹事代行名で声明を発表し、米国と英国に対アフガン軍事行動の早期終結を強く要求した。10月28日、日曜礼拝がパキスタン教会のエマニュエル・アラー・ディッタ牧師によって守られていた、バハワルプールにあるローマ・カトリックの聖ドミニク教会を、覆面をし銃をもった男たちが攻撃し、17人の礼拝者が殺され、女性や子どもたちを含む30人が負傷した。同総幹事代行は10月29日、パキスタンのキリスト者の安全を深く憂慮し、その警護を確実にする措置を執るよう、同国のムシャラフ大統領に書簡を送った。

 パキスタン出身でWCC国際関係担当幹事のクレメント・ジョン氏は、10月3日、「アフガン戦争の溢出効果」と題する論文をWCCのウェブページで発表した。同氏はその論文で、パキスタンに関するアフガン危機の影響がもつ歴史的文脈を述べたうえで、「米国がアフガニスタンで目的を達成したら、どうなるのか?パキスタンはまたしても取り残されてその後始末をしなければならないのか?」と問題提起をしている。

 カトリック、プロテスタント、正教会、聖公会の62の教会・団体からなる国際的な政策提言団体「エキュメニカル・アドボカシー・アライアンス(EAA)は、「祈り、声を大にし、他者を気遣い、議論し、嫌悪を克服し、旅人をもてなし、教会の会報に投稿し、正義による平和のために立ち上がり、標的にされている人たちと関係をつくり、法律や法案に反応し、救援活動を支えるために与え、寛容を押し進め、EAAの速報を共有する」という13の行動を提起している。

 ルーテル世界連盟(LWF)は、9月12日、クリスチャン・クラウゼ議長とイシュマエル・ノコ総幹事の名で、米国福音ルーテル教会と国外離散のキリスト者であるリトアニア福音ルーテル教会に向けて共同書簡によるメッセージを表明し、被害者とその家族、そして米国市民に「深い同情の念」を伝えるとともに、事件を「破滅的で理解の域を超えた悲劇」であるとし、「嫌悪のトラウマ体験が嫌悪と暴力の拡大につながらないよう祈る」と記した。また、同日、ハンガリーで9日から4日間にわたって開かれていた「今日の反セム主義と反ユダヤ主義」会議に参加した60人をこえるルーテル教会員とユダヤ教徒は、11日のテロ攻撃を強く非難する声明文を発表した。9月24日、LWFは総幹事名による書簡で、「暴力、分断、絶望」が拡がるのを防ぐような対応を促すべく、加盟教会と各国委員会に対し、世界の国々の間で注意深く協議することを強く求めるよう求めた。

 10月8日、LWFは声明を発表し、「外交による解決の道が開かれなかった」ことを悔やむとともに、外交関係の目的は、軍事行動のための同盟を築くよりも「高次のもの」であり、「テロリズムの根底にある原因に直接関与するために」外交がもつ役割の強化を求め、同時に、加盟教会に対し、人間としての交わりと正義のためのパートナーとしての役割を果たすよう呼びかけた。

 改革派教会世界連盟(WARC)は9月12日、米国にある加盟教会と米国キリスト教会協議会(NCCC−USA)あてに、被害者の家族に哀悼の意を表すメッセージを送った。WARCはその後、10月15日にセツリ・ニョミ総幹事名で声明文を発表し、テロを非難し軍による攻撃の中止を求めるとともに、武器が農具に変えられ戦争がなくなることをうたったイザヤ書2章4節を引用し、加盟教会にとりなしの祈りを求めた。

 世界バプテスト連盟(BWA)のデントン・ロッツ総幹事は、9月12日、ジャカルタで声明文を発表し、被害者の遺族に哀悼の意を表し、テロリズムを神の名において非難するとともに、「主は剣を納め十字架をとるようペテロや私たちに教えられた」として、剣を上げてはならないこと、そして平和のために祈り働くことなどを訴えた。ビリー・ジャン・ホワン・キムBWA議長も、神の知恵と恵み・平和・慰めを求める祈りの声明文を発表した。

 BWAには世界中のバプテストから悲しみと怒り、そして祈りのメッセージが届けられた。また13日にはアジア・バプテスト平和ネットワークが木村公一委員長の名で米日両政府に申し入れ文を送り、@米国政府および当該国際機関は、特定国家の利益から自由で公正な国際裁判によって事件の真相とその政治的・歴史的原因を解明し、責任者たちを法的に追訴・処罰し、和解と平和の国際法的保障システムを構築するための努力をすること、A日本政府は、米国政府に対し、戦争行動を扇動するような言動を止め、法的正義と平和への決意を促し、さらに、この事件を政治利用して、戦争を準備するための「有事法制」を謀らないこと、B両国政府は、今までの政策を改め、あらゆる手段を尽くして、世界が公正で権威ある国際司法への信頼を回復するための努力をすること、C両国の民衆は、生活のあらゆる場で、知恵を尽くして上記の三点を実行するよう各国政府に働きかけること。また、イスラム教徒への偏見を捨て、彼らと共に平和を追い求めること、の4つの点を要求した。

 英国国教会(聖公会)の最高指導者であるジョージ・ケアリー・カンタベリー大主教は9月11日、テロ事件に衝撃と悲しみの意を示すとともに、被害者のための祈りの声明文を発表した。 フレンド派(キリスト友会、通称クエーカー)世界協議委員会(FWCC)暫定委員会のトーマス・C・ヒル・クラーク氏は9月30日、世界各地のフレンド派にメッセージを発表し、@エキュメニカルな、そして諸宗教の対話を促進すること、A 身代わりに罪をきせたり、平和のためのイニシアチブを支える人たちを分裂させようとする圧力を拒むこと、BWCCによる「暴力克服の10年」を押し進めるために他の教会とともに活動することなどを求めた。また、同日発表した公的声明文では、「分裂ではなく一致にむけた、そして報復ではなく正義に基づいた国際的行動にむけた政策のために働くよう」強く要求した。

 メノナイト世界会議(MWC)は10月12日、記者発表で被害者に対する哀悼の意とともに、平和と和解を求め、特定の集団に対する差別に反対する意向を示した。

 世界福音同盟(WEF)は、世界中の福音派に祈りを呼びかけるとともに、同じようなテロ行為に直面したことのある国々の教会からの助言を求めている。WEFのウェブページでは世界中の福音派から祈りのメッセージが寄せられている。

 世界YWCAは、9月11日、祈りと平和のための非暴力的な緊急行動を要請する文を発表するとともに、10月14日から20日まで、暴力に反対する毎年恒例のキャンペーンを行った。

 一方、世界YMCA同盟は、ニック・ナイチンゲール総主事名で、9月12日と17日、正義と平和のための祈りや対話などをよびかけるメッセージを各国のYMCAに送った。18日には、同団体の呼びかけにより、世界各国のYMCAで祈りが捧げられた。

 カトリック教会では、ローマ教皇が9月11日、ブッシュ大統領に次のような電報を送った。「きょう米国の数カ所で発生した、罪もない人々に対する攻撃の、言語に絶する恐怖に衝撃を受け、私は急いで、あなたと米国市民の方々に、この暗く悲劇的な時にあって、私の深い悲しみと、私が貴国と祈りのうちに心を合わせていることをお伝えします。 全能の神の永遠のいつくしみに犠牲者の方々をゆだねつつ、私は神のみ力が、救助作業や負傷者の手当てに従事するすべての人の上に添えられますようお祈りします」 翌12日、ローマ教皇は一般謁見での説教で、米国の大統領と国民にお悔やみの意を表明するとともに、神が負傷者たちを力づけ、ボランティアの人々や救援者たちの働きを助けてくださり、「憎しみや暴力が決して勝つことのないよう主に祈りましょう」と呼びかけた。13日には、バチカン駐在の新しい米国大使に、暴力、憎しみ、分裂を拒否し「正義と平和の理想に基づく、新たなる国際協力の時代を生み出す決意を、地上の全ての人々に目覚めさせるよう、私は祈り続けたい」と、平和への招きを新たにした。14日の正午には、教皇はじめバチカン関係者がテロの犠牲者のために黙祷を行った。16日、ローマ教皇はワシントンDCのマッカーリック枢機卿あてに書簡を送り、哀悼の意を表明するとともに、「悪に負けることなく、善をもって悪に勝ちなさい」(ロマ12:21)という聖書の言葉を引用して、神を信頼しつつ正義と平和・安全のために働くよう呼びかけた。

 ローマにあるカトリックのZENIT通信社によると、ヴァチカンの国連常任オブザーバーであるレナート・マルティノ大司教は10月22日、国連総会で9月11日のテロに対する軍事的対応についてのヴァチカンの公式見解を述べ、テロリズムは「復讐」によっても、また「罪のない人々に無差別攻撃をする報復」によっても、打ち負かされることはない、などと語った。

 同通信社はまた、同日、ローマ教皇がパキスタンのカトリック教会を支援するために、その司教たちに祈りのメッセージを送り、ヴァチカンからパウロ・ヨゼフ・コルデス大司教を派遣したことを伝えた。同大司教は派遣後、ムシャラフ大統領と会見すると伝えられた。 同通信社によると、ヴァチカンの司教区会議は10月25日、4週間にわたって行われた同会議の「最終メッセージ」で、テロリズムや暴力、「罪の構造」に震え上がる世界に、キリストにある希望があると述べ、悪が最後までのさばることはないと述べた。同通信社による29日の報道では、ローマ教皇は駐ヴァチカン日本大使との会見で行った歓迎の演説で、改めてテロリズムを非難するとともに、「文明間の対話」が平和の条件であると語ったという。


国際協力団体

 9月18日、カトリック系の世界的な国際協力団体「カリタス・インターナショナル」と、ヨーロッパとカナダのカトリック系開発NGOネットワークである「発展と連帯のための国際協力」がブッシュ大統領に書簡を送り、「罪のない人たちのいのちがこれ以上失われることは何としてでも避けなければなりません」「世界が嫌悪と暴力の悪循環に陥らないように」などと訴え、正義をもって生きる恵みのために祈らなければならないとするとともに、全ての人々との和解と、平和の文化の構築の重要性を指摘した。

 また、イエズス会の国際的な難民支援団体「イエズス難民サービス(JRS)」は9月17日、「米国に対する攻撃は全世界的に非難されている」とする声明文を発表するとともに、その中で亡命者や難民に怒りや報復を向ける暴力的な反応に憂慮を示した。10月22日には、米英両国による対アフガン攻撃が、逃げ場のない難民の退去をあおり、難民の権利を危険にさらしているとする懸念を表明した。

 一方、10月16日付のエキュメニカル・ニュース・インターナショナル(ENI)によると、WCCとLWFの加盟教会・団体からなる人道支援組織である「教会共同行動」(ACT)は、米国主導の軍事攻撃を批判し、軍用機からの食糧投下を「効果的ではない」ばかりか、民間人に対して「危険」でさえあるとした。

 そして、英国とアイルランドのキリスト者が支援する国際協力団体「クリスチャン・エイド」は、9月24日、武力行使を「国際法の範囲内」に限定し、「暴力の悪循環につながってはならない」「民間人の命が失われるのを最小限にくい止めるようなものにしなければならない」などとする立場を表明した。同団体はまた、アフガニスタンで大規模な人道上の破局が迫っているとして、ブレア首相に緊急行動をとるようFAXで要求するキャンペーンを行っている。
 

平和運動
 
 国際友和会(IFOR)は9月12日、声明文を発表し、米国とその同盟国に対し、「報復をしたいという盲目的な欲望に駆られてはならず、むしろ平和と正義による世界のために決意を新たにしなければならない」と訴えた。米国、ウェールズ、ウガンダ、オランダ、パレスチナ、バングラデシュの支部からも声明文やブッシュ大統領宛の書簡が出されている。

 カトリックの国際的な平和運動組織「パックス・クリスティ・インターナショナル」は、9月12日、米国パックス・クリスティあての声明文で、被害者とその家族や友人に哀悼や同情の意を表明した。10月9日、パックス・クリスティ・インターナショナルは、「暴力では暴力を止めることも、正義をもって平和を確立することもできない」という立場を改めて表明し、「戦争という暴力は、いったん手綱を放せば、統御することは難しい」とする声明を発表した。17日、パックス・クリスティ・インターナショナルのエティエン・ドゥ・ジョング幹事は、国連のアナン事務総長に書簡を送り、ノーベル平和賞受賞について祝辞を送るとともに、アフガニスタン爆撃の即時停止を求めた。


国際地域レベル

 中東教会協議会(MECC)は10月10日、米テロ事件に由来する暴力がアフガニスタンなどでますます拡大していくことに大きな悲しみの意を表し、イスラム教徒とキリスト者の共存を訴えるとともに、キリストにある世界の兄弟姉妹に、暴力を止めさせるために声をあげ、流血と報復に代わる方法を使うように各国政府を説得するように強く訴えた。

 アジアキリスト教協議会(CCA)は、10月4日付で、安戴雄(アン・ジェウォン)総幹事の名で、ブッシュ大統領に公開書簡を送り、「平和の文化をつくり出す」という観点から、あらゆる暴力を非難し戦争への不支持を表明するとともに、国家安全保障ではなく、軍によらない「共通の安全保障」の達成を訴えた。また、同月19日には、「戦争ではなく平和を求めるパキスタンの教会からの緊急要請」をホームページで発表している。

 ラテンアメリカ教会協議会(CLAI)常任理事会は 声明文でテロリズムを拒否するとともに、「テロリズムにさらなるテロをもって戦うことはできない」と述べた。 「英国・アイルランド教会共同」は、英国の首相宛ての書簡で対テロ戦争について憂慮を示すとともに、「報復ではなく正義が貴殿の対応の根本にあるという理解に真にとどまるよう」強く求めた。

 太平洋教会協議会(PCC)はバラモトゥ・パル総幹事の名で声明文を発表し、被害者への哀悼の意とテロに対する非難を表明した。 また、全アフリカ教会協議会(AACC)は9月13日、被害者と米国市民、そして遺族に同情と祈りのメッセージを送った。WCC会長団員(アフリカ)のアグネス・アブオム博士は、米国NCC総幹事あてに祈りのメッセージを送った。

 10月22日、ローマ教皇とアンティオケ・全東方ギリシャ正教会総主教座のイグナチウス4世は、ヴァチカンで開かれた会合で、正義を追求するために全ての人々、とりわけイスラム教徒と団結し、諸国に調和を説き、イスラム教徒と西洋の間における文明の衝突を全力をもって避けるという共同声明を発表
した。

 ヨーロッパ教会協議会(CEC)の情報通信担当幹事であるロビン・ガーニー、ルカ・ニグロ両氏は9月12日、連名で米国NCCの総幹事あてにメッセージを送り、テロについて衝撃と悲しみの意とともに励ましと平和の祈りを伝えた。9月12日から16日まで、カトリックのヨーロッパ司教会議協議会とともにサラエボで「ヨーロッパのキリスト者とイスラム教徒」と題する会議を開いたCECは、会議の声明文とは別に、9月14日付の宣言文で、9月11日のテロ事件に関し、犠牲者とその家族に同情の意を示すとともに、テロ行為を非難し、正義と平和、和解のために働く決意を表明した。また、CEC会長団は10月8日、テロに対する対応は慎重かつ国際法に基づいたものでなければならないとするとともに、9月11日のテロ事件によって、ヨーロッパ内での対立やイスラエル/パレスチナ問題、気候変動、移民や難民を生むような貧困や抑圧・紛争、貧富の格差などの問題を忘れてはならないとした。

 アジア福音同盟(EFA)の主催で10月1日から5日までタイのパタヤで開かれた「教会奉仕と宣教に関する世界会議」(GCCMM)では、参加者が米国同時多発テロ事件の意味について講演や討議、祈りの中でしばしば言及し、暴力と敵対の中における福音宣教の意味や、教会が世界を変えなければならないこと、キリスト者が悔い改め和解の中心にならなければならないことなどが述べられた。同会議は、紛争や暴力で引き裂かれた21世紀に、キリストの十全な福音を全世界へ宣べ伝える教会の使命などを確認した。(「クリスチャン新聞」10月28日付より)

 9月30日、カトリックの「ヨーロッパ正義と平和協議会会議」は、ブダペストで開かれた総会で声明文を採択し、「無制限な軍事活動はそれがどんなものであれ私たちの信仰や道義を完全に否定するものである。また、攻撃に対する応答はそれがいかなるものであろうとも、暴力の悪循環をさらに大きくするものであってはならない。いまこの時に試されているのは、他者の非人道性に対する反応において自らの人間的価値が目減りしてしまうのを避けることだ」と訴えた。

 9月18日、ポーランドで14日から6日間にわたって開催された「ヨーロッパ少数派ルーテル教会コミュニケーション委員会」(KALME)の会議の参加者は、報道機関に対し、テロ攻撃に関する情報を責任あるやり方で使うよう強く求めた。


全国レベル

 米国

 9月16日、ニューヨークのカトリック聖パトリック大聖堂では、犠牲者の追悼ミサが行われ、ギリアーニ・ニューヨーク市長や国連のアナン事務総長ら2000人以上が出席した。 

 米国キリスト教会協議会(NCCC−USA)は「テロリズムに対する信仰の応答」と題するウェブページで、教会の声明文などさまざまな情報を特集し掲載している。

 9月11日 NCCC−USAの国際協力部門、教会世界サービス(CWS)は、米国災害対策顧問団を全国的に動員し、ニューヨークやワシントンD.C.などで牧師によるケアを行うとともに、同緊急対策常任委員会は同日朝、直ちに緊急会議に入った。同日、罪のない人たちに対する報復行動の危険を防ごうと、全米の宗教界が祈りと支援で一致した。

 20日 CWSとその加盟教派は、中・長期的に行う感情的・霊的なカウンセリングや牧師によるケア活動の対象を、全米にまで拡げた。同日、米国キリスト教会協議会(NCCC−USA)フレンドシップ出版部は、キリスト教とイスラム教の相互理解を促そうと、『神は唯一−イスラムの道』というイスラム研究の本とともに、成人や年長の青年向けに、その付録として『唯一の神・二つの宗教 キリスト者とイスラム教徒が出会うとき』という学習の手引きを発行した。この手引きはいったんすでに売り切れ、再発行された模様。また、同日、「彼らの勝利を拒もう テロリズムに対する宗教者の応答」という声明文が

、米議会内の各事務所や大統領官邸に届けられた。署名者数は11月1日現在で3,700人を超えている。

 22日 CWSは何万人ものアフガニスタン難民に避難所を提供するとともに、「人道上の危機は非常に深刻」と報告した。
 
 28日 NCCとイスラム教の指導者たちが月に1度会合を開くことに合意した。同日、インターネットのフォーラム「悲劇と霊的ケア」(www.FaithandValues.com)が開設された。地域にある教会の牧師たちに教会員から質問が殺到。現在では専門家による助言が行われている。

 29日 中米、韓国、ヨーロッパの教会からの来賓が米国NCC常任理事会で同情の念を表明した。

10月1日 「ブレッド・フォー・ザ・ワールド」会長のデビッド・ベックマン師は、NCCの常任理事会で、米国NCCによる、貧困をなくすための10年間にわたる取り組みは、「9月11日の事件の文脈において」ますます重要であると発言した。同日 フリーダム・フォーラム第一修正条項センターのチャールズ・C・ヘインズ博士は、同常任理事会で「自由が脅かされている時、それを守るには、旗を振るのではなく、米国憲法の原則と理想を生きることだ」と発言。また、同日の常任理事会での議論では、米国の教会による対応が幅広く創造的に行われていることが明らかにされた。5日 CWS緊急対策チーム、アフガニスタンの人道支援に関する事前評価を緊急に行うために、米国国際開発庁(USAID)から助成金を受けた。

 米国の教会では、テロによる死亡者の追悼礼拝が各地で行われ、中には遺体が見つからないまま行われるという場合もあった。

 米国聖公会は9月26日、被害者への連帯と和解への呼びかけの声明を総裁主教名で発表。10月8日には同教会の総裁主教が主教会あてに書簡を送り、米国による軍事行動については意見が分かれていることを協調したうえで、主教会が「和解を行うことができるよう望む」などとした。

 米国キリスト合同教会(UCC)役員協議会は10月12日の声明で、「我が国の指導者たちは暴力を暴力で返す道筋をつくってしまった。この決定に対する私たちの嘆きは、亡くなった人たちや私たちの愛国心、そして『アメリカに神の恵みあれ』という私たちの熱い祈りを否定するものではない。けれどもこの祈りは、これらの攻撃で殺される人々やそれを実行する人たちの両方を含め、この道筋によって危険にさらされるすべての人たちのための私たちの祈りとも連なるものなのだ」とした。同教会はほかにもウェブページにたくさんの情報を載せている。

 9月27日には、米国長老教会(PCUSA)が大統領と米議会、同教会内の地域教会の指導者、そしてエキュメニカルな協力教会・団体あてに、テロに対する公式の応答文を提出することを発表した。29日には、同教会の大会協議会が、そして10月10日にはニューヨーク市内の同教会が、被害者に対する憐れみと支援に感謝する書簡をそれぞれ同教会に送付。大会協議会はその書簡の中で、被害者とその家族、政府の指導者や軍のために祈るようよびかけるとともに、他の宗教者に怒りをかき立てる言葉を浴びせたり罪をきせたりしないよう、そして平和のための働きを続けるよう求めた。同教会はまた、11月14日から16日まで、人種差別反対世界会議の検証をするセミナーを開く。

 米国福音ルーテル教会は、10月7日、ジョージ・アンダーソン総裁監督の名で民間人の生命を守り、軍事行動の代わりに外交による努力で平和的解決をするよう強く求める声明を発表した。同声明文はしかしその一方で、「私たちの理解では、ある特定の条件の下においては、軍事力の行使以外に、罪のない人たちを守る方法はないかもしれない」とも述べている。一方、同教会の女性委員会運営委員会は10月12日から14日までシカゴで会合を行い、「人間安全保障を増進しこれ以上命が失われるのを防ぐために、法や外交その他非暴力的な手法を通じた正義」を追求するよう求める決議を採択した。

 10月10日、「国の立法に関するフレンド派委員会」(FCNL)は、ジョー・フォルク幹事名によるブッシュ大統領宛の書簡で、爆撃を直ちに中止し平和的解決をするよう求めた。同幹事はまた、同日、フレンド派の他の3つの団体とともに同様の内容からなる共同声明を発表した。

 一方、米国の救世軍東部軍国は、9月11日のテロ事件の数時間後に被害者に対する救援活動を開始、現在も続けている。

 10月1日、米国イエズス会はブッシュ大統領に書簡を送り、テロに対する応答にあたって、@難民を含む罪のない人たちを保護すること、A報復ではなく正義を、B無差別な軍事的応答を避けること、C容疑者の特定や訴追のための立法によって憲法上の権利および市民権が侵害されないようにすること、D中東の苦しみや怒りの根源を検証すること、E国際法と人権を尊重すること、という6つの項目を要求した。

 米国カトリック司教協議会は9月11日、テロ事件の悲劇に悲しみの意を表明し、祈りと一致を求めた。13日には、同協議会内にある、イスラム教徒との連繋委員会がテロ攻撃を非難し、14日には司教協議会とイスラム指導者が共同声明で米国市民に一致と協力を求めた。会長のジョセフ・フィオレンツア司教は、ブッシュ大統領に宛てた19日付の書簡で、テロ終息のための長期的な対応にあたって、「決意と自制」を求め、ローマ教皇の言葉を引用しつつ、米国が嫌悪と暴力の誘惑に負けることなく、正義と平和のために仕えるよう求めた。

 10月9日、米国カトリック司教会議行政委員会は、「軍事行動は常に後悔を伴うものであるが、罪のない人たちや共通の善を守るためには必要かもしれない」としつつ、「軍事的応答は武力行使に関する伝統的な道義による制約によって導かれなければならない」とし、その標的はアフガニスタンの罪のない民衆やイスラム教ではなくテロを利用したり支えたりする者たちであることを明確にする努力を支持するとした。

 10月16日、米国ギリシャ正教会のデメトリオス大主教は、教会の子どもたちと青年あてに、9月11日の事件にも関わらず神が私たちを愛してくださっていることを確信させる手紙を発表した。

 10月22日には、米国の宗教指導者がテロ攻撃の背景にある意味を探る会議を開き、その模様がインターネットで中継して伝えられた。

 米国福音同盟(NAE)は加盟教派・教会に「全国哀悼と祈りの日」を9月16日(日)にもつよう呼びかけるとともに、9月20日付の全国紙「USAトゥデイ」に、「未曽有の悲しみの時にある国民のための国民による祈り」 という祈りの文の全面広告を掲載し、その祈りを1週間、毎日祈るよう呼びかけた。

 米国聖書協会(ABS)は、9月12日、ジーン・ヘイベッカー会長名で会員宛の書簡を送り、テロ事件後、聖書箇所の抜粋本『神は私たちの避けどころ、わたしたちの砦』の頒布をニューヨーク市内で開始したことを伝えた。主要紙での全面広告やラジオでの宣伝も開始し、その発行部数は10月3日で60万部を超えた。同協会はまた、24日、声明で悲しみと祈りを表すとともに、神の臨在とご加護を確認した。聖書協会世界連盟(UBS)は10月3日、各国際地域と各国の聖書協会の総主事あてにファーガス・マクドナルド総主事の名で緊急アピールを送り、ABSのこのようなを支援するための献金を呼びかけた。カナダ聖書協会(CBS)も事件に対する職員の対応などをウェブページで紹介した。

 米国YWCAの指導者層は、9月11日のテロ事件に対して、寛容を求める声明を会長名で発表、10月14日から20日までを第7回「暴力のないYWCA週間」とした。

 米国YMCAでは、@テロ犠牲者の遺族と関係者のためのカウンセリング、A救援者への施設の提供、Bリフレッシュメントサービス(軽食提供など)を行っている。また北米 YMCA 同盟はホームページでアラブ系移民への偏見、抑圧が生じることに懸念を表すとともに、メディアを通じた子どもたちへの影響についての対策などを掲載した。


平和運動 

 9月12日、米国パックス・クリスティは公式声明を発表し、同国の民間や軍に自制を求めるとともに、「この卑劣な行為に対する適切な対応は同じ暴力による卑劣な行為ではない。復讐は正義ではない。命を失った全ての人々の思い出に栄誉を与えるのは、国際法に基づく正義であり、無謀な懲罰ではない」とした。また、同日、行動の提案として、被害者のための献金や祈祷会、人種差別的な暴力の防止を呼びかけた。9月24日、米国パックス・クリスティは暴力を避け平和を求めるための断食を毎週金曜日に行うよう呼びかけた。

 平和教育や平和運動で知られる米国フレンド派奉仕委員会(AFSC)は、9月11日、被害者への憐れみを表すとともに「暴力と報復の悪循環を断ち切ることが私たちの課題だ」とする共同声明を発表、13日には「もうこれ以上の犠牲者が出ないように」というキャンペーンを開始し、米国人に対し、平和のために働くよう強く求めた。フィラデルフィアで礼拝を行った。26日にはフレンド派総会とフレンド派世界協議委員会との年次会合で、癒しと正義、平和のために働くクウェーカーの責務を表す声明文を発表した。10月2日には米国内にも国外にも「これ以上の犠牲者が出ないように」という救援キャンペーンを拡大するとともに、10月・11月・12月の各7日を「全国平和のための日」とするよう呼びかけた。10月11日に発表した共同声明では、米国の指導者が対アフガン攻撃を開始したことに遺憾の意を表し、爆撃やその他の軍事攻撃を中止するよう求めた。
 
 イギリス
 
 英国国教会の指導者たちは10月2日、平和と正義、そして和解のための祈りを呼びかけた。

 英国福音同盟(EAUK)は9月11日のテロ事件についての祈りの手引きを作成し、米国やその政権、救援活動団体、英国やヨーロッパのために祈るよう呼びかけた。

 スコットランドのエキュメニカルなキリスト教団体であるアイオナ共同体は、9月11日のテロ事件を受けて、平和のための祈祷文をつくり、発表した。

 10月8日、英国パックス・クリスティは、対アフガン軍事行動の開始との関連で、アフガニスタンの平和のために祈りと断食、行動を呼びかけた。


 フランス・プロテスタント連盟は、会員あての書簡で、国際刑事裁判所の重要性を強調し、特定の個人や国に焦点を当てる誘惑を避ける必要を説くとともに、他の宗教の人たちとの会合や対話の機会を増やすよう求めた。


 ドイツ福音主義教会(EKD)評議会のプラエゼス・マンフレッド・コック議長は9月11日、テロ事件に驚愕の気持ちを示すとともに、米国とその市民に祈りの連帯のメッセージを示した。また、ENIが10月23日に報じたところによると、EKDは、同月に発行した文書の中で、冷戦後、武力紛争の性格は基本的に変わったとして、内戦やテロリズムへの対処にあたっては軍事行動ではなく政治的解決をするよう求めた。
 
 一方、10月29日付の世界キリスト教情報サービスによると、独『idea通信』が伝えたところでは、ドイツ・ルーテル教会のマルゴット・ケースマン監督は、「現代の十字軍運動を求めるのは、キリスト者であっても、それを新約聖書で正当化することは出来ない」として、宗教的暴力や優位性について論議を高揚させないよう呼びかけたという。

 パキスタン教会協議会(NCCP)は9月27日に緊急会議を開き、声明を発表。米政権に対して、「自制と思慮分別をわきまえる」とともに信頼できる証拠なしにどの国も被害にあわせることが必ずないようにするよう、強く求めた。同声明はまた、少数者である同国のキリスト教が「パキスタン政府を全面的に支持し、国とともに肩を並べ、母国を守るために必要ならどんな犠牲も払う」とした。

 10月8日、エキュメニカル・ニュース・インターナショナル(ENI)は、パキスタンで米国と英国による軍事攻撃に反対する暴力的な抗議行動が勃発していることに、パキスタンのキリスト者の指導者たちは憂慮を示したと報じた。ENIによると、パキスタン教会協議会(NCCP)のビクター・アザリア総幹事は、「情勢はよくない。抗議行動はここラホーレも含めたすべての大都市で起きている」と語ったという。

 同総幹事は10月19日、香港で行われたCCAの会議で、国際社会に平和を求めアフガニスタンでの戦争を止めるよう呼びかけた。「平和が最も大切。戦争はこの政治問題に対する答えではない。交渉と互いの権利の尊重が不可欠だ。パキスタンの教会は、テロリズムを撲滅することを願って、言葉でも霊的にもパキスタン政府と国際社会を支持してきた。けれども、それらの教会が感じているのは、アフガニスタンにいる罪のない人たちを攻撃し殺すのは、極めて不得策であり、直ちに止めるべきだということだ」

 10月28日、日曜礼拝がパキスタン教会のエマニュエル・アラー・ディッタ牧師によって守られていた、バハワルプールにあるローマ・カトリックの聖ドミニク教会を、覆面をし銃をもった男たちが攻撃し、17人の礼拝者が殺され、女性や子どもたちを含む30人が負傷した。10月29日付のENIによると、同教会では29日、犠牲者の葬儀が行われた。「私たちが恐れていたことが現実に起こってしまった」と、同国のある主教は語ったという。インターネットによる同国のキリスト教英文ニュース「パキスタン・クリスチャン・ボイス」は、ホームページで犠牲者に対する哀悼の意を表した。米国NCCによると、CWSの代表団は聖ドミニク教会を訪問しCRSとともに被害者の家族を支援するとしている。またパキスタンNCCもこの事件について話し合うために緊急会議を招集したという。パルヴェズ総幹事は、「(殺された人たちの)家族全員を祈りのうちにおぼえてください」と語ったという。

 一方、ヴァチカンのZENIT通信が10月28日、また朝日新聞が10月29日朝刊でそれぞれ伝えたところによると、ローマ教皇はこの殺害事件を非常に強く非難したという。また、CNNが10月28日に伝えたところによると、パキスタンのムシャラフ大統領もこの事件が「訓練を受けたテロリスト」の仕業であるとして、これを強く非難した。

 さらに、BBCが10月31日に伝えたところによると、この殺害事件の容疑者13人は30日に逮捕されたという。

 アルメニア使徒教会(キリキア)の総主教でWCC中央委員会議長のアラム1世は、9月26日にレバノンで行われた正教会とカトリックの総主教会議で、「私たちは何世紀もの間、イスラムと共存してきた」などとし、テロリズム撲滅のために諸宗教が協力するよう訴えた。同総主教はまた10月24日、記者会見で、テロ撲滅における宗教の役割が極めて重要であると語るとともに、「懲罰的なアプローチはテロリズムを撲滅する効率的な方法ではない」「軍による攻撃はテロリズムを封じ込めることはできるかもしれないが、テロリズムを撲滅することはできないのだ」などと述べた。

 モスクワ・全ロシア総主教座であるアレクシー2世とロシア正教会主教会議は9月12日、悲しみとともに被害者への連帯の意を表す声明文を発表した。10月20日、モスクワの救世主キリスト教会で追悼ミサが行われ、アレクシー2世は犠牲者を憶えて祈った。ENIは10月26日の報道で、これまで反西洋的な感情が強かったロシア正教会は、これによってプーチン大統領と同じようにアメリカ寄りになったとするとともに、同教会はこれまでイスラム教徒と西洋のキリスト教界との間で注意深く歩みを進めてきたと伝えた。アルバニア正教会のアナスタシウス大主教は、ギリシャの英字紙「カティメリニ」とのインタビューで、対話の重要性を強調し、そのほうが「沈黙するよりよい。なぜなら、それは疑惑を生むだけであり、嫌悪を生むことも多いからだ」と語った。

 9月28日付のENIによると、アフリカのナイジェリアでは、9月に同国中心部の都市ジョスでイスラム教徒とキリスト者との間で民族・宗教暴動が起き、何百人もの死者が出たという。10月31日のENIによる報道では、同国カノ市では、アフガニスタンにおける米国主導の軍事行動に引き続いてこのような暴動が起き、それから逃れようと何百人ものキリスト者が警察や軍の兵舎に避難したという。

 ZENIT通信が10月21日に伝えたところよると、スーダンでも、1983年以来、イスラム主義の政府と同国南部にいるキリスト者との内戦が続いているという。

 中南米では、キューバ教会協議会(CCC)常任理事会が、10月1日、北米の人々との連帯を表明するとともに、平和のための祈りの日をもつよう呼びかけた。ブラジル・エキュメニカル協力サービス(CESE)は、悲しみとともに被害者への連帯の意を表明するとともに、「大げさな反応」をすれば、それは「世界の文明諸国を、火曜日の残虐行為を犯した人たちと同じ次元へとおとしめることになり、世界ではなく彼らの勝利になってしまう」と警告し、「国々の紛争の根底にある社会経済的な不平等や人種差別、嫌悪などを克服することで世界を変えることができると信じる」と述べた。アルゼンチン改革教会は、10月6日から8日まで大会を開き、「希望の証し人」と題する声明文を採択、テロ事件による困難な状況の中でも、すべての神の民や良心をもつ人々と団結することで、新しいアルゼンチンと世界をつくることができるとした。

 カナダでは、9月11日、カナダ合同教会が祈りを呼びかけ、カナダ聖公会首座主教は米国聖公会総裁主教に連帯の書簡を送った。9月21日、バプテスト連盟、カナダ長老教会、カナダ合同教会、カナダ聖公会、カナダ福音ルーテル教会の各指導者が共同で教会員あての声明文を発表し、1.テロリストたちを司法の場に連れ出すこと、2.国際的な法の適正な過程を守ること、3.武力行使についての制限を定めること、4.問題のより深い原因に取り組むこと、5.世界の相互依存を認識すること、6.正義と平和の視点を取り戻すこと、という6つの価値に基づいた行動を求めた。同日、カナダ教会協議会(CCC)は同国にある「平和・紛争研究所」プラウシェア・プロジェクトと共同で、同国のクレティエン首相あてに書簡を送り、テロ事件を「戦争」と呼ばないよう求めるとともに、テロリストたちを司法の場に連れ出すこと、国際的な法の適正な過程を明らかにし確立すること、相互依存の世界における国際協力の必要性をカナダが米国に理解させること、テロを生み出す社会経済的条件について取り組むこと、大規模な武力に依拠してはならないことなどを提言した。18日にはカナダ合同教会のマリオン・パルディ議長が教会員あてに、被害者への憐れみと希望を祈りと行動で示すよう促す牧会メッセージを発表した。10月15日に同国下院で討議が行われるのを前に、カトリックとプロテスタントの17の教会・団体の指導者たちが、公的アピール文を発表し、1.軍事攻撃によるのではなく、短期的にはテロに対する注意と警戒を増進させることでテロを予防すること、2.テロを行った者を追跡し、捕らえ、裁判に掛けること、3.テロリズムの撲滅に向けた長期的予防として、テロリズムの根元にある原因に取り組み、多国間協力を行うこと、という3つの点を提言した。同指導者たちは12日に同様の内容による書簡を同国議会へ送った。

 アジアでは、9月12日、台湾長老教会が提携関係を持つ米国の教会に、祈りと支援を伝えるとともに、非暴力的な手段による平和と正義を求めるよう呼びかける書簡を送った。13日、パキスタン教会協議会は、被害者とその家族、米国の市民や政界の指導者・意思決定者に同情の意を表す覚書を発表した。

 フィリピン教会協議会(NCCP)もまた、14日に「軍事力ではなく平和的な交渉による解決を」求める声明を、18日には米国による戦争の準備を強く非難する声明文を、21日には「歴史から学べ−民衆の叫び声を聞け」と題する声明文を、さらに10月8日には米国による対アフガニスタン攻撃を強く非難する声明文をそれぞれ発表している。オーストラリア教会協議会(NCCA)は、14日、オーストラリアのユダヤ教・イスラム教・キリスト教指導者による呼びかけ文「ともに立つとき」を発表し、同国市民の連帯を求めた。

 インドネシア教会共同体(PGI)常任理事会は10月12日、敵対を直ちにやめ、テロ克服のためにすべての関係者が協力するよう求めるとともに、インドネシア国内のすべての社会・政治勢力に対し、自らの危機からの解放のための苦闘を忘れることなく、米国とタリバンの紛争に対して「賢明かつバランスのとれた態度」をとるよう求めた。

 一方、カトリックのアジア司教協議会連盟(FABC)は10月の第4週目、9月11日のテロ事件について声明文を発表し、テロを非難するとともに、「目には目を、歯には歯を」という復讐に「ノー」と言う意向を示し、「平和を実現する者は幸いである」として、「愛の文明」(ローマ教皇)をつくるために働くべきだとした。


他の宗教者との協力

 9月29日、レバノン全国対話フォーラムの主催で開かれたキリスト者とイスラム教徒の対話集会は、9月11日のテロ行為を非難し、テロリズムと占領に対する民衆の抵抗の違いについての省察を示すとともに、宗教や文化の違いを超えた対話をキリスト教指導者に求めた。

 10月3日、エジプトにいるイスラム教徒とキリスト者の有志が、マリー・アサッドWCC前副総幹事の呼びかけにより、平和のための祈りと断食を求めた。

 10月22日、ワシントンD.C.で「テロに直面する信仰(Faith in the Faith of Terror)」と題する諸宗教の対話が行われた。その模様は現在もインターネットでも公開されている。

 また、日付は不明だが、フィリピンのイスラム教徒とキリスト者が、米国によるアフガン空爆を非難し、それに対するアロヨ政権の全面的支持とそれがフィリピンのモロ民族とイスラム教徒の移民にもたらす悪影響に反対する声明文を発表した。

 一方、米国では、10月・11月・12月の11日を「非暴力と平和のための祈りと追悼、断食の3日」としてこれに参加するよう、全米と全世界の宗教者に求める動きもある。

 ほかに、世界宗教者平和会議(WCRP)も、テロを非難し、宗教者の相互理解と協力を求めている。


被害者支援

 9月11日のテロ事件直後から米国や世界のキリスト教会・団体は被害者支援を開始。教会共同行動(ACT)やCWS、JRS、カリタス・インターナショナル、AFSC、米国福音同盟の援助協力機関であるワールド・レリーフや、国際飢餓対策機構、救世軍、ワールドビジョン、クリスチャン・エイドなどがテロの被害者やアフガン難民の支援を行っている。

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情報源:
Worldwide Faith News
ZENIT
Ecumenical News International (ENI)
Ecunet
Catholic News Service (CNS)
Religious News Service (RNS)
世界キリスト教情報サービス
各教会・団体のウェブサイト
など

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キリスト者平和ネット cp_net@jca.apc.org
            

 

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