
1月 19日(月)
(スケートリンクの拡張)
12月の中旬から、アパート横の運動場アハヴェニス・プイストのスケートリンクが拡張され始めた。既設の2面のホッケーコートの南側に、一周400m くらいのトラックが加えられたのである。いずれも、グランド照明に照らされ、夜10時まで滑走可能である。家内の観察によれば、昼間はスケートリンクに子供達の姿は少なく(冬休みの間も、学校が始まってからも同様)、日も暮れて真っ暗になった5時過ぎに、ぼちぼち集まってくるそうである。昼間は気温が高めで氷の状態が良くないからか、単にフィンランドの子供達が夜鷹なだけか。
(小さなスケートリンク)(拡張されたアハヴェニス・プイストのリンク)
アハヴェニス・プイストのスケートリンク以外にも、ヘルバンタ内のあちこちに散らばる小さな広場が、そのままリンクに変わっている。このころの気温は最高でも0℃前後であったから、少し冷え込んだ晩に水をまいておけば、スケートリンクを作るのはそれほど難しくはないのかもしれない。スケートリンクの大敵は雪である。暖冬のせいかボタン雪が降ることが多く、粉雪と違い氷面にこびりつくとスケートが滑らなくなる。耕運機を改造したような機械を使って、水まきおじさんがホッケーコート内を中心にこまめに除雪するのだが、間に合わないことも多い。雪が湿っているので、雪ダルマを造るのは易しい。うちの子供達もアパートの中庭で雪ダルマ作りに挑戦したが、あっさり大きな雪ダルマができてしまった。
(消えた水道塔のなぞ)
このページでおなじみのヘルヴァンタ水道塔が消えた。といっても、解体されたわけではなく、アパートから見えなくなっただけである。フィンランドでは雲が低く、また、ヘルヴァンタが小高い丘の上にあることから、雲が厚くなると8階建のアパートの屋根が雲に隠れることもめずらしくない。12階建ての学生寮などは、上の階が見えないことが日常茶飯時である。ただ、日曜日の朝のように、手前の高層アパートははっきりと見えるのに、水道塔だけが雲間に隠れ、全く見えなかったことはめずらしい。雲の濃さが極地的にひどくばらついていたのだろう。
今週に入って、天候はますます異常になってきた。火曜日に上昇した気温が零下に戻らず、0〜+3℃にとどまり、「雨」さえ降りだす始末。せっかく積もった雪もこの高温と雨で融けてしまい、雪ダルマの周りも芝が見えてきた。小雨の中で行われた木曜のホッケーの練習は参加者も少なく、少し雨脚が強くなると予定を予定より20分も早く終了した。いつもは、次の時間帯を予約している他チームに急かされてようやく終わるのに、信じられない光景である。この日、スケートリンクの照明は午後7時には消え、以後、再点灯していない。土曜日に予定されていた4チームのリーグ戦は二週間延期、氷の上に水のたまったスケートリンクに人影はない。こんなとき、フィンランドのホッケー少年達は何をして過ごすのだろう。暇つぶしにアパートでホッケーゲームでもしているのだろうか。早く冷えて欲しいものである。
(冬のラップランド)
最近の気候の話しは気が滅入るので、話しを昨年末に戻す。もしかしたら、オーロラを見ることができるかもしれないとの期待もあり、我々は再びロバニエミを訪れた。前回は白夜のシーズンで、真夜中の太陽も見ることができたが、今回は間違いなく夜の国である。寝台列車(今回は、切符のトラブルもなく、順調)のロバニエミ到着は朝7時であるが、当然真っ暗。しかし、工夫をこらしたイルミネーションが町中を飾り気分を盛り立ててくれる。凍った川にかかるロウソク橋の明りも、今の季節に似合う気がする。午前10時の中心街は、7月の真夜中(白夜のころのロバニエミ)と同じような明るさ、行き来する人々の活動が日中と真夜中の違いを示している。屋台で川魚のフライ(バターで揚げたもの)を一皿買ってほうばる。川魚特有の匂いは少し残っているが、揚げたて(たぶん釣りたてでもあろう)はおいしい。身も柔らかく頭からかぶりつけるし、子供達も奪い合うようにして食べた。外食の高いフィンランドでは、めずらしく割安だと感じた。
今回の宿は、ロバニエミ一番の高級ホテル・ヴァークナ。またまた、斎藤さんのお世話になった。白木造りの内装が落ち着き、ホテルのレストランには日本語のメニューもある。ビュッフェ方式の朝食に味噌汁とご飯が準備されていたのには驚いたが、さすがにこれは、我々用ではなく、他に団体の日本人客があったからであろう。 サウナも男女別にあり、ゆったり利用することができた。
(ロバニエミ中心部:午前10時) (氷の城)
夏に蚊の巣窟だったオウナスバラの丘周辺は小さなスキー場になる。当然ナイター照明完備。白馬に匹敵するジャンプ台とクロスカントリーのコース(当然、照明完備)が売り物で、遠い日本からもノルディックの選手が練習に訪れる(日本のベースキャンプも当地にあると、聞いたような気がする)。我々も11月中旬からここで練習しているという日本人選手にお会いした。ダウンヒルのコースはリフトが並に3本( Tバー1本とチェアリフト1本はスキーセンター前、もう1本のTバーが、やや離れた東の丘にかかっている)4コースとこじんまりしたもの。我々が昨シーズン通った伊那谷のスキー場よりは長いが、志賀高原、八方尾根はもちろん、中京スキーヤーのホームゲレンデである御岳スキー場と比べてもかなり規模が小さい。
ゲレンデの主人公はロバニエミの子供達である。数人ずつのグループになり、大人を交えずに滑っている。スキーセンター横の駐車場まで車で送られ、あとは彼等だけで一日中遊ぶのだろう。彼等の大半はスノーボーダー、平地も器用にピョンピョンと飛びながら移動し、すいすいと Tバーにつかまっては丘に上っていく。この年齢から始めれば上手になるわなあと実感。スキーセンターには、小規模ながらレンタルスキー、喫茶(簡易食堂)、スキースクールも完備、ロバニエミの町からもタクシーで約10分と近い。
我々の滞在期間中、気温も我々北国の初心者を気づかってか-10℃以上と暖かく(今となっては、とても冬らしい気持ちの良い気温であった)、助かった。雪質も本州のスキー場のベストコンディション程度と、格別な粉雪ではなかったが、私の経験の中では最高級、さらにゲレンデが空いていることが有難い。レストハウス直前のリフトは2〜5分の待ち時間だが、レストハウスから離れた斜度のやや急なコースでは、リフトの待ち時間は完全にゼロ。Tバー自体の利用率が2割程度しかなく、リフト係のおじさんは暇そうというより、人里離れた所に一人とり残された感じ。Tバーのコース上に枯草の上体が残っていたり、不規則な凹凸があったりと、Tバーの初心者には勧められないが、面白い。リフト終点は、小高い丘の上、ダウンヒル競技のスタート用小屋が設置され、近くに山のないラップランドの冬景色を一望することができる。なかなかの絶景。極地に来たとの実感を味わえる。
(挑戦) (ラップランドを一望) (一緒に滑る)
オーロラを見られなかったのは残念であるが、楽しい再訪であった。
前回/目次/次回