南浦地名研究所

−地名エッセイ−

2004年




地名の反乱

最近、地名の件で、合併が流れたり、合併を離脱する町村が増えている。

以前も書いた岩手県一関市と東磐井郡、西磐井郡の合併であるが、予想通り、新市名の候補が3つどもえのまま合併自体が流れてしまった。
これだけが原因ではないだろうが、地名が重要な要素である証明である。

また奈良県生駒郡と北葛城郡の合併も、斑鳩町が由緒ある町名を消していけないということで、合併離脱を表明した。
地名を守るため、というのも重要な理由である。
 
また福岡県直方市、鞍手郡小竹町、鞍手町も「ゆたか市」に不満を持ち、直方市が合併からの離脱を表明した。
ゆたか市という名前もどうかと思ったが、やはりという感じである。

また合併が流れたわけではないが、以前ふれた佐賀県湯陶里市も予想通り、再検討となり、再公募が行われている。
公募のやり直し、というのも珍しい。

かくして名前というのは重要なのである。
そして名前を単なる折衷案とか決めてほしくないし、歴史性のない地名を安直に命名してほしくない。
平泉氏市と観光地名

観光地名というのがある。
合併地域に有名な観光地がある場合、その地名は強い。なんといってもネームバリューがある。
今回、その典型的な例があった。
平泉市である。
この新市名は合併後の市名を選ぶ際の実にわかりやすいケースである。
合併元の市町村は
岩手県一関市。
西磐井郡花泉町、平泉町
東磐井郡大東町、藤沢町、千厩町、東山町、室根村、川崎村。

まず、合併後の候補とあがるのが、中心となる町の名前を採用するもの。
この場合は当然、一つしかない一関市。けっして無名な町ではない。江戸時代には一関藩も置かれたほどである。
そして、次の候補とあがるのが、地域名。
参加9市町村のうち8町村が西磐井郡、東磐井郡に属している。
当然、地域名としては「磐井」という地名が有力視される。
ただこの郡名は今回の平成の合併ではいまいち力がない。
また郡名はいまいち知られていない。磐井、といわれてもまずはわからない。
そしてここに観光地名が登場する。
この地域で有名な町と言えば、平泉である。藤原3代、奥州平泉である。
これを市名とすれば、観光にも使える。
ただ問題は、合併元の市町村に平泉町が既にあることである。こういうケースでは敬遠されることが多い。
ただ今回の平成の合併では、合併元にありながらあえて選ぶところも多い。それしか選択肢がない、という事情もあるのだろう。
今回はこの3つの市名候補が3つどもえとなった。

ちなみに候補として残ったものを合併協議会のサイトからみてみよう。
最終候補6点とされたのは以下の市名である。

平泉市、磐井市、一関市、いわい市、南岩手市、南いわて市。

ちなみに公募の結果順では、地域住民では

1位、平泉市−1587票、2位、一関市−609票、3位、磐井市−304票。

南岩手とは3つともダメだった場合の、保険のような候補である。公募でも8位。57票しかない。
そして岩手県内の公募をみると
1位は圧倒的に平泉市で9割を占め、2位の磐井市に80倍以上の差を付けている。
一関市は7位でしかない。
そして県外の公募ではさらに平泉市の割合が増すのである。
これがネームバリューの力であろう。
そして今日、合併協議会の委員の投票で「平泉市」に決まった。
また一関市に決まらなかったのは、中心市名を採用することで吸収合併と見られることを嫌う周辺町村の心理が働いたものと思われる。
また一関市になることよりも、平泉市になることの価値を認めたと言うことであろう。

こうして観光地名は強い。
栃木県今市市、日光市、足尾町、藤原町、栗山村の合併でも、選んだのは地域で一番人口のある今市市でなく、観光地の日光であった。
ちなみにこのときの最終候補10点の中には

日光市、大日光市、にっこう市、新日光市、日光みどり市と

日光関連が5つもあった。

この観光地名に自ら抵抗したのが、大分県湯布院町である。
湯布院が周辺の町村と合併に際して市名候補としてあがった湯布院市に対し、湯布院町自らが拒否したという。
これは湯布院の名前が地域に広がることで、逆にいままでの湯布院の観光地としての価値が下がることを嫌がったものと考えられる。この思考は今までの日本にはあまりないように思う。
かくして新市名は由布市となった。まだ少しあやかってはいる。
ちなみにもともと湯布院の町の名は、1955年の由布院+湯平の合併による合成地名である。合成地名は実は残るには弱い。歴史的に愛着をわかないからであろう。このことも背景としてあったように思う。

北名古屋市
 
大都市の周囲には新しい市名を選定する際に大都市の名前にあやかるところがある。こばんざめ地名、とでも名付けられるだろうか。
たとえば西東京市。保谷市と田無市の合併で誕生した名前である。
位置的には確かに東京の西にある。
しかし東京の西部がすべて西東京市というわけではない。
東京の西部と言えば、武蔵野市も三鷹市も調布市も狛江市も東京の西にある。
よって、現在の西東京市の名前が適当かどうかは少し疑問を感じるのである。
また人口規模の差もあるだろう。東京23区の人口は800万を超える。西東京市は20万弱。その差は40倍以上。
他の大都市の例を見てみよう。
東大阪市は大阪市の東部にある。大阪市に隣接し、大阪府で大阪市の東部には東大阪市しかない。これは納得がいく名前である。
人口も大阪市の250万に対して東大阪市は50万。
東広島市は広島市の東部にある。こちらも広島市に隣接、広島市の東部といえば、この東広島市が大部分を占める。これも納得は行く。
ただ人口は広島市が110万なのに対し、東広島市は12万。また広島市には東区もあるが、わざと東広島市とは地理的に離されているようだ。
ちなみに北広島市というのもあるが、これは遠く北海道にある。
また東京には北東京市という話もあった。これは現在の埼玉県さいたま市、あるいは東京都に隣接する埼玉県川口市あたりの合併であがる話である。
 
そして今新しい「こばんざめ」地名が誕生しようとしている。
1つは東さっぽろ市。南幌町と由仁町、栗山町の3町合併。この札幌がひらがな、というのが気になる。また地理的にも札幌市の東がすべて東札幌ではない。江別市の方がふさわしいかもしれない。だいたいこの東さっぽろ市、札幌市とは隣接していない。さらに合併の経緯で南幌町は飛び地となる。
そこまでして合併をする必要があるのだろうか。また札幌市にも東区がある。
人口規模も札幌市が180万に比べ、東さっぽろ市は3万。その差は60倍にもなる。
そして北名古屋市。師勝町と西春町。人口規模は8万弱。名古屋市は220万。
地理的に見ても、名古屋の北には行政自治体が多い。北名古屋市はほんのその一部。
ちなみに市名の候補を見ると、西名古屋市や名西市も候補に挙がっている。これは所属する西春日井郡にひかれたのではないか。
名古屋市にも北区がある。こちらは隣接しているので、混乱を招きそうである。


駅前駅

ソウルの地下鉄1号線ソウル駅は、国鉄ソウル駅前にある。従って、正確にいうと「ソウル駅」駅となる。しかしだれもそうはよばない。
しかし実は、開業当初は駅名は「ソウル駅前駅」あったらしい。
駅前駅、というのは、ちょっと不思議な言い方だが、実はけっこうある。
やはり、路面電車が多い。

阪堺電気軌道天王寺駅前駅、浜寺駅前駅
長崎電鉄浦上駅前駅
伊予鉄道松山駅前駅
都電荒川線大塚駅前駅、王子駅前駅、町屋駅前駅
熊本市電上熊本駅前駅
西鉄北九州線黒崎駅前駅
京福電鉄嵯峨駅前駅
土佐電鉄伊野駅前駅、朝倉駅前駅
富山地方鉄道南富山駅前駅名鉄新岐阜駅前駅

今はなくなってしまったが、有名なのが京成電鉄国鉄千葉駅前駅である。
これは確か私鉄なのに国鉄という文字も入っていた。
JRになってからはJR千葉駅前駅、ではなく京成千葉駅となった。
これは国鉄という名称が入っていたためかと思われる。


数字は地名か

バスの番号は数字である。
単なる数字であるが、長年見ていると、何かしら地名のように思われてくる。
たとえば19番。これはルートがちょっと変わっているが、19番という数字もそんな気がする。
28番。これは市内の東部を南北に走る。28番という数字もちょっとええかっこしいに思える。
30番。これはきりばんだけあって、エースである。人気もある。
38番。これは近いところを回っているが、いつもすいている。38にはそんな安心感がある。
63−1番。これは便利な場所ばかり通るお役立ち路線なのだが、そんなイメージである。
といった感じだったが、このたび、バスの改編で数字が変わった。
やっぱり数字が変わると、同じ路線でも印象が違う。
28番は144番に。うーむ。顔が見えない。
30番は163番に。経路も変わってエースから降りた。数字もそんな感じである。
63−1番は301番に。こちらは逆にエース昇格、という感じである。
となるとやはり、数字は地名だろうか。


エチェバリア

最近気になる地名、ではない、人名である。 日本ハムの2年目の外人選手である。
この名前、きくたびにきになっていた。 彼の本名はエンジェル・サントス・エチェバリア。 アメリカ人ではあるが、どちら系の名前なんだろう。 実は役者でもいるらしい。エミリオ・エチェバリア。 サントスといい、エミリオといい、スペイン系の雰囲気がする。 ちなみにボリビアのサッカー選手にエチェバリ、と言う人もいたらしい。
さて、このエチェバリアであるが、どうもバスク語であるらしい。 ある本によると、バスク語でエチェ=家、バリア=新しいという意味であるそうだ。 つまり、エチェバリアとは立派なバスク系の名前。であるらしい。
ちなみに苗字が長いのもバスク系の特徴だそうだ。
関係ないが、日本にキリスト教を伝えたザビエル神父もバスク人である。


湯陶里市
ゆとりし

この市名も冗談ではない。半分決まりかけた名前である。
合併元の市町は武雄市、杵島郡山内町、藤津郡塩田町、嬉野町。
合併協議会は佐賀県西部1市3町合併協議会である。
名前を見て分かるとおり、湯陶里市とは温泉と陶磁器の里、という意味である。確かにわかりやすい。
しかしこれは市町村名としてふさわしいかどうか。
私には語呂合わせのレベルの低い造語にしか見えない。

まず1次選定は公募作品1587点から委員がまずそれぞれ7点を選定し、合計33点を選定。
2次選定は武雄市、嬉野市、西九州市、西佐賀市、泉都市、湯陶里市、杵藤市、肥前市、なごみ市、葉隠市。
3次選定は協議会委員の投票で武雄市、嬉野市、西九州市、湯陶里市、肥前市。
4次選定も協議会委員の投票で2つにしぼり、武雄市と湯陶里市。
最終選定も投票で湯陶里市に。
公募作や候補作から見るに、公募をするにせよしないにせよ、合併市町の中では比較的大きな町であり、名も知れた武雄系と嬉野系が残ることは十分に予想された。あとはその2つ以外にどれだけ新しい市名が候補としてあがるどうかであったように思われる。
あとは武雄市の名前になると吸収合併の形になるのを嫌った側が、別の名前を選択したようである。
これは公募や協議会委員の投票という選定過程が一見民主主義に沿ったものように思われながら、けっして地名の選定方法として適当ではないことを示す顕著な例と思われる。

ちなみにこれと同じような例として鳥取県湯梨浜町がある。
こちらも温泉の湯と名産の梨、そして日本海の浜である。
こちらも名産の組み合わせであるが、反対運動があるという話は聞いていない。
それはまだ「ゆりはま」という名称が一般名詞の発音と共通ではないからであろう。

ちなみに湯陶里市。中学生以上のアンケートで不満が出たようである。
合併協議会のサイトにも反対意見が載っている。
このまま名前が決まるかどうか、注目したい。
愛媛県四国中央市はそのまま四国中央市となった。
岐阜県ひらなみ市は見直しされて海津市となった。
滋賀県西近江市も見直されて高島市となった。


「地下鉄の路線名2」

地下鉄の名称だが、パターンが3つあるらしい。
1つは路線のうち代表的な町を名称とする路線。東京で言えば銀座線、浅草線、半蔵門線、有楽町線、新宿線、日比谷線。しかし銀座線など銀座を通る地下鉄はいまたくさんある。この場合は先に通った方が優先。ただし浅草線や新宿線などはあとから通った方が浅草線となっている。これは優先順位の違いによるのだろう。
2つめが方角。南北線、東西線など。これも先に通った方が優先である。東京で言えば新宿線も方角から見て東西線といえるし、三田線も南北線といえば南北線である。
3つめが町ではない地域名をとったもの。丸の内線、大江戸線、千代田線など。いずれも都心の名称である。

ところで大阪を見てみると、事情が違う。
大阪のパターン1は通り名。御堂筋線、谷町線、千日前線、堺筋線、4つ橋線。これは大阪の地下鉄が通り沿いに作られていることに起因しているようである。中央線も方角(位置関係)のようであるが通り名である。
唯一違うのが長堀鶴橋緑地線。これは通り名+地名である。これは花博の開催と関係もあるだろう。
関係ないが、大阪の駅名は2つの地名をあわせた連結駅名が多い。喜連瓜破、駒川中野、四天王寺前夕陽ヶ丘、関目高殿、太子橋今市、千林大宮、大阪ドーム前千代崎、野江内代。連結駅名でなくても天神橋筋六丁目、大阪ビジネスパークと言う長い駅名もある。
これが東京だと白金高輪、溜池山王、落合南長崎、清澄白河、志村坂上、王子神谷、赤羽岩淵、本所吾妻橋、原木中山、小竹向原。牛込神楽坂は微妙か。数では変わらないが、路線数と駅数を考えると大阪は比率が高い。東京は比較的新しい路線の駅が多いようである。
(2004年5月19日)

「地下鉄の路線名」

東京の地下鉄には名称はあるが(丸の内線とか)、番号ではない。本当はあるが、使われていない。
ソウルの地下鉄は番号はあるが、名称はない。
ちょっと名称を考えてみた。
1号線は鍾路を通るので鍾路線。中央線ともいえる。
2号線は環状なので環状線。日本風に言えば山手線だがそれでは大きすぎる。もし地名を取るとすれば、江南を通るので江南線か。
3号線は狎鴎亭を通るので狎鴎亭線。方角でいえば南北線。
4号線は明洞を通るので明洞線。これも方角からいえば南北線である。
5号線は市内を横断するので東西線。地名で言うと汝矣島を通るので汝矣島線。または金浦空港を通るので空港線。
6号線は梨泰院を通るので梨泰院線。ワールドカップ競技場を通るのでワールドカップ線。
7号線は清潭を通るので清潭線。
8号線は城南市を通るので城南線。または蚕室を通るので蚕室線。
なかなか楽しい作業である。
(2004年5月19日)

「ジェフユナイテッド千葉」

現在の名前は「ジェフユナイテッド市原」。ホームタウンは市原である。
それがホームタウンに千葉市を加え、名称もジェフユナイテッド市原・千葉。略称がジェフユナイテッド千葉となることになった。
この改称には市原市から反対も起きた。当然であろう。事実上の改称である。
ただこの改称には集客力の問題もあるらしい。来年夏には千葉に新しいスタジアムができる。なんといっても千葉は100万都市。28万人の市原市より遙かに大きい。集客力から考えればそちらがメインとなるであろう、また千葉、となれば千葉市民の応援が期待できる。同名の千葉県民の応援も期待できることまで計算されたであろう。
ちなみに名称に関してはアンケートが行われ、7割が改称に賛成したという。対象はよくわからないが、ここにも最近の市町村名称選定と同じく、公募という形で市民の意志が反映されたとする点がみられる。
ちなみに同じようなサッカーチームの「改称」の例として、ベルマーレ平塚から湘南への例がある。この改称では湘南という広域名称になることでファンはひらがったという。やはり地名はサッカーチームの名称としても大きな意味を持つ。まただからこそホームタウンを持ちたいという欲を呼び起こすのであろう。ただ事実上の「改称」で消えることになり、見捨てられた形となった市原市民には、ジェフ側がより配慮する必要があるであろう。
(2004年5月18日)


「コレド日本橋」

旧東急日本橋店のあとに誕生したビルの名前。
名前の由来はcore + edo だそうである。
いわれみればああそうか、ではあるが、ちょっとわかりにくい。
最近ありがちの駅ビルの名前と同じである。
しかしこの名前、定着するだろうか。
個人的にはここにあった白木屋の名前を復活させて欲しかった。
というのは無理だっただろうか?
(2004年4月6日)


ソウルの中国語名

現在、ソウル市ではソウルの中国語表記を公募している。
現在の表記は漢城である。これは中国語読みではソウルとはならない。そのために新しい中国語表記を募集することになったらしい。ちなみにソウルは韓国語の固有語で漢字はない。新羅の徐羅伐(ソラボル)、百済の所夫里(ソブリ)がその語源とも言われている。
漢城とは李氏朝鮮時代に使用された名称である。そのため、現在でも中国文化圏で現在も使われているのであろう。
ちなみに漢陽、長安、洛陽などの名称もあったと記憶している。他にも京洛、京師、洛師、京兆、京都、広陵、首善などの名前があったそうである。また日本の植民地時代には京城という名前が使用されたが、この名前も李朝時代に使われた名前の1つだそうである。
さて、今回の名称の条件は首都の意味を含めること、良い意味を持つこと、漢字2字が好ましいが、3字でも良いとなっている。
学者の案としては既に「首蔚」などの案が出ているそうである。
確かに音声に近づける、というのはもっともな案の1つである。しかし、いままでさまざまな漢字表記を用いてきたのも歴史的な遺産である。その歴史が尊重されないことが心配である。
(2004/03/14)


漢江の名称

漢江はソウル市内を流れる川である。ハンガンと読む。その「漢」が外国語を指しているとして、同じ音である韓(ハン)に、「韓江」に変えよう、という話が出てきた。
しかし漢江の由来として考えられるのはソウルの旧称の1つ、漢陽の「漢」であろう。この場合、安直に換えることはどうなのだろうか。「漢江」の表記こそ、ソウルがかつて「漢城」「漢陽」と称した証の1つであるように思う。それを民族主義的な思想で変えてしまうのはどうだろうか。
(2004/03/14)



仙台ナンバー

仙台ナンバーを作ろう、という運動があるらしい。確かに車のナンバーも気になるところである。「なにわ」というのすごいし、「豊橋」になるまで「三河」ナンバーがあった。湘南ナンバーも人気であった。市町村合併、都道府県合併にあわせてナンバーも変わってくることであろう。このあたりも注目である。たとえば「さいたま」ナンバーはもうすぐ登場するのだろうか?また北海道や大都市圏を除いて各都道府県に原則1つのナンバーも減らされていくかもしれない。
(2004/02/28)


首都大学東京

合併後の都立大学の新しい名称。なぜ都立大学ではダメなのだろう。またこの大学のあとについた東京というのはなんだろう?首都大学東京卒、と書くのだろうか?東京卒、というのはなかなか意味が深いが。
(2004/02/28)


郡が消える

2月1日、新しい市が2つ誕生した。岐阜県飛騨市と岐阜県本巣市である。
共通しているのは、それぞれ郡の区域を基本としていること(飛騨市は吉城郡、本巣市は本巣郡)を基にしていることである。ただしどちらも郡の全町村ではない。しかし吉城郡は吉城市とならず、本巣郡は本巣市となった。この差はなんだろうか?
吉城郡は国府町、上宝村が残っている。が、こちらは高山市との合併話がある。これで吉城郡はなくなってしまうであろう。
本巣郡も残った北方町に岐阜市との合併話がある。これで本巣郡はなくなってしまうであろう。でもまだ本巣郡は郡名が残るだけいいかもしれない。吉城郡はどうなるのであろう。吉城を名前を継ぐ市町村はない。
岐阜県は山県郡も山県市になって消えたし、海津郡、郡上郡も消えそうである。岐阜県からほとんど郡はなくなってしまうだろう。そんな市ばっかりの県はあまりぞっとしない。県が合併の話が出てくるのも無理がない。
(2004/02/28)


南アルプス警察署

なんでも例の南アルプス市にある小笠原警察署が名称を変更し、南アルプス警察署にあるそうである。警察署としては全国で唯一のカタカナ警察であるらしい。ちなみにカタカナの町村はニセコ町、マキノ町があるが、それぞれ管轄は倶知安警察署、今津警察署である。現在の所他にカタカナ市町村が誕生する予定はないので、これが唯一であろう。可能性がまったくないわけではない。東京でウォーターフロント警察署ができてもおかしくない。ポートアイランド警察署、というのもありそうである。逆に地方で町村名がつかない警察署、というのはめずらしい。小笠原署であるが、合併前の町村名にもない。さらにその前の合併の時の町村名である。今回その名称が消える。少し残念なことである。
(2004/02/28)


栃木県さくら市

またもやはやりのひらがな市名である。しかしいつかは出ると思っていた、さくら市。合併元の町は塩谷郡氏家町と喜連川町。これがどうしてさくら市になるのだろうか。この市名選定においても用いられたのは公募という方法である。新しい市名の正当性の1つとしてよく使用される方法である。その公募結果によると、、、
1位は氏川市、氏家の氏と喜連川の川をとったもの。
2位が氏喜市、これも氏家の氏と喜連川の喜をとったもの。これら合成地名が上位にくるということは、両方の町を規模が比較的近い両町合併というパターンであるからと推測される。
3位がさくら市。4位が桜市、5位がみどり市。
さくら、みどりとも日本人に好まれる名前である。だから全国どこにでも候補となる。実際に今回の「平成の大合併」でも岐阜県でその名前が挙がった。これはあのNHKの朝の連ドラ「さくら」の舞台になったことによる。採用前はされなかったが。市名は全国1つが原則であるから、これは早い者勝ちである。ちなみに読みは問われない。すでに佐倉市があるが、問題ではない。しかしどうしてこの地区がさくら市になるのであろうか。
応募の理由としては、、、
・日本の国花である、親しみやすい、日本人に愛されている、明るさ、華やかさがある。
・両町内に桜の名所がある。
があげられている。しかしこれらの理由であれば、全国どこの市町村でもさくら市、さくら町になれるであろう。やはりこの地域でなければという理由が弱い。早い者勝ちの結果ともいえる。ではこの両町の区域にふさわしい名前はなかったのであろうか?この両町とも同じ塩谷郡に属する。実際、市名選定過程でも候補として南塩谷市(町民懇親会選定、関係団体連絡会議選定)もあがっているのである。しかし採用はされなかった。これはさらに南にある塩谷郡高根沢町があるせいかもしれない。いずれにせよともに鎌倉時代からの由来を持つ氏家、喜連川という個性的な町名が消えるのは惜しまれる。
(2004/01/31)


山梨県北杜市(ほくとし)

今年、山梨県に誕生する市である。清里高原があるところいえば、わかる人も多いと思う。合併元の町村は
北巨摩郡高根町、長坂町、白州町、須玉町、明野村、大泉村、武川村。
ちなみに有名な清里高原のがあるのは高根町。現在の住所でいうと山梨県北巨摩郡高根町清里。これが合併により、山梨県北杜市清里となる。残念ながら私には、まったくこの地名に土地のにおいを感じない。どうしてこのような「空虚」な名前となったのであろうか。この市名は公募を通してで決まった。公募は名称を決めるときによく使われる方法である。
公募の人気順位は、
1位八ヶ岳市、2位北杜(北斗)市、3位峡北市、4位南八ヶ岳市、5位北巨摩市
であった。
この公募を受けた市名選定会議では次のようなガイドラインが決められる。地域が限定される名称、山岳名称、難解な名称をのぞくこと。このために八ヶ岳市、南八ヶ岳市がはずされ、北巨摩市、峡北市、北杜市が残る。この3つのうち住民意向調査がおこなわれ、北杜市が一番多かったという。ちなみにこの住民意向調査はサイトでは公開されていない。どうもそのあたりが不透明である。

最終候補の3つの候補のうち、北巨摩市は合併町村がすべて属していた郡名から由来する名前である。また北巨摩郡10町村のうち8町村が参加するのであるから、ごく自然であろう。峡北も合併協議会の名称でもあり、広域市町村組合の名称でもある。これも自然である。それにくらべて北杜は弱いのだ。山梨県の北部という意味らしい。しかしそれは山梨県レベルで考えればの話である。
日本全体でイメージするといえば、それはやっぱり東北の仙台であろう。非常に誤解を招く地名である。ちなみにインターネットで調べれば、学校名として仙台に、北杜という名の付いた会社も盛岡、仙台、秋田、網走など日本列島の北の方に見受けられる。山梨のイメージではない。また同じ音の北斗にかけている。いわゆる縁起のいい名前〜雅号である。それから北杜高等学校があることが由来の1つにあげられているが、この高校ができたのは平成13年(2001年)であり、説得力は弱い。それに八ヶ岳がはずされたのがどうも不思議である。北巨摩市、峡北市に阻害要因があるとすれば、いずれも有力な小渕沢町が参加していない、という弱点は確かにある。であれば自然地名が有力となる。八ヶ岳市、南八ヶ岳市も十分ありえる。それがガイドラインではずされている。なぜであろうか。
たしかに八ヶ岳はどちらかというと長野県にあり、八ヶ岳市では混乱の要因となる。では南八ヶ岳市ではどうか。実はガイドラインに字数はないのである。みなみやつがたけ市。8文字。あり得ない字数ではない。たとえば同県に既に誕生した南アルプス市を見てみよう。同じく山岳地名、みなみあるぷす市と7文字、しかも南アルプスは長野県との境にある。それでも南アルプス市となった。南八ヶ岳市でも問題はなかったはずである。私が推察するに、どうも最終的に「北杜」という名称になるように何らかの誘導が行われたように思えてならない。公募という形を取っているが、それは形式に過ぎないように思われる。いずれ北杜市が誕生するだろう。しかし山梨県北杜市といわれてイメージできるものがあるだろうか。山梨県の北杜、といわれても、個人的にまったくぴんとこないのである。北巨摩です、峡北です、南八ヶ岳で、その方が土地のにおいがしてこないだろうか。実際、八ヶ岳市にしようとする運動もおきているらしい。住民の真の意志を知りたいところである。
(2004/01/19)


信州県

長野県が信州県に改称する。そんな話が出てきた。都道府県の名称変更に関してはあまり聞いたことがない。おそらく現在の43都道府県誕生以降初めてではないか。ただ学生時代、ある明治時代の改称提案をみたことがある。那珂通世という学者である。東洋史の創始者として有名な人であるが、彼が吉田東伍が編纂した大日本地名辞書に一筆書いている。都道府県名改称案。彼の理想は今の都道府県は旧国を基本としているのでその名前にあわせた方がいいというもの。たとえば茨城県なら常陸県。栃木県なら下野県。群馬県なら上野県。埼玉県は、、、忘れた。北武蔵県だったか。そのようなものである。私のそのような改称案にとりつかれていたので、非常な親近感を覚えた。そのあとなぜか韓国関係の文献でも彼に遭遇する。不思議な縁である。
それはともかく、今回の話で那珂通世を思い出した。彼の案なら当然信濃県である。ただ閣僚から「いっそ県をとって信州に」という意見まで出てきたのには驚いた。それは都道府県制の崩壊である。1都1道2府42県1州?となる。確かに県と州は同じ意味を持つが、、、他の県にも同様の問題は起きないであろうか。
実は現在の都道府県名は明治政府の意向が強く働いている。佐幕派の藩名はすべて都道府県名からはずされ、多くは県庁所在地のある郡名がとられている。勤王派の藩名はそのまま都道府県名となっている。ここでいままで押さえられていた佐幕派の県ががんばってほしい。岩手県、茨城県、埼玉県、山梨県、石川県、愛知県、三重県、滋賀県、島根県、香川県、愛媛県よ。次は甲州県?近江県?伊予県?讃岐県?楽しみである。ちなみに長野県はすでに信州知事の名刺を使い、他の事業も信州に改称するそうだ。事実上の改称をねらっているらしい。この都道府県名はなかなか興味深い課題である。
(2004/01/16)



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