11号           00年6月10日            〈毎週水・土曜日発行〉
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              ☆小説の作り方!11 号☆
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修練によって、自分に磨きをかけることができます。また、修練によって、才
能を能力に変えることもできます。
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/      ロイ・L・スミス
        「小説家・ライターになれる人、なれない人」同文書院から
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■今回、テーマは「コンセプトを確認しておく」なんですが、ちょっと寄り道
を……「文章の書き方」から始めますね■
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 こんにちは。今日は雨が降っています。近畿地方も今日梅雨入りしました。
体調を崩さないようにしてください。5月病じゃないけど、こういう季節の変
わり目、梅雨の季節はは気分が沈んでしまう人が多い。なぜでしょうね。
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     ■文章を書くことに悩んで
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 ぼくもこの一週間ほど飲み続けでした。ぼくの飲み方は激しいのです。二日
酔いになって目をさますとまた飲み始めるというふうで……
 これには悩みがあったんです。
 文章を書けない、ということが悩みの種でした。前に、自分の書いた文章を
読んで下手だな、と感じたのです。それがきっかけです。
 文章を書くということを、根本から考え直さなければと思ったのです。そし
て自分でも納得がいくように自由に書きたい。うまくなる必要はないけれど、
自分が考えたこと、おもったことが読んでくれる人に伝わるように書きたい。
 メールだと、文章は短いし、頭に浮かんだことをそのまま書いてもいちおう
の形にはなる。けれどある程度長い文章を書こうとするのはそうはいかない。
読んだ人の胸にすんなりとわかりやすく入り、何が書いてあるかよくわかる文
章を書くのは難しい。

 それでこんな本を読んでみました。
「文章を書く技術」 現代教養文庫  平井昌夫著
「文章構成法」   講談社現代新書 樺島忠夫著
「文章表現の技術」 講談社現代新書 植垣節也著
「文章トレーニング」ちくま文庫   白井健策著

 これらの本は文章を書くときに、いかに構成して書き始めるか、ということ
について書かれた本です。よくある、いい文章を書くために表現を工夫する、
ということが書かれた本じゃないのです。お薦めです。ぼくのように迷ってお
られるかたはぜひ読んでみてください。

 なぜ、こういう話を始めたかというと、ここに書かれた構成を作る作業が小
説作りに役に立つかとおもったからです。「これは小説を組み立てるときの構
成の作業と少し似てるなあ、これを例にとるとわかりやすく説明できるかもし
れない」それはぼくにとって「発見」でした。
 それで今回のテーマ「コンセプトを確認しておく」からは少しはずれるでし
ょうが、紹介してみたくなったのです。構成するということが具体的にわかる
だろうとおもうのです。それになにか文章を書くときにも役に立つでしょう。
では、書いてみます。
     ------------------------
     ■文章を構成する方法です
     ------------------------
 まず、最初にしなければならないことです。
1)モチーフを決める。

 これはテーマ(主題)といってもいいし、中心の考えといってもいい、何に
ついて書くかということです。ここでは「文章トレーニング」の146ページに
基づいて、モナリザの絵が来ることについて書きたい、とします。
 モチーフは具体的なほうがいいんです。たとえば戦争について書きたいと思
う。それでは漠然としすぎです。戦争の何について書きたいのか? 兵器なの
か戦略なのか引き起こされる惨禍についてなのか。具体的であればあるほどい
いです。
 普通の文章でもそうなんですが、小説においてはモチーフはより具体的であ
る必要があります。モチーフを思いついたときにもう作者のなかでドラマは始
まり作られていると言っていいのです。これについて書こう、と思ったときは
もうどんなドラマになるだろうというのがわかっていなければならないでしょ
う。
 
2)何を書きたいかを具体的に決める。

「名の知られている絵を見れるのはうれしい、楽しみだ、大いに期待している、
ということを書きたい。しかし、うれしい、うれしい、とただ喜んでみても、
子どものようで、文章にならない。あまりたくさん書かないでもよいが、一応
は胸に去来するさまざまな考えを、整理して書いてみたい。……」
 というふうなこと。
 ここで何を書きたいのかを、具体的に考えていきます。モナリザの絵が来る
ことによって自分のなかで何が起こっているのか? それとの関わりで湧いて
来るもの。

3)考えつく限りのことを紙に書き出す。

 ブレーンストーミングですね。
 これはアメリカの広告会社をしていたアレックス・オズボーンが提唱した創
造性を開発するための集団的思考の技法、発想法です。会議のメンバーが、自
由に意見や考えを出し合います。その条件は――
1 質を考えない。量をだすこと。
2 批判しない。
3 人の言ったことに便乗すること。ようするに真似をしなさいということ。
4 みんながドッと笑うようなことを歓迎する。

 まあ、これを個人の頭のなかでやるということです。
 思いついたことをどんどん書いていく。「モナリザが日本に来る」というこ
とへの連想を思いつく限り書く。ここではこうなっています。
「モナ・リザ。作者――レオナルド・ダ・ピンチ(経歴要調査)。ルーブル。
小さな絵(いや、大きな絵? だって有名だ)。どのくらい小さいか寸法要調
査)。日本に来る――はじめてのこと。門外不出? いやどこかに行ったこと
あり。たしかアメリカ要調査)。レオナルドは画家か。ルネサンス的人間。何
でも屋。天才。モナ・リザの微笑。何の微笑か。なぞの微笑。やさしさ。つめ
たさ。手の表情。早く見たい」
 ここではこうなっていますが、ひとつの文を思いついたらそれを断片と考え
てもいいんですよ。

 そして重要なこと――その考えの断片は【トピック・センテンス】になりま
す。トピック・センテンスというのは段落の中心になっている文を抜き出した
ものです。中心の考えというのでしょうか。

4)それらの考えの断片を並べ替えます。

 同じようなものを集めます。どこにも属さないものはひとまずおいておきま
す。ここでは四コマ漫画のように並べるとなっていますが、4つの大きな固ま
りに仕分けします。ようするに人間の考えることは四つの大きな固まりになる
ということです。
 物事は起承転結という形に必ず収まるということです。
 枠として「起」「承」「転」「結」でもいいし、「ダカーポの文章上達講座」
(マガジンハウス)で書かれているレポートを書くときの方式、「目的」「理
由」「方法」「結果」でも「現実」「原因」「対策」「変化」でもいい。
 人の考え方の基本はこの4つのパーツなのです。

 小説を書こうとする者の基本的な考え方は絶対に起承転結ですね。(^_^)/

 ようするに四つの枠を作り、そこに納めてしまう。そんなに厳密に考えるこ
とはないです。とにかく分けてみる。

 分けられたものをじっと見ます。
 そうすると文章の流れ、構成が見えてきます。それが読者の頭に自然に情報
が流れ込む構成です。
 ここではこうなっています。
A まず、モナ・リザという絵そのものについて。
B それを産み出した人物、つまりレオナルド・ダ・ビンチについて。
C それが日本に来る、というニュースについて。
D そのことがうれしい話だ、という点について。

 これで文章は起承転結に分けられました。いえ、べつに起承転結でなくても
いい。4つに分けられた構成が見えてくればいいのです。起承がひとつになっ
て序破急(導入部、展開部、終結部)でもいいわけです。ようするに緩やかに
自然の流れで構成されたらいいということです。
 構成ができるともうやまが見えたといっていいです。ほとんどこれで文章を
書くことは8割方終わったと言っていいのではないでしょうか。 

5)あとは足らないところを書き加える。いらないところを削ります。

 構成を眺めていると「こういうことも書きたいな、これは余計だな」という
考えが浮かんできます。そういう断片を書き加えたり、削ったりします。
 つまりトピック・センテンスを増やしたり、削ったりするのです。

6)さあ、いよいよ文章を書く、段落を作る作業です。

 トピック・センテンスをふくらまし、文章化し、段落にしていきます。
 ここで自分の書き方、気に入る表現でふくらましていってください。自分な
りの表現で段落を作ります。

7)書き終わったら、推敲です。

 字句を推敲します。語句が適当か訂正します。
 そして文章を見直してください。これで、文句が出ないか。読者にとってお
もしろいか、興味深いか、「なぜこう書いたのか?」と質問してください。
 満足できるようだったら、完成です。これで終わり。コーヒーでも飲んでく
ださい。

 この1〜7の作業で文章は書けるんです。でも、この順番どおりににできる
ことではありませんね。順番があっちに行ったりこっちに来たり――それでい
いんです。書いている断片を文章化したくなったらやってくださってもいいで
す。順番にこだわることはありません。文章がいくつもできたら、それをカル
タ取りのように並べ替え、書き加え、削ったらいいのです。いちおうの原則と
してこういう流れで文章は組み立てられるということです。

 大事なことを言い忘れています。
 いちばん基本的なことは、文章を書くことが「好き」であることですね。こ
れを楽しまないとだめなんでしょう。書いているときは苦痛でも、その苦しみ
さえも楽しみにしてしまうほど好き。
 スティーヴン・キングはあれだけ小説を書いているのに別名でも小説を発表
しています。よほど書くことが好きなんでしょう。もちろん、小説のアイディ
ア、モチーフが押さえきれないほど湧いてはくるんでしょうけど。

 上の文章作りの文章と小説との違いのことを言います。これらによって書か
れる論文、レポート、報告、記事、エッセイ……と小説が違うのはこういうこ
とではないかとおもいます。
 小説は描写よって物語が進められ、クライマックスがあり、余韻を持って終
わる物語、話であるということです。現実に対するひとつのメタファー(喩え)
としてクライマックスがあり、それがどのように受け取られるかは読者の解釈
に任される物語であるということです。

 ひとつの小説、物語は起承転結の流れでできています。そして構成をする作
業――事件、物語に沿って「ああでもない」「こうでもない」と加えたり、削
ったりすること――はこういう感じですればいいとおもうのです。
 ここでは、モナリザの絵が来てうれしいな、というので文章は完結していま
す。少し乱暴ですが、このプロットを借りて物語を作ってみましょう。小説は
事件を描くものですから、すべてに起承転結があります。
(起)モナリザの絵というものの謎→そのエピソードの起承転結
(承)作者、レオナルドは何者か、探しに行く→そのエピソードの起承転結
(転)その絵が日本に来るという→そのエピソードの起承転結
(結)それによって謎は解決される→そのエピソードの起承転結

 小説は事件の、エピソードの羅列です。大きな流れとして小説世界を形作る
事件の起承転結があるのですが、それは小さなエピソードとしての事件の起承
転結によって支えられているのです。
 シナリオでは大きな事件の流れは、大箱として構成されます。そしてその大
箱の下に、エピソードとしての小箱があります。その小箱は小さな無数のシー
ンです。うーん、こんなことを言うとややこしいかもしれませんね。

 起         承        転      結
 ↓         ↓        ↓      ↓
起 承 転 結   起 承 転 結
↓         ↓
起承転結     起承転結

 図で描くとこんな感じかもしれません。
 小説は事件、エピソードの羅列なんですが、それぞれにそうなる原因結果が
あり、それはまたそのもとのエピソードの結果なのです。そういう因果関係の
必然性とエピソードとの組み合わせで小説の構成は行われます。
 これはまた構成の項目のところで詳しくやりましょう。いまは文章を書くと
きの構成の作業が、小説作りにも当てはまるということを話しました。では、
この号のテーマにいきましょう。
     ------------------------------------
     ■書き始める前にコンセプトを確認する
     ------------------------------------
 9号では、「具体的に小説を書く過程はいかなるものか」を書きました。今
回の項目はそれをもうすこし詳しく展開しようとおもって作ったんです。
 上の「文章作りの作業」でも「小説を作る作業」でも最初に「なんのために
書くか」というコンセプトを確認しておくことが大事なのです。

【「なに」を「どう」書くか】
 これは上の1と2の作業です。

 小説を書きたいとおもっているひとは書きたいテーマやストーリーをあふれ
るほど持っているはずです。
 でもね、考えてください。
 それは具体的ですか? ただ「こんなことを書けたらおもしろそうだ」と漠
然とおもっているだけではありませんか?
 上のような文章作りではある程度のごまかしはききます。でも物語、お話で
ある小説はごまかしはきかないんです。事件を描写していき、エピソードを書
き込み問題の解決へと向かう、そういう流れを作らないといけないんです。そ
のために構成はとても重要だとおもいます。

1 具体的なモチーフの
2 具体的になにを伝えたいのか
3 そのために必要なエピソードは?

 何を伝えたいのかというのは、具体的にいうとそのエピソードや事件の設定
によって表される恐怖や葛藤や問題意識でしょう。あるいは描写によって伝え
られる雰囲気、臨場感。そういうなかでしか作者は読者と相対することができ
ないのですから。

 コンセプトとは全体を貫く統一的な視点や考え方という意味ですが、その小
説の「売り」とでもいうべきものが含まれているのがわかります。それを作者
は伝えたいし、読んでほしいわけです。
 そして作者はあるモチーフを選びました。そのモチーフを選んだ時点で書き
たいものの方向は定まったわけです。これによって描かれる世界が読者を感動
させるだろうと考えたのです。
 そして作者は同時にこういうことも考えているはずです。

 読者の想像力が描かれるものについてこれるだろうか?
 描くものを読者が理解してくれるだろうか?
 読者がおもしろいとおもってくれるだろうか?
 
 つまり、読者と対話しているわけです。読者の姿が作者には見えているわけ
です。読者がどういう人で、年齢は何歳で、どれぐらいの知識を持っているの
か、そういうことがわからなければ小説を書き始めるのは待ったほうがいいと
おもうのです。
 この、モチーフ、伝えたいこと、事件は読者にとって具体的な魅力のあるも
のでないといけないとおもいます。その小説世界に引きこまれ、主人公と同じ
ように考え、一体感を持てる、そういうものでないといけないのです。
 作者は伝えたいことを描くのですが、それは読者にとって伝えられたいもの
でなければならないのです。ようするに自分の小説を客観視できるひとりの読
者として作者はあらねばならない。コンセプトを確認するというのはそういう
ことではないでしょうか。作者はまずその小説を読む最初の読者なのです。
 
 描くジャンルを決めておくことも必要です。
 どういうジャンルでどういう読者を相手にするのか。そして何をおもしろい
とおもってもらうのか。
 ある意味でジャンルを決めるというのは、これなら書けるということを確認
する作業でもあります。自分が読み込んで理解しているジャンル、新鮮なアイ
ディアとモチーフを見いだせるジャンル。これで勝負できる(^-^)v という分
野です。

 作品の魅力というのは「おっ!」とおもわせる「読ませどころ」があるかな
いかで左右されます。「こういう描写をさせれば俺にかなうものはない」とい
うところを作ってください。テーマに関わるエピソードのところで、またクラ
イマックスのところで読者を脱帽させてください。
 落語は古典芸能で、誰が演じても同じ話です。でも落語家によって聞き惚れ
る魅力を持ちます。それは語り口がうまいからです。小説だって同じです。同
じテーマ、同じモチーフで描いても「読ませどころ」があるかないかでその小
説が与える感動が違うのです。描写や会話、表現の工夫などによってそういう
部分を作ってください。

 最後にどうすればコンセプトが確認できるか述べます。
 それは粗筋を書くことです。
 自分が書く小説を要約したものを読んでみる。構成がしっかりとできていれ
ばそれだけでもおもしろいはずです。この時点でおもしろくなく平凡な印象し
か受けないものは読者にとってどこか魅力がないものです。もう一度構成を考
え直したほうがいいかもしれません。
 粗筋は小説の骨に当たる部分です。これがしっかりしていないと小説は立つ
ことができないのです。脆弱な肉の魅力で読者を惑わすのではなく、骨太な構
成とスリルとサスペンスに満ちたプロットの部分で読者を魅了したいものです。
そうじゃないですか?

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 今回、「文章の書き方」という余計なものを割り込ませたのは、小説を書く
ためには構成やプロット作りは重要だ、とおもっているということで了解して
ください。ぼくは極端に言えば、構成が小説のおもしろさの8割ぐらいは占め
るのではないかとおもっているのです。お話作りですね。
 次号からは、小説のおもしろさとは? 魅力とは? というところに踏み込
みます。12号は「読者を意識する」をお送りします。
「文章の書き方」を読んだわりには、うまく書けてませんね。(T_T)お許しを。
 では、また。
◆◆まとめ◆◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
読者にとっておもしろいものを書こう。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
     ■編集雑記
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
○今日は一日中、雨です。アパートの隣の駐車場で虎猫が顔を洗ってました。
○知人のパソコンが故障して――ソーテックなんだけど、電源ボタンを押して
もうんともすんとも言わない。ぼくも同じ機種だから恐怖。
○「タオ」筑摩書房(加島祥造著)を買った。1700円。「永遠の仔」を買うつ
もりで書店に行ったのだが浮気した。ぼくは老荘思想でできている。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
┏━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃落書き掲示板。なんでも書き込んで┃
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http://hpmboard1.nifty.com/cgi-bin/bbs_by_date.cgi?user_id=YHY11050

 ふとしたとき、気軽に書き込んでください。落書き感覚でいいです。ここで、
誰かがまた書き込む。そうしてなんとなく知り合いになれたらいいなとおもい
ます。
 そうだなあ。メルマガの感想や意見。読んだ本のこと。小説について想うこ
と。おれはこうやっているぜ、ということ。みんなに発信したい何か。ひとり
言でも――何でもいいです。
 アドレスはいりません。名前も匿名でいいです。
 非難や中傷の文章は管理者のほうで削除しますので安心して投稿してくださ
い。のんびり、ゆったり、ぼちぼちと、やりましょう。
…………………………………………………………………………………………
 ぼく個人にメールを送ってくださるならここです。
  ☆ミ         ★☆彡     ☆ミ       
            ☆ミ                           ☆ミ
            
   SAO  ヾ(^^ )
   今年のテーマは「いつも上機嫌で元気にやろう!」
  E-mail: YHY11050@nifty.ne.jp
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  て発行しています。( http://www.mag2.com/ )まぐまぐID:0000034024
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12号           00年6月14日            〈毎週水・土曜日発行〉
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              ☆小説の作り方!12号☆
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言葉の才能があることは、それほど大したことではありません。長距離砲を持
っている人が、それだけではハンターや戦士にはなれないのと同じです。ハン
ターや戦士になるには、他にもっと多くの素質が必要なのです。
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/          ジョセフ・コンラッド    
        「小説家・ライターになれる人、なれない人」同文書院から
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 こんにちは。涼しくなったのはいいけれど、雨でうっとおしいですね。
 なんか玄米食にしてから顔がかゆいよう。吹き出物ができてしまった。
 ところで友人の13さんからアドバイスをもらいました。

「『小説の作り方』頑張ってください。
あんまり張り切らないで、肩の力を抜いてください。
ぼくの印象ですが、ちょっと長くなる傾向にあるような……。
もっと、短くてよいのではないでしょうか。
つまり、読む方は、なかなか負担になるから。
長くなると、何が書いてあったかの印象があいまいになって……。
短くて、印象に残る強烈なことばがある――というほうが、
理想的だと思いますが……。  〔十三〕」

 そうですね。(*^^*) 最近長くなり過ぎ。リラックスして、文章ももっと簡
潔にしたほうがいいですね。うん、ありがとうございます。
 だいたいぼくの書いていることは小説を書こうとする人ならわかっているこ
とばかりで、まあ、少しでもヒントとか役に立てばいいとおもっているんです。
ですから、リラックスしようとおもいます。
 抽象的な「これはこうです」と言う書き方から離れたい。なるべく具体的な
話だけをしたい。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
       ■では、今回は「読者を意識しよう」です■
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 掲示板に引用について質問がありましたけど――「引用ばかりじゃないの」
という感想を持たれるかたもいるとおもいます。でもぼくより先輩の人たちが
大勢いて、ぼくがそれをさも自分で考えたことのように説明するより、その人
たちの言葉を引いた方が早い。正確に伝わるし。ぼくは初心者で人に教えるよ
うな立派な考えなんか持ってないんです。
 説明したり、論文調になったりするのはもうやめ。
「こういう本を読んだよ。ここにはこう書いてあって大事だとおもうんだ。読
んでみれば?」っていうのがこのメルマガの役目だとおもっています。そのな
かで読んでくれている人と穏やかで、ゆるやかな交流ができればいいです。
 で、さっそく引用です。

『小説家にとっていちばん大事な才能は、明確に読者を意識できるかできない
かということです。それがなぜ重要かというと、意識していれば、伝えるとい
う使命がともなってきます。読者がいるんだと思うと、その読者になんとか正
確に自分のいっていることを伝えたいという気持ちが出てくる。読者が明確に
意識されていないと、文章にごまかしが出てしまうんです。「ちょっとこれわ
からないけど、まあいいや」みたいな感じで、要するに自分がわからないこと
まで書いちゃうということがある』

 これは「小説家」講談社文庫からの高橋克彦さんの言葉です。
 この本はとてもいい本で、小説家になろうとする人は読んだほうがいいです。
すごくおもしろいのは、高橋さんは江戸川乱歩賞を「傾向と対策」を立てる方
式でとったと書いてあること。ほんとに、小説を書くということを、意識して
やっておられるんですね。

○読者の想像力が描かれるものについてこれるだろうか?
○描くものを読者が理解してくれるだろうか?
○読者がおもしろいとおもってくれるだろうか?

 11号では、こんなふうに生意気なことを書いたんだけれど、もっと謙虚に、
書くことを考えたほうがいいのかもしれない。高橋さんが言われているように
「文章をごまかさない」ということが大事だとおもう。読んでくれる人にたい
して誠実であることが必要なんでしょう。
  
 8号の「戯作者になろう」も、読んでくれる人にとっておもしろい作品を書
こうということで、読者をわからないと書けない。7号の「謎」だっておもし
ろさにひかれて読んでくれる読者がいてこそだ。6号の「リアリティ」だって
読者の共感を得るから、生まれる。
 手にとって読んでくれる読者って大事です。
 
○読む、読まないは読者の自由で、書かれた小説は読者の「読む権利、読まな
い権利」のもとにある。
 これの逆じゃあない。
(まあ、ぼく自身の読書の態度を見てもそうだし)それに、
○物語というものは、書き手が『書く』のではなく読み手が『読む』ものであ
る。という言葉もある。

 書きたい、伝えたいということで、独りよがりに陥らないためには、読者を
研究して、何をおもしろいとおもってもらえるのか、わかっておく必要がある
でしょう。

■あなたにとって読者像はできてます?

 あなたが書く小説を読んでくれる読者はどんなひとですか?
 これがないと小説のウリが作れないでしょう、「読ませどころ」も。
 読者は基本的には視点人物に感情移入して小説を読む。だから、主人公を造
型するのにも読者を知っておくことは必要なんです。

○おおよそな年代
○どういう場所で読む人か
○何に興味を持っているか
○何をおもしろいと思っているか
○小説を読むことで何を得たいと思っているか
○小説観といえばいいか、物語に対する態度は?

 小説にはジャンルがあります。
 そしてそのジャンルそれぞれに読者像があるでしょう。
 そのジャンルは――
 
☆ミステリー
 歴史・時代小説
 ホラー・オカルト
 SF
 ファンタジー
 戦記
 ユーモア・コメディ
 ポルノ
 耽美・やおい
 ジュニア小説

 このへんのジャンルについて詳しく書いてあるのは「作家養成講座」KKベ
ストセラーズ(若桜木虔著)です。業界の内情についても詳しく書かれていま
す。
 で、ミステリーならそのなかでも本格ものとハードボイルドというふうに分
かれていくわけですが――それに冒険小説……
 いまジャンルを越えて書かれている小説が多いようにおもいます。

 ぼくはずっと純文学を読んでいたので、ほんとうにそれぞれのジャンルのこ
とは知らないんです。これからいろんなジャンルを読んで研究したい。
 でも純文学を読む人のことはわかりそうな気がする。
 村上春樹や村上龍や山田詠美や村山由佳なども純文学系に含めるとして、こ
ういう読者像じゃないかな。

 わりとロマンチストで、20代から40代。職業は主婦から公務員まで一定して
ない広い層。人間関係に興味があり、完全な恋愛に憧れたりする……意外とイ
ンテリだとおもっていたり(悪口じゃないよ)進歩的。まあ、日本の世代別の
層の中間で、いちばん多い人々かなあ。選挙では浮動票になる層ですね。中立
的。そういう人々で、小説をよく買う。日常のなかで問題意識をもち小説に解
答を求める傾向がある。(この理解、間違っているかも。それだったらごめん)
 そして現代文学を読む人たちが一部含まれる。ガルシア・マルケスとかカフ
カとか、難解なものに興味を持つ人たち。哲学に興味をもち精神分析を知って
いたりする。デリダとか。フランス文学、外国の現代文学を受け入れる派です
ね。考えることを楽しむというか、評論も読む。文藝・すばる・文学界などを
購読している。
 純文学というとそういうところかなあ。
 こんな雑な区別をすると、異論のある人もいるでしょう。そこで提案です。
 ぼくはほんとうに他のジャンルの読者を知らないんです。
 それに、本やインターネットでそのジャンルのイメージをつかんで読者像を
ここで書く、というのも本意じゃないです。
 ですから、教えてほしいのです。
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃こんなジャンルを読んでいる読者っていうのはこういう読者像、┃
┃というのを掲示板に書き込んでくれませんか?        ┃
┃お互いに教えあいましょうよ。               ┃
┃とくにミステリーが好きなかた、何に興味を持って読んでいるの┃
┃か教えてくれませんか? もちろんSFも歴史・時代小説も。オ┃
┃カルトもホラーも。ファンタジーは書き込んでくれている人のな┃
┃かにいるみたいだし。お願いします。 m(_ _)m        ┃ 
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

 ぼくは冒険小説がいちおう好きだし、恋愛小説も書きたい。それって自分の
希みっていうのを小説に反映したいということですよね。そしてぼく自身は今
書いた純文学のジャンルに入るとおもっているのですが……だからその層に向
かって書きたい。

 小説は読者の共感を得なければなりませんね。
 そのためにもどういうことを狙い、仕掛けたらいいのかをよく知っておく必
要があるんです。読者が何に共感を持つか、なにをおもしろいとおもうのか、
何に感動するかですね。

■読みにくい小説とは?

 ところで小説は読んでもらわなくては始まりません。それで「読みにくさ」
について考えてみます。

○説明が多い。
 
 小説は描写でできているんです。それをはずれて事件の説明や、物の説明が
多い部分ができると、そのあいだ読者の主人公といっしょに動いていた視点が
とまってしまうことになります。それが読者にとってすごく新鮮で興味をひく
ことならいいのですが、たいがいは会話のなかですますことができます。説明
を長々とやると主人公との一体感が失われ小説世界に浸れません。

○必然性がない。
 
「こんな行動はしないだろう」とか「こんなふうに考えるのはおかしい」と感
じる場合です。なにか深い意味があるなら別ですが、たんに作者の思いこみで
人物を動かしていると操り人形のようになります。小説世界にも必然性はあり
(論理性といってもいい。原因←→結果)登場人物にも心理の必然性がありま
す。人間が単純に描かれ、とても納得できない場合です。

○描写がなく粗筋だけを読まされているような小説。

 読者は事件の結果を知りたいのではありません。事件は登場人物が活躍する
舞台でしかないのです。描写がないと人物が生き生きと動くことができない。
読者は、生き、葛藤し、乗り越える人間の強さを読みたいのですから。

○イメージが難解すぎる。

 作者が狙って描いているイメージの意味が深すぎるのか、うまく読者に伝わ
らない場合。具体的に描かず、言葉でイメージを作ろうとするときに起こる。
作者もほんとうは理解してないことが多い。いやそれとも、難解であることを
伝えたいのかもしれません。

○感動の押しつけ。

 作者にとっては特別な意味を持つことも、そういうものを共有していない読
者にはなんでもないと思える場合。たとえば一部の恋愛小説や家族を描いた小
説のように思い入れがありすぎるもの。世代や時代の共通の体験。狭義の体験
を普遍にまで高めようとしたときの失敗です。

○文体や語彙が読者の好みではなかった。

 これは作者がどういう読者に何を読みとってほしいかを、あまり考えなかっ
た場合です。そのジャンルにあった文体というのはあるとおもいます。

■語彙を増やすことと観察力を訓練する。

 語彙のことが出たので、最初に紹介した「小説家」から引用しますね。

「ぼくは、若い頃友だちとそれをゲームとしてやっていました。観察力なんて
いうむずかしいことじゃなくて、たとえば同人雑誌をやっている仲間なんかと
一緒に喫茶店に行って、このイスの形は何ていうんだろうとか。ロココ調とか
アールヌーボーとかあるでしょう。この床の模様は何と表現するんだとか、天
井からぶら下がっている照明は何ていうんだと聞くと、みんな知らないんです。
それで必死になって辞典で調べてみる。でも辞典というのは、ことばを知らな
いとなかなか探せないんですね。ぼくは若い頃に建築図解辞典とか、そういう
ものをやたらと買っていました。
 小説を書くための道具はペンと紙だけあればいいといいますけれども、実際
には違うんです。「笑う」という表現でも、類語辞典で「笑う」をパッと見る
と、たくさんあります。忍び笑いだとか、ほくそ笑むだとか、語彙をある程度
調べる方法もある。日常的に使っていなくても、そういう道具について関心を
持つようにしなければ、なかなか難しいでしょう。井上ひさしさんみたいに暇
なときにいつも辞典を見ているというのは、これは特殊な人ですから。
 物の名前を正確に知っているかどうかということは、小説を書く場合に結構
大きな意味を持っています」

■読者って

「たいていの読者がわたしにこう伝えたがった。つまり、あの話のひとつは、
自分たちの感情をめざめさせてくれた、考えさせてくれ、感じさせてくれたと。
そうした手紙は、言葉に難渋しインスピレーションが枯渇したかと私が不安に
なる日々(あまたの日々)を償ってあまりあるもの、ほんとうの意味での報酬
なのだ。神よ、常に忠実なる読者にお恵みを、そしてご加護を。口は喋ること
はできても、傾けてくれる同情的な耳がないならば、物語は存在しない」
       スチィーブン・キング「ランゴリアーズ」の「序にかえて」

 読者はありがたいものです。
 そういう読者を得たいものですね。

-----------------------------------------------------------------------
 今回はこれで終わりです。ところで、こういう小説作法の話はどうしても
「これはこうしてはいけない」とか「こう考えたらいい」という抽象的な結論
になってしまいます。個々のことは、それぞれのひとが具体的に書くことをや
っていくなかで、やっていくしかない……様ざまな書き方文体があるので……
 でもね、例をひいて具体的に説明できないものか――
 うーん、ぼくとしては不満です。
 けっきょくは小説の構成要素のなかで、「プロットや構成はこういう考え方
で立てたほうがドラマチックになるよ」とは言えても、文体とか表現に関わる
ことはその作者自身のものなので、その現物が目の前にあって初めて言えると
いうことでしょうか。
 毎回、抽象的な答えしか出してないようで、ちょっと嫌だな。
 モチーフの見つけ方、発想、構成の項目へいけばもっと具体的例を持ち出し
てわかりやすくしたいな、ということをおもっています。
 もう少しご辛抱を。

 17日は「読者は何をおもしろいと思うのか」を考えます。

◆◆まとめ◆◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
読者像ははっきりしていますか?
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
       ■編集雑記
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
○「掲示板に書き込んで」って言いましたけど、それに書ききれない場合、ぼ
く宛にメールで送ってくださってもいいです。長い文章になったときですね。
号外号、増刊号を出してもいいですし。
○20号へいくまではまだ具体的な話にならない。それで書いていてこれでいい
のかとおもってしまう。そんなこと、ぼくがおもうと、読んでいるひとはもっ
とだろうと考える。まあ、ぼつぼつやります。
○雨だからだろうか。気が滅入る。そんなことってありません?(=・ェ・=) 
――――――――――――――――――――――――――――――――――
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誰かがまた書き込む。そうしてなんとなく知り合いになれたらいいなとおもい
ます。
 そうだなあ。メルマガの感想や意見。読んだ本のこと。小説について想うこ
と。おれはこうやっているぜ、ということ。みんなに発信したい何か。ひとり
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 00年6月17日                      〈毎週水・土曜日発行〉
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
              ☆小説の作り方!13 号☆
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
面白い話というものはないのです。歌にしても、本当に大切なのは歌手であっ
て、歌そのものということはめったにありません。ライターが何かを書こうと
するときに大切なのは、心構えです。その心構えは「人生における心の傷の縞
模様」と定義されることがよくあります。
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/     ジョン・グレゴリー・ダン
        「小説家・ライターになれる人、なれない人」同文書院から
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
       ■読者にとって「おもしろい」とは■
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 こんにちは。梅雨の合間の蒸し暑い日です。体調を崩さないようにしてくだ
さいね。
 前号では「読者を意識しよう」ということを言いました。読者に小説を読ん
でもらうためです。小説は、作者がこれを書いたらおもしろいだろう、これを
書きたいという部分も無視できないんだけれど、その作者の伝えたいことをわ
かってもらうためには読者がどう感じるかというのを知っておかなくてはなら
ないのです。

 読者の側からいえばその小説への感想というのは、すごく単純に言えば、お
もしろいか、おもしろくないか、です。おもしろくないと感じたら読まないで
しょう。本を投げ出してしまいます。おもしろくないのに読む義理はないので
すから。
 読んでくれるひとは、「おもしろいんじゃないかな」と最初に期待して読み
始めるのです。

 ですから「おもしろい」小説を書きましょう。
 今回は、読者が何をおもしろいとおもうのか、それを考えます。おもしろい
というのはどういうことなのか、その内容を考えたいとおもいます。
     ----------------------------
     ■読者像とジャンルを意識する
     ----------------------------
 そして、その一歩として、前回は「読者像」というのを考えました。
 恋愛を読みたいと期待している人にホラーを与えてもいけないし、冒険小説
を期待している人に歴史小説を与えてもいけないからです。
 小説は描かれる世界によってジャンル分けされています。
 読者はその小説がどういう世界を描いているのか、おおよそ予想して読み始
めるでしょう。ミステリー好きな読者はミステリーというジャンルを選ぶだろ
うし、ホラーが好きな人はホラーというジャンルを選ぶ。
 そういうことなのですから、作者は自分の書く小説がどのジャンルに属する
のか意識しておかなければならないのです。読者が期待するものを裏切らない
ようにしたいものです。

 自分が書く小説がどのジャンルに属し、どういう読者がどういうものを期待
しているかを意識することによって書き方や文体も変わってくるはずです。
 大きく分けて、ミステリー系なら――短くてテンポのある文体、緩急のある
プロットが必要でしょう。
 恋愛小説なら雰囲気のある風景描写、深い心理描写が必要だとおもいます。

 文体や、どう書けばいいのかは一般化して言えません。こればかりは個々の
作者によって個性が違い、描き方が違いますから。
 でも、いちばんよい学び方をお教えします。
 好きなジャンルの好きな作家の小説をとことん読み込むことです。

○要約し、粗筋を書き出してみてプロット、構成、伏線の張り方を学ぶ。
○昔からの方法ですが、書き写してみる。文体、テンポ、語尾の変化を学ぶ。
○その作家の全作品を読む。小説世界の構築の仕方、見方を考えてみる。
○粗筋から作品を復活できるか、やってみる。

「芸術は模倣だ」って言葉があります。最初は模倣を恥ずかしがらなくてもい
いとおもうんです。徐々に自分独自のものを作っていけばいいんですから。
     ----------------------------------------
     ■読者にとっての「共感」ってなんでしょう
     ----------------------------------------
「おもしろい」とおもってくれることは、共感してくれることです。それは具
体的にはどういうことでしょうか?

○読者がその作品の世界に浸れること。
○主人公との一体感が持て、その弱さ、強さも含めて同質のものを感じること。
○主人公の行動を、読者が無理なく追体験できること。

 これらは読者にとっては心理的な体験なのです。
 作者は綿密なプロットの展開によって、読者の感情に揺さぶりをかけ、追体
験し易くしなければならないでしょう。
 作者は、読者は何を感じているか、どうおもっているか、を常に意識してお
くことが大事だとおもいます。

 かといってテクニックだけでは読者はついてきません。テクニックだけはす
ごくて、感動がない小説だってあるのです。技術はテーマや作者の思想の裏付
けがなければ、薄っぺらいものになってしまいます。
 読者はいつも、新しい発見――気づきを与えてくれるものを求めているんだ
とおもいます。そういう意味では、作者のテーマ、モチーフに対するひたむき
な態度が読者を引っ張っていくのでしょう。
     --------------------
     ■おもしろい小説とは
     --------------------
「ベストセラー小説の書き方」(朝日文庫)でディーン・クーンツはこう言っ
ています。
「一般に、平均的な読者というものは、小説に次の八つの要素を求めていると
言っていいでしょう。

1 しっかりとしたプロット
2 見せ場が多いこと
3 ヒーローかヒロイン、あるいはその両方が登場すること
4 変化と想像力に富み、しかも説得力のある性格描写
5 明確で自然な登場人物の動き
6 綿密な背景描写
7 わかりやすい文章
8 多少のりリシズムと強烈な印象的イメージを豊富に盛りこんだ文体」

 これらはすべて納得できることです。それに小難しくなく述べてあります。
ぼくも見習わなくてはなりませんね。
 
 読者は何を小説に求めるのでしょう。ぼく自身の考えを書いてみます。

○刺激

 エロス。スリル。サスペンス。冒険など。

○知的刺激

 衒学的な小説――事件の解決に精緻な知識を利用しているような小説のこと
です。「薔薇の名前」東京創元社(ウンベルト・エーコ)のような。ぼくは批
評の方法が知りたくて筒井康隆の「文学部唯野教授」(岩波書店)を買ったこ
とがあります。

○主人公が好き

 探偵小説などの場合、その主人公が好きになって読み続けることがあります。

○そのジャンルが好き

 好みのジャンルというのはありますね。恋愛小説。冒険小説。ミステリー。
推理小説。時代小説。ハードボイルド……

○描いている舞台、世界が好き

 海洋、山岳、航空などの舞台。スパイ、戦争、企業――などの世界。

 魅力的な人物を作ることができたら、日常を離れた舞台を作ることができた
ら……これらのなかのひとつでもあればおもしろいと言っていいんじゃないで
しょうか。
     ----------------------------
     ■読者の知らない世界を書こう
     ----------------------------
 小説で当たり前のことが書かれていたらどうでしょうか。おもしろくないで
すよね。どこかで読んだようなことが書かれていると新鮮味がないのです。そ
のジャンルの類型的な他の作品のなかに紛れ込んでしまいます。

 どうすればグッとひきつける、読者の心を掴むものが書けるでしょうか。
 そのためには、他の作品と違う自分独自の設定をこしらえることです。

○他の作品とは違う世界を描く。
○他の作品とは違う個性的な人物を持ってくる。
○他の作品とは違う時代を描いてみる。

 これらは小説を作るための方法論です。
 普通の人が知らない特殊な業界、特殊な仕事を知っている人はそれらを描く
のに有利です。でも、自分は他の人とは違うことも体験していないし、話すべ
きものを持っていない、というひともおられるとおもいます。人と違う設定な
んて考えつかないし、人物も造型できる自信がないと――
 それでもだいじょうぶなんです。あなた独自の小説が書ける方法があります。
 それは「読者が知らない世界」を描くことです。
 これはSFとか異次元の世界を描けということではありませんよ。読者が知
らない世界とは「あなたの世界」です。

 こういう言葉を知っていますか?
「私はドゴール大統領より偉い。マキシムの料理長より偉い。作家のアーサー
・ケストラーより偉い。なぜなら、ドゴール大統領より料理がうまく、マキシ
ムの料理長よりはたくさん旅行し、ケストラーよりはテニスがうまいのだから」
       ――ジョージ・マイクスの言葉です。

 ひとは誰でも自分自身の専門家なのです。あなたの世界はあなたしか知りま
せん。
 外国を知らない。だいじょうぶです。
 大学教授じゃない。だいじょうぶです。
 医者でもなければ外交官でもない。だいじょうぶです。

 あなたしか知らないものがあるはずです。工場労働者ならその仕事と現場に
はいちばん詳しいはずです。主婦なら誰よりも主婦という仕事について知って
いるはずです。学生なら学校のこと、クラスメートの気持ちがいちばんわかる
でしょう? セールスマンならその業界に、公務員ならその仕事にいちばん詳
しい。誰でもが自分自身と、自分を取り巻く世界の専門家なのです。
 そこではあなたを取り巻く現実に対してのあなたなりの視点と捉え方がある
はずです。
 その感性が大事なのです。それをモチーフにして、現実を想像力で変形させ、
現実をこえる小説世界を作り上げましょう。

 もちろん自分の日常体験している現実から離れた小説を書きたい、という希
望を持っている人もいるとおもいます。探偵小説を書きたい、ファンタジーを
書きたい、ホラーを書きたい――というような。
 ただ、そういうものを書くときにどうされてます?
 資料を調べ、集め、調査し、すでにそのジャンルで書かれた小説を読んで、
研究し、書き始める。
 でもその作品が、以前書かれ設定されたものをなぞるだけのものになってし
まえば読者にとっておもしろくないですよね。同じようなものを書いてしまっ
てはおもしろくない。どうすればいいんでしょうか。

 そういうときは、日常の専門家である自分の目で作品を見直してみるべきな
んです。自分が日常感じていることがその作品で生かされているか、現実と対
比してみる。作者が現実に対して感じている矛盾や違和感が小説世界に反映さ
れているか問いかけてみる。
 小説の舞台は架空であったり、設定は拵えられたものであっても、どこかで
現実とつながっていないとリアリティがなくておもしろくない。
 新しい視点や発見をあるだろうか、そう問いかけてみる。こうして検証し、
何度も自問することによって、それまでの拵えた設定がリアリティを持つもの
へと変化していきます。
 そのことによって、他の作者の小説とはちがう切り口を持つ作品ができあが
るとおもうのです。
 
-----------------------------------------------------------------------
 掲示板に「読者像」について書き込んでくださったかた、ありがとうござい
ました。
 そしてTAKAさんからも「読者像」のメールをいただきました。どうもありが
とう。紹介します。
-----------------------------------------------------------------------
本格ミステリーの読者に限定
(僕の独断と偏見に満ちた考えです)

●名探偵願望のある、年齢は10代後半から50代前半までの、わりと幅広い層。
 職業は主婦から公務員、また、それとは逆に組織に属することを嫌う。
●常に新しいモノを求める。
●基本的に考えるという事が好きで、それを苦にしない。
●知識欲が旺盛である。
●創造的で芸術的なモノを好むが、それが世間に認められている、いないには
 まったく関係はない。
●夢想家でありながら、物事を論理的に考える。 
●人間関係や恋愛にまったく興味が無いわけではないが、それよりも犯罪その
 モノとそれを実行した人物に興味がある。
●自分の生き方や考え方には自信があるが、それを越えるモノや、感銘を受け
 たモノと出会った時には、すぐに取り入れる柔軟性ももっている。
●勝負は好きだがギャンブルよりもディベートを好む。
●何事も、表面上よりも、その隠された裏を知りたがる。
●それほど行動的ではない。
●一人が好き、と言っても孤独は嫌い。
●読むのは本格ミステリー一辺倒になりやすいが、逆にそれを深く突き詰める。
  (マニアになりやすい)
●ホラーも好き。
●ダークな雰囲気を好む。

 こんな感じでしようかね。
-----------------------------------------------------------------------
 小説の何をおもしろいとおもうのかは人それぞれかもしれません。それでも
基本的な線引きはあるようにおもいます。
 次回は「書くためのチェックリスト」をお送りします。では、また。
◆◆まとめ◆◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
読者にとっての「おもしろい」を考えてみる。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
     ■編集雑記
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
○「私はひとりのひとに読んでもらうために書いている」それもOKです。む
しろそれがほんとうに基本なんでしょうね。
○最近、飲み会が多くってずっとお酒を飲みっぱなしになっています。うん、
よくないですね。お酒を飲むと根気が続かないから。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
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 00年6月21日                      〈毎週水・土曜日発行〉
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
              ☆小説の作り方!14号☆
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
何を書くにしても、真っ白な紙に書き始めるわけですから、そういう点では誰
もが全く何もないところからスタートするのです。
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/      マーク・ストランド
        「小説家・ライターになれる人、なれない人」同文書院から
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
      ■小説を書く前のチェックリスト・前編■
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 こんにちは。この2日間、かんかん照りです。もう夏が来たのかとおもって
しまう。暑いのは苦手だな。夏の太陽がぎらっと輝いているのはいいんだけど
ね、木陰とかあると。
 
 お知らせです。
 14号15号16号は「チェックリスト」の項目なんですが、大体同じことを言っ
ているため、この3号分を前編と後編に分けます。
 早く具体的な「構成する」項目へいきたいし、役に立つのではないかとおも
うようなことを書きたい。
 これからも進行表を変更することがあるかもしれませんがよろしくお願いし
ます。最初に計画を立てた項目に付け加えたいことや、もっと詳しくやりたい
ことが出てくるとおもうんです。
 今日は「書くためのチェックリスト」を作ります。
   ----------------------------------------------------------
   ■いよいよ「書く」ということの具体的な段階に入っていきます
   ----------------------------------------------------------
 構成するというのはもう書き始める前の段階です。そこに行くまでのことを
今回はやります。9号の「書く過程」をもとにチェックリストを作りたい。で
すから、今までのまとめですね。
 チェックリストは次号に載せる予定です。
     ----------
          ■問題意識
     ----------
 4号で「創作の動機」を挙げましたが、それだけでは創作する動機にならな
いでしょう。創作の最大の動機は現実の生活では飽き足らないという想いなん
です。
 小説を書くには問題意識がないとだめです。自分のなかに問題意識があるか
どうか、問うこと。
 簡単にいうと問題意識とは「なぜこうじゃないの」という社会に対する疑問
や違和感です。また「こうであったらいいのに」という願いや希望。社会の矛
盾への怒りです。
 これがないと、小説が単なるお話になってしまって、感動的なドラマになら
ない。
     ----------------------------------------------
     ■小説を読むということと、書くということの違い
     ----------------------------------------------
 まず最初に確認しなければならないのは、読むということと書くということ
の違いです。
 書くということは、作家であるということです。作家としての自分を作り上
げることです。
 読者であったときのように、本を読んで「おもしろい、おもしろくない」と
言っていた意識とは違うものを持たなければなりません。
 今度は提供する側にまわるのです。読者の批評――おもしろいか、おもしろ
くないか――にさらされるわけです。読者にとっておもしろいものを作らなけ
ればならない。これはたいへんなことです。
 そのために読者を意識しようということを言いました。
 ねっ、はっきりしたでしょう。10号の「他の小説を読むときには」で、なぜ、
楽しんではいけない、と言ったか。
 はらはら、どきどき、スリルとサスペンスのあるドラマを作らねばならず、
なおかつテーマを深く感じさせる話を作らねばならないのです。
 そのために構成と他の人が描いたことのないエピソードをもってこなければ
ならないのです。悪い言葉でいうと読者を罠にはめなければならない。
 伏線の作り方も大事だし、エピソードそのものがリアリティがあり魅力的で
なければならない。
 優れた読書家や批評家が優れた作品を作れるわけではないわけです。鋭い批
評をする人が意外と作品を書けないのは知っていますよね。
     ------------------------------
     ■何もしないで作家にはなれない
     ------------------------------
 作家は、無から有を生み出さないといけない。これは言葉を使ってするきわ
めて知的な生産行為です。
 これがテレビを作ったり、自動車を作ったりと違うのは作者の価値観や思想
が作品に反映されるからです。社会や現実に対する新しい見方や、新しい角度
からの発見。それが読者の評価にさらされることになる。
 いわれたとおりに体を動かしていれば完成するという、ルーチィンな作業で
はないわけです。
 机の前に座ってすぐ書けるのは天才だけでしょう。普段何もしないですぐ創
作にとりかかれるということはないから難しいです。
 どうすればいいんでしょうか。
 どんな作家でも普段からネタを集め、書ける準備をしています。
 ぼくらもそれをやらないと小説を書けないんです。
     --------------
     ■カード化する
     --------------
 9号の「どうすればモチーフを生み出せるか」で書いたことを実行してくだ
さいね。
 どんどんネタを増やしていってください。
 そしてカード化するんです。カードを買ってきて普段からアイディアをスト
ックしておくんです。そして時々見て新しく思いついたことがあれば書き加え
ていく。もちろんパソコンに入力してもいい。
 それを前にして考える、そういう時間を作る。
 それによって創作のきっかけ、ヒントが生まれるはずです。
 モチーフが増えてくれば小説を書くという段階により近づくはずです。
 ノートでもいいからネタ帳を作っておくこと。そういう毎日の努力が小説を
書ける状態を作り出すのです。
     --------------------------
     ■モチーフを見つけだしたら
     --------------------------
 その状況に置かれた人物になりきる。想像してください。自分ならどう行動
するか? その人物の置かれた周りの状況を考え、その中で生きている人物に
なりきります。
 それがドラマ作りの始まりなのです。
 3号の「小説の定義」のところで言ったように、小説というのはある環境、
状況のなかで人物がどう行動するかを描くことです。
 ですから小説は二つの要素でできています。とりまく環境と主人公です。
 小説を書くにはこの状況――主人公をとりまく環境――を細部に至るまで想
像し拵え、設定しておくことが必要です。
 その世界のなかで主人公になりかわったあなたが行動するわけです。
 よく登場人物は作者の分身と言われます。
 作者と主人公はどこか似ています。
 しばしば主人公は作者の持っている思想や感性の代弁者であったりします。
 でもね、それだけではいけないんです。
 作者は主人公という「他人」を演じなければならないんです。
     ----------------
     ■現実の世界では
     ----------------
 ぼくらは現実生活で統一のとれた自己なんでしょうか。
 いえ、そうではないでしょう。
 ぼくらは毎日演技しているはずです。学生なら、学校では生徒として、家に
帰れば両親の子どもとして。あるひとにとっては、会社ではサラリーマンとし
て、家では父親として――そして、友だちの前では友だちを演じ、恋人には恋
人となる――そうです、自分のなかで意識しないで自己を使い分けているんで
すね。それは役割意識ともいいます。
 心理学ではそういう表面に現れた自己をペルソナといいます。
 そして日々の問題に対して解答を選択しながら生きている――サルトルがい
う実存として生きています。
 ですから「人生はドラマだ。あなたはその舞台に立つ役者だ」といわれるの
でしょう。

 小説作りでは、主人公になりかわったあなたが主人公を演じ、ドラマを作っ
ていくのです。
     ----------------
     ■小説世界の設定
     ----------------
 小説世界を想像し設定しましょう。
 時代、時はいつか? 地理的、自然的環境は? どんな人間関係や社会的構
造に囲まれているか?

 それは主人公の造型とともに同時進行の形で作り出されていきます。
 なぜなら、小説は、テーマを背負った人物の行動によって貫かれるから、周
りの環境はテーマを反映するものになるのです。
 テーマが一直線に貫徹できる無駄のない環境が必要です。
 そして、それはイコール現実ではないのです。
 小説世界は想像の産物です。主人公の行動によって並び替えられたエピソー
ドの記述。テーマが貫く想像の世界です。
 それは現実をそのまま書き写したものではありません。作者がなりかわった
主人公の思想、見方によって並び替えられた現実らしきもの、です。
 しかし、現実を根拠としている。
 現実を離れた話であるファンタジーやSFも、現実のリアリティを含んでい
るものです。
     ------------
     ■テーマとは
     ------------
 ぼくらが小説を読んで「この小説のテーマは」と言うときのテーマとは、読
者によって読みとられたテーマです。だから「テーマがおもしろくない」とか
いう言い方も成り立つんですが……
 では、作者としての「テーマ」とはどういうものでしょうか?

 テーマは具体的なものです。
 主人公が行動する要因になるもの。主人公が「こうしたい」というもの。
 つまり作者にとってテーマとは「主人公の行動の目標」で表されるものです。
 簡単にいうと、主人公の「行動の目的」です。
 その世界のなかで、「主人公は何をするのか?」「最終的に求めているのは
何か?」「どうなれば気が済むのか?」ということです。
 そして、その目標は小説世界を貫き、最後までドラマを引っ張っていきます。
     ------------
     ■ドラマとは
     ------------
 ドラマとは小説世界において、主人公が周りの世界に働きかけることだとい
えます。
 それに対して周りの環境も応えてくる。
 それが葛藤を生み出すのです。
 ここで、3号の「小説は主人公の成長の物語」を思い出してください。
 ぼくらが現実で生きていくのと同じように、小説世界でも、主人公が生きる
ことは一筋縄では行かないのです。
     ----------------
     ■小説作りとは?
     ----------------
○小説づくりとは、主人公の周りの環境を想像し作り出すこと。
 主人公を作り、その行動の目標を決めること。

○小説とは、作者が主人公になって、小説世界を現実として、そこでどう行動
するかを考えていくこと。

 それを小説世界でやったらいいんです。主人公はあなたの分身でもあるから
設定された小説世界でどう生きたらいいのか考える。主人公になりきって考え
る。

 ここでドラマを作るためにどうしても必要なことがあります。
 主人公に試練を、困難を与えることです。
 作家はその世界と主人公を作った神です。
 ですから試練を与える。
 主人公の行動を冷静に突き放してみる。
「これでいいのか?」「それで満足なのか?」と問いかける。主人公が為した
い目標を簡単に解決してはいけない。次々と困難な状況に追い込み、解答を迫
る。課題を与える。
 そうしなければあなたの作り出した主人公は怠け者になってしまうでしょう。
 甘えん坊になってしまう。
 そうでなければ、成し遂げられないような目標を背負って立ち、果敢に挑戦
し、苦しみを乗り越える主人公は創造できないからです。

 なぜ、そんなことをするんだ、ですって?
 おもしろい感動的なドラマを作るためです。
 読者は甘えん坊の怠け者の主人公といっしょにドラマを追体験したいとおも
わないからです。
 読者は日常を越える物語、ドラマを求めているからです。
 エゴイズムを越えて他人を愛し、世の中の矛盾を撃つ主人公を作るためです。
 それで作者は神になって主人公を鍛えているわけです。
 そうでなければ読者にって「おもしろい」小説は生まれないでしょう。

-----------------------------------------------------------------------
 今回はここまでです。やったことは、小説作りの過程を簡単に確認すること
です。これで小説作りに入っていく玄関のところまで来ました。
 次回は、書くためのチェックリストを作るのと、ストーリー作りの練習をお
送りしたいとおもいます。
 それ以降は詳しく構成やプロットとのことを考えたいとおもいます。

◆◆まとめ◆◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
作者は神になって主人公を鍛える。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
     ■編集雑記
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 まったく暑いです。これで夏になったらどうなるんでしょう。またまた暑い
夏がやってくるのか、って感じですね。
 昨夜は焼酎を飲んでインターネットをしているうちに寝てしまいました。オ
ンラインで読むことができる小説をダウンロードしていたんですが――テレビ
で「モブスターズ」を見ながら。この映画を観るのは2度目なんですが……あ
まりおもしろいともいえない。C・スレイターは「ツルーロマンス」からのフ
ァンです。日曜日深夜は「2000F1カナダGP」を見ました。雨ですごかった
ですね。いえ、やはりスピードとメカの魅力があります。今までは興味もなか
ったんです。よく考えればみんな若くはない。それでも危険に挑むヒロイック
な魅力が……
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誰かがまた書き込む。そうしてなんとなく知り合いになれたらいいなとおもい
ます。
 そうだなあ。メルマガの感想や意見。読んだ本のこと。小説について想うこ
と。おれはこうやっているぜ、ということ。みんなに発信したい何か。ひとり
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い。のんびり、ゆったり、ぼちぼちと、やりましょう。
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 00年6月24日                      〈毎週水・土曜日発行〉
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
              ☆小説の作り方!15号☆
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
熟考するための時間をとりなさい。しかし、行動を起こすときが来たら、考え
るのをやめて行動を起こすのです。
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/     アンドリュー・ジャクソン
        「小説家・ライターになれる人、なれない人」同文書院から
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
       ■小説を書く前のチェックリスト・後編■
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 こんにちは。
 相変わらずの日常です。このメルマガは初心者対象です。でも、小説を書か
れているひとも読んでくれているらしい。ぼくは頭のなかにあるものを整理す
るつもりで書いているので、それが少しでも役に立っているなら、こんなうれ
しいことはありません。
 前号で言ったように、小説の二つの柱は、主人公と、彼をとりまく環境です。
 今回はそれらをチェックするリストを作ってみます。
------------------------------------------------------------------
 このチェックリストを作るために参考にさせていただいた本があります。
「シナリオ創作演習 十二講」映人社(川邉一外著)です。ありがとうござい
ました。この本はシナリオを書くかたにはとても参考になるとおもいます。

 これらのチェックリストは、すでに決まったことを書き写すためにあるので
はなくて、ひとつひとつ項目を埋めていくことによってストーリーに発展させ
るためにあります。ですから一回書き込めばお終いというのでなくて、何回も
見直して反復して書き加えてください。それでイメージを固めていくのです。
そうして小説を書き出せるようイメージを確定していってください。

1 まず、主人公と、とりまく環境を作ります。

2 そして主人公がどう行動するか、その最終的に目指すものを作ります。テ
ーマ(行動の目標、目的)です。

3 そしてテーマがいちばんよく表れる部分(この小説のウリです)――クラ
イマックスをイメージし、作ります。

4 そのクライマックスを迎えるためには、どういう発端がいいのか考えます。
主人公がこの小説を貫くテーマ(目標)を決意するところです。また主要登場
人物が紹介されなければなりません。

5 主人公の第一の行動(働きかけ)によって生まれる事件の展開をイメージ
します。最初の山場です。その小事件といわれるものにも起承転結があります。

6 最初の山場を越えて主人公の目的(テーマ)への道程はますます困難にな
ります。周囲との葛藤、対立、矛盾が深まります。
 そこで主人公はそれを解決するために第二の行動をとります。二つ目の小事
件です。これも(目標達成には)失敗に終わります。これにも起承転結があり
ます。第二の山場です。

7 5,6の展開部は作者の構成に従って何個であろうと構いませんが、テー
マの深まりにあわせてください。この社会に対するテーマの意味を強めていっ
てください。それによって何個の山場が必要なのか、出てくるとおもいます。
 普通は2〜5個ぐらいです。
 展開部は主人公の葛藤、迷いが深まる部分です。これをしっかり考えないと
クライマックスが感動的なものになりません。形だけのクライマックスになっ
てしまいます。感動が薄い、すかすかな構成になります。
 どうすればいいのでしょうか?
 それは、主人公の行動(テーマ)が引き起こす、社会への反応――意味――
を充分考えることです。周囲がどういう反応を返してくるか。それによって既
成の概念(常識)が壊され対立関係がむき出しになります。人間関係の対立、
組織的な対立、それがむき出しになります。白日の下に晒されます。
 それは新たな小事件を生む契機になります。主人公の行動に従って小事件は
連続して起こり、何度も危機的状況を迎えます。そういう山場を乗り越え、主
人公は心理的に強くなっていきます。
 そしてこれ以上の対立関係はない、というところまで行きます。
 その蓄積された矛盾、対立を解決するために、主人公は思い切った行動をと
らざるを得ないのです。それがクライマックスです。
 最後の命がけの行動。最終的な、葛藤の解決の仕方。それは心理的な爆発で
す。どういう結末を迎えようと、もう主人公はそれを引き受ける覚悟ができて
います。

 ですから、小説の展開というのは、極めて心理的展開なのです。
 クライマックスでは心理的カタルシスが起こる。読者の心にもそれを呼び起
こす、考え抜かれた展開、構成がなされなければなりません。

8 クライマックスでカタルシスを味わった読者にとって事件がどう解決した
かは付け足しでしかありません。余韻を持って終わるようにしてください。
 だらだらと長いエピローグは必要ではありません。簡潔に印象深く終わるよ
うにしましょう。

 以上が小説の構成の流れです。
 では、チェックリストを書きます。
 このチェックリストにあなた独自のものを付け加え、使いやすいように改変
してください。自分にあった完全なものを作ってください。
 そして、それぞれの問いに答え、文章化していってください。そうすること
でイメージは明確になります。書かれたものを読んでください。あまりに簡単
に書かれていてイメージが浮かばないようではだめです。まだまだ付け加えて
ください。頭のなかにはっきりとその像が浮かぶまで書き込んでいきます。
 書き加えていくなかで、その場面、そのシーンが浮かびます。それは映画の
ように映像的です。それも問いへの解答として書き加えていってください。
 最終的には構成上の重要なシーンが、動かしがたい明確なイメージとしてあ
なたの頭にインプットされるはずです。

 このチェックリストはまだ構成表、プロットではありません。それらを作る
元になるものです。
 ですから、完全なものを作ろうとせずに自由に書いてください。なによりも
発想を定着することが大事です。遊びながら、堅苦しく考えず、いろんな場面
を想像しながら書いてください。

-----------------------------------------------------------------------
     ■主人公のチェックリスト
     ------------------------
○名前
○肉体的特徴(身長。体重。体型。年齢など)
○住所
○職業(職場の人間関係。職歴など)
○容貌、容姿(顔。肌色。あざ。手の形。着こなしなど)
○性格(声の質。話し方。仕草など)
○教育(学歴など)
○生活信条(宗教、生活哲学など)
○生育歴(出生時の環境。幼少時の環境。成人時の環境など)
○現在の環境(未婚。既婚。恋人。兄弟。姉妹などとの関係)
○両親(資産など)
○友人
○性の体験
○特殊技能、趣味、嗜好
○子ども、金銭、愛情、死、酒や理想に対する態度
--------------------------------------------------------------
 上記のものを具体的に考え、主人公のイメージを作り出します。そして、

●そのドラマで主人公を抑圧してくるものは何か? 対立してくるものは?
●主人公はそれに対してどうしようとしているか?
●味方はいるのか?
●主人公は最終的にどうなったら納得するのか?

 を、考えます。
     ----------------------
     ■環境のチェックリスト
     ----------------------
○時代(歴史など)
○地理的、自然的条件(国、場所の環境など)
○社会、経済、文化的条件(組織、企業、イデオロギーなど)
-----------------------------------------------------------------
 主人公をとりまく環境を考えます。主人公が行動をなすところです。現実社
会を反映しています。あなたが知っている場所、知りたいとおもう場所が、イ
メージを作るのには楽でしょう。
 あまりにも何も知らない場所、環境を考えようとすると、その設定を行うこ
とだけが小説作りの目的のようになってしまいます。ゼロから作り出すのはし
んどいことでもあるけれど、想像を自由に羽ばたかせることができるので楽し
くて、設定作りにかまけることになります。設定作りの快楽の罠に陥ってしま
うのです。
 模倣を恐れることはないので、他の小説の舞台を参考にしてください。それ
を自分なりに解釈して改変してください。芸術は模倣です。いつも人間は模倣
し、新しい発見を見いだしてきました。設定作りは自信を持って模倣してくだ
さい。そして、

●主人公を抑圧するのはその環境のどういう要素か?
●主人公に敵対するのは誰か?
●主人公に協力するのは誰か?
●その他の人たちは何をしているのか?
●この設定を作ることで言いたいことは何か?

 を、考えます。
-----------------------------------------------------------------

☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆
 では、構成を考えるチェックリストに入ります。

     --------------------------------
     ■クライマックスのチェックリスト
     --------------------------------
●そのクライマックスにいる人たちは? 何をしているのか?
●そのクライマックスでは、主人公は何とどのように対立するのか?
●そのクライマックスでは、主人公は誰とどのように対立するのか?
●そのクライマックスのイメージはどのようか? ウリは? 見せ場は?
●そのクライマックスを映像的に捉えることができるか?
●そのクライマックスはどのように高まっていくか?
●そのクライマックスのきっかけになるのはどういうエピソードか?
●そのクライマックスでの会話はどのようか?
●最後はどうなるか?
●このクライマックスを作ることで何を言いたいのか?
-----------------------------------------------------------------------
 クライマックスは小説の心臓部なのでとても重要です。充分考えてください。
このチェックリストが埋まらないようだと小説は書けません。
 自分の書き込んだ文章を読んでシーンが浮かんでこないようだとだめです。
続けて考え、書き加えてください。
 クライマックスは心理の爆発、カタルシスなのですから、なによりも主人公
の心理と、敵対するものの心理との対決でなければなりません。
 それを映像で表現できるほどに書き加えてください。
 読者に作者の思いが伝わるかが――ここで試されます。

☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆
     ----------------------------------
     ■ファーストシーンのチェックリスト
     ----------------------------------
●どんな場所から始めたら効果的か?
●そこで主人公はどのような事件に巻き込まれるか?
●そこで主人公はどのような目標を持つのか?
●その事件が起こったとき、最初、主人公はどう行動するのか?
●そこで主人公はどのように決意するのか?
●そこで主人公はその決意をどのように周りに伝えるか?

-----------------------------------------------------------------
 ファーストシーンはあっさりとしています。そこでは事件が起こり、主人公
が小説を貫徹する行動目標を持つということが狙いです。
 行動目標はクライマックスをイメージするときに考えてあります。
 ですからファーストシーンは次の展開部に入る導入部になればいいのです。
 簡潔な描写と、主人公とその他の登場人物の紹介がなされれば充分です。
 主人公の生き方を否定する抑圧の要素の提出が最大のポイントです。なにが
主人公に敵対してくるのか、それを具体的にイメージしてください。組織、人
間、周りの環境が主人公を抑圧しようとしている――
 その部分が書かれると、主人公が何をしようとしているのか、説明しなくて
も読者にはわかるはずです。

☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆
     --------------------------
     ■展開部1のチェックリスト
     --------------------------
●主人公はまずどのような行動を開始するのか?
●主人公に敵対してくるものは何か?
●主人公はそれに対してどのように行動するのか?
●第一の危機、山場になるのはどういうことか?
●主人公はそれをどのようなやり方で解決しようとし、けっきょくどうなるか?

------------------------------------------------------------------
 事件の解決のためにまず主人公は行動を始めます。まだ暗中模索の状態です。
謎が提出されたのですから、それの解決の手段を探しに行くわけです。主人公
は周囲に働きかけますが、うまくいかない。環境に裏切られるのです。
 これは主人公の空間的移動に限りません。心理的移動ということです。なん
とか解決したいという願いですね。それが周りからは理解されない。
 この第一の展開部では目標が達成できることはない。主人公は途方に暮れる。
 そこで主人公は次の行動を考えざるを得ない。
 何らかの変化は、主人公が行動を開始したことによって、周りからの抑圧と
して表れる。それに突き動かされて、主人公は第二の行動をとらざるを得なく
なっていきます。

☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆
     --------------------------
     ■展開部2のチェックリスト
     --------------------------
●主人公の二番目に着手した行動はどういうものか?
●その主人公の行動を促したきっかけはどういうものか?
●主人公に敵対してくるのは誰か?
●この展開部2の山場はどんなものか?
●けっきょく主人公はどうなるのか?

☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆
     --------------------------
     ■展開部3のチェックリスト
     --------------------------
●主人公の三番目に着手した行動はどういうものか?
●その主人公の行動を促したきっかけはどういうものか?
●主人公に敵対してくるのは誰か?
●この展開部3の山場はどんなものか?
●けっきょく主人公はどうなるのか?

-----------------------------------------------------------------
 展開部では小事件が起こり、主人公は危機を乗り越えて前進していきます。
 この小事件はテーマの深まりによって起こされるので、その数は一定ではあ
りません。そのたびに展開部4、展開部5と作っていってください。
 小事件は起承転結の流れで起こり、小さなクライマックスをくり返していき
ます。そのたびに主人公の葛藤は深まり、周囲との対立関係も深まります。混
迷の度を深めていくのです。
 小事件はさまざまなエピソードで成り立っています。
 そのエピソードは伏線となって事件を引っ張っていきます。

 そして、展開部からクライマックスへと――
☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆
     --------------------------------------------
     ■展開部からクライマックスへのチェックリスト
     --------------------------------------------
●そのクライマックスはどのように始まるか?
●そのクライマックスはどのように展開するか?
●そのクライマックスはどのように決着するか?

-------------------------------------------------------------------
 クライマックスとファーストシーンは一つしかありませんが、展開部はいく
つもできます。ファーストシーンから始まった主人公の目標達成への行動は、
周りからの抑圧と妨害のために困難を増し、何度もそれを乗り越えながら、矛
盾は決定的に深まっていきます。そしてその矛盾が最終的に解決される部分が
クライマックスなのです。

☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆
     ------------------------------------------------
     ■クライマックスからエピローグへのチェックリスト
     ------------------------------------------------
●ここでは、誰が何をやるのか?
●ラストシーンのイメージは?

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 エピローグに関してはほとんど無くてもいいぐらいです。
 ラストシーンが読者の印象に残り、余韻を感じさせればいいのです。ああ、
事件が終わって新しい生き方が始まるんだなあ、ということが読者に印象づけ
られたらいいのです。主人公は強くたくましくなっているはずです。そして、
ひとを愛することのすばらしさが心に残ればいいんです。

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 これらのチェックリストは頭のなかに浮かんだイメージを明確にするために
あります。それをもっと増幅し、膨らみを持たせるためにあります。
 ひとつひとつの質問によってチェックできるというのが利点です。自分なり
のチェックリストを拵え活用してください。

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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
        ----------------------------
        ■自己点検のチェックリスト■
        ----------------------------
 これは上記のチェックリストと違い全体を視野に入れた自己点検のためのチ
ェックリストです。考える糸口になればいいとおもって拵えました。
------------------------------------------------------------------
【構成について】
 シチュエーションがわかりやすいか。状況や対立関係などがわかりやすいか。
 謎とサスペンスが早い段階ででているか。
 心理描写洛i描写s動描写召要約の配分は適当か?
 プロットにおいて、葛藤や不安が深まっていったか。読者にとって意味があ
ったか。
 冗漫ではないか。読者はBリズムがあり、テンポよ
く展開されているか。
 削ってもいいような必要でない部分はないか。
 読者に先を読ませるような魅力的なものになっているか。
 クライマックスは、よかったか。盛り上がったか。
 ストーリーに十分な面白味があり、直線的ではなく、二つ以上の事件や出来
事が絡み合っているか。 


【登場人物について】
 登場人物たちは、葛藤を持ち、対立したグループに分けられるか。
 それぞれの人物はプロットにおいて、その役割を果たしているか。
 脇役はちゃんと役目を果たしているか。
 それぞれの人物のキャラクターは際だっているか。
 主人公は人間味があり、読者の共感を得ることができる人物か。
 それぞれの人物は、読者にとって興味深いキャラクターか。
 人物のリアリティはあるか。
 単純なキャラクターを作ってないか。重層的な性格に設定されているか。
 プロットにおいて、主人公は成長したか。
 ユーモアとウエットがあるか。


【テーマについて】
 葛藤のキーワードは一言でいえるか。
 タイトルはテーマに対してあっているか。
 葛藤の発展過程が読者にとって明確か。
 テーマは読者を引きつけるものか。
 新しい価値観を提起したか。常識的ではないか。冒険をしているか。
 読者に、深い意味を感じさせることができたか。
 エピソードは、プロットをつくるのに役に立っているか?
 人物の行動は、プロットをつくるのに役に立っているか?
 事件に矛盾はないか。必然性があるか。
 テーマに共感性とオリジナリティがあり、読者を引き込むだけの魅力がある
か。
 その事件を語ることは、読者に楽しみをもたらしたか。

【描写について】
 人物描写は鮮やかにできているか。
 心理描写は心の襞をちゃんと表わせたか。
 風景描写は際だっているか。
 顔の表情が際だっているか。
 細部が描かれてるか。背景は書きこまれているか。
 臨場感があるか。
 天候、匂い、時間、気分が描写されているか。
 人物が生き生きとしている会話か。作者の都合で会話させていないか。
 

【視点について】
 視点はちゃんと保たれているか。


【文体、表現について】
 文体は読者に受け入れられているか。
 ひとりよがりの表現ではないか。
 読者が理解できない表現をしてないか。
 文章は読みやすいか。
 
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 今回は偉そうな喋り方で、チェックリストを作ってしまいました。こういう
ように大上段に構えると反発されるかたもいるでしょう。こういう方法もある
ということでご理解ください。あなたなりのチェックリストを作ってください。
 今回「ストーリー作りの練習方法」を載せるつもりだったのですが、長くな
ったので18号からの「発想、アイディアを得る」あたりに載せたいとおもいま
す。
 構成を考え、人物を想像し作り出すのは楽しいことだとおもいます。
 そういう快楽がなければ小説作りなんて苦労なだけです。今、書きあぐねて
いるかた、だいじょうぶです。細かくチェックすることによってイメージが明
確になっていきます。イメージがはっきりしてくれば構成することは容易くな
ります。
 
 次回から「構成」を考えていきます。
 16号は「人間の葛藤、対立がドラマを生む」というテーマでお送りします。
 では、蒸し暑い梅雨を乗りきりましょう。また。
 
◆◆まとめ◆◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ひとつひとつのイメージをチェックして明確にしよう。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
     ■編集雑記
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 蒸し暑いですね。(毎回同じことを言っている(*^^*) )
 タイへ行くのは8月のお盆前になりそうです。格安航空券なのでキャンセル
がないと行けません。最初は3週間ほどを予定していたのですが、メルマガも
発行していることですから10日ほどにしました。また何回も行けばいい。
 前にお知らせしたジャズヴォーカリストのCHIEさんが、今度は京都でライブ
活動を行います。お近くのかた、行ってあげてください。暑い夜に涼しいジャ
ズ、いいものですよ。
☆日時    6月27日(火曜日)
 場所    京都 CANDY(075-531-2148)ナラフジビル4F四条南座東側通
 時間    8PM〜  チャージ1800円
      〔ピアノ・安井さち子 ベース・石田健司 ドラムス・今井康子
       テナーサックス・中塚征彦  ボーカル・CHIE (*^^*)  〕
☆この6月下旬に彼女のメールマガジンもスタートします。
 「JAM」WEEKRYまぐまぐの「新規メールマガジン」に掲載されたら購読を
お願いしますね。まぐまぐID:0000038429です。
 
 なにかにひたむきに情熱を傾けている姿はいいものです。
 幸せな気分になれます。では、また。
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 ふとしたとき、気軽に書き込んでください。落書き感覚でいいです。ここで、
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            ☆                          ☆            
   SAO  ヾ(^^ )
   今年のテーマは「いつも上機嫌で元気にやろう!」
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