『スペイン語版・新世界訳』を検証する

質問:『スペイン語版・新世界訳』は『英語版・新世界訳』(NWT)を忠実に翻訳していますか。

答え:ヨハネ8章58節と出エジプト記3章14節に限定して言えば, 『スペイン語版・新世界訳』は, 『英語版・新世界訳』(NWT)を忠実に再現しています。ヨハネ 8:58に関しましては, 全く同一です。唯一の違いはスペイン語版でイエスが全て大文字で表記されるのに対してNWT英語版ではJesusと語頭のJだけが大文字で綴られ他は小文字で綴られているだけです。

ヨハネ 8:58のスペイン語版もNWTと同様に現在完了形で「yo he sido」と訳しています。(補足説明:yo=私は, 主語; he=スペイン語の現在完了形を作る助動詞の一人称単数形, 英語のhaveに当たる; sido=スペイン語のbe動詞に当たる過去分詞, 英語のbeenに当たる)

出エジプト 3:14もスペイン語版はNWTを忠実に再現していると言えます。考えられる問題の一つはスペイン語の動詞resultarは英語のresultに該当するのに, 英語版ではresultを用いず動詞proveを用いており, また英語の動詞proveはスペイン語のprobarに当たるのにスペイン語訳ではprobarを用いず, 動詞resultarを用いる点です。

その違いは何故生じたか?という疑問が生じます。その答えは次の通りです。一般論として言えば, スペイン語のresultarは英語のresultにスペイン語のprobarは英語のproveに当たります。

しかし, それは全く同一ではありません。英語のproveは他動詞で「証明する, 立証する試みる」自動詞で「−であることが分かる, 判明する」という意味で, スペイン語のprobarは他動詞で「証明する, 立証する, 試みる」, 自動詞で「やってみる, 試みる, −しようとする, 試しに−してみる」という意味です。また, 英語のresultは自動詞で「結果として生じる(−によって)起きる, −に終わる, −の結果になる」という意味で, スペイン語のresultarは, 自動詞で「という結果になる, −と見える, 思う, 似合う, ぴったりである, (費用がかかる)」という意味です。英語のPROVEとスペイン語のRESULTARの共通の意味は「−という結果になる, 結果として生じる」です。従いまして, 英語版の新世界訳の「I SHALL PROVE…」とスペイン語版の「YO RESULTARE’…」は全く同一であることになります。

当方は, 出エジプト記3章14節の訳出に関しては, ルター訳やものみの塔の翻訳とは, 少し違う見解を持っていますので, 主が許して下さるならば, 後日公開解説します。

■■ちょっと寄り道−スペイン語の文法について■■

○過去完了(別名:点過去)…過去のある時点に於いて完了した行為を表す表現, 或いは過去に於ける行為や動詞の全体を一つの点として把握する表現であり, 「−した」と訳す。スペイン語の過去は他, 不完了過去(線過去)もある。それは過去に於いて動作が一定期間続いていたことを表す。「−していた」と訳す。

○スペイン語の多くの単語は後ろから二番目の母音に力点があるが, 力点が予想外のところにある場合については力点を示す。また同じスペルでも異なる単語の場合は, 両者を区別するために, その一方に力点を記す。但し, 大文字綴りでは力点は省略できる。

○スペイン語の人称代名詞は, 親称(友人, 家族などへの「君」, 「君たち」)と敬称(非面識人の大人への「あなた」, 「あなた方」)の二通りある。親称は二人称代名詞であるが敬称は三人称代名詞である。

親称の二人称代名詞主格形の単数形は, 「君(男女の区別なし)」で複数形の男性形はvosotros, 女性形はvosotrasである。

一方, 「あなた, あなた方に」という意味の敬称三人称代名詞主格形は単数形usted, 複数形はustedesであり, 共に男女の区別はない。そしてそれが「あなたに, あなた方に」という意味の間接目的格に変化すると単数形でle, 複数形でlesとなる。男女の区別はない。 そしてそれらは三人称代名詞の間接目的格であるからleは「あなたに」という意味以外に「彼に, 彼女に, それに」という意味も持つ。lesは「あなた方に」という意味以外に「彼らに, 彼女に, それに」という意味を持つ。

従ってスペイン語の中でles, leの翻訳は文脈から判断されることになる。スペインに於けるスペイン語と中南米におけるスペイン語では異なり後者は二人称復数形の親称vosotros, vosotrasはなくすべてustedesを使う。しかし, ヨハネ 8:58の翻訳に於いては差異は生じない。

○スペイン語の発音はローマ字通りに発音すればよい。但し[U]は日本語の[ウ]よりも唇を丸くして前方に突き出して[ウ]と発音する。更に[QUE(関係代名詞)]は[ケ]と発音し, [H]は無音。だから[ABRAHAM]は[アブラーム]と発音される。

○スペイン語では主格が文脈から明らかであれば, 主語は省略するのが普通である。従って外見上主語のない文が多いがそれは極めて普通に見られる文である。

○スペイン語では目的格(間接・直接)を取る人称代名詞は原則的に活用している動詞の前に置く。

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