
平成11年12月10日
問い合わせ先
都 市 計 画 局
都市計画局 施設計画部交通企画課
電話 03-5388-3283
【調査の概要】(下記概要書参照)
1) 東京における地域別の交通事情やLRTの特性、海外におけるLRT導入事例から6つのLRT導入パターンを設定しました。
2) LRT導入パターン毎に事例研究を実施し、導入空間の確保や自動車交通への影響などの諸課題やその対応策について検討しました。
「LRT導入に関する調査」について(概要)
1.調査の目的
超高齢社会・人口減少社会の到来、地球環境やエネルギー問題への対応、成熟社会におけるゆとりや豊かさの実現など、新たな社会的要請の中、交通整備においても量のみならず質の向上が求められている。本調査は、21世紀の東京にふさわしい都市交通の実現に向け、ライトレールトランジット(LRT)を東京へ導入する場合の諸課題やその対応策について検討を行った。
2.東京におけるLRT導入パターン
東京へのLRT導入の可能性を探るため、地域別の交通事情やLRTの特性などから、6つの導入パターンを設定し、事例研究を行い、課題やその対応策などについて検討を行った。
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導入パターン |
交通改善の視点 |
海外での類似例 |
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A.中心市街地における短距離交通 |
・地下鉄が高密度に配置されている地域において短区間の移動や乗り換え利便性の改善など、高齢者の移動等に配慮した短距離交通システム |
・地下鉄補完としての適用(ミュンヘン) |
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B.交通不便地域改善 |
・放射方向鉄道へのアクセスとしての軌道系交通機関の整備(バス路線の代替) ・鉄道網密度の低い地域における軌道系交通手段 |
・地下鉄サービスのない地区へのアクセス(ミュンヘン) |
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C.広域ネットワーク補完 |
・鉄道ネットワーク機能の補完・強化 |
・都心外周部の環状線(パリ) |
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D.自立都市内における基幹交通 |
・自立都市圏の中心都市において自動車利用主体の交通体系を改善し、都市の活性化を図る公共交通 |
・地方都市における基幹交通としての適用(ストラスブール) |
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E.開発地域内の域内交通 |
・新たな開発地域における地区内交通及び鉄道駅へのアクセス手段 |
・開発地の地区内交通(香港、シドニー) |
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F.既設路線の改良延伸 |
・既存路面電車ルートの改良・延伸による地域の利便性向上と活性化 |
・既設路面電車の延伸/改良(カールスルーエ、エッセン) |
3.事例研究による導入パターン毎の課題と対応策
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A.中心市街地における短距離交通 |
銀座・日本橋・丸の内地域 |
現状の限られた道路空間の中でLRTと自動車の双方を円滑に処理する必要があるが、軌道敷設に伴い交通容量が低下するため、LRT導入にあわせた自動車利用に対する交通規制・誘導等の自動車交通総量の抑制を一体的に実施する必要がある。 |
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B.交通不便地域の改善 |
江東東部地域 |
新たな道路拡幅が困難な場合には、LRT導入にあわせた地域全体の道路ネットワークの構築や、自動車交通の迂回誘導等による自動車交通の平準化を一体的に検討する必要がある。また、新たに道路整備を行う場合には、計画段階からLRT導入を想定して、道路と軌道を一体的に整備する必要がある。 |
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C.広域ネットワーク補完 |
多摩東部地域(調布・保谷軸) |
高い高速性、定時性を発揮させるため、軌道の部分立体化や最高速度の向上、運賃収受システムの導入、電車優先信号等の様々な施策の一体的な実施が必要となる。また、自動車交通への影響を低減させるため、隣接する広域的な環状道路整備による交通の分散化や、パーク&ライド等の実施による自動車交通からLRTへの転換促進を図る必要がある。 |
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D.自立都市における基幹交通
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八王子地域 |
地域内における自動車交通への依存度が高いことから、自動車交通から公共交通への転換を円滑に促進するため、TDM施策や公共交通の利便性向上に向けたハード、ソフトの両面から様々な対策を一体的に進め、LRTを自立都市内の中心的な交通軸として機能させる必要がある。 |
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E.開発地域内の域内交通 |
秋留台地域 |
自動車交通のみに依存することのない都市構造の構築に向け、LRTの導入をあらかじめ考慮した開発地域内の交通計画等を計画段階から検討する必要がある。 |
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F.既設路線の延伸・改良 |
都電荒川線 |
延伸改良後の採算性確保に向け、より多くの新規需要を誘発させる必要があるため、電車優先信号の設置、鉄道駅との連絡強化、トランジットモール等の様々な施策を一体的に検討する必要がある。 |
4.今後の課題
1)都市交通政策の中でのLRTの検討
都市における望ましい交通体系を確立するには、これまでの容量拡大策に加え、公共交通の利用促進、自動車需要の調整など、交通機関相互の適切な機能分担が必要である。LRTは、その特徴からこうした社会的課題に対応可能な地域交通を担う都市交通システムのひとつとして有効であると考えられる。このため、今後、都市交通政策の中でLRTの位置づけについて検討を進める必要がある。
2)交通連携方策の検討
LRTを有効な都市交通システムとして機能させるには、自動車交通の規制誘導、パーク&ライド、サイクル&ライド、バス路線の再編成、鉄道との結節強化など、既存交通機関との連携方策を検討する必要がある。
3)法制度の緩和や補助制度の拡充に向けた検討
軌道の歩道側設置への制限など、軌道法による制限の緩和が必要である。また、平成9年度に補助制度が創設されたが、LRTの立体化施設などに対する補助制度の拡充が求められる。
4)地域(市区町村)が主体となった取組
LRTは主に地域交通を担う交通機関として位置づけることが適当と考えられるため、地元自治体が主体となり、地域交通の中での必要性や役割などについて検討を進め、財源の確保やLRTの運営に向けて取組でいくことが必要である。
5)総合的な都市交通政策の実現に向けた都民の理解と協力の確保
LRTの導入にあたっては、自動車交通の利用方法を見直すような都市交通政策の実現が必要とされるが、自動車利用者に不便を強いることとなるため、都民及び事業者等の自動車利用者の理解と協力を得ることが課題である。
5.まとめ
LRTの実現には多くの課題を有しているが、LRTは、輸送力、速度などに対し、比較的柔軟な対応が可能であるため、バスの機能代替、特定の地域内における歩行支援など、幅広い範囲に活用でき、大都市東京においても、地域特性や他の施策との組み合わせによっては、都市交通機関としての有効性を発揮できるものと考えられる。