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私は不思議でたまらない、 黒い雲からふる雨が、 銀にひかつてゐることが。 私は不思議でたまらない、 青い桑の葉食べてゐる、 蠶が白くなることが。 私は不思議でたまらない、 たれもいぢらぬ夕顔が、 ひとりでぱらりと開くのが。 私は不思議でたまらない、 誰にきいても笑つてて、 あたりまへだ、といふことが。
(金子みすヾ)
金子みすヾ/本名金子テル。 明治36年山口県大津郡仙崎村(今の長門市)に生まれる。大正末期、すぐれた作品を発表し、西條八十に『若き童謡詩人の巨星』とまで称賛されながら、26歳の若さで世を去った。没後その作品は散逸し、幻の童謡詩人と語り継がれるばかりとなったが、童謡詩人・矢崎節夫の長年の努力により遺稿集が見つかり、出版された。その優しさに貫かれた詩句の数々は、今確実に人々の心に広がり始めている。
酒井大岳著『金子みすヾの詩を生きる』から