00年8月12日                      〈毎週水・土曜日発行〉
─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─
          ☆小説の作り方!26号★彡 
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:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:**:*:*:

知っているだけでは充分ではないのです。
決心するだけでも充分ではないのです。
実際に行動を起こさなければならないのです。
                  ゲーテ

      【小説家・ライターになれる人、なれない人(同文書院)から】

:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:**:*:*:

 こんにちは。
「ストーリーとは何か、の3」です。

 作品世界はどうして成立するのだろう?
 そんな疑問に答えてみます。

   ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
          ■ストーリーとは何か、の3 ■          
  
    ────────────────────────────
       目次 ・小説世界の論理性
          ・ところでテーマをどう捉えてますか?
          ・こういう考え方もありです
          ・じゃあ、ストーリー作りにおいてどうする?
          ・エピソードの串刺しを考える
          ・エピソードがエピソードを呼ぶ

   ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
            ――――――――
            小説世界の論理性
            ――――――――
 というのがあるんです。
 小説世界は論理性、必然性を持っていなければなりません。
 その作品の世界では「こうだったら、当然、こうなる」という論理が貫いて
いるわけなんです。論理的でない、読者が納得できない飛躍はだめです。

 たとえばどう言えばいいんだろうか。
 時刻表ミステリーってありますよね。それは列車が時刻表の通りに運行する
というのを前提として持ってきているわけですね。だからアリバイとか犯行時
間がそれで成立するかというサスペンスが生まれる、その前提が崩れたらだめ
ですよね。殺しに行くのにロケットを持ってこれない。そういう現実を描こう
としているんだから。
(あんまりいい例ではなかったですね(^_^; すみません、考えつかなかったも
ので)

 まず、最初に作者が「こういう世界だよ」って設定した前提がある。それを
守らないと読者が不信感を持ってしまう。それじゃ読んでくれないですよね。

 作者の都合で登場人物を急に殺したり、事故に遭わせたり、そんなプロット
の飛躍はだめです。ご都合主義はだめということ。

 偶然というのは一番やってはいけないことなんです、小説では。
 たまたまこうなってしまった、というのは現実の社会ではあるかもしれない
けど、小説世界では無いです。
 小説世界はテーマによって構成し直された現実なんです。
 だから、物事が偶然に展開することなんかありえない。


 飛躍する展開になったときでも、作者はちゃんと説明できなくてはならない。
(これは、小説のなかでやれというのじゃないですよ)作者の頭のなかで論理
的に説明できてなくちゃならない。


 小説の部品はほとんどが描写と会話です。行動描写。心理描写。風景描写。
 描写だけ、会話だけでも小説は成立するんです。説明が無くても成立するん
です。
 その世界に論理性があると説明しなくても読者にわかるんです。



          ―――――――――――――――――
          ところでテーマをどう捉えてますか?
          ―――――――――――――――――

★テーマは、動詞を持った文章で表せなくてはだめです。

「この小説のテーマは?」
「愛です」
 じゃ、話にならんということ。そんなこと、言う人はいない、でしょうけど
……ねえ(^_^; 
 不毛な愛、とか、疎外された愛――とか考えて、それで何か描けるんじゃな
いか、と思う人はいるかも知れない。そういう抽象的なものから考えてみよう
という人が(^^;)


★テーマは具体的なものです。

 性格の悪いやつがひとりでエベレストに登った――「神々の山嶺」
 それぞれの女は自立する――「女たちのジハード」
 誘拐犯から子供を取り戻す――「リミット」

              そのように一行で書き表せるもの。

 つまり、24号でも書いたように、テーマだって5W1Hなんだ。


 テーマはエピソードを串刺しにしていく。

        ┌───┐  ┌───┐  ┌───┐
プロローグ───┼───┼──┼───┼──┼───┼─────→
        └───┘  └───┘  └───┘   エピローグ
        エピソード  エピソード  エピソード

 主人公が周囲との軋轢、対立、障害を巻き起こしながら、それを克服しなが
ら、クライマックスへと、テーマは進行します。

 ですから、テーマとは主人公の目的意識、問題意識だといってもいいでしょ
う。

 また、【作者の伝えたいもの】だと言ってもいいのです。
 こういう主人公を作り出し行動させることを、作者はおもしろいと感じ、読
者に伝えたかったのですから。


 テーマというのを抽象的に考えると、読者に伝わっているのか不安です。そ
れに曖昧になります。(伝えることってなんなんだ、って問題もある)

 逆に、このように具体的に考えることで解決するんじゃないかな。
 読者におもしろいと感じてもらったら、充分伝わったといえるのです。
 それ以上の作者からのテーマの押しつけはいらないんじゃないでしょうか。
 いえ、今までの純文学はテーマを抽象的に考えることが多かったから……


          ――――――――――――
          こういう考え方もありです
          ――――――――――――

 テーマって、けっきょくは作者が何を言いたいか、ということなんだ。
 世の中に対して「これだけは言っておくぞ」というもの。「これだけは言い
たい」ってもの。「これだけはゆずれない」っていうもの。
 ほかのことでは妥協してもいいがこれだけは妥協できるものか、というもの。

 だけど、それを口で言ってもうまく伝わらないでしょう。ぼくらは評論家じ
ゃないんだから。それに評論家的言辞の嘘を見抜いているというか――そこか
らこぼれ落ちるものを見てるというか――

 だからぼくらは小説を書く。

 小説は大きなメタファー(喩え)です。

 聖書と同じで、メタファーじゃなきゃ、伝わらないものがある。

       ―――――――――――――――――――――
       じゃあ、ストーリー作りにおいてどうするか?
       ―――――――――――――――――――――

 テーマを巡って連想するものをすべて書きだしてみます。
 引きこもりの青年?が人を殺す、というテーマなら、
「引きこもり」「青年?」「殺人」で連想するすべて。

 引きこもりというのがどういう状態か?
 青年=少年は現代において、どういう状況に置かれているか?
 殺人――人を殺してなぜ悪いのか、という意識が蔓延している状況。

 そんな問題意識にぶち当たるでしょう。

 連想が出尽くしたらそれをじっと見てみます。 
 その連想されたものを並べ替えてみます。
 他のものと結びつけてみます。


 そこから小説世界の設定、人物が浮かんでくるでしょう。
 エピソードの芽のようなものが浮かんでくるでしょう。

 もちろん、すでに同じテーマで書かれた小説を読んでおくのも大事です。
 そうでなければ新しい発想は出てきませんから。


 ストーリーのようなものが浮かんできたら、書き留めます。
 一つと決めたらだめです。
 可能性のあるものはすべて書いておきます。
 そして熟考し、結びつけ、並べ替え、粗筋作りへと高めていくのです。

 それは発想を得るということと同じです。新しい見方を発見する。


         ―――――――――――――
         エピソードの串刺しを考える
         ―――――――――――――

 エピソードは主人公が周りの環境に働きかけて生まれ出たものです。
 で、そこに登場する人物たちはみんなテーマを背負っています。


 テーマを巡って出てくるものはどういう反応でしょうか?
 これはぼくらがミーティングをしたときと同じですね。
 賛成。反対。どちらでもない、です。
 わからない、というのもあります。

 小説ではそれらの役割が登場人物に当てられるのです。
 賛成する者―――――主人公の味方です。
 反対する者―――――主人公の敵です。
 どちらでもない者――傍観者です。

 こういう人間の対立関係がエピソードを作り上げていきます。


 テーマに必要なだけのエピソードを串刺しにして小説は構成されます。
 この串刺しはどういうことでしょうか?

 じつは、最初のエピソードは次のエピソードを呼び、そのエピソードは次の
エピソードを準備するというふうに進行しています。
 解決すべき問題に対して混迷を深めていく。

 これはテーマの深まりです。

 つまり、会議では、問題に対して「こうしたらどうか?」「ああしたら解決
できないか?」という論議を進めていきますね。
 机上の論議です。問題ははっきりしている。
 ただただその解決方法が探られる。
 でも、それは全体から見たら一部なんです。一部の部分が問題といて表れて
いるんです。
 ですから、結論が得られたとしても、それが現実にフィットしない場合もあ
ります。

 小説では主人公が体験します。
 現実はこうなんだ、ということを体験する。
 テーマのあらゆる側面をひとりの人間が体験するんです。
(もちろん小説を読んでいる読者も体験する)

 おっと、一筋縄ではいかないぞ、でも、負けるもんか、と体験する。
 これがみんなに勇気を与えるんですね。

 小説ではシュミレーションが可能です。
 あらゆる可能性が試される。「こんなことがおこったら」「こうなったら」
という仮定が可能です。それがテーマを深めることになります。
 小説は仮想現実の中の体験です。ですからなんでもあり、なんですね。


         ――――――――――――――
         エピソードがエピソードを呼ぶ
         ――――――――――――――
 と、言いました。
 
 まず、主人公と対立するものの言い分に耳を傾けてください。
 そいつがどんな難問を出してくるか、難題をふっかけてくるか、注目してく
ださい。
 主人公が表を代表するとしたら、そいつは裏を代表する。
 そいつにも「現実」という論理があります。
 じつは、そいつのほうが強い。


 小説は主人公が作るものではなくて、対立する側が作り出すものなんです。


 前号でも言いましたが、主人公は「現実」に投げ込まれる。
 ドラマはそこから始まります。
 じたばた、もがく――そうして現実は変わらざるを得ない。

 小説のすごいところはその変わり方です。
 小説は作者(視点人物)が見た現実の在り方なので、変わるときには一気に
変わる。クライマックスはそう用意されています。言葉で作られた仮想の現実
なので、世界の意味が一気に変わる。


 エピソードはエピソードを呼びます。
 過酷な現実を主人公に突きつけます。
 そこで今までの生き方では生きようがない。そんな現実を主人公に突きつけ
ます。

 エピソードは主人公の今までの生き方を批判するものとして用意されている
のです。
 そしてそれには主人公の及びもつかない、違う論理性が存在します。


 主人公が背負っている問題(テーマ)を考え続けましょう。
 それを貫徹すれば、現実にどんな不具合や論理の破れ目が生まれるか考えま
しょう。
 それを裏の人間――対立する側に代表させましょう。
 いや、そっちの方が正しいんですよ、現実社会では。



 エピソードは単なる事件の推移を表したものじゃない、とおもうんです。
 小説のプロットを進めるための材料でもないでしょう――そうおもう。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 と、いうところで、また。
 次回は「粗筋を書く」というところに行きましょうか?
 まぐまぐが16日まで休みなので次号は19日です。よろしく。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
     ■編集雑記
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 うまくスキャナーが認識されない。
 パソコンの世界はろくでもないよ。でも、なんとかなっていく。いつか、誰
でも使えるものになる。ちょっと勉強しているけど、HTMLのタグはシンプ
ルで簡単だ。なのに、なぜ、うまく表示されないのだろう?


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 ぼくの友人のURL――がんばってます。


 11日にはキャンプに行ってます。星空の下で寝れる。幸せ。(^-^)v 

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 00年8月19日                      〈毎週水・土曜日発行〉
─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─
          ☆小説の作り方!27号★彡 
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あなたの夢を小馬鹿にするような人からは離れていなさい。器の小さい人は、
いつも人を小馬鹿にするのです。しかし、真に偉大な人は、あなたも偉大にな
る可能性があることを教えてくれます。
                  マーク・トウェイン
      【小説家・ライターになれる人、なれない人(同文書院)から】

:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:**:*:*:
 こんにちは。
 お盆休みはいかがだったですか? 
 ぼくの場合は単にビールを飲みお酒を飲み……っていうだけだったのですが、
この死者が帰って来るという数日間――もっと鎮魂の気持ちを持たなくてはだ
めなんでしょう。
 とりあえずまた日常が始まります。
 まだまだ、残暑厳しいです。ご自愛を。

「小説を書く」ということは具体的な手続きを踏んでいくことですよね。
 それを考えなくてはならないでしょう。それが一番重要だし――

 で、今回は「粗筋を書こう」というタイトルで書いてみますね。


   ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
          ■ 粗筋を書こうの1 ■          
  
    ────────────────────────────
    目次 ・小説は変化を書くこと
       ・反対の状況から出発する
       ・「起承転結」って
       ・エピソード団子
   ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
         ――――――――――――――――
         小説は、変化を書くということです
         ――――――――――――――――

 基本的には、人間の成長、心理の変化を書くことです。

 読者は常に、何かが起こる、という期待をもって小説を読んでいます。
 はらはら、どきどきすること。
 挫折、危機、動揺、不安。具体的にはそれらを書く。

 ただ、それだけじゃだめで、「それでどうなんだ」と読者は必ず訊いてきま
す。「だからなんなんだ」――その意味を訊いてくるわけなんです。
 その問いに答えられるだけのものが生き残っていくのでしょう。

           ――――――――
           粗筋を書くために
           ――――――――

 映画や漫画を作るためには絵コンテをまず作ります。
 小説だって、どういうストーリーになるか粗筋を作る必要があります。
 とくにぼくのような初心者はちゃんと手続きを踏まなければならないでしょ
う。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――
「すべてはクライマックスのためにあるということを、一つの方程式としてと
らえたとすると、答えから逆算して、先ずクライマックスが最初に存在し、そ
のためにクライシスがあり、サスペンスがあり、葛藤が用意されて方程式が成
立しているという見方も当然できるわけで、ドラマづくりの『構成』という作
業は、多分にこの逆算の方法を内包している。実際、クライマックスに合わせ
て、上昇曲線の軌道を修正するという場合が多々ある」
               「シナリオ作法四十八章」映人社 船橋和郎
―――――――――――――――――――――――――――――――――――

 クライマックスが最初にあります。
 ぼくらがなにかモチーフを得たときにクライマックスというものが同時に浮
かんでいるはずなんです。だってそうでなければモチーフにしようと思わない
んですから。
「これを書きたいな」と思ったときには、「こうなればいいな」とか、「こう
いうクライマックスになればいい」ということが浮かんでいるはずなんです。


 まず、どういうクライマックスがあるのか、ということがはっきりしなけれ
ば書き出せない。
 具体的なクライマックス、です。


           ―――――――――――
           反対の状況から出発する
           ―――――――――――

 テーマを訴えたいなら、その反対の状況を考え、そこから出発する必要があ
ります。つまり、アンチテーゼが「起」の部分になります。

 ドラマとは「起承転結」なのですが、「転」がクライマックスです。「承」
がテーマが深まる部分です。ドラマとは対立、葛藤が解決されることなんです
から。

 幸せを描きたいなら不幸な状況から出発します。
 ある男が心の優しさを取り戻すストーリーなら、最初は男の心は冷たく利己
的であるところから出発する。

 これこそ「変化」なんです。
 この心理の落差が大きいほど感動的な話になる。

 いろんなエピソードを通じて主人公の弱点は暴かれ、攻撃され、そのままで
はいられなくなります。
 迷い、矛盾を深め、ついに主人公はある決断へと到達します。それが変化で
す。人間的成長です。

 アンチテーゼから書き始めてください。
 クライマックスの反対の状況から書いてください。


           ――――――
           「起承転結」
           ――――――
「起承転結」というのを考えましょう。
 これって言葉としてはわかるけど、なんか漠然としている。
 それにこれを言ったからといって、「構成、はい、終わり」とならない。
 でも、考え方として、こうです。

■「起」
作者にとっては――
     ――――――――――――――――――――――――――――――
     物語の始まり――ファーストシーン。
     状況、人物、環境の説明をする。
     つかみの部分。 
     ――――――――――――――――――――――――――――――

ストーリーとしては――
     ――――――――――――――――――――――――――――――
     クライマックスに対しての日常。
     何かしらの問題を発見するか、抱えている主人公がいる。
     ――――――――――――――――――――――――――――――

読者にとっては――
     ――――――――――――――――――――――――――――――
      環境、人物、状況を把握する。
     これから何が起こるか、の期待感。
     ――――――――――――――――――――――――――――――


■「承」
作者にとっては――
     ――――――――――――――――――――――――――――――
     事件を起こす。
     エピソードをこしらえ、展開させる。
     登場人物それぞれの心理を描く。
     ――――――――――――――――――――――――――――――

ストーリーとしては――
     ――――――――――――――――――――――――――――――
     主人公が事件に巻き込まれる。
     エピソードにおいて、主人公の弱点が露呈する。
     主人公は解決を目指し努力するが深みにはまる一方である。
     事件の混迷。
     主人公の迷い。葛藤。
     人間の対立関係。
     ――――――――――――――――――――――――――――――

読者にとっては――
     ――――――――――――――――――――――――――――――
      どうなるのかという興味。
     主人公がどのように事件を解決するか、期待感を持つ。
     ――――――――――――――――――――――――――――――


■「転」
作者にとっては――
     ――――――――――――――――――――――――――――――
     クライマックスを作る。
     アンチテーゼに対して、テーマ(言いたいこと)を描ききる。
     ――――――――――――――――――――――――――――――

ストーリーとしては――
     ――――――――――――――――――――――――――――――
     クライマックスによって解決がおとずれる。
     それまでの矛盾が統一され、より高度の認識が生まれる。
     ――――――――――――――――――――――――――――――

読者にとっては――
     ――――――――――――――――――――――――――――――
      クライマックスによる興奮と癒し。
     主人公と同じ認識を持つ。共感を得る。
     ――――――――――――――――――――――――――――――

■「結」
作者にとっては――
     ――――――――――――――――――――――――――――――
     締めの余韻を描く。
     ――――――――――――――――――――――――――――――

ストーリーとしては――
     ――――――――――――――――――――――――――――――
     事件のその後が伝えられる。
     登場人物それぞれのその後が伝えられる。
     ――――――――――――――――――――――――――――――

読者にとっては――
     ――――――――――――――――――――――――――――――
      共感の後の安堵。
     新しい認識に達した感動。
     ――――――――――――――――――――――――――――――


          ―――――――――――
          エピソード団子を考える
          ―――――――――――

「承」はエピソードが連なっている部分です。
 そして、それこそ小説の骨格をなす構成といえるでしょう。

 エピソードによってテーマは深まります。
 主人公のキャラクターの弱点は暴かれ、攻撃され、強くならざるを得ません。


 そのテーマはどう深めたらいいのでしょうか?
 じつは、ディベートなのです。


 登場人物に着目してください。
 彼の会話に注目してください。
 彼は主人公の欠点を鋭く突きます。

      ┌――――――――――――――――――――┐
      │小説はアクションに対するリアクションです│
      └――――――――――――――――――――┘

 主人公がアクションを起こします。
 それに対して、周りの人間から、環境の方からリアクションがある。
 それがエピソードということなんです。

 主人公のアクションはテーマの表れです。
「こうしたらどうか」「こうすればいいんじゃないか」「こうすれば問題は解
決するのじゃないか」
 それに対して周囲が反応を起こすのです。



 実際に書こうとする場合、「主人公のやりたいこと」を作者は考えてくださ
い。
――――――――――――――――――――――――――――――
1 「最終的にこうなればいい」ということを考えます。

2 そこに至る過程での周囲の反応を考えてください。
  いろんな反応が考えられるとおもいます。
  その場面、そのシーンを書きとめてください。

3 主人公は理想のためにいちばん過酷な条件を選ぶことになります。

4 主人公を理想からはずれさせず、過酷な条件から逃れる方法を考えてくだ
  さい。
  あらゆる可能性のある具体的状況を考えて、作り出してください。

5 より強大になった対抗するものは、主人公を追い込みます。

6 そして最後はクライマックス――正面切って対決するしかなくなります。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

 と、いうことなんですが、これって具体的なエピソードを作っていくなかで
しか検証できませんよね。

 周囲のリアクションの強さが主人公が体験するエピソードを決定していきま
す。
 人物のリアクション。
 環境のリアクション。


 テーマに対するすべての可能性のある具体的なエピソードを、連想を行って
作り出してみます。
 それを選び、並べ替えることが構成なんです。
 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 うーん、でもこういう言い方でも抽象的です。
「こんなん、わかっていることばかりじゃないか」って感想もあるとおもいま
す。
 でもぼくは、公式としては、そうだとおもうんです。

 今、具体的な例になる小説を取りあげたいと物色中です。具体的な過程でし
か構成はできませんし。
 それを考えることが初心者のぼくとしても必要なので。
 自分が書くために必要なんです。

 今回はここまでにします。
 粗筋をまず、書いておくことは必要なので、次回も考えたいとおもいます。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
     ■編集雑記
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 お盆の前にキャンプに行ってきました。
 よかったですよ。伊吹山なんですが、スキー場を利用したオートキャンプ場。
 曇っていて星は半分しか見えなかったけれど――
 夜、風が吹いて寒いほど。
 虫の音が闇に響いて。すごい。バーベキューの火の傍で寝ていた。
 夜空の下で寝れるというのはいいものです。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――
┏━━━━━━━━━━━━━━━━┓
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 00年8月23日                      〈毎週水・土曜日発行〉
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          ☆小説の作り方!28号★彡 
─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─
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直観がひらめいたら、あなたの創造性が湧き出ているということです。
                     フランク・キャプラ
      【小説家・ライターになれる人、なれない人(同文書院)から】

:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:**:*:*:
 こんにちは。
 お盆も終わると気分的には夏が過ぎていくという感じです。まだまだ暑いで
すが……
   ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
          ■ 粗筋を書こうの2 ■          
    ────────────────────────────
    目次 ・つり橋モデル
       ・見取り図を作る
       ・時制を考える
       ・時間割
       ・人物相関図
       ・創作ノート
   ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

■小説論(^_^; ?

   小説というのはどう書いてもいいものだとおもっているんです
   ――――――――――――――――――――――――――――
 それがおもしろければ。エッセイみたいのでもかまわないし、描写だけ、説
明だけ、会話だけでもかまわない。プロットが無くてもいいし、クライマック
スだってもちろん無くていい。言葉で作られる世界なのでおもしろければどう
いう形でもかまわないのです、おもしろければね。
 純文学と大衆の区別もないし、詩との区別だってないかも知れない。
 いつも新しい小説は古い形を壊してきました。奇妙で、珍しく、新しいもの。
 でも、古い型で物語り、落ち着いてゆっくり楽しめる、そんな形もいい。

 初心者のぼくはその「どう書いてもいいんだ」というのに迷ってしまう。
 それでわかりやすい公式みたいなのを見つけたいとおもっているんです。
 あくまでぼくのおもう小説作法。
 なので、こんなんやってると間違いかも……とおもうことはあります。
 そのときは皆さんがそれぞれ補ってください。m(_ _)m


    文章を書くときはテーマから連想するものを書き出します
    ――――――――――――――――――――――――――
 そして読者にとって意味のあるもの、作者が伝えたいものを取り出します。
 それを具体的に描写や説明によって組み立てていきます。
 テーマを分析して要素を取り出す。
 読者にわかってもらえるように並べ替える――構成するんですね。

   小説も同じようなものだと考えていいんじゃないでしょうか
   ―――――――――――――――――――――――――――

「ダ・カーポの文章上達講座」(マガジンハウス)での「高橋克彦さんに聞く
・構成で大切なこと」という記事を引用します。
 これはノンフィクションの書き方として話されたものですが……
      ─────────────────────
         “つり橋モデル”というのです
      ─────────────────────
――どういうものですか?

「つり橋がないと入って行けない村があり、その橋が落ちてしまったという設
定を考えてください.まず、最初の単純な情報として異変を知らせる何かが起
こる。これは犬がほえたでも、猿が騒いだでも何でもいい。で、それに気づい
た村人のAは外に飛び出したが、大水でも、山崩れでも、火事でもない。やが
て村外れに行ってみたら、つり橋が落ちていることが分かる。これが次の情報
になるでしょう。問題提起でもいいんだよね。まあ、こんな具合にルポルター
ジユが始まるわけですね」

――そこから物語が展開される?

「村で問題となってくるのは、つり橋を直さないと孤立してしまうんじやない
かということ。次に派生してくる問題は、復旧に何日かかるのか、その間孤絶
した村の食糧はもつのか、急病人が出たらどうするのか。また、壊れた原因は
何なのかといったように問題は拡散し、同時に深められていくわけだよね。ひ
とつの出来事により、さまざまなリアクションが起きてくる.親の反対を押し
切って駆け落ちしようとしていた花ちやんと太郎君はどうするのかとか、橋を
直すときの組織作りや工事担当者をめぐつて150年来反目している山本家と
鈴木家が争い、妨害合戦が始まった、とかね。そこへさらに流れ者の工業技術
者が来たりすると、物語は予断を許さぬ方向へ進み出す」

――そこに何かが浮き彫りにされる?

「つり橋が完成して、一応話はすべて終わる。そこでわれわれが見ることがで
きたのは、その村の生態のようなものですね。犬がほえたときからつり橋の完
成までの、たとえば1年半くらいの出来事を時系列で描いていけば、手に汗握
る物語になるということです。いうまでもないけれど、そういうのをイメージ
して、逆にちょうどいいつり橋はないかとか、橋が落ちるのを待っていても、
それは駄目ですよ(笑)」
───────────────────────────────────
 と、いう記事なんですが、これは小説というものを考えるときにとても役に
立つとおもうんです。
 つまりこういう具体的なテーマの捉え方が。

 テーマを分析する――
 その派生してくる問題を描く、ということ――
 その問題はそれぞれのエピソードとして起こってくるということ。


     ┌───────────────────────┐
ところで、│小説の場合は読者に体験してもらうということです│
     └───────────────────────┘

 そのために、ファーストシーンの書き出し、事件の展開、プロットを進める
カットバック、クライマックスという技術が大事なんです。

 小説世界を体験してもらうためには、仕掛けが必要なんです。
 伏線を張り、謎を提示し、読者に期待感を持たせるという。

 構成が大事なんですね。
 同じストーリーでも構成(プロット)次第でいくらでもおもしろくなるしね。

 クライマックスではどうなるか。
 ファーストシーンはどう始めるか。
 だんだん謎が深まってゆくようにする。わざと読者が誤解するような謎を提
示しておいて最後にドンデン返しをくらわせるなどの工夫をすること。


 構成をするときの注意点を書きましょう。
            ───────
            見取り図を作る
            ───────

(1)まず、短編になるのか、長編になるのか目安をつける。
   全体の枠から、決めていくんですね。

(2)内容を象徴するようなタイトルをつける。
   それで書く内容からはずれないようにする。

(3)テーマを決める。考える。深く考えてから書き出す。
   分析して、他人にご開帳しても興味を持ってもらえるようなもの。

(4)エピソード(材料)が充分あるか。
   それは読者に役に立つものか? ありきたりで常識的でないか?

(5)登場人物を決める。
   もちろん、提出するにたる、魅力的人物でなければならないだろう。

(6)粗筋。粗筋だけを読んでもおもしろいか? それ、試金石でしょう。


          ■粗筋を書いてください。
          ────────────

 主人公の行動だけを書きます。説明とか、プロットを考えるのは後でいいで
す。
 いかにクライマックスのシーンに到達するか、を書き出します。
 それがおもしろいかです。


          ■章に分けて構成してください。
          ───────────────
 
 そのほうが構成として考えやすい、やりやすいからです。
 後で、ベタで章無しで書いてもいいしね。
 短編だと章なんていらないけどね。でも考え方としてこう考えたほうがいい。

 上のモデルでいえば、つり橋が落ちていることに気づくのに1章は必要でし
ょう。
 問題や危機が波及して大騒ぎになるのに2章や3章がいるでしょう。
 新たな事件の勃発や、展開にまた2〜3章。
 対立が深まり、混迷するのに2〜3章。
 クライマックスに1章。
 余韻を持って終わるのに1章。

(すみません。めちゃめちゃ稚拙な説明というか……粗雑な言い方で。でもね、
まあ、こんなふうに、構成としての当たりをつけておく。テーマを具体的に分
析、考えていくといろんなエピソードが必要なのがわかる)


          ■シーンを作ります。
          ──────────
 つまりシーンというのは上の「つり橋モデル」で言われているようにテーマ
の展開(問題の要素)ごとに作られていくものです。
 それを人物の対立関係とエピソードや事件の展開の中でのいちばん象徴的な
シーンに代表させる。作者が選び出す。
 上のモデルでいえば、話し合いのシーンを作り、そこで対立関係に陥るよう
にする、など、ね。


          ■バックストーリーを考えておく。
          ────────────────
 小説というのは表面に表れた作者が物語っている部分だけじゃないんですね。

(その最初のシーンにたどり着くまで主人公はなにをしていたのか)を考えて、
ファーストシーンを作ります。
 こんなんはもちろんだけど、表面に語られている物語の流れと同じに、裏側
でいろんな登場人物の心理の流れ(プロット)があるわけです。
 それをちゃんと作者が把握しておく。



           ┌──────────┐
           │ちょっとした、まとめ│
           └──────────┘

 小説においてストーリーというのは、誰が、いつ、どこで、何をしたか、と
いうことなんですが、それはテーマの要素が取り出され、並べ替えられたもの
です。
 それでこそ読者に「これからどうなるの?」という好奇心を抱かせ、事件の
スリリングな展開を期待させ、満足させるものとなります。 


 もうひとつの小説の要素があります。
 プロットが小説を作っているもうひとつの側面だということです。
 主人公の心理を自分のことのように読者は体験するんですから。


 こうして、シーンとシーンの間を説明、風景描写、心理描写でつないでいく
と小説はできます。



         ────────────
         小説の時制を考えましょう
         ────────────

 小説の構想を立てるときに、時間の在り方を考えておかなければなりません。


 小説は基本的に、┌────────────────────────┐
         │現在時――と、過去のエピソード(小過去、大過去)│
         └────────────────────────┘
                          で構成されています。

 つまり、過去の原因をふり返りながら現在の結果が導き出されている。
 この原因→結果がプロットです。

 ■このプロット(過去のエピソード)をうまく利用し構成して物語っていき
  ます。


           ─────────
           事件の時間割を作る
           ─────────

           事件が起こったとき   
             │
             │ 時─→1時間後─→2時間後─→何日後─→
             ↓
         登場人物Aは何をしていたか……
             Bは何をしていたか……
             Cは何をしていたか……
             Dは……

 
 事件の時間の経過で表を作っておきます。
 登場人物のそれぞれの動きを把握しておきます。 



           ──────────
           人物相関図も作ります
           ──────────
 構成をきちんと練るためには人間の関係を把握しておくことが大事です。
 これは言うまでもありませんよね。



           ┌──────────┐
     最後に、  │創作ノートを作る方法│
           └──────────┘ 
「ミステリの書き方」早川書房(H・R・F・キーティング)から引用します。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

1 それぞれの登場人物に、一ページないし二ページ。
 
2 それぞれの章の構成に、1ページ。
 (章ごとに分けることに論理的必然性ないが、読者は章があるほうが好きだ
  し、物語を展開するのは嵐の海を突き進むようなものなので、手すりのよ
  うな役目もしてくれる)

3 ノートの終わりに、ストーリーを場面に分けた表を作成しておく。
  そこにそれぞれの場面がはじまる原稿のページ数を書きこんでおく(推敲
  時にちょっとした変更を加えるのにたいへん便利だ)

4 ノートの表紙の裏には、その作品で予定している登場人物の名前をリスト
  アップしておく。
 (これは同じ作品で、ラヴエルとかラウリーとかという似通った名前を使わ
  ないようにするのに役立つ)

5 最初の2、3ページのどこかに、大きな字で、テーマがなんであるのかを
  書いておく。
  そして中心的な展開と主題との関連についてのドナルド・デイヴィ教授の
  質問に対するわたしの答えと、加えて“読者の存在を忘れるな!”といっ
  た厳しい自戒の言葉も書く。

6 そうした準備ができたら、まずどんなに多くのページをさいてでも、基本
  となるプロットを書きつける。
  そしてより詳細な部分が見えてきたら、もう一度プロットを書きなおす。

7 その次に、何ページでも必要なだけ使って、ストーリー上の事件を簡潔に
  書きだしていく――わたしがストーリーラインと呼んでいるものだ。
 (文字どおり、ラインとして全体を考える役に立つ)

8 そして、自分のなかでまだ解決できていない箇所に釆たときには、余白が
  あればそれを利用して、自分自身と討論を行なうことにしている。
  賛成と反対の二つの欄を作って、自分の考えを整頓したり、あるいはただ
  単に“なぜ今ハリュットはだれもいない家へ入るのか?”というように質
  問だけを書きつけることもある。たいていの場合、その質問を書き終わら
  ないうちに、潜在意識が答えをだしてくれる。“彼女は自分の前の道にい
  る蛙が怖いのだ”というように。ばかげた答えだが、いかにも現実的では
  ないだろうか。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 今回は構成をするときの細々とした留意点を書いてみました。
 シナリオではシーンを作ることを箱書きと言います。
 それを次回は書いてみます。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
     ■編集雑記
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 相変わらず、暑いですね。
 ぼくはビールばかり飲んでいて、体力が落ちていますね。単なる贅沢なだけ
なんですが……
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
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┃落書き掲示板。なんでも書き込んで┃
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http://hpmboard1.nifty.com/cgi-bin/bbs_by_date.cgi?user_id=YHY11050

 最近、活発じゃないです。書き込んでくれる人が少ない。まあ、いいですけ
ど。またね、気軽に書き込んでください。

 べつに仲間を無理して求めることはない。人生は仲良しクラブじゃないんで
すから。そんなのは会社とか、家族、親戚で充分やってます。
 でもね、何かのときに喋れる場があるのはいいものですよ。

 当分はぼくの独り言でも書いておこうかな……(^_^; 
 のんびり、ゆったり、ぼちぼちと、いきましょう。

…………………………………………………………………………………………
  ☆ミ         ★☆彡     ☆ミ       
            ☆ミ                           ☆ミ
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 00年8月26日                      〈毎週水・土曜日発行〉
─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─
          ☆小説の作り方!29号★彡 
─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─
:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:**:*:*:

 自分に対して、自分以上に賢いアドバイスができる人はいないのです。
                        キケロ
      【小説家・ライターになれる人、なれない人(同文書院)から】

:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:**:*:*:
 こんにちは。
 今回はシナリオでの構成の仕方を話したいのです。

 今から書くことはどのようなシナリオの入門書を開かれても出ています。
 ですから、そういう本を買って何度も読むほうがわかりやすいといえます。
「シナリオの基礎技術」(新井一 1985年 ダヴィッド社 ¥1500)などをお奨
めします。  
 ドラマを作るという意味では小説もシナリオも同じです。

 でも、小説とシナリオは微妙に違う。
 シナリオのような小説を書いてもしかたないし、小説のようなシナリオでも
役に立たないでしょう。領分が違うんです。
 もう小説を書かれている人はいいですがぼくのような初心者は貪欲にヒント
になりそうなものをどこからでも吸収するしかない。

   ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
         ■ シナリオの「箱書き」を考える ■        
    ────────────────────────────
    目次 ・ストーリー、プロットを書く
       ・「箱」とは
       ・シーンが最小単位
       ・構成するということ
       ・長編を書くには
   ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

 小説とシナリオとの違いは、小説には地の文があるということです。小説で
は心理描写ができます。映像がすべてで、それでしか心理を語れないシナリオ
とはそこが違う。そういう意味でシナリオで作られるものは不便なものかも知
れないですね。映像という現実的な枠から逃れられないから。
 まあ、反対に、小説は言葉ですべてを作っていかなければならず、それぞれ、
難しいのですが……
 で、箱書きってどうするのか、です。

           ────────
           ストーリーを書く
           ────────
 前号で、「まず粗筋を書いてください」と言いました。クライマックスに至
る粗筋です。
 ぼくらが何か書きたいモチーフを得たときに、「クライマックスはこうだっ
たらいいな」というものが漠然と見えているはずです。

 主人公の、登場人物の行動だけを書いていきます。
 章に分けて書いてください。
 それでひとつのストーリーができます。

           ───────
           プロットを書く
           ───────
 そして同時にプロットが思い浮かんだらそれも書きます。
 プロットは行動を押していく原因→結果です。行動の基になる動機と結果を
導き出す原因です。それはまた次の動き、人間の行動のきっかけになります。

「なぜ、そんなふうになるんだ」ということですね。
 この「なぜ?」がドラマを作っていきます。

┌─────────────────────────────────┐
│ノートを開いたときに、左のページにストーリーを書く。       │
│そして白紙にしておいた右のページにプロットに当たるものをメモしてい│
│くと便利です。                          │
└─────────────────────────────────┘


         ─────────────
         では構成――「箱作り」です
         ─────────────

 いちおうストーリーらしきものがあります。それをじっと眺めます。
 章ごとに並んでいますよね。
 なんか、起承転結のひとつの話が見えてきましたか。


 ところでシナリオでは、型から入ることが多いです。ドラマの型、ですね。
 ドラマの形式。
 
1) エピソードを順番につなげていってドラマを作る「数珠玉式」
2) 何本かの物語を縄のようによりながら一つのドラマにする「より縄式」
3) ぜんぜん別個の話を集めた「オムニバス」
4) 「道中もの」(今で言えばロードムービーか)
5) 「グランドホテル式」ある場所が決まっていて登場人物が絡み合うもの。
6) 「舞踏会の手帳式」主人公が次々と人を訪ね歩く形式。
7) 「マヅルカ式」最初の場所から始まって、回想が入り、その場所へ戻る。

 と、あるわけですが、こういうふうに形式から考えていっても小説を作る役
には立たないでしょうね。


             ■桃太郎物語■

 話を戻しましょう。
 同じ新井一さんの「シナリオの技術」という本にはよくわかる「箱書き」の
説明があります。
 いえ、ひとつのドラマの説明です。

───────────────────────────────────
          【大箱】      【中箱】     【小箱】
                             ┌─○○○
                    ┌─生活―――――│―○○○ 
        ┌─桃太郎の誕生――――│─桃拾い    └─○○○
        │─鬼征伐の決意    └─誕生の瞬間
 桃太郎物語――│─鬼征伐の準備
        │─討  入 り
        └─めでたしめでたし

        【大シークェンス】 【中シークェンス】【小シークェンス】
───────────────────────────────────

 「桃太郎」という物語は、(桃太郎の誕生〜めでたしめでたし)という複数
のエピソードがまとまって一つの物語になっています。
 (桃太郎の誕生〜めでたしめでたし)はそれぞれ独立したエピソードです。
 (桃太郎の誕生)はまた(生活〜誕生の瞬間)というエピソードでできてい
ます。
 そして、おじいさん、おばあさんの(生活)というのはまた、○○○という
エピソードを含んでいるのです。

 これらのエピソードの固まりは【大・中・小のシークェンス】と呼ばれます。
【シークェンス】というのは「話の固まり」という意味です。

 そしてそれぞれ【大箱】【中箱】【小箱】に対応します。


        ─────────────────────
        【小箱】はシナリオでいえばシーンになります
        ─────────────────────
 このシーンというのはシナリオでは最小の単位です。
(もちろんカットが最小なんですが、ここではシーンを最小単位とします。で
 ないと話はややこしくなるし、そういうことを言っても無意味だから)


 桃太郎物語が(桃太郎の誕生〜めでたしめでたし)の起承転結で構成されて
いるように、(桃太郎の誕生)は中箱の起承転結で構成されているのです。
 そしてその中箱の起である(生活)は○○○という起承転結で構成されてい
るのです。


 そして○○○はまた起承転結を持っているのです。
 5W1Hが文章の公式であるように、起承転結はドラマの公式なのです。


 シーンは「ある場所」で行われるドラマなのです。
 最小単位のドラマなのです。

           ────────────
           小説を構成するということ
           ────────────

【大シークェンス】を分析して【中シークェンス】に、
【中シークェンス】を分析して【小シークェンス】にしていってください。
 それが「構成する」ということなのです。
 具体的にはシーンを作るということ。

 プロットを考え、次のシーンを用意し、作るということが構成です。


 ……どういうシーンを作ったらいいか、ということは言えませんよね。
 それぞれのモチーフによって、そして、作者がどれだけプロットを考えたか、
ということによって選ぶシーンが違います。
 それは小説においてどんな登場人物を作り出すか、ということと同じです。

 ですから、個別には言えないんですが、シナリオの本には「どんなシーンを
作る(描く)べきか」ということが書かれてあります。シナリオでは映像とし
てしかシーンがないためでしょう。読んでみてください。


 でも、シーン作りで注意するべきことは言えます。

 そのシーンで行われる事件、人物の出入り、会話、つぎのシーンへどうつな
いでいったらいいのかということを考え、アイディアなどを書いておくことで
す。


           ──────
           見せ場を作る
           ──────

 それに、小説でもシナリオでも見せ場を作らねばなりません。小さなクライ
マックスを積み重ねて、最終的なクライマックスへ行かねばなりません。

 メリハリ、強弱、高低、性急と緩慢。
 ストーリーのなかで、うねるような起伏を作る。

【見せ場とは――】
      登場人物の喧嘩。
      ラブシーン。
      サスペンス(スリルです)
      雄大な自然や天変地異。
      読者にとって残酷なショックになるもの。
      大勢が為す騒動。クーデター。事件。

 それを一つだけ取り出すのでなく、組み合わせればより強力になります。

 変化を作る――文章の基本の公式は5W1Hなんですから、それを変えたら
いいということになります。
 場所を日常的でないものにする。
 人間を日常的でないものにする。
 事件を日常的でないものにする。


           ───────
           長編を書くには
           ───────

 短編というのは原稿用紙30枚から100枚までです。
 それには【シークェンス】として2〜3つのエピソードがあればいいです。
 時間は半年ぐらいを目安に考えてください。それ以上だとその枚数に収まり
ません。

 小説の人数は3人が基本です。
 なぜというと三角関係が人間の関係の基本であるからです。
 それ以上は集団だからです。
 夫と妻と愛人。夫婦と子供。友人も三角関係が安定しています。
(いえ、これはぼくが頑固に信じこんでいるもので、間違いかも……(^_^; )


 で、長編を構成する方法なんですが、「長編は短編の集まったもの」と考え
てください。
 短編が何個か集まって構成される、という考え方をしてください。
 これは、桃太郎物語の【大シークェンス】の集まりと基本的には一緒なので
す。

 いくつかのまとまった話を作り、メインテーマに沿って本筋のストーリーと
脇のストーリーを絡み合わせて、構成します。


───────────────────────────────────
 シナリオの「箱書き」についての話はこれぐらいです。
 ぼくらは小説を書きたいので、シナリオを書きたいわけじゃないんですから。
 
 構成については実例をあげて話したほうがいいでしょうね、そのほうがわか
りやすい。
「他の小説を分析し粗筋を書いてみる」のは、いつでも、基本の勉強のしかた
です。
 次回、30日は実際に小説を読んで、構成を勉強してみます。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
     ■編集雑記■
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 こんなに構成の項を続けるのはしつこいですかねえ。
 でも、ぼくは小説の構成がおもしろさのすべてだとおもっているので、もっ
と知りたい。もう少しで(あと三回ぐらい作品を読んで)構成については終わ
りです。呆れないでつきあってください。

 掲示板は「徒然落書板」としてホームページからリンクしてあります。
 URLは今までのままです。
 新しいのをgiocitiesで拵えようとしたけれど、うまくアクセスできないん
です。
 また、よかったらふらっとお寄りになって書き込んでください。
 では、残暑、厳しいですから、お身体を大切に。

…………………………………………………………………………………………
  ☆ミ         ★☆彡     ☆ミ       
            ☆ミ                           ☆ミ
    SAO  ヾ(^^ )
   今年のテーマは「いつも上機嫌で元気にやろう!」
  E-mail: YHY11050@nifty.ne.jp
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 00年8月30日                      〈毎週水・土曜日発行〉
─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─
          ☆小説の作り方!30号★彡 
─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─
:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:**:*:*:
 小説家の仕事は、ただ単に描写することではなくて、本性を明らかにするこ
とであり、知らせることです。小説家は、他人が観察せずに通り過ぎていくも
のに取り組むのです。動いて逃げるそれを捕まえ、一般の人のところに持ち出
すのです。
            ジョアン・ギマランイス・ローザ
 
     【小説家・ライターになれる人、なれない人(同文書院)から】
:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:**:*:*:
 こんにちは。
 今回から3回ほど、小説を読みプロットを解析したいのです。
 小説はとにかく書いていくということでしか勉強できません。「習うより慣
れろ」です。
 1回目は高村薫の短編集「地を這う虫」1993(文藝春秋)から表題作「地を
這う虫」にしました。16日から3日間、NHKでドラマ化して放送されたのを
見たからです。
 5月に文庫にもなっています。高村さんは作品に手を加え書き直すことで有
名です。どう改訂されているのか、できたら買おうとおもって本屋に行きまし
た。なかったです。しかたがない。
 また改訂版を読む機会があったら感想を掲示板にでも書きます。

   ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
          ■「地を這う虫」を読む■        
    ────────────────────────────
    目次 ・プロットを書き出してみる
       ・小説はプラモデルと同じ
   ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

        【地を這う虫】105枚 省三に寄り添う視点
        ────────────────────

 これは元刑事の男が工場への行き帰りの道を歩き回る話です。
 ファーストシーンは、仕分け場です。

○仕分け場
  コンクリートをゲジゲジが這っている。
  どこに行こうとしているのか、省三は見守った。
  右へ、左へと這い回る、それなりの秩序を持っているはず。
  手帳に「ゲジゲジを見た」と書きつける。
  トラックヤードに4トントラックが入ってくる。
  顔を出すと、若いのが二人でケースを下ろし始める。
(一人が)「お宅ら、目がどこに付いてんだ! ホールコーン二十ケースと書
 いて あっただろう。こいつはクリームコーンだぞ、出し直せ!」
  出荷ミスだ。
省三「申し訳ないです」
  倉庫へ走る。

○倉庫
  倉庫にはさまざまな商品のケースが積まれているが、駆けつけてみると、
  混じって積んである。
  舌打ちしながら、積み替え始めた。
  
  トラックが出ていった後、また手帳に書きつける。「本日の失態。仕分け
  の不備。犯人を探し出して厳重注意すること……」

○歩く
  倉庫会社を午後6時に出た。
  国道は南北に走っている。
  省三は国道東側の住宅街の中をジグザグに歩く。
  その歩く正方形の中は碁盤の目のように道がある。
  一ヶ月おきに違う道順を選んで歩く。もう五年になる。
  家族と別居してからそれだけの年月。

○薬品会社の守衛室
  いつも通り午後7時10分前に守衛室にはいる。
(若い同僚に)「片付けてけ」
仲間「バカか、あんた」
  そこら辺をかたづけ、顔を洗った後、手帳を取り出す。
  「ゲジゲジを見た」のあとに「私に似ているようだ」と書く。
  夜間の見回りは2時間ごとですっぽかしたことはなかった。
  そうして毎晩6時間眠り、翌日の仕事にも差し障りがない。

○道
  朝、省三は薬品会社を出て昨夜と逆の道順で倉庫会社まで歩く。
  よく晴れた冬日だった。
  歩く一辺三百メートルの正方形のなかの家屋はすべて記憶している。
  5年間で空き地は消え、家屋の庭は表情を変える。
  省三は見かけによらず、木や花が好きだった。
  自分の家を持つようなことがあれば、気に入った花木を植えたいと思う、
  それはひどく漠然とした気分の揺れのようなものだった。
  目につくのは花木ばかりではない、そこに存在するもの一切がっさい、道
  端のゴミ、石ころひとつ視界から逃れることはなかった。
  いわば碁盤目に仕切られたレンズの地図のになっている。機械的に見てい
  くのが日常になっている。
  それで変わったことを見つけたところで、別にそれがどうということはな
  く、ただ見たというだけのことなのだ。手帳に書きつけることもある。
  省三の記憶にははっきりと残り、変化はすぐわかる。
  そういう生活をしているからこそ、毎日の巡回に没頭した。

○空き巣に入られた家の前の道・その日の朝
  その朝、省三は聞き慣れない物音を聞きつけた。
  その物音と遭遇するのは嫌だったが、そのまま足を進めた。
  予想通りパトカーだった。
  ひとりがトーキーで話している他は警官らはのんびりとつっ立っていた。
  その家は子供のいない家で不在が多い、いつか「やられるな」と思ってい
  たのだ。
  ベランダに面したガラスが割れている。
  この正方形の中で空き巣が数件続いていた。
  警官の様子からみて、家人に被害があったような様子ではなかった。
警官「おい、あんた」
  「名前は?」と訊ねてくる。
  「沢田」
  「下の名前」
  「省三。省略の省。数字の三」
(巡査は手帳に書き取りながら)「定期、免許証ほか、何かあるか」
(省三が黙っていると)「身分を証明するものを見せろ」
  「持ってません」
  「あのなぁ」
  「あんた、この辺りを毎日うろついてるだろう。朝と夕方の二回。え?」
  「はあ……」
  「何してるんだ」
  「職場への通り道で」
  「職場はどこだ」
  「山本倉庫と立花薬品」
  「二箇所? 二つの会社で働いているのか」
  「倉庫は昼、薬品会社は夜警です」
  「勤続何年だ」
  「五年です」
  「どっちの会社も国道沿いだろう。なんでこんなところを通るんだ」
  「散歩です」
  「あんたには散歩かもしれんが、近所からたびたび苦情が来てるのを知ら
 んのか」
  「何の苦情ですか……」
  「あのなぁ」(と巡査はまた声を張り上げて)
  「用もないのに住宅街をうろうろしてる男がいたら、気味悪いだろうが!」
  省三は自分の足元に目を落とした。洗濯の行き届いたシャツとジャンパー
  とスラックス。髪も短く刈り、髭も毎朝きちんと剃っている上等な身なり
  とは言えずとも、人に不快な印象を与えることはないと、自分自身では思
  ってきた。
  もちろん、毎日ほぼ同じ時刻にぶらぶらと婆を見せる男ひとりが気味悪い
  という住人の声も自由だった。
  腹立ちと不愉快さと情けなさのどれもが突出先を失って、爆発した。
  「あんた」(省三は若い警官を眺みつけた)
  「物の言い方も知らんのか。公道を歩いている人間を捕まえてその言いぐ
 さは何だ。それでも公務員か」
  「生意気言うと、署に来てもらうぞ!」
  「容疑もなしに人をしょつぴけると思ってるんなら、頭の中身を入れ直し
 てこい!」
  野次馬の視線が集中している。「おい」とほかの警官から声がかかった。
 肩車の星が一つ多い、巡査部長だ。
巡査部長「空き巣でな」
  「あんた、この辺を毎日歩いてるんだろう。誰か見かけなかったか」
  「見てたら通報してる」
  「昨日の夜も、この前を通ったという近所の人の話だが」
  「通ったとも。それがどうした」
  「何時に通った」
  「午後六時四十分ごろ」
  「そのとき、ごの家を見たのだろう? 二階のベランダの掃き出し窓は見
 たか」
  「そのときは異常はなかった。それより、何を盗られたんです」
(省三がそう訊ね返すと、巡査部長は耳を疑うかのようにじろじろ眺め)
  「そんなことは知らんでよろしい」(と一蹴する)
  「しかし、十二日は五-四十八番地だった。十四日は五-十六番地。十六日
 は五−二十番地。被害はみな少なかったはずだ。そして、今日が五-三十。
 この家は、被害はどうだったんです」
  「どうしていちいち住所を知ってるんだ。おかしな人だな……。そんなこ
 とは、あんたに関係ないだろうが」
  「それはそうですが。しかし、あの北側の小窓が……」
  「窓? どこの窓だ……」
  ベランダのある南側とは反対側に、多分トイレか階段の明かり取りと思わ
  れる小さな窓が一つ見える。面格子付きだ。
  「窓がどうした?」
  「開いている。私はこの五年、あの窓が開いているのは初めて見た」
  「それで?」
  「それだけです。家の人に確かめて下さい」
  「なんのために」
  「普段と違うから。それだけです」
  「それはそれは」(鼻先で応えて)「ところで、この辺りで頻発している
 空き巣だが、あんた、嫌疑をかけられたくなかったら……」
  「私が空き巣なら、こんな家には入らん。もっと金があり、同じように留
 守がちな家は、ほかにいくつもある」
  「そんなことは空き巣に聞け! 私らは忙しいんだ。そうそう、あんたは
 まっすぐ国道の方を歩きたまえ。住人が迷惑してる」

  巡査部長はそれだけ言うと背を向けてしまった。省三も踵を返す。いつの
  間にか取り出した手帳に「住民の苦情あり」と書く。
  苦情? 詳しく知る必要も覚えず、唾して済ませた。
  それでも倉庫に着く頃にはある種の自戒の気分に陥っていた。
  自分に腹を立てながら手帳に付け足す。「五-三十番地。空き巣。四軒目。
  被害僅少のはず。犯人の狙い不明」
  昨夜は閉まっていた窓を開けたのは誰か。「空き巣か、家人か」

○アパートの門扉の前・翌日曜日の朝
  管理人のお喋り婆さんと近所の主婦が立ち話をしている。(傍を通り抜け
  たとき)「ガラス割られただけだってね」(という婆さんの声が耳に止ま
  り、省三は自動的に足を止めた)
  「昨日の、あの三十番地の家ですか」
  (婆さんと主婦は会話をやめて一歩退き、じろじろと省三を見て)「そう
 だけど」
  「ガラスを割られただけで、被害はなかったんですか」
婆さん「そうらしいわよ」
  「四十八と十六と二十番地の三軒は?」
  「ええ? 地番なんか知りやしないわよ。空き巣に入られた家のことなら、
 そうらしいわよ。どこもガラスを割られたか、玄関の錠を壊されただけ」
主婦「嫌がらせだろうって、お巡りさんの話だけど」
  「でも、ガラスを割って手を中に突っ込んで、錠を開けて、侵入はしたは
 ずですが」
婆さん「あんたねえ」(箒を逆さに立てて省三の足元をトントンつつきながら
  「日曜の朝から人の語にいきなり割り込んできて、変なこと聞かないでち
 ょうだい。ただでさえ、うちのアパートには変なのがいるって、噂たてられ
 てるんだから」
  「それ、私のことですか。この間、壊れた雨樋直してあげたじゃないです
 か」
  「それとこれとは別」
  「壊れた水道のパッキンも直したし、ゴミ箱のペンキも塗り替えてあげた
 でしょう」
  「ええ、ええ、分かってるわよ。あたしは何とも思ってないわよ。ただ、
 近所をぶらぶら歩き回るのを止めてくれたらいいだけ」
  「ああ、そうですか。私は、止める気はありません」
  省三は門扉をくぐり抜けた。(うしろから)「やな人」と囁く婆さんの声
  と主婦の笑い声が聞こえた。

  郵便受けに中学生になる娘の絵ハガキが入っている。
  「中学生同士でディズニーランドは遠出しすぎだ。注意しなければ」と手
  帳に書く。妻の加代子はスーパーでフルタイムのアルバイトをしている。
  娘はときどきハガキを書いてよこすが、よそよそしさが見える。
  いつもなら便りを眺めて半日も潰すが、その日はハガキを引き出しにしま
  い手帳をめくり返し始める。
  昨日から「住民の苦情あり」の一行を考えている。
  住民の苦情――それがほんとうならこうたびたび空き巣が発生するわけが
  ないだろう。
  苦情があったのが事実だとしても何人かが気まぐれに思い出したのだろう。
  この自分の他には不審な者が見かけられていないということなのだろう。
  空き巣はよほどうまくやっているのだ。
  警察がちゃんと動いていない。
  どの家も侵入されただけというのは――信じがたいことだ。
  あの小窓――空き巣はなぜ開け、何も盗まなかったのか?
  ただの空き巣ではないのかも知れない――
(玄関のドアを叩いて)
管理人「沢田さん、さっきはごめんなさい! ところで、ドブ板が抜けちゃっ
 たんだけどさあ」
  「私は営繕係じゃない。今日は忙しいから、また今度直してあげます」
  「部屋にいるくせに、何が忙しいのよ」
  「頼むから静かに。私には大事な考え事があるんだ」
  腹を決めた。自治会の住宅地図を捜し出し、広げてその前に正座する。

───────────────────────────────────
 ここまでで原稿用紙35枚です。これ以降は要約します。

 この後、沢田は空き巣に入られた家を地図に書きだし、その周辺の家を記憶
を頼りに分析し、色分けした地図を作製します。それを手帳に折り込みます。
 空き巣に入られた家を含むコースを歩く日々が始まります。
 そして角度を発見します。一定の方向に向かった線上に家が建っていること。

 巡査が傷害事件の聞き込みに沢田の倉庫に来ます。沢田の推理に、巡査は、
「あんた、刑事になったらどうだ!」と捨てぜりふを吐いて去ります。
 これで、空き巣?の次の侵入は近いと予感します。

 1週間に一度、加代子と沢田は会います。
 話すのは娘の進学のことです。

 いつもの巡回コースで引っ越しした家の雨戸が開いているのに気づきます。
 会社を早退し、巡査部長に話をしに行きます。ですが、取り合ってくれませ
ん。夕刻、沢田は空き家になっている家に向かいます。
 窓から、犯人になった気持ちで、何を見たかったんだ、と思いめぐらします。
 そこで数寄屋造りの家の窓が正面から見えることに気づきます。

 管理人のお婆さんに誰が住んでいるのか訊きますが、お婆さんも知らない。
 日曜日、その中村という家の情報を酒屋やクリーニング屋を回って集めます。
わかったことは“二号さんの家”“旦那がよそから通ってくる”など。
 自分の実家に電話をし、娘に、来週帰ることを伝えます。

 犯人は必ず戻ってくる、と考え張り込みます。刑事時代のことを思い出しま
す。その夜は何事もなく過ぎます。
 月曜日、夜勤を替わってもらって同じように張り込みます。
 深夜、二人の男が空き家に入ってきます。
 男の一人がライフルを構えます。
 その男を捕まえようと飛び出しますが、後頭部を殴られて気を失います。

 朝に空き家を出た沢田は警察に向かいます。
 そこで空き家の解体が始まったことを知らされます。手帳を出して説明しよ
うとしますが、落としたのか、男たちが持ち去ったのか無くなっています。
 解体現場に走りますが、見つかりません。省三は落胆します。

 木曜日、また出荷ミスでトラックが帰ってきています。
 そこに警察から電話があります。
 省三は思いがけず応接室に通されます。本庁で知っていた男が課長になって
いて対応します。落とし物として手帳が出てきたことを知らされます。また、
調書を取らせてくれと言われます。省三は体裁を繕ってくれたのだろうと思い
ます。

 その午後、千葉の実家に電話をかけ、加代子と駅前で待ち合わせます。加代
子はいぶかしげなのですが……
 話すこともなく、ケーキを食べるという加代子を前にして、先客が残してい
った新聞を広げます。
 そこにあの2号さんの旦那(暴力団の組長)が狙撃され死亡した、という記
事を見つけます。
 加代子が突然「きゃ!」と悲鳴を上げてスカートを払います。払い落とされ
た蟻が床を歩いています。「踏み潰さないでくれ」
「加代子。この虫はな、俺なんだ……」
「どういうこと」
「……なに。ただ歩いているのさ」
 説明にもならない説明をして、省三は何かささやかな満足を覚えます。
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 以上がプロットです。
 前半のプロットとして書き出した部分は、1行が1段落に対応しています。

 わかったこと――

 設定がわかりやすいように、ファーストシーンからうまく構成されています
ね。すぐ手帳が出てきて、これが伏線になっていますし、元刑事の習い性にな
ったメモするという行為に寂寥感というのも出ています。
 出荷ミスも最初と終わりとで出てきます。
 これは警察の対応のまずさ――無責任さとのとアナロジーです。
 また、住宅街を歩き回ってという設定がいいです。
 空き巣と疑われたり、痴漢に間違われたりすることで、主人公の置かれた立
場のやるせなさが出ています。

 事件が起こってから(空き巣のことを知った後)一直線に小説世界が展開し
ています。無駄がありません。

 謎を提出し、それがどのように解決されるかで引っ張っています。見事です。
 それに、解決に向かうかとおもえば、もう一歩で阻まれます。これがサスペ
ンスを作り出しています。
 
 会話にリアリティがあります。
 主人公が周囲からどう見られているか、それが自然にわかるように作られて
います。また、キャラがよく出ています。

 登場人物の作り方もいいです。
 一番作者が訴えたいテーマに近い人物で小説世界を作っています。ですから
ここに登場する巡査というのは、現実にいるかどうかは別として、作品ではリ
アリティがあります。

 脇の話として、省三の家庭があります。刑事を退職してうらぶれた省三。家
庭は少し壊れかけています。これがあるから省三の気持ちに共感できます。

 2号さんの家もこの住宅街では浮いているのですが、そういう市民社会から
ずれ落ちているある視点を提出しているとおもいます。それで、エンターテイ
メントなんですが、リアリティがあります。

 ぼくの感想としてはこれぐらいなんですが、どうでしょうか? また、よけ
れば本を読んでいただきたいとおもいます。

───────────────────────────────────
 このあいだ、TAKAさんとメールで話していたんですが、小説を作るというこ
とはプラモデルを組み立てることに似ています。
「描写」「説明」「会話」という小説の部品をどう並べ、構成するかです。

 シーンを作り並べ、描写をし、適当に要約して説明し、登場人物に会話させ
る。この構成の仕方によって読者が読みやすいか、楽しめるかが決まります。
また、小説世界へスムーズに入っていけるかが決まるでしょう。

 プロットを読んだだけでもドラマになっていなければならないとおもうんで
す。1行1段落で書いても、話がすごく自然でわかりやすいように。
 だいたい1つのシーンを原稿用紙5〜10枚で換算するといいとおもいます。
 シーンが5つか6つ集まったら短編になるでしょう。

 あとはその1行に要約されたプロットをふくらませる。語り口と表現を工夫
してドラマ化する。

 次回も何か小説を読んで構成のことを考えます。よろしく。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
     ■編集雑記■
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 最近ほんとうに小説を読んでいないので図書館から借りてきました。
 今、16冊も借りています。こんなに2週間で読めるでしょうか?
 でも、ぼくは速読派です。あまりその世界に入り込めないものは斜め読み。

 これから死ぬまでに何冊読めるかわからない。人生が80年として、週に1冊
読んだとしても、3680冊しか読めないんですから。
 これを考えると、落ち着いていられませんね。
 それに年をとると本を読むと頭が痛くなるっていいますもん。(^-^)v 

…………………………………………………………………………………………
  ☆ミ         ★☆彡     ☆ミ       
            ☆ミ                           ☆ミ
    SAO  ヾ(^^ )
   今年のテーマは「いつも上機嫌で元気にやろう!」
  E-mail: YHY11050@nifty.ne.jp
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