3月 9日(月)

March 9th (Mon), タンペレ通信に戻る( Back to Index)

(終わりに向かって)

 我々のタンペレ滞在も、残すところ一週間あまりとなった。当初、このページを書き始めたのは、日本にいては知ることのできない辺境の地フィンランドの、しかも首都ヘルシンキと違って滞在する日本人もわずか数人というこのタンペレでの生活を一部でも紹介できればという気持ちだった。もちろん、コンピュータネットワークの応用という、私をこの地に運んでくれた技術をを習得し、できれば私の仕事も紹介したいという気持ちもあった。しかし、書き進むにつれて、遠い日本からわざわざ読みに来て下さる方々が居るという事実が、故国を遠く離れ言葉や習慣の異なる国で悪戦苦闘する自分達(特に私)を励ましてくれることに気が付いた。絶好調とは言えないものの、ひどく落ち込むことなくここまで来れたのも、皆さんの応援によるところが大きいと思う。感謝します。
 ともに観測史上最も暖かいと言われた夏と冬だったので、ここでお伝えしたフィンランドは典型的な姿からは少しずれた内容も多かったかもしれないし、ほとんど、独断と偏見のかたまりだと言われても否定のしようがないが、このページをきっかけに、ロシアを挟んで日本の隣国(少々、無理があるか?)になるフィンランドを少しでも知っていただけたら、我々を暖かく迎えてくれたこの国への恩返しになるかもしれない。
 当初、タンペレ工大のサーバーでネットワーク教育の紹介ページと混在させていた「タンペレ通信」は、公私の区別が難しく公開を中断してきましたが、97年3月からは、このような私信を置くべき場所として適切な本サイトで公開を再開することにしました。「タンペレ通信」以外のページは、豊田高専電気工学科のページをお訪ねください。

(イルヴェスとタッパラ)

 土曜日には、フランクさんのおかげで帰国前にアイスホッケーの試合を観戦することができた。試合はタンペレのヤーハッリ(アイスホッケ−場)、タンペレのイルヴェスがラッペンラーンタのサイパを迎えてのホームゲームであった。約6000人を収容できる観客席にはほとんど空きはなく、主催者発表で5666人が入場した。日本でプロ野球を観戦したことがあれば比較できるのだろうが、観客はほとんどがホームチーム、イルヴェスのファンである。ラッペンラーンタから3時間半の道のりをかけつけたサイパ・ファンの声援は、ほとんどかき消されてしまう。試合は1ー0のイルヴェス、リードで第3ピリオドをむかえ、一時1ー1の同点に追い付かれるが、最終5分にイルヴェスの得点ラッシュが続き4ー1と突き放して終了した。唯一の観戦でホームチームが勝ってくれたことを感謝したい気持ちである。

  
 (選手入場)     (チア・リーダー)     (一部の観客)

 タンペレの擁する二つのプロ・ホッケーチームは、イルヴェスとタッパラである。智がイルヴェス傘下の少年ホッケーチームに参加していることはお話したが、智をよく遊んでくれた近所の少年、ミリブオレン小学校のトウヤ先生の息子さん、また、フランクさんの息子さんトムは皆、タッパラ傘下のチームでプレイしている。現在国内リーグ(全12チーム)の3位と4位に位置する強豪で、ファンの間では争いが絶えないと聞いたこともあるが、少なくともホッケー少年達の間ではそのようなことはないようだ。

  

 少年ホッケーリーグの全試合(公式戦)は、木曜日に終了した。あとは、明日トムの属するタッパラ/ヘルヴァンタとの練習試合を残すのみである。智の属するイルヴェス/ヘルヴァンタは、開幕三連敗と苦しいスタートを切ったが、シーズン最後を三連勝で飾り、しり上がりに調子を上げてきた。勝率4割であるから上位進出は果たせなかったが、少年達のプレイはシーズン初めに比べて確実にうまくなっている。智も、今シーズン始めたにしては良い動きをするようになって来た。もう2〜3シーズンフィンランドに留まることができれば、念願の初ゴールも夢ではないかもしれない。忍耐強く指導してくれたアンッティ、セッポ、ヨウニのコーチ陣、自チームに不利なことを承知で初心者を受け入れてくれたチームメートに感謝したい。

  
(ヘルヴァンタのコーチ陣)

(サルカンニエミ6)

 3月に入ってフィンランド南部は気温は低い(ー15〜ー5℃くらい)ものの好天が続き、真っ白な雪景色の中でアウリンコ・パイスター(快晴)である。四方八方から光が迫ってくる感じは、光の洪水とでも称したら良いだろうか。幾度もぶり返すカゼで体調は優れないものの、この光の中に立つだけで気持ちは軽くなるようである。お日さまの角度も高くなり、明るい時間も長くなって来た。もう真っ暗のなかを出勤/帰宅する必要はない。
 タンペレで迎えた素子の誕生日は、約束通りサルカンニエミのイルカの公開練習と展望塔レストランでお祝いした。たぶん、最後のお勤めとなる Uno を運転し、ヘルヴァンタからサルカンニエミまでは約20分である。日曜日、天気は快晴ではないものの雲は高く、遠方まで見通すことができる。展望塔は前回訪れたときよりも来客数は多く、閉店していたカフェも、イルカ館のみやげ物売り場も営業を再開していた。春の訪れを感じさせる。6頭のイルカは元気で、一番のちびちゃんも最初に見たときに比べ、心なしか体が大きくなっている気もする。
 展望塔に上ると、交通量の多い通りを除いて雪に被われたタンペレの中心部、完全に氷結したナシ湖、ピュハ湖(タマ−運河から流れ出る水流のため、ハタンパーとタンペレの間には水面の露出した部分が水路のようにできているが、それも長さにして数百メートルのこと)を一望できる。真下の入り江には観光船等数隻の船が陸揚げされることなく、氷った湖面に閉じ込められている。ナシ湖に張った氷の上には、灯台を中心にして放射状にいく筋も小道ができており、よく見ると、散歩をする人、スキーをする人の行き来が多い。小道は対岸の岬まで、1km以上はあろうか、真直ぐに伸びている。氷の一部には、たぶん魚釣りの跡であろう丸い穴も散見され、空からはパラグライダーも数機降ってきた、ウインタースポーツ花盛りである。東南には、遠くヘルヴァンタの水道塔もくっきりと見えた。

  
(一部凍っていないピュハ湖) (ナシ湖の灯台は散歩道の交差点) (凍りついた観光船)    

 回転レストランでは、英語のメニューが出払っていたり、周りのテーブルからも英語が聞こえるなど、観光客が多く入っており賑やかであった。1周40〜50分で移動するテーブルに2回り以上座っていたわけだから、約2時間の会食、ビールなしの食事は少々不満であるが、料理は野菜を上手に使っていて、けっこう美味し(日本人の味覚に近い?)かった。

(雪と氷りに閉ざされたサルカンニエミ)

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