ドイツ語版新世界訳について

読者からの質問

ドイツ語版新世界訳は, 英語版新世界訳聖書を忠実に翻訳していますか。またルター訳と関連も教えてください。

お答えします。  出エジプト 3:14 「わたしはあるところのものである。」

ヘブライ語のbe動詞に当たる動詞は[ハーヤー]で「ある, なる, 起こる」という意味を有している。3:14では動詞にその基本能動詞, 未完了態, 一人称単数形[エフェ]が用いられている。これは, 『参照資料付き新世界訳』の出エジプト 3:14の脚注と同じであり異存はない。ルター訳は出エジプト 3:14のこの動詞が未完了態であることを, つまりこの動詞が未来を表していると解釈して未来時称のドイツ語に訳した。

Ich wede sein , der ich sein werde …Ich werde sein.

文の構成

Ich(私は, 一人称代名詞, 主格, 単数形) wede(であろう未来を表す助動詞) sein(である, 動詞seinの不定詞) , der(である, ところの, 関係代名詞, 主格, 単数形)

ich(私は) sein(いる, ある) werde(であろう) …Ich(私は) werde(であろう) sein(ある, いる).

動詞sein,鷲坿袷桓動詞で補語はder ich sein , werdeでその意味は「…である」。 動詞sein△牢袷桓動詞で補語は不要である。その意味は「ある, いる」である。

ヘブライ語の[エフェ](ハーヤーの未完了態)が未来を表していると解釈して未来形に訳すことは文法上問題はない。これでは出エジプト 3:14の神のみ名「我はあるなり」がイエスの言われたエゴ・エイミー(ヨハネ 8:58他)との関連がなくなる。

従って[エフェ]を未来を表していると解釈して本当に未来形に訳すると教義上の問題が生じる。

事実, ルター訳は出エジプト 3:14の神のみ名とヨハネ 8:58のイエスのエゴ・エイミーを関連づけていない。

出エジプト記 3:14の[エフェ](ハーヤーの未完了態)を新世界訳英語版(NWT)はshallという未来を表す助動詞を使って, 新世界訳ドイツ語版はwerdeを用い, 未来時称に訳している。

出エジプト 3:14の時称の問題の他にNWTは次の問題があると私は思う。これは[ハーヤーという動詞の意味の問題である。これはヘブライ語のbe動詞に当たる動詞でNWTはそれを「prove to be」と訳している。「prove to be」とは「存在することを証明する(示す)だろう」と訳されます。それがNWTによる神のみ名です。

それは「神は今はその存在を示していないが, 将来その存在を示すことになるという意味です。NWTの「prove to be」を新世界訳邦訳版は「なる」と訳しています。

be動詞を「ある, いる」と訳さず「なる」と訳出することは自然な日本語表現をするために認められます。

しかし, be動詞には本来存在について述べているのであって, 変化については述べていません。 例えば, I'll be a doctor next spring.という文は厳密には「私は来春医師(という存在) である」という意味であって, (医学生から医師になる)という変化の概念を含んでいません。

しかし「私は来春医師である。」というのは不自然な日本語だから, 「私は来春医師になる」と和訳しているわけです。なお, この部分のドイツ語版新世界訳は, 未来を表す助動詞werdeが使われているから未来時称の文です。その点では, ルター訳もドイツ語版新世界訳も同様です。

さて, ご質問のありましたNWTとドイツ語版新世界訳の差異についてですが端的に申しますと, ドイツ語版新世界訳の方が, 英語版NWTよりもヘブライ語原文に近い訳出であると言うことができます。

英文のwhat I (shall) prove to be という関係代名詞whatに導かれる関係文をドイツ語文はmich als das seiend erweisen という風に存在を表すドイツ語の動詞seinの現在分詞seindに中性定冠詞を付けてdas seiend「存在者」と表現している点です。 しかし, それは表現方法の違いであって, この部分についてはNWT英語版とドイツ語版新世界訳との間に意味の違いがあるわけではありません。

全く同じ意味の文をNWT英語版は関係代名詞を用いて訳し, ドイツ語版新世界訳は現在分詞に定冠詞を付けてこれを名詞にすることによってドイツ文で表現しているのです。

出エジプト 3:14に記されている神のみ名の英訳はNWT以外ではではNIV(新国際訳)は「I AM」と訳し, NKJV(新欽定訳)は「I AM」と表記しています。

これらは出エジプト 3:14で実際に活用されているbe動詞[エフェ]がヘブライ語のbe動詞[ハーヤー]の未完了態であり, これらの未完了態は真理を表していると考えているので「I AM」または「I AM」と真理を表している現在形を用いているのです。

当方には, この件に関してものみの塔日本支部に15年前に送ったヘブライ語とギリシャ語からの手紙と協会からの解答書がありますので, 主が許して下さるならば, 後日公開することにしましょう。

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