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ブラジルってどんな国? |
ブラジルというと、みなさんは何を思い浮かべられるでしょうか?広大な大地、アマゾン川、ジャングル、熱帯果実、珍しい動植物、リオの海岸、カーニバル、サッカー、日系人などなど...さまざまなイメージがあると思います。しかし、日本から見れば、地球の裏側にあたるため、あまり知られることのないブラジルがあることも事実です。ここでは、おおざっぱにブラジルという国の概要を見ていきたいと思います。
地理、人口
ブラジルの面積は約850万平方キロ(日本の23倍)で、世界で5番目に面積の大きな国です。それでいて、人口は1億5千7百万人(1996年)と、日本の人口を少し上回る程度なのです。
ブラジルの国土は、北部、北東部、央西部、南東部、南部の5つの地域に分類されます。気候的には、ブラジルというと、真っ先にアマゾンの熱帯雨林を思い出される方が多いでしょうが、熱帯、亜熱帯が大部分を占めるのは事実ですが、東部はサバンナ、中央西部はセラードと呼ばれる潅木地帯、南部ではカンポと呼ばれる草原地帯が広がっています。南部には雪の降るところもあるのです。
経済
経済的には、ブラジルのGDP(国民総生産)は4560億ドル(1993年)で世界10位です。鉄鉱石、金、マンガン、石油など、天然資源は豊富ですし、工業品は、ほとんどのものを国内で生産しています。小型ジェット機生産においても、カナダと張り合っています。農業にも恵まれていて、生産量ではオレンジ、コーヒー、サトウキビは、世界一、カカオ、大豆、鶏肉、世界2位、トウモロコシは世界第3位の位置を占めます。
歴史
1500年、ポルトガル人がブラジルを到着。ブラジルの先住民は、ペルーやメキシコのように高度化した文明は持っていませんでした。赤色の染料の素となるパウ・ブラジル(赤い木<「ブラジル」の起源)を貿易するのみだった初期を経て、16、17世紀の砂糖の時代、18世紀の金の時代、そして19世紀から20世紀初頭にかけてのコーヒーの時代に分けられ、砂糖の時代は北東部、金の時代はミナス州、コーヒーの時代はリオ・デ・ジャネイロ州、サンパウロ州がそれぞれ栄えることになります。
1807年、ナポレオンのポルトガル侵略を逃れたポルトガル王室は、ブラジルに王室を移します。1822年、国王がポルトガルに帰った後、摂政として残った皇太子が独立を宣言、ここにペドロ一世を頂点とするブラジル帝国が成立します。その後、王位をついだペドロ二世が退位する年、帝政は終結。無血軍事クーデターでした。その後、軍が政治に介入する伝統は長く続きます。
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ブラジルの多様性
ブラジルは、原住民文化、最初に植民を始めたポルトガル人の文化、植民地経済をになうために奴隷として連れてこられた黒人の文化という、三つの文化が基層となっていますが、後にやってきた移民の影響もあり、文化的に非常に多様な社会となっています。大雑把に各地域を見てみますと、アマゾン地帯は、まだ現代文明に犯されていないインディオ部族が住んでいます。北部のペルナンブコ州レシーフェ周辺は、20年間オランダの支配を受けたため、オランダ文化の影響がありますし、旧首都、サルバドールを中心とする東北部は、黒人文化の影響が強いです。リオもサルバドールの後の首都として、多くの黒人奴隷を連れてきましたから(帝政時代、人口の2/3を占めていたといわれる)、黒人文化の影響が強いです。サンパウロ州は、移民として多くはいってきた、イタリア人、日系人、そして、後には、アラブ人、現在は、韓国人や中国人それぞれの文化が渾然一体となっており、南部、サンタカタリーナ州は、ドイツ人を中心としたヨーロッパ移民が多く住んでいます。そして、最南端、リオ・グランジ・ド・スール州は、ガウショと呼ばれ、アルゼンチン、ウルグアイにも共通する(スペイン語圏ではガウチョ)カウボーイ文化を有しています。
人種的偏見のない国
ブラジルは、現在、多くの問題を抱えていますが(対外借款、貧富の差、南北問題、治安の悪さetc.)、私は日々ブラジルという国の魅力を発見しています。まず第一に、人種的偏見がほとんどないことが挙げられます。最近読んだ、斎藤広志著「新しいブラジル」という本に一文を寄せた玉井義臣さんが、ブラジルにはじめて訪れたときの印象を次のように書いておられました。「ヨーロッパの人たちが東洋人を見る表情はつんとして冷たいし、アメリカ人は社交的だが差別感は根深い。ここでは黒も黄も白も会うとにこやかに握手し、肩を抱き合っていた。」
私の少ない経験と照らし合わせても、まさしくそのとおりだと感じました。もちろん、ブラジルにも、全く偏見がないとはいえませんが、この本の著者、斎藤さんがお書きのように「人種偏見があるとしても、それは軽微であって、他人種構成を持つほかのどの国よりも人種関係はスムーズに機能している。その現れとしてブラジル社会での人間関係は、人種のいかんに関わらず相手に対する思いやりを貴重としている。」これは、私が実際ここに生活してみて、しみじみ感じることでもあります。ふところの大きい国だな、と思います。
ふとしたきっかっけで、住むことになったブラジルですが、小さいころから、「大陸的だ。」と言われてきた私にはぴったりの国かもしれません。そんなブラジルを、少しでも皆様にお伝えできればいいなと思っています。
(参考文献: ラテンアメリカ協会編『ラテンアメリカの歴史』中央公論社、鈴木孝憲『目覚める大国ブラジル』日本経済新聞社
、斎藤広志『新しいブラジル』サイマル出版会)